ピアノの鍵盤を操るようにへこませながら音を積み上げるピアニストすらすらとメロディーが生まれては耳の奥に消えていく ドの鍵盤を押してドの音が出るのは不自由な当たり前 空を流れる雲はちぎれてはくっつき絶え間なく形を変える目に
蝉の声が鈴虫に変わったリンリンリンとお財布に付けた鈴の音のように軽やかに寂しく耳に届く 虫の知らせはいつだろう私のちょっとした未来に何かの予感がしたら闇に潜む虫たちと通じ合えたしるし 虫の知らせを待ちながらリンリンリンと
Nがイニシャル左右対称のようで微妙に違う線の行き違い Nがイニシャル気が変わって倒れればZ"ん"も五十音の終わりやっぱり最後が似合ってる 今日もNはチラつきながら転がっているぐるぐると回る方位針がNで
抽象画の中にズルズルと引き込まれるのが好きだ意味だらけの色や形に困惑しながら 空が青いのがウソだと気づけば無色の私がここにいる無色の風を感じながら
雨が降るひそひそと話をするように小さな不思議な音を立てて 空気の壁をつたって傘に落ち流れては落ちるしずく、しずく、しずく… 傘の持ち手が?のように見えるいつもより不思議な雨の世界&n
蒸し暑い夏の台所扉を隔てただけの冷蔵庫の中に別世界があることを 私は知ってるつもりだった セミは鳴くそんなに長い間生きていて何が楽しいの?と 夏の時間が降っている雨のように星のように私の髪に肩に降りかかる&nb
手相が道のように見える 細かい縦線は霧雨 明日のことさえ分からないその神秘に触れれば 線もしるしもいらない &nbs
青空に舞う春の雪桜の思想が心に積もる千年前から同じ思いで桜木を見上げてきたこの国の人々春に霞んだ空気の中で薄い薄いピンクが絶妙にアンニュイに調和する本当の美しさは目立たない真の強さは可憐で儚い春がそっと来るたびに桜に教えを乞う私でいたい
淡い薄日と暖気に支配された白壁に浮かぶこげ茶色の絵画暗色がほほ笑むように微かに霞んでる決して春を思わせないその暗い茶色が春気を含んだ空気に負けて笑みをもらした春が来た… と気づいた
安定をしないから自由で気ままに飛べるのだ揺れるのだ安定をしない不安定は何も始まってない白んだ朝不安があるから澄み切ったものに魅かれるのだ願うのだ不安の定まった不安定は月を映した輝く湖面
春を待つ気持ちがまだ寒い空気の中に散らかった光の粒を掃き集めさせる低気圧の下の私は今年最後の北風を体いっぱいに受け止めて去りゆく冬の未練がましい抵抗をむき出しになった額に頬に記憶として残せるだろうか。。。去る者が残すもの春になる前のこの刹那
時が流れて久しい…懐かしいとは変わらない何かを見つけたとき目をそらせない花がそこに咲いて同じように私の中にも花が咲く懐かしいとは時間を無視してそこに生き続けた残骸が心を奪いながら転がっている揺らぐ午後の斑な光が遊びににも似た無邪気な動きをや
好きな物がひしめく部屋で異国を想う愛着に石にされた指は地球儀さえも回しずらい空で風を切れる鳥にはかなわない星を見て旅をする川の流れをひたすらたどる足元に落ちた抜羽をやっと拾った私
小雨にうなずく枝枝鮮やかな艶はセルロイドしっくりとしっとりと窓にはまった景色湿れば 重く染みれば 定着心に残る雨模様
昨日より白々とした半袖の腕にせっかちな小さい秋が追いついたラッパ吹きのユリの花涼しさに酔いしれたファンファーレそわそわと堂々と鈴虫が歌いだす
いつも道にいる猫「こっちだよ」と振り返りながら歩き出すついて行く私は君と同じガラスの目昼光をむさぼったステンドグラスの家の窓夕闇に咲く薔薇を見つけた
湿気に溶けはじめた自分を夕焼け空に解放した雨が過ぎては澄んで高くなる空キラキラと夕日に反射する風鈴の笑い声鮮やかさにハッとしながら光をまとった傘をたたむ
木陰のセミが時間を跳ね返しながら鳴いている短い一生に未練が追いつくわけもない抜け殻がそっとひっそり美しい8月の大合唱
壁に遊ぶ光の才能喜々として揺らぐ自由な輪郭モーツアルトはゴッホの糸杉の情熱をきっと理解できただろう刹那的が心に刺さって美しい抽象が心に迫って印象的
椅子に深く座る暑さに負けたすべてが自分を失くしている椅子に浅く身をあずける青空の中に鋏を振る青ザリガニを見つけたまったりと一体化くったりと没個性
セピア色に煙る街いつしかサングラス越しの異文化模様アスファルトに潤むカゲロウぼんやりと暑さを直視した昼下がり遙かな海で台風の卵がかえった
夕に響く故郷の祭太鼓の音に過去の走馬灯山車を引くあの子にも太鼓をたたくあの子にもはっぴ姿でおかっぱ頭の幼い私が宿る提灯の花々盛夏の宵
ピーカンの空が伸びるツタを助ける午後フォークのギターは迷いなく暑さをきざむ普遍に平凡に流れる時間を嫌うように音符が跳ね音を呼ぶ
夏の大三角形下夜空に向く向日葵闇になじめない鮮黄色が太陽だと星座たちの噂話星の瞬きがとまらない紺青の広がり
昼熱を含み切った雷が咳をする暑中に伸び切ったネコが喉を鳴らす溶け切った氷を飲み干す悔いのない夏の夕暮れ
海に沈む太陽夕顔が見る雫の夢花火を映す水面ガラスコップ自慢の立体水雨に濡れそぼる7月生まれの友夏を彩る透明な 水
西日を浴びる葉の隙間に夏の妖精を見つけるパックの様ないたずらっ子が小枝をひそかに揺らせながら人差し指を口に当てて「シーーッ」君の秘密が夏の終わりまで続くようにこぼれる夕日に願いながら夏の夜の夢が咲き始める今日梅雨が明けた
ロウソクに火を灯す宵のはじめの小さな宴生まれたての蛍火が激しく一途に炎になって…焦がれる灼熱の夢をみる飛んで火に入る夏の虫その儚き挑戦を<はッ>と悟れば頬を照るオレンジに命を思う
ストライプのレースカーテンがふわりと揺れても芯ある縦線がその表情を崩さない曇りの窓に息づく梅雨の静けさアリアが流れる梅雨の静けさ雷鳴のびやかに雨の黙想
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