第四話 春萌え(3) 変わらない野原はともかく、牧柵の外は大変だーとげっそりしながら一周して戻ったら。牟田さんが全く同じ姿勢で牧柵に寄りかかっていた。陽花と同…
物書きブログです。エッセイ、詩、短歌、俳句、ショートショート、小説、ギャグ。渾然一体。(^m^)
ショートストーリーの『えとわ(絵と話)』を中心に、ノンジャンルでいろいろ書いています。中・短編小説も公開してありますので、ご一読いただければ幸いです。(^^)
『秋の始まりを探す』秋の始まりがいつなのかどうしても確かめたいと君は小さな拳を握ったその時見上げた空の雲はまだ綿だった(オオアレチノギク)私はひととき夢想する…
自分を小さく切り刻まないと、大きな集団にフィットさせることができない。そう思い込んでいる人たちがいる。だが、自我を切り刻んでまで当てはめなければならない絶対…
読書ノートの189回めは、乃南アサさんの『鍵』(1992年発表。文庫版は講談社文庫)です。電子本での読書。 乃南アサさんは推理小説、ミステリー畑の作家さんで…
雨だったからわかることと雨だったからわからなくなったことがある雨の向こうに追いやったものと雨の向こうに追いやられたものがある(シンジュ)雨に慰められた日と雨に…
《ショートショート 1367》『褶曲』「硬くても柔らかくても」「うん」「力がかかれば歪むわけよ」 染子が、仮縫いの糸をきゅっと引っ張った。布地が引っ張られてギ…
嵌るのはいいんだが余るのは困る(カゴノキの樹皮)欠けたピースは描けても埋まらない(カゴノキの脱落した樹皮)取り替えて試しては取り違えて嘆くのだ(ナギの樹皮)パ…
読書ノートの188回めは、大崎梢さんの『空色の小鳥』(2015年発表。文庫版は祥伝社文庫)です。 大崎さんについては以前『クローバー・レイン』を取り上げた時…
一ヶ月半にわたって『ファイブ・デイズ・グレイス』をお届けしてまいりました。 久しぶりに気合い十分で十五万字書き切ったのはいいんですが、推敲に執筆の倍くらい時…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-あとがき 通読していただき、ありがとうございました。いかがでしたでしょうか? 発話である前作はプチミステリー…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す最終話 ファイブ・デイズ・グレイス(2) コインランドリーを探し、スーパーで食料と…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す最終話 ファイブ・デイズ・グレイス(1) 喫茶店を出たあと、めーちゃんと一緒にレン…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第8話 反省会(2) ぶち切れた上に自傷とはいえ刃物振り回しちゃっためーちゃんは、…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第8話 反省会(1) とんでもないハプニングがあったものの、大筋ではめーちゃんの独…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第7話 切り断たれたもの(2)「あの……」 いろいろと考え込んでいたら、また紗枝さ…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第7話 切り断たれたもの(1)「はああっ……」 主役のめーちゃんが議事進行役の松橋…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第6話 スラッシュ(/)(2) 私の横から叩きつけるようなすさまじい怒声が噴き上が…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第6話 スラッシュ(/)(1) 紗枝さんのしゃくり上げる音がわずかに響いている会議…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第5話 ダブルライフ(2) 思わず頭を抱えてテーブルに突っ伏してしまう。奇妙な家族…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第5話 ダブルライフ(1) 紗枝さんの衝撃の告白を、脳裏で必死に整理する。店長が言…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第4話 予想外の連続(2) 立ち上がって軽く一礼した松橋さんが、淡々と趣旨を説明す…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第4話 予想外の連続(1) こっそり廊下を覗き、足音の主を確かめる。丈二さんだ。黒…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第3話 シミュレーション(2) アトリエソラにはすぐにたどり着けた。川沿いにある落…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第3話 シミュレーション(1) 電車での移動中、私はずっと頭の中でシミュレーション…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第2話 いざ出陣(2)「どしたの? そんなじっと見て」「いや、自分の時のことを思い…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第2話 いざ出陣(1) 探検散歩から戻ってすぐに、話し合い用の服装に着替える。とは…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第1話 近傍探検(2) 昨日の朝は襲撃に備えるという感じだったけど、今朝は違う。今…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-最終章 五日目:海を目指す第1話 近傍探検(1)「ううー……ねーむーいー」 緊張と睡魔。今日は睡魔が勝った。…
