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  • 埋草日記◎北海道新聞の夕刊が休刊でビックリ

    ここ旭川で、「新聞」といえば「北海道新聞」を指す。 「昨日の新聞の一面でも記事になってましたもんね」と、いえば、その一般名詞「新聞」は「北海道新聞」のことであり、そのほかの新聞を指す場合は、例えば「読売新聞」であるとか「東京スポーツ」であるとか、固有名詞で説明しないといけない。 それくらい「北海道新聞」は圧倒的な支持を得ているのだが、9月1日の朝刊に9月末で「夕刊を休刊とする」との告知が載っていて吃驚した。 しかし、冷静に考えれば、そんなことは当たり前の流れであって、驚くに値しない。 ちなみに私は朝刊のみしか取っていないので、まったく影響がない。なぜ朝刊のみかといえば、料金を安く済ませようとい…

  • この自虐を笑えるか!「喜劇 愛妻物語」

    驚いた。 タイトルとキャストから、ほのぼのしたホームドラマだと思って見たのだった。若干、違うかもしれないとの予感もあったのだけど、ほぼ何も知らずに、「感」で借りたDVD「喜劇 愛妻物語」。 売れない脚本家と、それを支えるパート従業員の妻、5歳の娘。モノになりそうな映画化シナリオ執筆のため、香川へ取材旅行に行くこととなった主人公(濱田岳)だが、車の免許が無いために妻(免許所有者・水川あさみ)と子供を連れ、家族旅行を兼ねるというのが、大まかなプロット。とにかく全編にわたり、水川あさみがダメな夫である濱田岳を罵倒し続け、見ている方も、あまりにダメな濱田岳の体たらくに、それも仕方ないかもしれないなあ、…

  • もっと荒唐無稽だったら傑作?「リボルバー・リリー」

    私は、ある時期から、綾瀬はるか主演のテレビドラマは、ほぼ無条件で観るように心がけている。なぜなら、綾瀬はるかが好きだからだ。しかし、主演「映画」となると、けっこう見逃している。私にはなぜか、綾瀬はるか主演映画って、あまり面白そうに感じないのだ。これは私の独断に過ぎないはずだが、綾瀬はるかは、いわゆる「作品に恵まれていない」のではないか。 しかし、映画館で「リボルバー・リリー」の予告を初めて見た際、「おお、これは」と興奮。この映画、おれのために作られたのではないか。そんなわけで、イオンシネマへ観に行ったのだけど、逆に不安要素も感じていた。日本のトップ女優とはいえ、わざわざお金を払って「綾瀬はるか…

  • 天才黒人ピアニストとイタリア系あんちゃん、南部への旅「グリーンブック」

    物語は1962年のニューヨークから始まる。 主人公トニーを演じるのは「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「イースタン・プロミス」のヴィゴ・モーテンセン。トニーは、腕っぷしの強くって、ちょっと強面って感じで、ぴったりなキャスティング。教養が無くガサツで短絡的だけど、友達がいっぱいいて、奥さんと家族を愛する下町の気の良い兄ちゃんがそのまま大人となった感じ。 一方のドクは黒人のくせにアレサ・フランクリンを知らず、フライドチキンも食べたことがないという変人の天才ピアニスト。 失業中のトニーがドクに雇われ、運転手兼ボディガードとして、差別の残る南部へ演奏旅行に出掛ける、というのが主なお話で、いわゆるバディ…

  • 初期スカーレット・ヨハンソンを見よう!「真珠の耳飾りの少女」

    一幅の絵のようだ、って表現があるけれど、そんな感じがずっと続く映画であった。 ま、単に、「ゴーストワールド」を見て、そのころの「初期」スカーレット・ヨハンソンの映画を観てみようと思ってDVDを借りたのが「真珠の耳飾りの少女」だったわけで。そんなだから、はなから物語になど、たいして期待していなかったのだけど、まさにそういう映画だった。 17世紀のオランダ、貧乏家庭の少女グリートは奉公へ出ることとなり、そこは画家フェルメール家であった。使用人としてさまざまな家の仕事をこなすグリートには色彩に関する才能があり、フェルメールは少女を助手のように扱い始める。そこで繰り広げられる、意地悪、いじめ、嫉妬、愛…

  • 筒井康隆断筆解除作「邪眼鳥」は難解

    邪眼鳥 筒井康隆 新潮社 1997年4月25日初版発行 1300円+税 筒井康隆氏の断筆解除後に出た短編集「エンガッツィオ司令塔」を先日再読した影響で、断筆解除作「邪眼鳥」が気になり、こちらも再読することにした。 「邪眼鳥」の出版は、世間的にも、私にとっても、ちょっとした事件だった。ようやく筒井氏の断筆が解除され、表紙にもでかでかと「復活第一作!!」と謳われ、3年半ぶりに新作が読めるということで、前のめりで読んだ記憶がある。もう25年も前のことなのだなあ。 「顔のある者がいない。」というかなり印象的な書き出し。そこでは、富豪・入谷精一の通夜が営まれ、残された若き美貌の未亡人に注目が集まっていた…

  • 周囲なんかと馴染まず毒づけ!「ゴーストワールド」

    10年くらい前に一度見ている「ゴーストワールド」だが、久しぶりに見てみようと思い、TSUTAYA豊岡で借りてきた。むむっ、こんなに面白かったっけ。見ているあいだ、ずっと心がザワザワする。素晴らしい。傑作だ。アメリカのコミックを原作とした2001年のアメリカ映画。 高校を卒業したけど進学もせず就職もせず、街で悪ふざけをする女の子二人組が主人公。ゾーラ・バーチとスカーレット・ヨハンソンが演じている。 この二人は、たちが悪い。 周囲と馴染めず、まわりがみんな馬鹿に見えるという思春期にありがちな自意識過剰状態で、身近なダサイものとかダメなものを徹底的に笑おうという性格の悪さ。すでにすっかり笑われる側の…

  • 岡田准一の凄腕殺し屋コメディ「ザ・ファブル」

    かっこいい俳優として岡田准一を認識したのは、たぶんクドカンのテレビドラマだ。映画版の「SP」を見た際にアクション俳優として記憶に刻んだのだと思う。2022年の映画「ヘルドッグス」でも迫力の殺しっぷりで、たいへんよかった。 そんなわけで、コメディ「ザ・ファブル」は、気軽に見られ、かつ岡田准一のアクションも凄そうだから、ヘヴィーなものは見たくない今夜観るのによいのでは、とDVDを借りた。 伝説の殺し屋「ファブル」が、ボスから一年間誰も殺さず普通の一般人として生きよと命じられ、大阪で生活する様子を描くお話だ。 岡田准一はコメディ演技もうまいし、共演の方々も皆よい。 狂犬的なチンピラを柳楽優弥が楽しそ…

  • 伝説のその後をいかに描くか「ゴーストバスターズ/アフターライフ」

    オリジナルの「ゴーストバスターズ」(1984年)は特大の大ヒットだった。なぜあれほどビル・マーレイに人気があったのだろうか。不思議だ。レイ・パーカーJr.の主題歌も大ヒットで、有名人がいっぱい出るミュージックビデオもよく目にした。シガニー・ウィーバーのセクシー演技も大評判。私は若く、日本の景気も良く、明るい80年代を象徴する映画といってよいと思う。時は流れてあれからもう40年近く経ったのである。感無量。私は老い、日本の景気は悪い。 続編「ゴーストバスターズ2」は1989年公開で、今回DVDで見た「ゴーストバスターズ/アフターライフ」はその「2」の続編にあたるというわけか。 人気シリーズであるか…

  • 筒井康隆断筆解除短篇集「エンガッツィオ司令塔」の強烈

    エンガッツィオ司令塔 筒井康隆 文春文庫 2003年4月10日初版発行 524円+税 単行本2000年発行 筒井康隆が断筆したのは1993年9月で、断筆解除は1996年末。作品の発表は翌1997年の「邪眼鳥」で、この単行本の発行は1997年4月。短篇集は、新潮社の雑誌に書いたものをまとめた「魚籃観音記」と、文藝春秋社の雑誌掲載作をまとめた「エンガッツィオ司令塔」が、それぞれ2000年に出ている。どちらも出てわりとすぐに読んだと思うが、もうすっかり内容は忘れていて、なかでも北朝鮮の首領様(当時であるから金正日)をモデルとした「首長ティンブクの尊厳」という作品が、すでに題材からヤバくて、そもそもこ…

  • インディ・ジョーンズ・パロディとしての「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」

    映画を観て、単純に「ああ面白かった」と幸福を感じた記憶No.1は1984年の「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」だ。確か新宿かどこかの比較的大きな満員の映画館で観た。娯楽映画であるから劇場は適度にざわついており、観客は大いに笑い且つ驚いていた。一作目「レイダース」と同様パラマウントのマークからおどろおどろしく始まる見せかけてのミュージカルオープニングに心を掴まれた。あとはもう解毒剤の争奪戦からトロッコまで「楽しい」の連続だ。満員なので私の両隣にも客が座っていて、それは左右どちらも男女カップルで、中盤、突如悪者が姿を現すショックシーンでは軽い悲鳴とともに私の両隣の女性が左右それぞれの連れの方へ凭…

