今年に入って読んだ小説のレビューやお酒のウンチクもアップしています。
浅田次郎さん、高野和明さん、池井戸潤さんの小説が現時点でのお気に入りです。 今野敏さん、横山秀夫さん、東野圭吾さんなど、まだまだ読んでみたい作家さんの小説がたくさんあります。
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異動で通勤時間がめっきり減り読了まで3ヶ月、さらに、そこから2ヶ月経っているため、うろ覚えでのレビューとなります。 偶然出くわしたやくざ者と子ども達、そのやくざ者の子ども達に対する接し方、話し掛けに心が温まりました。浅田氏が描かくやくざ者はいつだって義理人情に熱い好漢揃いであり心が洗われます。 討死した鬼熊、非業の死を遂げた片岡、そして、よもやのシベリア抑留となった菊池、何れも想定外の行く末でした… かつての氏の作品(『壬生義士伝』、『地下鉄に乗って』、『きんぴか』、『天切り松闇語り』など)では多くの共感を得てきました。しかしながら、ここ十年くらいの氏の作品の落し方には今一つ消化しきれないもの…
序章の岩手の方言のやりとりでは『壬生義士伝』を思い出し、第一章の鬼熊と片岡と菊池の3人のキャラ設定では『きんぴか』を、そして、第二章の岸上等兵の語り口からは『天切り松闇語り』を思い出されます。 何れの作品とも大好きな私にとってたまらない設定です。 久子が弟の言おうとしたことが分かりながら不幸な母親のために泣くことはできなかったシーン、老婆を思いやった鬼熊が不意に気付いた世の中は嘘っぱちでもおふくろだけは本物だと悟ったシーンなど目頭が熱くなるシーンが随所に見られます。 兵士達が無事に帰還することを切に願います。 終わらざる夏 上 (集英社文庫) 作者: 浅田次郎 出版社/メーカー: 集英社 発売…
下巻に入る前、茜を殺害したのは両親では無いのではと睨んでいました。話のオチとして、最後に大どんでん返しによって真犯人が明らかになり、土井崎一家は報われ、新たな歩みが始まるという筋書きを想像していました。 しかし、全くの読み違いでした。考えてみれば、宮部さんがそんな単純な筋書きを用意するわけがありません。 茜を殺害した母親の回想シーンは、殺害も止む無しと納得せざるを得ないものでした。多くが報われない中、滋子と敏子が前を向いて歩み始めたのは救いであり、同時に等の魂も救われたものと確信しています。 楽園 下 (文春文庫) 作者: 宮部みゆき 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2010/02/1…
1年前『模倣犯』を読んだものの、あまりに救いようがない内容に途中で断念しました。そのとき以来の宮部作品です。 読み始めてみると、なにやら本書も救いようのない雰囲気が感じられ、もやもやを抱えながら読み進めていました。 しかし、滋子が萩谷等のことを調査していく中で、不意に等が異能者であったことを認めた瞬間(ルビコン河を渡って対岸に立った)に、これは『模倣犯』とは違う、決して救われないものではないと確信しました。 下巻に入るにあたり、怒涛の謎解き、真相解明、そして、滋子や等が報われる瞬間に対する期待が高まります。 楽園 上 (文春文庫) 作者: 宮部みゆき 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2…
本書は長年積読となっていましたが読み終えて一言、面白かった!なぜもっと早く読まなかったのだろうかと、いまさらながら後悔しています。 表題を目にしたとき、なんとなくほのぼのした物語なのだろうと先入観を持ってしまい、後回しにしてしまった次第です。 しかし、読み始めてみると、戦慄とスリリングさが盛り込まれたノンストップ作品であり、あっという間の読了でした。 主人公の倉田は実社会ではパッとしない男ですが、真人間であり、我が家に帰れば一家の大黒柱でもあります。 家族が一致団結し、ストーカーと対決する姿に胸が熱くなりました。 ようこそ、わが家へ (小学館文庫) 作者: 池井戸潤 出版社/メーカー: 小学館…
池井戸作品で読み残していた「かばん屋の相続」をやっと読みました。 氏の作品を読むのは、かれこれ3年振りですが、やっぱり良いと思いました。 「10年目のクリスマス」などにおける銀行の腐り具合。いかにも氏の特徴的な表現です。これだよこれ!と懐かしさが込み上げてきました。 また、登場人物に吹き込まれた氏の熱い思いがひしひしと伝わり、氏がどれだけ情熱家であるかということがよく分かります。いずれの短編とも力が込められ、感じられ、惹きこまれました。 続いて、もう一つ読み残している「ようこそ、わが家へ」に突入します! かばん屋の相続 (文春文庫) 作者: 池井戸潤 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2…
