7月最初の週末。俺は牧野の狭い部屋に入り浸っている。俺にとっては牧野と一緒にいるのが最大の目的。だから特に何もしなくてもいい。あれこれと喋ったり、何かを美味そうに食べたりしてる牧野を見てるだけで俺は楽しいけど、牧野は休みの日にやる事が色々あるらしく、のんびり俺の隣に座っていてくれたりしない。今はベランダで干していた布団を「よいしょっと!」なんて言いながら抱えて、部屋の中に戻ってきた。一言手伝ってっ...
花より男子の二次小説 総×つくメイン ちょい暗総二郎とエロ門さんがいます あき×つく・類×つくもあり
花男にはまって幾星霜… いつまで経っても、自分の中の花男Loveが治まりません。 コミックは類派! 二次は総二郎派!(笑) 総×つくメインですが、総×つくメインですが、類×つく、あき×つくも、ちょっとずつUPしています!
本当に申し訳ない事ですが、3年も放置していたこのお話を終わらせる時が来ました!読み手様も、あきらも、つくしも、ごめんねー!お手数ではございますが、前編、中編から読み直して頂けたらと思いますm(_ _)m☆゚・:。♡。:・゚☆゚・:。♡。:・゚☆゚・:。♡。:・゚☆゚・:。♡。:・゚ずっと口を塞がれてるから息が出来なくて、頭がどんどんぼうっとしてきた。心臓がドンドンドンドン太鼓のように大きな音を立てているのが聞こえる。もうダメ・・・、あたし、倒れ...
服を着たまま飛び込んだせいで、水を吸ったスーツは途端に重たくなり、体に纏わりついた。まるで水底に引き摺り込もうとする鋼の鎖に絡め取られたかのようだ。そのせいでとても動きにくく、更に夜のプールの中の視界は暗くぼやけていたが、目指すものはプールの底近くに沈んでいるのが分かった。必死にそこに向かって腕で水を掻き、脚で蹴る。何とか牧野の元に辿り着いて、俺は必死に手を伸ばした。細い腕を掴んで自分の方に引き寄...
美作の創立記念パーティーは、都内のホテルで大々的に開催された。道明寺系列のホテルが使われなかったのは、美作と古くから付き合いがある所を選んだからなんだろうけれど、道明寺ではなかった事に心のどこかで安堵しているのは、俺が司に纏わる所に近寄りたくないと思っているからなんだろう。煌びやかに飾られたメインのバンケットルーム、そこから続く中庭が見渡せる広々としたテラススペース、そしてその下に広がるガーデンプ...
2月14日。外は北風が吹き荒ぶ、とびきり寒い日だけれど、牧野の部屋の中はポカポカしてる。というか、2人でくっ付いてるから暖かいのか?そう、今日はSt. Valentine's Day。恋人達の愛の確認をする日!俺はただただ牧野と一緒に過ごせればいい。それじゃいつもと変わらないって言われるかもしれないけれど、そこはバレンタインデーにかこつけて、いつもの倍イチャイチャしてやる!そもそもバレンタインなんてモノは俺にとっては、...
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7月最初の週末。俺は牧野の狭い部屋に入り浸っている。俺にとっては牧野と一緒にいるのが最大の目的。だから特に何もしなくてもいい。あれこれと喋ったり、何かを美味そうに食べたりしてる牧野を見てるだけで俺は楽しいけど、牧野は休みの日にやる事が色々あるらしく、のんびり俺の隣に座っていてくれたりしない。今はベランダで干していた布団を「よいしょっと!」なんて言いながら抱えて、部屋の中に戻ってきた。一言手伝ってっ...
牧野はレポートを書くためのタブレット端末をテーブルに載せてはいるけれど、ちっともキーボードを打つ音が聞こえてこない。さっき総二郎から言われた事について考えているのだろう。俺は『総二郎の話なんか忘れていい』と言ったが、牧野は聞かなかった事には出来ない質だ。総二郎の説く『男女交際の心得』なんて、聞かずとも簡単に想像がつくけれど、牧野にとってはまだ受け入れ難い話だったろう。牧野の方にこっそりと視線を流す...
猛烈に頭が痛くて目が覚めた。ガンガンと頭の内側から何かで叩かれているかのような激しい痛み。薬・・・薬を飲まなくちゃ・・・痛みで朦朧としながら何とか体を起こすと、そこは知らない場所だった。薄明かりの中視線を彷徨わせると、隣のベッドには桜子さんが休んでいるのが見え、ホテルの部屋に居たことを思い出す。桜子さんを起こさないように、なるべく音を立てないように、そろりそろりとベッドを降り、リビングへと入った。...