  • どのように見たらよいのか良くはわからぬ「プロミシング・ヤング・ウーマン」にシビれる

    キャリー・マリガンは好きな女優だ。だから、見逃していた「プロミシング・ヤング・ウーマン」をDVDで見た。わざと酔ったふりをして、お持ち帰りされ、いよいよというところで鉄槌を下すという、危ない(?)女性をキャリー・マリガンが演じている。 ちょっと前の時代のアングラアート映画を思わせる画面作りが随所にみられるのが面白い。特にタイトルの出るところ。チープな手書き文字でタイトルが出て、裸足で歩くヒロインが変な迫力。あるいは中盤で、ヒロインがブチ切れて、暴言を放った男の車をボコるシーンでの、回転するカメラと通過する貨物列車のショットにシビれた。 若い女性監督の長編一作目というこの映画、扱っているテーマは…

  • 埋草日記◎労働力調査ふたたび

    先月、総務省の「労働力調査」というのに答えてくれと、町内の知らない方から依頼を受け、ネットで回答した。この「埋草日記」にも以前その経緯を書いたが、なんと、また来た。 前回のは5月分で、今度は6月分を報告せよとの要請である。え、また? と驚いた。 私の労働力に関する情報が、この国にはそれほど必要なのだろうか。疑問だ。なんの役に立つのか? 一回目の回答後で二度目の依頼の際、お礼として、ふわふわしたガーゼのハンカチを頂けたのは、実のところ正直とても嬉しかった。そんなわけで、二度目の回答をした直後、郵便受けの中に「総務省統計局」のネームの入った封筒を発見し、これは返礼の品だ! と震える手で封筒をバリバ…

  • 埋草日記◎山下達郎のラジオでの発言を聴いたり、竹内まりやのベスト盤を聴いたり

    山下達郎が、松尾氏という方に巻き込まれる形で、ジャニーさん性加害騒動に言及せざるを得なくなり、事務所の発表によると「大切なご報告」がラジオ番組「サンデーソングブック」で行われるとの告知。たまにラジオを聴く程度の熱心ではないリスナーの私だが、これは聞いておかねばと、リアルタイムでは聞き逃したのでradikoで聴いた。「大切なご報告」などと煽るから、山下達郎が極端な意見を言うのかも、と思わされたが(ジャニー許せん事務所は閉めるとか、もう引退するとか)、聞いてみると、ほとんど内容は無かった。まあ、そうだよね、と思う。山下達郎ほどのセレブが、いまさらなんで火中の栗を拾うような発言をするものか。ジャニー…

  • 落語初心者が見た「幕末太陽傳」という映画

    最近になって落語を聞き始めた落語初心者の私が、懸案としていた映画をようやく見た。日本映画史上に燦然と輝く傑作と謳われる「幕末太陽傳」である。ベースとなっている落語は「居残り佐平次」とのことで、佐平次をフランキー堺が演じている、くらいの知識でDVDを借りた。「日活創立100周年記念」と銘打たれたデジタル修復版。 開幕、いきなり品川宿を馬が駆け抜け、銃撃戦が行われる。派手なオープニングに驚いていると、唐突に電車が通りぬけて、さらに吃驚する。現在の(といっても公開当時の1957年なので、今からすると、それ自体が歴史的風景なのが興味深い)品川の風景がタイトルバック。ナレーションで品川を説明し、軽快なテ…

  • 埋草日記◎ありがとう、セイコーマート

    北海道民から愛されているコンビニチェーンのセイコーマート。私も大好きで、ときどき手作りの大きめおにぎりや総菜パンを買ったり、お昼にかつ丼を食べたり、ソフトクリームで涼んだりしている。どれもうまい。 買い物をするたびに「カードをお持ちですか」と聞かれるので、別にポイントなどどうでもよいのだが、カードを作った。セブンイレブンで「ナナコ」、ローソンで「ポンタ」など、財布の中はカードだらけだ。 さて、先日、セイコーマートで買い物をした際に、カードを出そうと思ったら、財布の中に無い。買い物後、落ち着いて財布の中を総点検したが、はやり無く、どこかで紛失したようだ。 思い起こせば、その数日前、旭川市内某店で…

  • とにかく成田凌と清原果耶の会話が心地よい「まともじゃないのは君も一緒」

    人とのコミュニケーションが苦手で、おそらく子供のころから「変」と言われ続けてきたために「普通」という概念がよくわからなくなってしまった数学オタクの塾講師、というのを成田凌が演じている。もう一人の主役は、何でもそつなくこなし、恋愛上級者のように装っているものの、実は恋愛未経験の女子高生を演じる清原果耶。 成田凌と清原果耶の会話は、冒頭から嚙み合っていないようで噛み合っているというか、なんというか、その掛け合いが心地よく、ずっと聞いていられる。お二人とも、とても上手い。この映画、お話自体はどうということもなく、会話をひたすら楽しむための映画だと思う。 スナックのシーンで清原果耶が自分の気持ちを吐露…

  • 伊藤沙莉「タイトル、拒絶」でデリヘル事務所の内部を覗き見る

    女優・伊藤沙莉がちょっと気になる、という理由から、DVDで「タイトル、拒絶」を観た。この映画の紹介記事で、黒ブラジャー姿の伊藤沙莉スチル画像を見た気もするが、映画が始まった途端いきなり現れる黒ブラジャー姿の伊藤沙莉に改めて度肝を抜かれる。以上の短いテキストの中に「伊藤沙莉」という名詞が3回、さらには「黒ブラジャー姿の」が2回使用されている。悪文というほかない。 さて「タイトル、拒絶」は、とあるデリヘル事務所を主な舞台とした映画なのだが、もともとは監督である山田佳奈の脚本による舞台劇であったらしい。 セックスをモチーフとした会話劇、という内容から、過去に見た三浦大輔脚本の「愛の渦」「恋の渦」に似…

  • 埋草日記◎NHK朝ドラの広末涼子と、ベッキーが暴れる「初恋」

    現在放映中のNHKの朝ドラ「らんまん」最新話に広末涼子が出演した。 不倫報道が過熱しているなか、出演場面をカットせず放映したNHKの判断にホッとする。広末は主人公(神木隆之介)の母親役で、病弱なため早い段階で亡くなり退場。その後、不倫報道で話題が沸騰した広末だが、もう出演シーンはないだろうから、NHKさん安心だろうな、なんて意地悪に思っていた。 本日の出番は中盤の見せ場というべき主人公の婚礼シーン。宴の最中、祖母・松坂慶子が幻想で広末の微笑む姿を見つめる、という3秒くらいのショットだ。カットしようと思えばできたはず。しかし、さらにその後、松坂慶子が昔を回想するシーンにも広末の姿があった。1分く…

  • シャーリーズ・セロン変身(変形?)「タリーと私の秘密の時間」

    レンタルDVDで「タリーと私の秘密の時間」を観た。 「マイレージ、マイライフ」を観て以来、ジェイソン・ライトマン監督のファンとなった私は、さらに「ヤング≒アダルト」を観て、シャーリーズ・セロンのファンにもなった。 雑誌「映画秘宝」を買っていたような人は、たいてい「マッドマックス 怒りのデスロード」が好きで、したがってシャーリーズ・セロンには痺れているわけだが、それにしても本作「タリーと私の秘密の時間」のシャーリーズ・セロンは格別だったなあ。 さて、「タリーと私の秘密の時間」は、一言でいうと「子育てコメディ」ということになるのであろう。実際にDVDは「コメディ」の棚に置いてあったわけだが、果たし…

  • 埋草日記◎散歩をして思わぬものを目撃したり

    旭川市中心部を散歩していたら、突如「文鮮明」と「韓鶴子」の姿が目に入り驚愕。大きなポスターにお二人の写真が掲載されており「真のお父様とお母様」といったコピーが添えられていて、「世界家庭なんとか」との看板が掛かっていた。統一教会の施設が入っている建物だったようだ。あれだけ批判されていたが、今でも大きな看板はそのままに活動しているのか。まあ、考えてみれば、そうかもしれない。その団体および真面目な信者の方にとって、統一教会は自覚的には立派な宗教法人との認識であろうし、やましいことをしているという意識はこれっぽっちも持っていないだろうから、なにもコソコソする必要はないのだ。自民党も岸田政権も、解散命令…