本書は2009年に出版されたもので、ホリエモンもまだ尖ってた頃だと思われ、ところどころ不躾感があったりします。 しかしながら、当時からホリエモンは合理的であって芯があり、生き様にブレがないことがよく分かります。 「お金は信用でありお金が無くても信用があれば生きている」という言葉は、ホリエモンが身を持って体験し、生まれた格言だ思われ、なるほど頷けるものがあります。 ホリエモンが凄いところは、余分なものなど一切を捨てることができることです。妙なプライドや見栄がなく、正面切って勝負しているところなどは好感が持てます。 新・資本論 僕はお金の正体がわかった (宝島社新書) 作者: 堀江貴文 出版社/メ…
本書は、友人からいただいたもので堂場さん初読でしたが、初読がシリーズ7作目だったため、過去の経緯が分からず、少し戸惑いながら読む形となりました。 総じて、驚くような展開だったり、迫りくるような圧倒感は感じられませんでしたが、描写が丁寧なため、混乱せずにしっかりついていける内容になっています。 そのため、かなりいい線まで推理できる作品に仕上がっていると感じました。 なお、6作目ま読んでいれば、主人公と参事官との信頼関係に寄り添って、もっと面白く読み進めることができたと思われ、旧作に対する興味が沸いています。 愚者の連鎖 アナザーフェイス 7 (文春文庫) 作者: 堂場瞬一 出版社/メーカー: 文…
本書で得心したのは第一講です。「適性と天職」は探すものではない。まず仕事をする。そのうちに自分にどんな適性や潜在能力があるのかが分かってくる。 そして、与えられた条件のもとで最高のパフォーマンスを発揮するように、自分自身の潜在能力を選択的に開花させる。 その能力が爆発的に開花するのは、切迫した他者からの懇請によって起こるものであると捉えました。 振り返って、自分自身の社会人人生で大きな力を発揮できたとき、確かにこの状況に近いプロセスが踏まれていたのを思い出した次第です。 著者の父性愛の話、いい話だと思いました。 街場のメディア論 (光文社新書) 作者: 内田樹 出版社/メーカー: 光文社 発売…
ホリエモンの言うことは、いつでも合理的であり、特別でなく、誰でもできるものです。そして、本書に書いてあることを実践すれば、必ず何かが変わると言っています。 要は、やるか。やらないか。それだけです。 バンジージャンプで例えるなら、ただ飛ぶだけであり、飛んでみたら誰でもできるというものです。この点を念頭において、読み進めてみると、ほぼ腑に落ちる事ばかりです。 そのために、一秒でも早く言い訳するのをやめ、自意識とプライドを捨て、一歩踏み出す勇気を実践することで、変わってくる結果を実感してみたいと思います。 本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方 (SB新書) 作者: 堀江貴文 出版社/メーカー: …
本書では、あれこれよからぬことが頭に浮かんでもかまわず書く、考えずに書く、全部そのまま書くことの重要性が説かれています。 とにかく、躊躇せず1頁1分で書きだすことがゼロ秒思考の肝となります。これを実践することで、瞬時に現状を認識し、課題を整理し、解決策を考え、どう動くべきかの意志決定ができるというものです。 とはいえ、1日10頁10分を3ヶ月続けるのはやっぱり厳しい!と考えてしまいます…。既に考えてしまっている、躊躇してしまっている自分がいます…。頭をシンプルに、深く考えず、まずは実践あるのみです! ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング 作者: 赤羽雄二 出版社/メーカー: ダ…
(146)自分のことだけ考える。: 無駄なものにふりまわされないメンタル術 (ポプラ新書)
ホリエモンが言う"自分のことだけ考える"とは、他人に期待などしない、他人の人生を生きない、自分のやりたいことに集中するなどを意としているものです。 では、私はどうなのかと考えると、他人の目を大いに気にし、こんな風に思われたいなどと考えていることを自覚せざるを得ません。ときには無駄な労力を使って、演じていた自分がいたことを感じずにいられません。 自分のやるべきことに集中するためにも、一喜一憂しない、感情で判断しない、嫉妬しない、やるべきことに没頭するなどと合わせ、実りのある社会人人生に変えていきたいものです。 (146)自分のことだけ考える。: 無駄なものにふりまわされないメンタル術 (ポプラ新…
犯人が明らかになった後で、事件の顛末を犀川助教授が語る手法は『冷たい密室と博士たち』と同様でした。 ただし、前作ほどの緊迫感だったり、著者特有の仕掛けの深さや読者への投げ掛けの強さなどは、今回それほど感じることはできませんでした。 しかし、その一方で犀川と萌絵というキャラクターに対する興味深さや魅力はこれまで以上に湧き、2人の関係性が今後どうなっていくのだろうかという楽しみが出てきました。 本シリーズは10作品あり、その面白さ、奥深さは、この程度ではないはずです。大いなる期待を持って次作に突入したいと思います! 詩的私的ジャック (講談社ノベルス) 作者: 森博嗣 出版社/メーカー: 講談社 …