西門さんの怪しい笑い顔に警戒しつつも、何の話か気になって、先を促してしまう。「何?」「あきらはここ1年くらい・・・、いやもっとか?俺と夜の街に繰り出してない。どんなに誘っても、酒を飲みにすら行ってない。この意味、分かるか?」「・・・何となく。」そう言ったら西門さんは呆れた・・・とでも言うようにひとつ態とらしい溜息をついた。「ったく。つくしちゃんはきっとちっとも分かってないわ。お前の前では紳士ヅラし...
西門さんはいつものようにソファーに脚を組みながらゆったりと座り、何かを企んでいるかのような含み笑いでこちらを見ている。「よっ、つくしちゃん。」「久しぶりだね、西門さん。全然見掛けないから、もう学校来ないのかと思っちゃったよ。」そう言ったら、ぴくりと眉を吊り上げた。「ひでぇなぁ。俺、春は仕事が忙しいんだよ。やーっとそのピークを乗り越えて、ゼミの教授のところに顔出して来たんだ。今迄出られなかった分、機...
『粉雪舞い降りる君の肩先』の続編です。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・<つくし20歳 あきら21歳の陽春>春が来た。と言うか、気が付いたら春になっていた。色んな事があって、気持ちが落ち着かない、やたらと目紛しい春休みを過ごし、更に急な引っ越しまでして。気が付いたら桜が咲いていた。引っ越しは美作さんから提案された事だった。あたしの事を本当に心配してくれているのは分かっている。美作さんからし...
『close your eyes』と『I wanna be someone else』の後日譚です。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・想いが通じ合って、恋人と呼べる存在になった牧野は、かつてのように明るく眩しく笑ってくれるのではないかと思っていた。それを見られたら、そしてその笑顔を俺に向けてくれたら・・・と願っていた。だけど、あの笑顔はどこかに消えたまま。いつもどこか憂いを抱えている瞳と、淡い微笑みがそこにはあった。夜中に...
半年なんかじゃなかった!1年8ヶ月放置されてた、このあきら!・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・買い物から戻り、リビングの奥にあるアイランドキッチンのあちこちを開けたり覗き込んだりしてから、牧野は料理を始めた。俺はそれをダイニングの椅子から見守っている。「シンクもワークトップも広くて使いやすいね、このキッチン。でもこの作り付けの食器棚は、大きくって中身ガラガラ。どこもかしこもだけど、この食...
半年以上放置されてたあきらが帰って来ました…頑張れ、あきら笑・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・結局俺の我儘に押し切られ、牧野はマンションへの引っ越しを了承してくれた。牧野はマンションの中の一部屋が俺の持ち物だと思っているようだけれど、本当は一棟全て俺名義の物件だ。俺名義と言っても、節税対策で祖父の持ち物だったマンションを購入した形にして、その各部屋を賃貸物件として貸し出す・・・という、...
ちょっと思い付いたのでオマケを笑・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・産休が明けて復職してから、偶にこっそりと1人時間を持つ事にしてる。息子のお迎えは主に私の役目だけれど、ダンナが定時退勤出来る日は、保育園に寄って家に連れ帰ってくれる。そんな時、私はダンナに内緒でちょっとだけ寄り道をする。ほんの20~30分のフリータイム。帰りにスーパーに寄って、食材が入ったエコバッグを下げて帰れば怪しまれる事...
「ほら行くぞ。車、あっち。」森田さんがいなくなったことで若宗匠モードは終わったらしい。また不機嫌そうに顎先で方向を示された。もうついて行くしかないから、すごすごと後に続く。こういう口数少ない時ってちゃんと受け答えしてくれないから話しづらい。でも聞くしかない。「ね、ねえ? 今から旅行って本気?」「ああ。」「あたし、何の支度もない。」「要るものは全部買ってやるよ。」「いやいやいやいや・・・」「ホテルで...
Blog開設11周年記念の最後を飾るのは、拙宅の主人公・総サマです。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・あー、あたし、今週も仕事頑張った!エライ!誰も褒めてくれないから、自分で自分を褒めていく!ご褒美・・・じゃないけど、土日のどこかでちょっとだけでも会えたらいいのに。でも忙しいって言ってたなぁ。じゃあメッセージだけでも送ってみる?いや、でも、忙しい時に返信しなきゃって思わせるのも悪いよねぇ。う...
Blog開設11周年記念の第2弾は、この頃ほったらかされてるあきらきゅんです。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・美作さんがコーヒーを、あたしがミルクティーを飲んだマグカップをシンクで洗っていた時、美作さんがさり気なさを装いながら、少し緊張した響きの声でこう言った。「ああ、そう言えば明日、司に会うと思う。」別に緊張しなくてもいいのに。もっと言うなら、それをあたしに言わずに隠しておいたっていいの...
本日、拙Blogは開設11周年を迎えました。その記念に…と登場してくれるのは、誕生日SSをぶっちぎられたルイルイです。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・俺の手の中に、小さくて、銀色で、ひんやりとしたものがある。ぎゅっと握っていると、徐々に温まっていく。牧野が俺にくれた、大切なもの。春の雨って案外冷たいと知った。桜が咲いて散るくらいに季節は進み、汗ばむ陽気の日もあったのに。今日は土砂降りの雨だし...