そういえば。この夏は花火を一度も見なかったなと。ふと思い返した。(ハナニガナ) 雲に遮られることのない夏の夜空は何度も見上げたが、それが華やかな花火で彩られ…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-第四章 四日目:水路を掘る第7話 親の形(2) 家に入ってすぐ、大事なことに気づいた。バイトに行く時ばたばた…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-第四章 四日目:水路を掘る第7話 親の形(1) 私への提案、明日の話し合いに向けた地ならし。両方を大きな波乱…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-第四章 四日目:水路を掘る第6話 提案(2) 会話は最良のソースという言い方があるけど、逆もまた真なりだと思…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-第四章 四日目:水路を掘る第6話 提案(1) 父さんは流しのタクシーを拾って私たちを押し込み、運転手さんに行…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-第四章 四日目:水路を掘る第5話 セッティングを詰める(2) 苦笑した父さんの説明はまだ終わらない。「他にも…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-第四章 四日目:水路を掘る第5話 セッティングを詰める(1) 私の懸念を裏付けるように、父さんが問題点を指摘…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-第四章 四日目:水路を掘る第4話 思わぬ助っ人(2) バイトが上がりになるまで、父さんは店舗の真横で店長、松…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-第四章 四日目:水路を掘る第4話 思わぬ助っ人(1) とんでもない龍虎激突があったあと。せき止められていた水…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-第四章 四日目:水路を掘る第3話 最後通牒(2)「まーあ、困ったもんだわ。頑固親父もいい加減にしないと」 さ…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-第四章 四日目:水路を掘る第3話 最後通牒(1) 昨日と違って岡田さんがいない。店長一人で丈二さんを押さえ込…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-第四章 四日目:水路を掘る第2話 龍虎激突(2) すんなり反応できなかった私の背中に、めーちゃんの声がぽんと…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-第四章 四日目:水路を掘る第2話 龍虎激突(1) 丈二さんに家を急襲されるかもしれないという恐怖とは別の、重…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-第四章 四日目:水路を掘る第1話 緊張(2) 目尻がでろんと下がってるめーちゃん。食べてるサンドイッチがおい…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-第四章 四日目:水路を掘る第1話 緊張(1)「しんどい……」 朝陽が目の奥で散ったまま出口を失ってる。身体と…
緑に浮かぶ白があり緑に沈む黒がある(キョウチクトウ)緑になじむ白があり緑になじまぬ黒がある(ニワナナカマド)緑を拒む白があり緑に溶け込む黒がある(オリエンタル…
シーズン6 第九話 竜胆(2)「いやいや、急かすつもりなど毛頭ない。お主にとって最良の道は何かをじっくり考えてくれ。私もアラウスカもペテルも知恵は貸せる。じゃ…
シーズン6 第九話 竜胆(1) 真夏の酷暑と渇水は私がオストレクの術を破ったあともしばらく続いたが、徐々に和らいだ。空に湿った雲が次々に流れ込んで乾き切った蒼…
ファイブ・デイズ・グレイス -レンタル屋の天使2-ちょっと中休み 八月九日にスタートした本話。八月中に五日間のうち初日から三日目までをお送りいたしました。ここ…
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第四話 春萌え(3) 変わらない野原はともかく、牧柵の外は大変だーとげっそりしながら一周して戻ったら。牟田さんが全く同じ姿勢で牧柵に寄りかかっていた。陽花と同…
第四話 春萌え(2)「いやあ、ひっさしぶりだなあ」 思わず口走る。子供らがまだ小さい頃は子供を連れて中を歩き回っていたが、それ以降は野原を訪れること自体数える…
第四話 春萌え(1)「参ったなあ……」 ぽよぽよと春萌えが始まった野原をぼんやり見渡しながら、細い溜息を春風に吹き流している。俺一人のはずの野原に予想外の先客…
太陽は増殖する(ノゲシ)薄暗いところでは華やかに燃え盛り(セイヨウタンポポ)明るいところでは炎熱をかじり取り(ノボロギク)火の粉を散らして次々に増え広がる(ヤ…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「どうしても花を咲かせないとだめなのかな」「そんなことはないと思うけど。ただ、目立たないだけ」「目立ちた…
《ショートショート 1462》『手水鉢』 (かうんたーぱーと 8)「おむすびころりんなら可愛げがあるが、これはないな」「勘弁してほしいです」 スタッフ全員で、…
「なんか、客からクレームが来てるんだが」「クレームぅ?」「そう。看板に偽りありだとめちゃめちゃ怒ってる」「知ったことか。俺たちゃまともに商売してるぞ」「だよな…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 今年は桜の開花が遅かったので、画像が例年以上に溜まりました。お蔵入りさせてしまうのはもったいないので、…
読書ノートの263回めは、川上弘美さんの『蛇を踏む』(1996年発表。文庫版は文春文庫)です。電子本での読書。 川上さんの作品はこれまでも取り上げてきたので…
下を向いてぶつぶつ言うってのは。 アブナイ人か。ぼっちのコミュ障か。 いやそこまでは言わないにしても、あまり好印象にはなりません。 それが一人でなく大勢にな…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「民間でもロケットを飛ばす時代になったんだな」「目指せ、スペースXだ!」「いや、それはいいけど。なんかお…