  • 志の輔による旅に関するマクラの本「志の輔旅まくら」

    志の輔旅まくら 立川志の輔 新潮文庫 2003年5月1日初版発行 400円+税 落語初心者の私が聞いているのは、寄席での噺ではない。落語のCDである。それも、図書館に置いているCDを借りて聞くという活動が主体なので、主に昭和の名人といわれた方々の名作の数々。録音が昭和であり、古い。江戸訛りの早口で、何を言っているのか分からない。たまには新しいのも聞きたい、というわけで、立川志の輔のCDを見つけたので聞いてみると、これが爆発的に面白い。 「ためしてガッテン」とか龍角散のCMのひと、というぼんやりした印象だった立川志の輔だが、落語を聞いて、私の中で「名人」という印象に変わった。立川流の談志の弟子で…

  • 埋草日記◎「どくとるマンボウ航海記」にキューブリック映画が登場していた

    子供のころ読んで面白かった北杜夫「どくとるマンボウ航海記」中公文庫が【増補新版】として今年刊行。懐かしく、読んでみる。 霧の深いアントワープの港で足止めを食った若きマンボウ氏がたまたま映画館に入って映画を見るのだが、タイトルなどは出てこないがストーリーの紹介から、それがキューブリックの「突撃」であることがわかり、驚く。さすがは日本の頭脳・北杜夫だと思うのは、カーク・ダグラスが着ているのがフランスの軍服で、英語を喋っており、フランス語とベルギー語らしき字幕付きでの上映だったとのことなのに、ほとんどストーリーを理解しており、ラスト近くのみ話が不明であった旨が記されている。

  • 埋草日記◎北海道各地でクマ出没注意

    朱鞠内湖で釣り人がクマに襲撃されて死亡したとのニュースは衝撃的だった。 ひとりで釣りを楽しんでいた男性が行方不明になり、現場を調査すると、どうやらヒグマに襲われたらしいことがわかり、ハンターが周辺を捜索し、ヒグマ一頭を駆除したとのこと。現場の状況から、釣りをしていた男性に対し、ヒグマのほうから近づいていき、襲ったものとみられるという。仕留めたハンターの方も、そのヒグマは人間を認識した後も、まったく逃げる様子を見せなかったと証言していたとのこと。 クマへの注意を呼び掛けるテレビ番組を見たが、人間を認識しても逃げないヒグマの情報がいくつかあるようだ。これまで、クマは憶病な動物であり、人間の姿を認識…

  • なぜか今宵、高畑充希について考えてみた

    高畑充希は不思議な俳優だ。 先日、映画「怪物」を観て、高畑充希の出演シーンに違和感を覚えた。というか、高畑充希を見るたび、この方のポジションがよくわからないと感じる。ドラマや映画で主演を演じるクラスであると認識している。CMにもたくさん出演している。高畑充希はトップクラスの女優である。そのわりに、こんなオファーも受けるの、といった仕事もするのだ。 映画「怪物」での役は、主要登場人物である学校の先生の恋人役。セクシーな恋人役であり、二人でいちゃつくシーンが用意されていた。そして、いつの間にか、出てこなくなる。こういってはナンだが、映画にとって大きな役とは言えないと感じた。だから、高畑充希、もった…

  • 埋草日記◎陳列スペース減少の冨貴堂豊岡店で「花束みたいな恋をした」

    冨貴堂豊岡店というかTSUTAYA豊岡店というか、本を売っていてレンタルDVDを並べている、よく行く店舗を訪れたところ、レンタルDVDのスペースの一部が、カプセルトイ(いわゆるガチャガチャ)のスペースに改装中だった。レンタルDVDはいまや絶滅危惧種のたぐいだ。映画を自宅で視聴する手段としては、ネット配信が主流で、店舗でのレンタルは、間もなく消滅すると思われる。 こちらで「花束みたいな恋をした(2020)」を借りて、見た。 先日見た「怪物」が面白かったので、坂元裕二が脚本を書いた映画を見てみようという魂胆。サブカル的な小ネタ満載の文化系男女の恋愛映画、という感じでしょうか。菅田将暉と有村架純が恋…

  • 埋草日記◎初期アナログ盤が話題の山下達郎だが、ベスト盤をCDで聴く

    図書館で山下達郎「OPUS」3枚組CDを借りる。「ALL TIME BEST 1975-2012」とのサブタイトル。私は山下達郎のファンとは決していえず、だから私レベルの人間が耳にするには最適なベスト盤ではないか。代表的な曲は網羅されている。聴いてみると、グッとくるのは初期の「夏だ!海だ!達郎だ!」といったイメージの曲なんだよなあ。ご本人は「夏=達郎」イメージを否定的に語るけど、こちら側からすると、それらの曲が耳に入っていた時代というのは私が若者だったころと重なるから、様々な記憶と相まって「グッ」とくるのであろう。単なる個人的で感傷的な理由にすぎない。ただ、本来POPミュージックというのはそう…

  • 埋草日記◎閉館したスガイディノス旭川だったら上映していた映画と志ん朝のCD

    ネットで見た映画「M3GAN/ミーガン」の予告編が面白そうだったので、旭川市内の上映予定を見たが、2館とも上映無し。AI人形が暴走するホラー映画のようで、予告編での人形ミーガンの動きが愛らしくも不気味。仕方がないので「怪物」を見て、「怪物」が非常に面白かったので良かったのだが、「M3GAN/ミーガン」も見たいなあ。 そこでふと思ったのだが、昨年閉館したシネコン「スガイディノス旭川」が、もし今も継続していたら、ここではきっと「M3GAN/ミーガン」を上映していたのではないか。 ディノスならきっと、この手の面白そうなホラーを上映していたはず。というわけで、「スガイディノス旭川」の閉館は、旭川の文化…

  • 埋草日記◎労働力調査と「ゼロ・グラビティ」

    労働力調査というのに答えてくれとの依頼を、対面にて受ける。総務省統計局による国勢調査のようなものらしい。面倒だが、頼まれたので仕方がない。こういうのが苦手で、知らぬふりで放置といった豪快なことができない。ご迷惑をおかけするわけにいかない、期日はいつ? まだ大丈夫? と常にビクビクする小市民なのである。つい早めにネットで回答し、送信。返礼として税金免除などの措置が講じられるとかはないのだろうか。日本人の現在の労働力が正確に日本政府の知るところとなり、(仮にでも)より効果的な法令が作成されているのだとすれば、それはひとえにおれの努力の賜物である。全国の労働者は私に感謝すべき。 「ゼロ・グラビティ」…

  • わからないものを、人は「怪物」と認識する

    映画「怪物」をシネプレックス旭川で観た。 先日行われたカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞したという話題作。監督は是枝裕和。脚本は坂元裕二。音楽は先日亡くなった坂本龍一。 テレビドラマ「カルテット」「初恋の悪魔」を見て坂元裕二という人に注目していたので、この方が是枝監督の新作で脚本を書くというので期待していた。さらにはカンヌ映画祭で大きな話題になり期待は膨らむ。 見終わって、「ああ、面白かった」と単純に思った。カンヌで賞を取ったなんていうから、アートフィルムみたいな映画だったら嫌だなあと思っていたが、ミステリーっぽくて、話を面白く追えるタイプの映画だった。 視点が変わって事件の見え方が変わる構成であ…

  • 埋草日記◎中国大使館からの電話と愛車の車検

    携帯電話に着信があった。発信先が「不明」となっている。名乗るのは憚られたので曖昧に「はいもしもし」と出ると、自動音声の女性の声が「中国大使館です」と話し始めた。咄嗟に怪しいと判断し、電話を切った。非通知だし、平日の20時30分頃だったし、私は中国大使館とゆかりがないし、すぐ思い出せる中国関係の知人もいない。ネットで「中国大使館から電話」と検索すると、いくつかその手の詐欺の記事がヒットする。在留中国人の方を狙った詐欺の手口があるとのこと。 私の携帯には、荷物を届けたとか有料チャンネルの停止がどうとかといった詐欺メールは今もときどき来るが、直接電話が掛かってきたのは久しぶり。自動音声だったし、聞い…

  • 埋草日記◎最近の理解できない出来事について

    私が単なる世間知らずということもあるが、世の中には全く私の理解が及ばない出来事が起こる。最近では以下の二つが全く分からない。 まず一つ目は、今年4月に宮古島沖で消息を絶った自衛隊のヘリコプターの墜落。自衛隊幹部を乗せての飛行だったというが、仮にも国の(実質的な)軍隊の飛行物が墜落して、何か月も原因不明のままということがあるのか。国防上の大問題ではないのか。 フライトレコーダーは回収されたはずだが、いっこうになんの情報も出ない。なんなのか、原因はヤバいことなのか。 もう一つは、歌舞伎役者の例の騒動。私は歌舞伎界に関する知識が全くないので報道を読んでもさっぱりわからない。親子三人が心中を図る動機も…

