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  • 胡飲酒・20

    柳木は淡々と言った。「千代女さん。だから眞璃亞がああしてなければ、僕が殺してたんです」それで君が犯人になろうとしたのか。「結局君は眞璃亞さんのことが憎かったのか?私にはわからない」「好きでしたよ。大好きでした。……電話は僕が隠したんです。ベットの下。終わ

  • 胡飲酒・19

    「柳木君きみはその日夜中に起きてしまった。そして理由は判らないが、とにかく1階に下りる」厭な夢を見たからだ。それで冷たい水を飲もうと思って――「台所は森敏也の部屋――彼の部屋だけ独立しているんだね――の前を通る廊下が一番早く着く。丁度そうしたら部屋から物音

  • 胡飲酒・18

    数ヶ月後僕は探偵と再会する。 「久しぶりですね」「ああ。眞璃亞さんは元気かい?」「死にました」千代女は一瞬絶句したあと、そうか、と言った。「眞璃亞さんが犯人ってことになったんです」「……そうか。本当は私は、君じゃないかと思っていた」「そうですね。そういう

  • 胡飲酒・17

    眞璃亞が自殺した。遺書から敏也殺しの犯人は彼女だということで決着が付いた。葬式には行かなかった。

  • 胡飲酒・16

    「じゃあまず、整理するよ」夜の食堂で私は宣言した。空元気である。「一つ目。森敏也の死亡状況。……ええと、森さんの部屋は鍵はあったが、施錠されてはいなく、誰でも入れる状況であった。けど犯人は屋敷内の人間だね。間違いなく」「はい」柳木が答えた。「それから、ナ

  • 胡飲酒・15

    逃げるようにそそくさと退散したあと、僕は部屋のベットに寝転がっていた。窓の外は白かった。もしかしたらここまで雪が積もっているのかもしれないな。窓硝子にはあっと息を吹きかけると、白いくもりがふわっと浮かんだ。外はきっと寒いだろう。僕はいつまでここにいなけれ

  • 胡飲酒・14

    ねえねえ、という声がしてめをさましました。「あそぼうよう」まりあがぼくに話しかけています。まりあの名前はとてもむずかしい字です。だから「まりあ」はひらがなでかこうと思います。「ええー……ねむいし」そうです。今はくらいくらい夜なのです。ぼくも、ほかのひとも

  • 胡飲酒・13

    きっかけは眞佐子のうわ言じみた遺言状だった。――十数年前、わたしの娘、眞由が結婚前に産んだ子供がいる。――その子は必ず屋敷内にいるから、その子(仮にXとしよう)と眞璃亞に遺産の半分をやる。そんな内容だった。十数年前といえば今Xは学生だ。この館に出入りして

  • 胡飲酒・12

    あなた……とにかくお入りなさい。私のことは誰が教えたんです?ああ――あの人ですか。わかりました。お教えしょう。あなたのお母さんのことを。 ・・・・ 「わからないよ。わからないことだらけだよ」千代女は頭を抱えていた。「捜査するつもりなんてないよ。でももう少

  • 胡飲酒・11

     「……さっきからこの調子で」矢須子は洋室に、惚けたように座っていた。いや、実際惚けているのだろう。自分の恋人でもありこの家での命綱を喪ったのだから。「……探偵さん」卵色の着物と、装飾過多な洋室は妙に似合っていた。「はい」やつれた頬が痛々しい。「私は無学

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