有閑マダムと本の日々

死神の棋譜

著者 奥泉 光出版社 新潮社  将棋名人戦の夜、関係者が集まる将棋会館に一つの詰将棋が持ちこまれる。隣接する将棋堂に刺さった弓矢に結ばれていたというその詰将棋は、かつて存在した棋道会、別名魔道会からの宣戦布告であった。棋士の道を諦め、将棋ライター

2021/01/27 11:21

囚われの山

著者 伊東 潤出版社 中央公論新社  何年も前に読んだものなのに、今でも八甲田山というとすぐ『死の彷徨』を思い浮かべるくらい、新田次郎の本は強く印象に残っている。日露戦争を想定した演習行軍のはずが世界最大の山岳遭難事故という結末を迎えた歴史的事件

2021/01/20 11:55

またね家族

著者 松居 大悟出版社 講談社  両親の離婚以来ほとんど接することのなかった父が癌で余命三ヶ月という。限られた時間のなかで、父と息子は手探りで親子関係を再構築し始める。24歳の青年が恋や仕事に悩みながら自分なりの家族の形を模索する本書は、劇作家で映

2021/01/13 19:08

首里の馬

著者 高山 羽根子出版社 新潮社  子どものころから他人と交わるのが苦手だった未名子は、オペレーターの仕事をするかたわら人のほとんど来ない沖縄の郷土資料館の手伝いをしている。未名子が携わるオペレーターの仕事の内容はかなり変わっている。担当するのは

2021/01/06 12:29