  • 埋草日記◎週刊朝日最終号と上岡龍太郎の訃報

    週刊朝日最終号を図書館で読む。 いくつかの連載はAERAアエラに引き継がれるとの記載があった。そんななか、「似顔絵塾」はサンデー毎日で連載が継続されるというのがユニーク。 上岡龍太郎の訃報が届く。漫画トリオのギャグ「今週のハイライト!」は見た記憶はあるが、おぼろげで、よく覚えていない。私にとっての上岡氏といえば鶴瓶とのフリートークが爆発的に魅力だった深夜のテレビ番組「パペポTV」。 こんな面白いおじさんがいたのか、大阪ローカルの芸人なのか? と最初は思っていた。あれよあれよと全国区の人気者となり、有名になってゆく過程で、かつて漫画トリオで横山ノックとともに「今週のハイライト!」ってギャグをやっ…

  • chatGPTに森田芳光監督の代表作を教えてもらう

    誰もが使えるテキスト生成AIとして、世界を変えるほどのインパクトがあると、さんざんニュースで紹介されている「chatGPT」だが、おれのような初期高齢者にも使えるのだろうか。 ネットで調べてみると、メールアドレスと電話番号があれば無料で使用できるとの解説。やってみたら、できた。日本語で会話できる。そして、それが大変面白かったので、以下にその一部を紹介。 「chatGPT」と、どんな会話をしようか。映画についてたずねてみた。森田芳光監督の代表作を知っているかと聞いたら、以下のような答えが返ってきた。 ------------------------------------------------…

  • 埋草日記◎運動会シーズンと溝口敦「詐欺の帝王」

    車を運転中、突然、銃声のような音が聞こえ、あわててそちらを見ると、小学校の校庭で運動会の練習中だった。ほのぼの♡ 最近読んだ溝口敦の講談社文庫「喰うか喰われるか」が面白かったので、勢いづいて2014年発刊の文春新書「詐欺の帝王」溝口敦を再読。イベントサークル→闇金→オレオレ詐欺を手掛け「詐欺の帝王」と称されたという人物・本藤(仮名)のインタビューなどを中心とした特殊詐欺についての新書。今回読んでいて改めて興味深いと思ったのは、90年代のダイヤルQ2の話。 NTTが利用料を徴収してくれるダイヤルQ2には多くの怪しい商売があったが、そのころ変造テレカも大いに出回っていた。ある詐欺師は安く手に入れた…

  • 埋草日記◎「週刊朝日」休刊と永山図書館近くのラーメン店「柊」

    私の楽しみの一つは、図書館で週刊誌を読むこと。図書館にはたいていの場合「週刊文春」「週刊新潮」「週刊朝日」が置いてある。残念ながら「週刊ポスト」「週刊現代」は置いていない。まあ、その2誌は公共向けとはいいがたい。それはともかく、「週刊朝日」が休刊するっていうじゃないですか。大ショックだ。 ちなみに旭川市の永山図書館には「サンデー毎日」もあるのだが、こちらの雑誌のクイズ欄に回答を書き込むという迷惑な閲覧者がいるとの理由で、カウンターで申し込まないと読めないという措置が取られている。残念なことだ。公共の雑誌に書き込みしないで! といったわけで、永山図書館の近くに今年3月オープンしたラーメン店「柊」…

  • 埋草日記◎イオンシネマで映画を見た際の、どうでもよい話

    旭川駅前のイオンシネマで「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3」を見た。昨今のシネコンはすべて指定席制だ。私はたいていの場合、劇場のほぼ真ん中辺に席をとる。真ん中よりもやや前側だと、周囲も空いていて快適。今回もそのような席を予約した。上映時間が迫ってきたので入場し、所定の席を確保。1席空いて左側に男性客がいた。と、若い女性が現れ、その空席を埋める場所にいきなり座った。私の左側隣席である。 コロナ禍以降、劇場運営側は1席ごとに空きを作っていたし、そもそも旭川の映画館はたいていの場合それほど混んでいるわけではないので隣に見知らぬ人がいる状態で映画を見ることはめったに無い。っていうか…

  • 埋草日記◎岸田総理の息子の悪ふざけと相原コージのうつ病漫画の新刊

    岸田首相の息子などが官邸でふざけていたとの週刊文春報道を受け、ネットニュースで記念写真を目にしたが、これってちょっと前の回転寿司悪ふざけYouTubeと感触が同じ気がした。岸田一家は世襲の政治家で、安倍一族には劣るものの、日本のエスタブリッシュメントといってもよい家柄と思っていたが、所詮下劣な目立ちたがり屋と変わりのないことが判明。これが現在の日本社会のレベルなのかと思うと、心底がっかり。と思っていたら、ようやく更迭されたとのニュースが入った。しかし、これって身内からリークされたってことなんだろうか。 相原コージ「うつ病になってマンガが描けなくなりました 入院編」購入。相原コージは1963年、…

  • 埋草日記◎生卵の消失と溝口敦「喰うか喰われるか」

    よく行くスーパーの入り口に大量の「かっぱえびせん」が積まれていたので、つい購入。やめられない、とまらない。 仕事帰りに寄るスーパーに卵は売っていない。夜のスーパーから生卵が消えてから、いったいどのくらい経つのか。休みの日には卵を見るが、10個入り300円。といっても以前が安すぎだった気もするのだが。 大型書店コーチャンフォーで溝口敦の講談社文庫「喰うか喰われるか」購入。サブタイトルに「私の山口組体験」とあり、暴力団山口組を多く取材してきたことで知られる溝口敦の取材裏話的な本。自伝風でもあり、溝口敦の青春物語でもあり、さらには山口組の歴史書のようでもある。これを読んで山口組における三代目死去から…

  • 「ヘルドッグス」で岡田准一のかっこいい暴力と狂った坂口健太郎を見よ

    深町秋生の原作「ヘルドッグス 地獄の犬たち」ファンなので、映画版「ヘルドッグス」を見てきた。岡田准一主演のヤクザアクション映画だ。岡田准一演じる兼高は元警官で、関東最大のヤクザ組織に潜入し、会長の十朱(MIYAVI)の秘密をつかむというのがミッション。 潜入のとっかかりとしたのが、組織内でも極めて凶暴なサイコボーイといわれる室岡(坂口健太郎)と知り合うことだった。以降、岡田准一と坂口健太郎は相棒となり、この二人のバディムービーとしての魅力が、この映画のウリなのだと思う。いい男二人が暴力により組織内で成り上がっていく。男のおれもうっとりさ。 さて、岡田准一が潜入した組織は関東最大の暴力団・東鞘会…

  • その後のテレビドラマデイズ2022夏◎家庭教師のトラコ 最終回

    ●家庭教師のトラコ(日本テレビ 水曜ドラマ 22時から) 家庭教師のトラコを狂言回しにして、3つのホームドラマを展開するという流れだと思って見ていたが、最終回まで見て分かったのは、そんな私の考えはまったくの的外れだったということだ。 3つの家庭のドラマはあまり盛り上がらぬまま、いったん落ち着き(唯一、鈴木保奈美の家庭は破綻を迎えたため、ドラマチックな場面が用意されていたが)、終盤近くになって、トラコを主人公としたドラマが始まった。それは、実の母の出現と死を受け止め、家庭教師をしていた家庭の母たちの言葉を素直に受け入れることで、人間として再生する、というドラマであった。 といったわけで、見始めた…

  • さかなクンの半生を、のん主演で、という奇跡「さかなのこ」

    私は女優のんのファンで、さらに沖田修一監督の「横道世之介」(2013年)が好き、といったわけで「さかなのこ」は映画館でチラシを見つけて以来、大いに期待していた。そんな条件であるから、私にとって映画「さかなのこ」は面白いに決まっているのだ! 「さかなのこ」のモチーフは「さかなクン」である。映画を見終わり、いったい私はいつから「さかなクン」を知っているのだろうか、と考えた。わからない。いつの間にか、あの特異なキャラクターを受け入れていたのだ。いつも極度に緊張しているように見え、奇妙な帽子をかぶり、ぎこちない甲高い声でしゃべるさかなクンは、テレビの中でも明らかに挙動不審な人物だ。不審ではあるが、魚へ…

  • ちばてつやが描くみすゞの世界「わたしの金子みすゞ」

    わたしの金子みすゞちばてつやちくま文庫2022年9月10日初版発行880円+税 ちばてつやのブログ「ぐずてつ日記」は、巨匠らしからぬ手作り感あふれる朴訥な日記で、にじみ出る人柄の良さが偲ばれ、愛読している。 淡々としているものの、ちばてつやは現役の作家であるから、このブログはプロモーションの場でもあり、先日、ちくま文庫から「わたしの金子みすゞ」が発刊されるとの告知が載った。 ちばてつやが「金子みすゞ」の本を? 私は、詩というものを普段全く読まないので、金子みすゞという人をほぼ知らない。2011年の東日本大震災の際、ACのテレビ広告が繰り返し流れた際に「こだまでしょうか」を知ったクチである。面目…