緻密で精緻な森さんの作品は、登場人物の一挙手一投足まで意識を集中して読んでいかなければ、犯人を特定するのは困難であると感じました。 クライマックスのシーンを経て、遂に犯人が明きらかになっても、、、まだ、要領を得ない自分がいました…。 最後まで明かされない動機によって、こうした現象が生じるのかなという思いもあります。しかし、残り50頁を切ってからの事件の顛末を一気怒涛に明かす犀川助教授による説明は圧巻です。 本作を踏まえ、次作の『詩的私的ジャック』をどう読んでいくべきかという楽しみへと繋がっています。 冷たい密室と博士たち (講談社文庫) 作者: 森博嗣 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1…
ホリエモンは極めて合理的な人だと感じました。保険をかけず、色んな物をばっさり捨てる勇気があるからこそ、合理主義に徹せるのだと思います。 プライドを捨てれない私は、バカにもなれず、物は捨てれない、着ない服も取っておくタイプであり、総じて、判断力や決断力、見極めの鈍さに繋がっています。 自らに保険を掛け、仕事は楽しめるものではなく、生活のためとなっています。現代はネット社会であり、幸いにも情報の収集と発信する土壌が整っています。 ホリエモンが言う通り、勇気を持って動けば、楽しめる人生に変えることはできると考えます。 99%の会社はいらない (ベスト新書) 作者: 堀江貴文 出版社/メーカー: ベス…
森博嗣作品初読です。読了後まず思ったのは、本書はこれまでに読んだことのない作風であったという点です。 全体的に無機質な印象があり、登場人物に対する感情移入はそれほどありません。しかしながら、先の読めない展開、漫然とした状況が逆に惹きつけられ、伏線を意識しながら興味を持って読み進めていくことができます。 Fの正体とは?7の孤独とは?ここに工学博士ならではの仕掛け、投げ掛けが感じられ、独特だと感じる部分です。本書はシリーズものということであり(先は長い!?)、次作の『冷たい密室と博士たち』に突入したいと思います! すべてがFになる (講談社文庫) 作者: 森博嗣 出版社/メーカー: 講談社 発売日…
頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法
良書と言われる対人関係書の多くは他人に関心を持ち、愛を向けることなどの重要性が説かれています。しかし、これを実践するには困難を極めます。 その点、本書は気軽に取り組める良さがあります。アホの特徴を明確化し、アホに囚われる愚かさを説き、気軽にアホ、アホ言ってくれる面白さから小子気味よく受け入れられます。 実際に取り入れてみると、アホがまたアホなことを言っているなと余裕を持って捉えることが出来てきます。ナイーブで純粋な人ほどアホと戦ってしまいがちですが、アホをいい気にさせて、好結果を生み出すのもありだと思います。 頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方…
落込みへのプロセスにおいて、強引さを感じる部分はあります。にも関わらず、満足感の方が上回ります。 なぜかと言えば、本書には、思わず唸るような巧緻性があったり、クライマックスが来たと思ったら、その後に真のクライマックスが用意されている等、読者を驚かせようとする著者の気概が感じられるからです。 凰介が言った「誰かに心から恨みを向けたら、それは何かのかたちできっと自分に返ってくる。だから誰も心から恨んだりしない。」は今の私に突き刺さります。推理小説でありながら、自分を見直すきっかけをも与えてくれる良作でもあります。 シャドウ (創元推理文庫) 作者: 道尾秀介 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日…
今まさに不機嫌の中心世代(45歳以上)に差し掛かろうとしています。私自身、全員に対して不機嫌ではないのです。たった1人。いや、少し広げて2・3人といったところです。 この不機嫌を脱しきれない要因は「ふっきれない」ところにあります。頭から離れず、引きずってしまうのです。ふっきるための推進力として断言力などが挙げられています。 これはこうなんだと受け入れ、断言して終息することの重要性を説いています。まさにそうだと思います。にも関わらず上機嫌、あえて上機嫌と考え、技化していくというところに共感できる部分があります 上機嫌の作法 (角川oneテーマ21) 作者: 齋藤孝 出版社/メーカー: 角川書店 …
カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)
本書の見せ場とクライマックスは、ヤミ金組織から大金を痛快に巻き上げる点にあるものとばかり思っていたところ、全くの見当違いでした。 残り数十頁に入ってから、テツさんが一世一代を掛けたアルバトロス作戦の真相が開示されていく様は本当に圧巻であり、えっ?えーっ!!といった感じでした。 "詐欺"と"マジック"の違いを認識した瞬間、してやられた感を覚える一方で、見事なまでに騙されたことに対する心地よさを覚えます。 まさに、著者が仕掛けた"理想的なマジック"であり、著者の力量を感じる作品です。 カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫) 作者: 道尾秀介 出版社/メーカー:…
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