スズランの 白き花咲く ふるさとを 思い出します飽きることなく
スズランの 白き花咲く ふるさとを 思い出します飽きることなく
コーヒーに ザラメの砂糖 二杯入れ ソフト楽しむ喫茶の隅で
ふりかえる ことなどなくて 真っすぐに 前を見ていた二十歳のわれは
青々と まっすぐ伸びる 竹のごと 今日を生きれば春風が吹く
ふるさとは どこもかしこも チューリップ 思い出します信濃川原を
大和路の ひかりあつめて ひらきたる 長谷の寺にて牡丹の花が
今まさに つつじの花の 咲きほこり 春心満ちる根津の神社は
野良ネコの「プー」の命日 近づけば 薔薇が咲きます真紅の薔薇が
板チョコと ホットコーヒー 職場へと 復帰し朝のデスクの上に
完璧な 組み合わせなど ありえない 苦労が分かる学級編成
縄文の 時代が続いて いたならば 無かったろうに戦争などは
次々と 浮かぶあの顔 この顔に 歴史を刻む老いてくわれの
さやかなる みどりの里の 武蔵野に われは住みつきもう五十年
駅前の ツツジの花の 咲き初むる まるで約束したかのごとく
菜の花に ハマグリ添える イタリアン 旬の香りを楽しむランチ
窓を開け 春の粒子を 部屋に入れ 一首を詠う日曜の朝
はなみずき 四月十日に 咲き初むる さくら花よりバトン受け取り
窓からの かすむ秩父の 山を見て 一首を詠うこころ和みて
勤務日の 午後は放課で お花見に 昭和の頃の教職現場は
ベランダに 干したふとんは ふかふかに 初夏の香りをたっぷり吸って
上手いとか 下手ではなくて ありのまま おのれを見つめ素直に詠う
熱湯を そそぎ三分 待つあいだ 拾い読みする夕刊見出し
とりあえず 連休前に 会いましょう 四人チームの元同僚に
四月から はじまるクラスは まっさらで いずれは染まる赤やみどりに
めずらしく 歌が生まれる この午後は がんじがらめの鎧を捨てる
真理など 分からなくとも 直感で こなしていった教職時代
さあ吾は 何を歌えば いいのだろう 今日もカフェにて一首をひねる
未練など 何もないのさ 教職を 終えて静かに校門を去る
陽だまりに ねむるネコにて 癒された 仕事終えてのまる二年間
初めての ひとり暮らしの われを推す 青き芝生のあのキャンパスが・上京した頃
散る花を 惜しむことより 新緑を 楽しみながらわれは前向く
つつじ咲く 駅の広場の カフェで飲む アイスコーヒーほのかに甘く
深呼吸 一回すれば それだけで 下がる血圧クリニックにて
カメラにて からだの奥を 眺めつつ ホッと息つく医師のひとこと
こころなしか 太っとような 気がします 検査終えての食事を取れば
残雪と 蕗のとう見る 角館 一月遅れの秋田の春は
降り続く 雨のにおいの 休日は 息を正してコーヒー淹れる
コーヒーを 絵の具に溶かし 絵を描けば セピア色したジャズの巨匠が
武家屋敷 しだれ桜の 傘をさし 江戸の情緒の歴史を語る・秋田県 角館にて
たんぽぽの 歌を歌った 三月の 音楽朝会今も忘れじ