  • その後のテレビドラマデイズ2022夏◎ユニコーンに乗って 最終回

    ユニコーンに乗って(TBSテレビ 火曜ドラマ 22時から)放送終了 NHKの朝ドラ「半分、青い」(2018年)は録画して見ていたが、いまでも消せない一本がある。それは、漫画家となったヒロインがやがてスランプに陥り、マンガ作品がつまらなくなる中、幼馴染が知らない女性と結婚していることを知り、大いに落ち込む場面を描いた回。マンガの師匠や仲間たちが気を使って慰めるのだが、ヒロイン永野芽郁は逆切れし、当たり散らす。そこでの永野芽郁が素晴らしく、たまに見たくなるので、「半分、青い」のほかの回はすべて消去しているのに、この一回(15分間)のみ、未だ録画機のハードディスの一端を占めている。 この時のような永…

  • ゴールディ・ホーンのキュートさに痺れよ「ファール・プレイ」

    私の好きな女優はゴールディ・ホーンなのだが、その魅力が大いに発揮されている映画の代表が1978年の「ファール・プレイ」である。監督は才人コリン・ヒギンズ。 公開当時、映画館で見た際は、ゴールディ・ホーンが異様にキュートなロマンチックなサスペンス、という記憶だったが、今DVDで見直すと、かなりコメディ色が強い印象。いろいろ変な映画だなあ。 冒頭、牧師の偉い人が殺されるシーンで掛けられるレコードのジャケットが妙だな、と思ったらどうやら「ミカド」と読める。日本を舞台にした有名なオペラらしく、Wikipediaを見てみると1885年に初演された歴史あるモノらしい。映画のクライマックスが実際その舞台なの…

  • 蔓延するご清潔な安心・安全に慄け! 映画「激怒」

    残念なことに間もなく閉館する(2022年9月19日とのこと)ディノスシネマズ旭川で映画「激怒」を見た。 高橋ヨシキ氏の企画・脚本・監督作ということで、いったいどのような映画なのか気になっていた。 高橋ヨシキ氏は雑誌「映画秘宝」のアートディレクター兼ライターとして読者ページを担当していたほか、多くの文章を書いていた。映画製作関係では園子温監督の「冷たい熱帯魚」の共同脚本を務めている。どれも面白く思っていた。 さらに印象を強くしたのはラジオ番組で、ちょっと前のことになるが、NHKのAMで放送していた朝の帯番組「すっぴん!」(藤井彩子アナ)の毎週金曜日(パーソナリティー高橋源一郎)において、映画を紹…

  • 暴力に魅せられた男たちが行き着くのは(地獄)か(煉獄)か(天国)か「天国の修羅たち」

    天国の修羅たち 深町秋生 角川文庫 2022年8月25日初版発行 760円+税 2022年9月16日公開の映画「ヘルドックス」の原作は、2017年9月にKADOKAWAから単行本として刊行された深町秋生「地獄の犬たち」である。この小説は2020年に加筆修正され「ヘルドックス 地獄の犬たち」として角川文庫となり、刊行されて間もなく読んだ。面白かった。 「ヘルドックス 地獄の犬たち」は、すさまじい暴力が連鎖する小説である。深町秋生の小説は、いつも三人称の記述だが視点人物による一人称に近い描き方で、「ヘルドックス 地獄の犬たち」の視点人物は兼高という人物だ。関東最大の暴力団・東鞘会の若頭補佐で優秀な…

  • ダメ刑事イーストウッドの逆襲劇「ガントレット」

    遠い昔、はるかかなたのテレビの世界では、月曜日とか水曜日とか日曜日とかの夜9時から洋画劇場というプログラムがあって、様々な映画が放映されていた。クリント・イーストウッド主演の西部劇やアクション映画は人気があったから、よく放送されていたものだ。というわけで今回ご紹介の「ガントレット」もよくかかっていたように記憶している。1977年のクリント・イーストウッド監督・主演の刑事アクション映画で、共演は当時の愛人ソンドラ・ロック! 我らがクリント・イーストウッド扮するフェニックスのショクレー刑事は、ある事件の証人であるソンドラ・ロックをラスベガスから護送する仕事を引き受ける。それは簡単な仕事のはずだった…

  • いまさらながら東出昌大について考える

    2012年の映画「桐島、部活やめるってよ」のキャストのトップに表示されるのは、ポスターでも大きく顔が出ている神木隆之介であるが、物語的な主人公ということでは東出昌大演じるヒロキ君ということになるだろう。神木演じる映研部員は「桐島」が部活を辞めようが、学校へ来てなかろうが、自分の好きなことをやっているので、ブレない。野球部のキャプテンもブレない。 「桐島」が部活を辞める、ということで激しく葛藤するのは、東出演じるヒロキ君であるが、東出昌大の演技は大げさではなく、映画の中のヒロキ君は、大きな体でただ突っ立っているだけのように見える。行かない野球部の大きなバッグを抱え、ブラブラと校内を歩き、たいして…

  • ダメ男映画の金字塔「評決」。アル中ポール・ニューマンに痺れよ!

    結局のところ、私が好きになる映画のジャンルって、青春映画かダメ男映画なのではないか。といったわけで、1982年のポール・ニューマン主演の裁判劇「評決」。監督は巨匠シドニー・ルメット! ファーストシーンは酒呑みながらピンボールをたしなむポール・ニューマンで、これって侘しい風景として意図されたと思えるシーンなのだけど、ポール・ニューマンだから、なんだかカッコよいんだな。これこそ哀愁というものだと思わざるを得ない。 そして、その後も侘しくも哀しいダメなシーンが続く。 ポール・ニューマンはダメ弁護士で、現在ロクな仕事をしておらず、いわゆるアルコール依存症状態。知らない人の葬式に顔を出しては、名刺を配っ…

  • 小林信彦による1981年の笑いの現場リポート「笑学百科」

    笑学百科 小林信彦 新潮文庫 1985年7月25日初版発行 400円 古本屋で「笑学百科」を発見した。文庫版「日本の喜劇人」同様、いつの間にか紛失して、また読んでみたいと思っていた本だ。 「笑学百科」は1981年2月から6月まで夕刊フジに連載されたものをまとめたもので、1982年に単行本として刊行、1985年に文庫となった。作者による「文庫版のためのノート」に「日本の喜劇人」の〈別冊〉ともいうべき、と書いてあるので、小林信彦自身にとってそういう位置づけの本であるわけだ。実際、上下巻の豪華本「定本・日本の喜劇人」(2008年)が刊行された際は、この「笑学百科」も含まれた形で編まれていたようだ。た…

  • 悲しいニュース◎ディノスシネマズ旭川閉館

    コロナの前からだって、そんなに頻繁に映画館へ出掛けていたわけではないが、コロナの世の中になった2020年以降、映画館で映画を見る頻度は下がった。それはなにも私だけではなかったようだ。 スガイディノスという会社が運営するシネコン・ディノスシネマズ旭川が2022年9月に閉館する。 ちょっと前にスガイディノスが民事再生手続きに入ったとの報道を目にし、一時閉館していたのも知っていたから、驚くというよりも、ああ、そうなのか、と淋しい気持ちになった。 一時的な閉館後、7月初旬になって、「こちらあみ子」を見るためにディノスシネマズ旭川へ行った。上映作品本数が減り、劇場の雰囲気が少し寂しく感じた。ちなみに、「…

  • 字幕、電車、深津絵里。森田監督90年代の復活「(ハル)」

    90年代に入ると、あまり森田芳光映画を劇場に見に行かなくなってしまった。森田監督自身、映画監督としては不調の時期だったらしく、1992年に「未来の想い出 Last Christmas」を発表して以来、4年間作品を世に出さなかった。そんなわけで、1996年、4年ぶりとなる監督作品が、不思議な恋愛映画「(ハル)」ということになる。当時、まだ珍しかったパソコン通信とメールによる物語だ。 この映画は当時、劇場で見ておらず、しばらく経ってからビデオで見た記憶はあるのだが、それほど好印象ではなかった。それから、また随分と時間が経った。というわけで、随分久しぶりにDVDで見た。 いや、これ、森田監督らしい大…

  • テレビドラマデイズ2022夏◎初恋の悪魔

    初恋の悪魔(日本テレビ 土曜ドラマ 22時から) 松たか子、松田龍平、満島ひかりなどが共演するというので見たテレビドラマ「カルテット」(2017年)が面白かったので、坂元裕二という脚本家の名前を覚えた。「大豆田とわ子と三人の元夫」(2021年)はうっかり見過ごしたので、今回の「初恋の悪魔」はしっかり録画した。 ミステリーコメディというフォーマットを採用しているため、ミステリー的な謎を毎回仕掛けなければならず、けっこう脚本づくりは大変であると思われる。さらに、毎回のエピソードで、主人公たちが作成する模型の中で事件を再現しながらトリックを考察するというビジュアル的にも凝った演出がなされている。 そ…

  • ●家庭教師のトラコ(日本テレビ 水曜ドラマ 22時から)