《ショートショート 1461》『相棒』 (かうんたーぱーと 7)「合わない?」「合わない。徹底的に」「うーん、仕方ないな。代えるしかないか」「そうしてくれ」 …
さて。えとわ1400番代後半はフリーに書き始めましたが、随時サブテーマの虫干しをしていく予定です。これからの五話は、『かうんたーぱーと』というサブテーマでお…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)花のようだが 花ではない花ではないようだが 花だ 葉を鑑賞するハボタンですが、春にはちゃんと花が咲きます。 葉の豪…
読書ノートの262回めは、樋口有介さんの『風少女』(1990年発表。文庫版は創元推理文庫)です。電子本での読書。 樋口さんは初読みの作家さん。推理小説畑の方…
「星がたくさん瞬く時は、人生で一番いい時だってよ」「電信柱に激突して目の前に星がいっぱい飛んでる俺に言わないでくれ」(ゴールデンクラッカー)「やっぱ、星一つよ…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「なんか、微妙だよね」「うん。すっごく微妙」「ほんの数センチの差だよね」「うん。微妙な距離の違い」「それ…
《ショートショート 1460》『上納と下賜』「のう、源太。同じものだよなあ」「そうじゃ。同じじゃ」 二人の百姓が、真新しい酒樽を神輿のように担いで畦道を歩いて…
「いやあ、どうにも釈然としないな」「なにがだ?」「冬には言われるんだよ。尽きせぬ生命力を感じさせてくれるから素晴らしいってね」「ほう」「でも、夏には暑苦しい、…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「美人ダンサーがずらあっと揃って群舞だぜ! しかもすぐ目の前だぜ! 触れるんだぜ!」「いや、触るのはまず…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第2話 過去への散歩(2) それでも。母、植田さん、前沢先生という極めて限られた人で固められていた鶏小屋の壁は、…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第2話 過去への散歩(1) 「うーん、まだ二時間もあるのかー」 ハンバーガーショップから出ると、途端に手詰まりに…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第1話 お嬢様、それはいかがなものかと(2)「あいつらも、極端から極端やな」 くわえたタバコに火を点けるのも忘れ…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第1話 お嬢様、それはいかがなものかと(1) なんちゃって女子寮こと第二梅花寮(実はただのおんぼろシェアハウス)…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3- 予告 さて。そろそろ長編を書きたいと思いつつ、なかなかモチベーションが上がらなくてずっと悩んでいたんですが。もういいや、いっ…
おかげさまで、えとわの話数が1400話に到達しました。 最近は作話のエネルギーを中・長編に多く割いている関係で、話数の増加速度がとても遅くなっています。まあ…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 蛍の光が流れているのに、ずうずうしく居残りを決め込むやつがいる。さっさと退店してくれないと、あとの業務…
《えとわ(絵と話)》 (ショートショートシリーズ)その28(1351〜1400)1351.塩と抹茶1352.フラクタル1353.島々の掟1354.猫足プリント…
《ショートショート 1400》『長毛種』「ウィル。お客さんはこっちに着いたのか?」「到着したよ」「もう個室に入れたんだな」「ああ。入室してもらってる」 ベイツ…
「おっちゃん、聞いたか?」「なにをや」「俺らの中にサクラがおるらしいで」「何言うてんの。俺ら桜やん。おるのが当たり前やろ」◇ ◇ ◇ だだあっと桜が駆け抜けて…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 美というのは儚いものである。 どれほど永遠の美を望んだところで、叶えられることはない。 過ぎゆく時と共…
読書ノートの221回めは、神戸遥真さんの『休日に奏でるプレクトラム』(2018年発表。文庫版はメディアワークス文庫)です。 神戸さんは初読みの作家さん。『ス…
「赤く咲くのは……なんだっけ?」「歌詞の話?」「いや、赤く咲くって言ったら、何が代表になるんだろうなあと思って」「薔薇あたりじゃないの?」「薔薇かあ……ひねり…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「じゃんけんでグーしか出せないのは致命的だ。困ったなあ」「安心しろ。俺たちのじゃんけんは進化する!」「ほ…
《ショートショート 1399》『迷路』「やっぱ、スタバで待ち合わせは無謀だったか」 若い女性ばかりが溢れかえるスタバの隅っこで、俺はものすごく肩身の狭い思いを…
「花が咲けば、実を結んで枯れる。別に不思議でもなんともないけど」「じゃあ、聞くけどさ。リンゴとかミカンとかが、年月かけて花が咲いて実がなって、そのあとすぐ枯れ…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)「君、地味だね」「うん。新生児だから、もっと目立ちたいんだけどな」「大きくなっても地味だもんね」「そう。これと言っ…
読書ノートの220回め。近況と読書状況をちびっと。 ちょいと本業の方が忙しくなって、読書も執筆の方も滞り気味です。読む本がどんどん軽量級になっていくなあ。と…
「なあ」「なんだ」「俺たちだってしっかり咲いてんのによ。桜ばっか注目されるってのは面白くねえな」(ツバキ)「そらあしゃあねえさ。あっちの方がずっと図体がでけえ…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「わたしたちはAKB48。団員一同、ものすごく努力してる」「なのに、どうしてその努力が実らないのだろう」…