桜子が何か言い出す前に、口火を切る事にした。あわよくば、あの探るような視線を逸らせるだろうか?「あいつ、眠ったのか?」「ええ、まだきっとお辛いのでしょう。お疲れでもあるでしょうし。目を閉じられて程なくして寝息が聞こえてきました。」「桜子も今夜ここに泊まれるか?」「先輩が心配なのでそうさせて頂きます。あと、先輩がお嫌でないのなら、明日病院に行かれるのにも付き添いたいのですけれど。」「それは助かる。俺...
リビングスペースに置かれたL字型のソファの長い方に牧野がクッションに凭れつつ横になっているのが見える。ブランケットを掛けられ眠っているようだが、顔色が良くない。血の気を失っていて、妙に青白いのがざわざわとした不安を呼ぶ。桜子がソファの手前で小声で話し始めた。「この部屋まで来て、お風呂に入られたら、少し落ち着かれたように見えたんです。お紅茶を飲みながらお話し始める時までは、特にお辛そうでもなかったの...
バスルームの床に脱ぎ捨てた服のどこかから、携帯電話に着信している振動音がする。その音に導かれて、俺は湯が冷めかけたバスタブから出て、濡れたジャケットを拾い上げ、その内ポケットを探った。桜子からだ。通話が始まった途端に、桜子が一気に喋り始めた。「西門さんっ!先輩がお倒れになって・・・。私、どうすればよろしいですか?先輩は薬を飲んで休めばいいと仰っていたんですけれど・・・」「桜子、落ち着け。」「でも・...
桜子さんの問いかけに、私はこくりと頷いた。「知らない方々でしたけど・・・。お相手は私を知っているようでした。」「何人いましたか? 男性でした? 女性でした?私が先輩のいらしたテーブルへ戻った時には、辺りにはそんな様子の人はいませんでした。」「女性の方3人で、私に恨みがあるかのような事を言っていて・・・。その中の1人が私の肩を押したんです。プールに落とそうとは思っていなかったのかもしれません。ただ突然だ...
水底に落ちていくのとは逆の強い力が私を無理矢理上へ上へと引っ張り上げようとしている。それが何なのか?と考える間もなく、体が一気に起こされ、顔が水から出てプールの底に足が着いた。思わず酸素を取り込もうとして、更に水も吸ってしまったようで、ゲホゲホと激しく咳き込むのを止められない。やっと空気が体の中に入って来た・・・と感じ安堵した時、自分が誰かの腕の輪の中にいる事にやっと気付いた。目の前にはぐしょ濡れ...
美作さんの会社主催のパーティーだなんて、そんな場に招待されても、行きたいとはちっとも思えなかった。私みたいな者が行くのには相応しくない晴れやかな場だろうし、何より知らない所に行かねばならないのはとても怖かった。私はここにいるのが一番落ち着くのだ。余計な事を見聞きしない、いつもと同じ景色が目の前に広がる『寂の空間』に包まれて生きているのがほっとできる。たとえその中で誰からも顧みられないとしても。ぐる...
艶々として張りのある真っ直ぐな髪の毛。日頃触れる事の多い双子達の細くてふわふわとした猫っ毛とは全く違う手触りだ。丸みを帯びた後頭部をそうっと撫で下ろす。何度も何度も同じリズムで。するすると滑っていく指先で、最後に少しだけ髪を梳いて、また上から下へと撫でていると、牧野からはあっさりとすうすうという寝息が聞こえて来た。よっぽど根を詰めて勉強して疲れてたんだろう。絵夢や芽夢を寝かし付ける時、繰り返し同じ...
近畿地方を直撃しそうだという台風並みの猛威を振るう春の嵐の影響で、ここ東京でも断続的に雨が降っている一日だった。車に乗り込んだ時は殆ど止んでいたのに、邸に向かって夕方の混み始めた道を進んでいると、急に土砂降りになった。車のボンネットを叩く雨音が俄かに激しくなり、運転手は低速で動かしていたワイパーを高速へと切り替えて、何とか視界を確保しようとしている。「大野さん、雨が小降りになるまで無理に走らなくて...
あたしが変わらなければいいだけなんだ・・・と、ずっと自分に言い聞かせてた。あいつに忘れられて。それでもあたしは忘れられなくて。いつか、何かの拍子に記憶が戻ったら、あいつはあたしのところに帰って来てくれる筈。だって言ってたもん。NYには帰らないって。家を出るって。正気に戻ったら、絶対に有言実行しちゃうよ。あいつはそういうヤツだもん。だから、あたしはその時まで変わらなければいい。いつも通りに暮らして。自...