    積極的に見ようと思っていなかったのだけど、つい怖いもの見たさで録画したのが「家庭教師のトラコ」である。「家政婦のミタ」など、ちょっと変なドラマをつくる遊川和彦の脚本で、「家庭教師のトラコ」というタイトルが、もう怪しい雰囲気を出しまくりだ。そんな怪作の予感漂う作品の主演が、あの橋本愛であるというところに引っかかってしまい、このドラマを見始めたというわけ。 「あまちゃん」の親友の美少女ユイちゃんとして圧倒的存在感を見せた橋本愛。「桐島、部活やめるってよ」での美少女っぷりも印象に残る。しかし、この方、主演のイメージがない、というか、あまりに均整の取れた美少女ぶりが非現実的とも感じられ、日常的ドラマに…

  • テレビドラマデイズ2022夏◎ユニコーンに乗って

    ユニコーンに乗って(TBSテレビ 火曜ドラマ 22時から) NHKの朝ドラ「半分、青い」(2018年)は、中盤の漫画家編が良かったのだが、後半、扇風機を作り始めてから失速した印象がある。ただ、ヒロインを演じた永野芽郁という魅力的な女優を知ることができたので、見たかいがあったと思う。 なので、以降、永野芽郁の出ているテレビドラマをいくつか見たが(ムロツヨシが父親役のコメディや、ムロツヨシが上司の警官コメディなどなど)、残念ながら、グッとくるものに出会っていない。といったわけで、西島秀俊が共演の「ユニコーンに乗って」はどうだろうか、とこのドラマを見始めた。 永野芽郁演じるヒロインは、家が貧しかった…

  • テレビドラマデイズ2022夏◎鎌倉殿の13人

    鎌倉殿の13人(NHK大河ドラマ) 私は歴史が苦手であり、NHKの大河ドラマもほとんど見たことがない。さらに三谷幸喜脚本ドラマも積極的には視聴していない。にもかかわらず、2022年初頭の第一回目からNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」をとりあえず録画していた。 そのうちにツイッターなどで、このドラマは面白いという評判を目にしはじめた。陰謀裏切り権力闘争渦巻くドラマであり、まるで「仁義なき戦い」のようである、などという評判を目にし、これは見たほうがよいと思い、録画していた自分を褒めたくなった。すごいぞ俺、と溜まった録画を見始めたら、いやあ、これ面白いですね。 配役が良い。真面目なのかふざけているの…

  • テレビドラマデイズ2022夏◎ちむどんどん

    気が付くとテレビドラマをたくさん見ている。 ちむどんどん(NHK朝の連続テレビ小説) 鎌倉殿の13人(NHK大河ドラマ) ユニコーンに乗って(TBSテレビ 火曜ドラマ 22時から) 家庭教師のトラコ(日本テレビ 水曜ドラマ 22時から) 初恋の悪魔(日本テレビ 土曜ドラマ 22時から) って、こうして改めてみると、わずか5本なのだが、自分としては多い。といったわけで、せっかくだから(?)、ブログ用に感想を書いてみようと思い立った。いずれも現在放映中のドラマであるため視聴は途中なのだが、あえて途中まで見ての感想を書いてみようと思う。 といったわけで、以下、個々のドラマについて感想を述べる。 ちむ…

  • アリー my love_メモ◎017「人生のテーマソング」[Theme of Life]

    冒頭はキックボクシングエクササイズに興じるアリーとレネとジョージア。 これはエクササイズとともにストレス発散もかねていると思われる。というのは、アリーはちょっと精神的に参っており、彼女の頭の中では事務所が水中にあって、そのなかを泳いでいる自分が見えるからだ。現実世界で窒息しそうという比喩であろうか。っていうCGが面白い。 今回アリーが担当する裁判はイケメン医師グレッグが訴えられたもの。彼は患者を救うために緊急的に豚の肝臓を移植した。この処置について、患者は人としての尊厳を失なわせる行為であったとして訴えた。「人の体に肥えた巨大豚の肝臓を突っ込むなんて!」 アリーはイケメン医師グレッグの魅力にハ…

  • アリー my love_メモ◎016「禁断の果実」[Forbidden Fruits]

    「アリー my love」の放送が始まった1998年のアメリカで大いに話題になったのは、クリントン大統領のセックススキャンダルだった。 そんな世相を踏まえつつ、ドラマ「アリー my love」としては上院議員の不適切な略奪愛をモチーフとした回。 既婚者の奥さんと不倫をし、奥さんを奪って、もとの夫婦は離婚することとなり、上院議員と奥さんは結婚。というわけで、もとの旦那さんが訴えたのだ。 上院議員の不倫事件であるから世間の注目も大きく、アリーのいる事務所にとっても最大級の仕事。全員総出で裁判所に向かう。しかも一発かますため、法律が苦手なフィッシュが法廷に立って意見を述べるという。 一種の撹乱戦法な…

  • アリー my love_メモ◎015「生涯に一度の愛」[Once in a Lifetime]

    アリーは事務所の経営者ジョン・ケイジとデートをする約束をしているが、あまり気が進まない。うまくいくわけないと感じているのだ。っていうか、ジョンは〈運命の人〉って感じがまったく無し。はたして、どうなる! といった話が進むなか、事務所に持ち込まれるのは著名な老画家シーモア・リトルからの依頼。七年前に妻を亡くしたのだが、孫ほども歳の離れた若い女性と結婚したいのだという。後見人でもある息子から反対されていて、結婚がかなわないので、なんとかしてもらいたいと言う。 アリーはこの画家のファンであり代理人になるための挨拶に行くが、老画家はけんもほろろ。「こんなツンツルテンのスカートは認めん。ズボンをはいたまと…

  • アリー my love_メモ◎014「ボディ・ランゲージ」[Body Language]

    アメリカの結婚式には様々な決まりがあるらしい。そのひとつが、花嫁の投げたブーケを受け取った女性は、次に幸せな結婚ができるとのジンクス。 というわけで、オープニングは、結婚式に出席しているアリーとレネ。花嫁がブーケを投げた瞬間、画面はスローモーションになり、BGMはあの大げさな「ワルキューレの騎行」。 www.youtube.com 必死の形相で周囲の女性たちをなぎ倒すアリー。ブーケをスライディングキャッチするアリーの醜い表情が、馬鹿馬鹿しくて可笑しい。 その結婚式ではアリーは花嫁の介添人というものをやっている。花嫁介添人というのもアメリカの結婚式の決め事らしく、それをネタとしたコメディ映画「ブ…

  • アリー my love_メモ◎013「ペンギン作戦」[The Blame Game]

    今回は、前回の第12話、すなわちグレンとの一夜限りの情事に関する後日譚。 海外へ旅立ったと思っていたグレンと偶然に出くわしたアリーは、もう一度、グレンとの行為に及ぶ。やはりCGのダンシングベイビーが軽快に踊り、バックにはヴォンダ・シェパードが歌う「Hooked On A Feeling」が流れる、といった様式美。 www.youtube.com 事務所が抱える今回の訴訟は飛行機事故だ。 飛行機が墜落し、そのために父を亡くした遺族が、航空会社を相手に賠償請求を行う。墜落の原因が一切不明であることから、航空会社は過失を認めない方針なのだ。過失を証明する具体的証拠がまったく無い。裁判を担当するのは、…

  • アリー my love_メモ◎012「ダンシング・ベイビー」[Cro-Magnon]

    彫刻教室で粘土をこねるアリーとルームメイトのレネ。全裸の男性モデルを眺めながらの作成で、そのモデルのナニが常識はずれにデカく、アリーとレネが驚愕するというオープニング。「粘土が足りなくなっちゃう」とレネがお下劣発言。 タイトルクレジットではジョン・ケイジ演じるピータ・マクニコルがレギュラー扱いになっていた。いままではゲスト出演だったはず。 この回はいろんなことが並行して語られる。 まずは、彫刻教室の巨大なモノをお持ちのモデルとアリーがデートをする話。コーヒーショップで、アリーは彫刻教室のモデルと偶然再会し、デートをすることになる。モデルは、自らをプロのスノーボーダーであると言い、モデルはアルバ…

  • アリー my love_メモ◎011「銀の鈴」[Silver Bells]

    いよいよクリスマス。 どうやら「ケイジ&フィッシュ法律事務所」では毎年華やかにパーティーを催しているようで、セクシーな秘書エレインはそこで歌うための準備に余念がない。自分を引き立たせるバックコーラスを物色中なので、アリーにも声をかけるが「エレインのバックコーラスなんて!」と断られてしまう。 さて、そんな事務所に持ち込まれる訴訟は、男1人と女2人の婚姻を法的に認めて欲しいというもの。 アリーとジョン・ケイジ、ジョージアが担当することになる。 もちろんアリーは運命の愛を信じる立場なので、個人的にはそんなものは認められない。いつも、このように納得できない訴訟ばかり持ち込まれる、という定番パターン。 …

  • 破滅型漫才師をクールな作家が描く。「天才伝説 横山やすし」

    「天才伝説 横山やすし」小林信彦文春文庫2001年1月10日初版発行 初出「週刊文春」1997年5月1日・8日合併号~1月6日号単行本1998年1月 文藝春秋 作家小林信彦には芸人に関する著作が幾つかある。あまりに有名な「日本の喜劇人」(1972年)のほか、 1992年「植木等と藤山寛美 喜劇人とその時代」のち伊東四朗の記述を加え、文庫本「喜劇人に花束を」 1998年「天才伝説 横山やすし」 2000年「おかしな男 渥美清」 2003年「名人 志ん生、そして志ん朝」 さて、「天才伝説 横山やすし」は小林信彦原作の映画「唐獅子株式会社」映画化の話がメインとなる。 ギャグ小説「唐獅子株式会社」映画…

  • アリー my love_メモ◎010「無慈悲な天使」[Boy To The World]

    華やかなクリスマスの準備シーズン、という中、今回はシリアス路線。 アリーは、判事ウィッパーから、売春で捕まったステファニーの弁護をするように頼まれる。 未成年のステファニーは本名スティーブンで、男だった。というわけで、性的マイノリティLGBTを扱うお話。 現代アメリカでセックスコメディをやっている以上、避けて通れない題材だが、今回のアリーはこれを悲劇的に扱った。 さて、ステファニーはオハイオの田舎から出てきて他に生活費を得る手段が無かったことから街角に立っていたわけで、アリーが話しかけると素直な善い子であった。そして服を作る才能があった。 逮捕を免れるために、戦略的に精神障害を主張することにす…

  • アリー my love_メモ◎009「ダーティ・ジョーク」[The Dirty Joke]

    冒頭、「何がジェーンに起ったか?」(1962年)を見て恐怖におののくアリーの姿。 というわけで、レネと映画の話になり、アリーは高校時代「最もジュリー・アンドリュースみたいになりそうな女」に選出された過去を告白。 最もジュリー・アンドリュースみたいになりそうな女? というのは、お高くとまり、スカしてる、という意味らしい。なんというジュリー・アンドリュースに対するヒドイ評価! そんなわけで、そんな優等生キャラのアリーには、大人な「ダーティ・ジョーク」は似合わない、と皆んなに虐められる、という一席。 もう一つのお話は、「ケイジ&フィッシュ法律事務所」内のセクハラ騒動。 前回は、若くて健康的で(巨乳の…

  • アリー my love_メモ◎008「友達以上恋人未満」[Drawing The Lines]

    冒頭、アリーとジョージアがふざけてコーヒーを非常にエロティックに飲むのだが、それはズバリ、セックスのメタファー! ドラマ「アリー my love」はアケスケなセックスコメディっぷりがウリなのだ。それをビリー(アリーの幼馴染みで元恋人、現在ジョージアの夫)がガン見。 この回の原題[Drawing The Lines]は「線を描く」と訳すのだろうか。友達と恋人の〈一線〉を描く、という意味なのだろう。 アリーのセクシーなコーヒーの飲み方を見て、ビリーはアリーへのかつての恋心を思い出してしまう。二人はこの後、きちんと線を引けるのだろうか、ということで……。 さて、第6話目から「ケイジ&フィッシュ法律事…

  • アリー my love_メモ◎007「魔性の女」[The Attitude]

    この回は、まず1つ目、ルームメイトのレネの機転で、アリーはイケメン検事ジェイソン氏とデートをすることになる。 2つ目、ユダヤ教のラビと交渉をするという仕事がアリーに舞い込む。 夫が植物人間になってしまった奥さんからの依頼で、法的には離婚が成立しているのだが宗教的には教会の承認が必要で、信者としてはそれがないと再婚できないとのこと。そのためアリーはユダヤの教会へ赴くのだが、ラビが堅物で交渉が決裂。アリーはつい、ユダヤ教に対する暴言を吐いてしまう。 そして3つ目、アリーの元恋人ビリーの奥さんのジョージアは、別の事務所で弁護士をしているが、その事務所で彼女は突如、訴訟部門から他の部署への移動を命じら…

  • アリー my love_メモ◎006「婚約」[The Promise]

    アイスクリーム会社の商標登録のトラブルの裁判。アリーは相手側の太った弁護士ピピン氏と対決する。裁判の後、ピピン氏は突然ぶっ倒れ、アリーのマウス・トゥ・マウスの人工呼吸で一命を取り留める。 ピピン氏は間も無く幼馴染との結婚式を控えていた。ピピン氏の彼女がアリーの元に訪れ、お礼を述べる。 お相手の彼女もピピン氏と同じく太った女性だった。 元気になったピピン氏もアリーの元を訪れる。彼はアリーへの恋心を告白。人工呼吸のキスが忘れられない、婚約を破棄する、と言う。そもそも婚約者の彼女とは友達同士であり、お互いに太っていて、ほかに選択肢が無いだけで、トキメク相手では無いという。 驚いたアリーは、もちろん婚…

  • 萩尾望都作品ベスト短編集といってもよい「10月の少女たち」

    萩尾望都小学館文庫2012年10月18日初版発行657円+税 短編漫画の傑作を数多く生み出している萩尾望都先生なので、短編集が数多く出版されている。なかでも小学館からは、文庫という形でたくさん出ている。 「10月の少女たち」も、そんな一冊。 この本は2012年という、比較的最近になって編まれた短編集であるから、絶版になって手軽に読めなくなっていた「精霊狩り」シリーズ3作、SFの傑作「あそび玉」などを収録しようというのが、その主眼だったのではないか。 そのためか、収められた作品の発表年はバラバラ(1971年~1984年)で、ジャンルもバラエティに富んだ作品集である、といえば聞こえは良いが、悪くい…

  • アリー my love_メモ◎005「涙の数だけ」[One Hundred Tears Away]

    冒頭、スーパーマーケットでオバさんとポテトチップスの奪い合いとなり、暴力を振るったとして逮捕されるアリー・マクビール。テンポの良いコミカルな展開が可笑しい。 その後、暴行事件だけでなく、避妊ゼリーの万引き容疑まで加わり、アリーは弁護士としての資質を問われ、業務停止命令の危機に瀕する。彼女に対する聴問会が開かれることとなる。 その聴問会では過去のエピソードが蒸し返される。 第1話において、道で軽くぶつかったオジサンたちに理不尽な悪態をついていたこと。さらに、第4話のドーソン教授葬儀における不適切な弔辞の件。 そして、アリーの精神的不安定に関する証人として、事務所のおせっかい秘書でトラブルメーカー…

  • 小林信彦のコラム1998年「人生は五十一から」

    「人生は五十一から」小林信彦文春文庫2002年4月10日初版発行 初出誌 週刊文春単行本 1999年6月 2021年7月、いつものように地元の図書館で「週刊文春」最新号を読んでいたら、小林信彦のコラムが最終回とあり、驚いた。 よく考えれば小林氏は高齢だし、数年前に脳梗塞で長く入院されていたし、連載終了は納得できるのだが、週刊文春を開くと小林信彦のコラムが載っているというのが当たり前だと思っていたので、かなり寂しい気持ちになった。 そういえば先日、いつものように筒井康隆のネット日記「笑犬楼大通り」を読んでいたら、その日記を止めるつもりだ、と書いてあった。筒井氏と小林氏は同年代の作家であり、仕事を…

  • アリー my love_メモ◎004「ラブ・アフェア」[The Affair]

    大学時代の先生が死去した、とアリーはフィッシュから聞かされる。その先生、ドーソン教授とアリーは、一時期不倫関係にあった! というわけで、原題の「The Affair」とは情事という意味らしい。ズバリ「不倫」についての回。 さて、教授の奥さんから弔辞を依頼されたアリーはパニック状態に! どうやら奥さんは、アリーと教授の不倫を知らなかったようだけど、しかし罪悪感いっぱいのアリーは、たびたびビリーの部屋へ行き、相談をすることに。かつての恋人同士との距離がぐっと縮まったので、ビリーの妻のジョージアも嫉妬気味。 さらに、前回揉めたロナルド氏とよりを戻したアリーだが、ビリーとの急接近が原因となり、再びフラ…

  • モーさま上京一年目1971年の傑作群「11月のギムナジウム」

    萩尾望都小学館文庫1976年4月20日初版発行 昔々、長く愛され名作と呼ばれるような本は文庫本となり、安価で広く流通されている、と思っていた時代があった。現在は、そうではなく、「あ、これ文庫になっている!」と見つけた瞬間に買っておかないと、あっという間に絶版になっていて驚く、というくらいのものである。 そういったわけで、70年代中ごろのことだから、大昔といってよいと思うが、このころはまだ名作を文庫にして残す、といった神話が有効性を持っていて、だから名作マンガを文庫にしようという出版社が現われ、白土三平「忍者武芸帳」とか、つげ義春「ねじ式」とか、石森章太郎「サイボーグ009」とかを文庫版で出した…

  • アリー my love_メモ◎003「恋愛方程式」[The Kiss]

    2話目に登場した「ケイジ&フィッシュ法律事務所」のクライアント候補でイケメンのロナルド・チーニー氏とアリーとのデートのお話がこの回のメイン。 というわけで、アリーはイケメンのドナルド氏とのデートに臨み、別れ際ロナルド氏はアリーのほっぺにキスをする。 大人の男女がデート終わりでほっぺにチュ?! というのは違うだろう、そんなの男じゃないだろう! とアリーの不満が大爆発して…… というのが全編にわたり主張される。 もうひとつは「ケイジ&フィッシュ法律事務所」が抱えた裁判の話。 こちらはテレビ局を解雇された女性キャスターが、その解雇は不当だとしてテレビ局を訴えるという裁判。 アリーはビリーの妻ジョージ…

  • アリー my love_メモ◎002「愛は妥協から」[Compromising Positions]

    「アリー」第2話目は、なんといってもジョン・ケイジ登場の回ということで記憶されるべきである。 「アリー my love」の舞台となる法律事務所「ケイジ&フィッシュ法律事務所」の共同経営者であるジョン・ケイジ。シリーズを通して重要人物の一人だが、シーズン最初はレギュラーというより、ゲスト的な扱いだったようだ。この2話目に登場した後は、6話目まで登場しなくなる。 ジョン・ケイジとは、高名な現代音楽家と名前が同じだ。おそらく偶然ではないのだろう。 私は現代音楽に関する知識など一切ないが、昔、ジャズピアニスト山下洋輔の面白エッセーを読んでいたからジョン・ケイジの名前を知っていた。最も有名な「4分33秒…

  • アリー my love_メモ◎001「めぐりあい」[Pilot]

    そんなわけで、1997年から5シーズンにわたって続く「アリー my love」第一回目を見直してのメモ。 主人公は女性弁護士であるアリー・マクビールで、このドラマはキャリアウーマンが数々の困難にめげず仕事も恋も一生懸命頑張るコメディ、といった理解でよいのでしょうか(違うような気がする)。 物語はアリーの心の声、ナレーションからはじまる。初期「アリー my love」にはアリーのナレーションが多用されている。久しぶりに第一回目を見ると、このアリーのナレーションに違和感を感じてしまう。というのは、シリーズが進んでいくのにしたがい、ナレーションが無くなっていくから。 さて、ドラマではまず、アリーのこ…

  • アリー my love_メモ◎まえがき

    1997年からアメリカで放映されたドラマ「アリー my love(原題:Ally McBeal)」。日本でもNHKで放送されて大人気だった。 私も2000年頃からこのドラマにハマってしまい、現在は、全話のDVDを揃えてしまった始末。作られてから、もう20年以上が経っているのだなあ。主演キャリスタ・フロックハートは、現在、ハリソン・フォード夫人である。 というわけで、これから少しづつ「アリー my love」を見直して、感想をメモ的備忘録として綴ろうと思います。 今見ても、胸キュン!(←死語?)」するのだろうか。

  • セゾン文化をつくった堤清二と家族。「堤清二 罪と業」

    「堤清二 罪と業 最後の『告白』」児玉博文春文庫2021年6月10日初版発行 単行本 2016年 文藝春秋刊 1980年代、私は20代で、東京に住んでいた。だから、いわゆる〈セゾン文化〉に様々影響を受けた。西武百貨店の一連の広告も好きだった。 その当時は景気が良く、若者リゾート文化みたいなものが流行り始める。スキーブームってのがあり、ホイチョイプロダクションが「モテるためにはこんなスポーツをして、こんな風に振舞うのだ」みたいなことを文章にし、我々はたいしてお金も持っていないのに、スキー場の食堂であまり旨くもない高いカレーライスとかを食べることになる。そんなわけで、日本経済の動向や財界などといっ…

  • 人は幸福なとき、けっして映画など見ない「カイロの紫のバラ」

    アメリカの古き良き時代、30年代を舞台に、映画への愛をファンタジックに謳い上げるハートフルなロマンチックコメディ! といった印象で語られるウディ・アレン1985年公開の映画「カイロの紫のバラ」であるが、私自身も公開当時に見たまま、そんなイメージで記憶していた。 久しぶりに見たら、まるで違う映画だった。 ウディ・アレンは、現実の世界を酷い世界だと言い続けている。たとえば「人生万歳!」という能天気なタイトルの2009年の映画の中でも、主人公は、この世は暴力に満ち、不条理なことがはびこり、努力が必ずしも報われるわけではないと繰り返し主張する。 代表作「アニー・ホール」で語られる有名な台詞はこうだ。「…

  • クリスティーの超有名作「アクロイド殺し」を読む

    なぜだか急にアガサ・クリスティーのミステリーが読みたくなった。クリスティーの小説を読むのは、子供のころ以来ではないか。 面白いと思ったことは記憶している。「そして誰もいなくなった」「オリエント急行殺人事件」「ゼロ時間へ」などを読んだのを覚えている。なんで、その後、もっと読まなかったのか。 あまり読書をしなくなった現在だが、今読むことで、推理小説の女王が作った物語がとてつもなく面白いと感じるのではないだろうか、との期待があった。世間で名作といわれているものは、実際に面白いものであることを経験から知っているからだ。 そんなわけで手に取ったのは、大ネタ「アクロイド殺し」。 ミステリーファンの間では「…

  • 小林信彦の「喜劇人に花束を」(新潮文庫)の再読と単行本との比較

    「喜劇人に花束を『植木等と藤山寛美』増補改題」小林信彦新潮文庫1996年4月1日初版発行 「この作品は平成4年3月新潮社より刊行された『植木等と藤山寛美 喜劇人とその時代』に、書き下ろしの第三部「伊東四郎」を増補し、改題した。」と巻末にある。 2021年5月、小林信彦「決定版 日本の喜劇人」が刊行された。新潮文庫版で長く刊行されていた「日本の喜劇人」と、その続編といえる新潮文庫「喜劇人に花束を」を併せてまとめた、まさに〈決定版〉と言う書籍で、価格は3,960円! そんなタイミングで手元にあった新潮文庫版「喜劇人に花束を」を再読したら、異様に面白くて驚いた。何度読んでも面白いものは面白いのだ。 …

  • 萩尾望都「一度きりの大泉の話」はやはり衝撃の本と言わざるを得ない

    「一度きりの大泉の話」萩尾望都2021年4月30日初版発行河出書房新社1800円+税 ある日、書店の目立つ棚に、萩尾望都「一度きりの大泉の話」という美しい書籍を発見した。ネットで話題になっていたのは、ぼんやり目にしていた。カバーは麗しいエドガーのイラストであり、思わず手に取った。パラパラと本をめくると、萩尾望都デビュー当時のものと思しきマンガの下書きのようなラフスケッチや、なぜかマンガ作品「ハワードさんの新聞広告」も収録されている。勢いで、前書き部分を読む。「竹宮恵子先生とは交流を絶ってしまいました」「竹宮先生の作品も読んでおりません」「大泉時代のことは封印していました」といったことが記されて…

  • 日本で一番素晴らしい青春映画といえば、やっぱり「の・ようなもの 」

    一番好きな日本映画は何ですか、と問われた際、なんと答えるべきか。全然、誰にも聞かれないが、実は答えを用意してある。 1981年公開の森田芳光監督の商業デビュー作「の・ようなもの」だ。 洋画なら「フェーム」なのだが、この2本は似ている。 どちらも青春映画で、まとまった物語が無く、エピソードの羅列で構成されている。 「の・ようなもの」のお話とは、若手落語家がトルコ嬢(現在は使われない言葉だが、この映画の中ではこちらの呼称が使用されている)と付き合ったり、女子高生と付き合ったりするという、なんとなくの日常を描くというもの。 落語家仲間がソープランドへ行く金をカンパしてくれたり、一緒に銭湯へ行ったり、…

  • 一番好きな映画は「フェーム」

    一番好きな映画は何ですか、と問われた際、なんと答えるべきか。全然、誰にも聞かれないが、実は答えを用意してある。 1980年公開のアラン・パーカー監督作品「フェーム」だ。 ニューヨークの芸術高校を舞台に、ショービジネスの世界を目指す若者たちの群像劇。入試のシーンから始まって、卒業式で唐突に終わる。 何人かの生徒たちのエピソードを繋げた形で構成されており、ストーリーはほぼ無い。 だけどなぜか面白い。 別に私だけが、この映画は最高! と思っている訳ではない。 なぜなら、当時、アイリーン・キャラの主題歌は大ヒット。食堂で自然とジャムセッションになる、いわゆる「ホット・ランチ・ジャム」のシーンは、映画公…

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