毎年毎年、破ってはいけない約束のように桜が咲き乱れます。今年は咲き出しが遅かったこともあって、ずいぶんと長く楽しませてもらいました。桜の季節は変わらずに来る…
物書きブログです。エッセイ、詩、短歌、俳句、ショートショート、小説、ギャグ。渾然一体。(^m^)
ショートストーリーの『えとわ(絵と話)』を中心に、ノンジャンルでいろいろ書いています。中・短編小説も公開してありますので、ご一読いただければ幸いです。(^^)
白かった夏と白くない夏があった(イボタ)周りが白くない時には白くなり周りが白い時には白くなれなかった(トウネズミモチ)どれだけ重ねても白いものは白いままでどれ…
へっぽこたんていなかむらみさおのてちょう せってん あとがき
第三部 第十四話 接点 あとがき 第十四話はいかがでしたか? まさか、痴漢騒動の時に潔白を証言してくれた女性が弁護士さんだとは夢にも思わなかったみさちゃん。…
第三部 第十四話 接点(14) にまにましそうになる口元をぎっと引き締めながら、現時点での仮プランをまとめる。「鬼沢さん。事業者登録にあたって何が必要かは三中…
第三部 第十四話 接点(13)「ほう。なるほどな」「どうですか、正平さん」「いや、俺は家を畳もうと思ってたから使ってくれるなら嬉しいけどよ。こんな古臭い家で大…
第三部 第十四話 接点(12) 途中離脱できないことを何度も念押しした。我が身可愛さに敵前逃亡したら、福田さんの一生を台無しにするだけじゃ済まない。関わった俺…
第三部 第十四話 接点(11) くたってしまった鬼沢さんを見据えながら話を継ぐ。「私に弁護士資格があれば、他の人になんか頼みませんよ。それこそ相手が二度と再起…
第三部 第十四話 接点(10) 俺らが抱えている懸案についてひろと話し合いをした翌々日。待ち望んでいた鬼沢さんからのアプローチが実現した。 幸い、小林さん、夏…
第三部 第十四話 接点(9) 俺の話を聞き終えたひろが絶句してる。「正平さんがアパートで一人暮らし? ありえない……でしょ?」「ありえないよ。あの家は正平さん…
第三部 第十四話 接点(8) 今度こそすっかり寝入った月乃をひろにそっと渡し、もう一つの懸案事項を明かしておくことにする。「俺の方でもちと厄介な問題を抱え込ん…
第三部 第十四話 接点(7) 懸案事項の一つは、佐伯さんのインターンシップに関すること。佐伯さん自身はとても前向きに考えてくれてるし、ひろも最初からずっと乗り…
第三部 第十四話 接点(6) 断片情報だけを与えて彼女を突き放したのには、もう一つ理由がある。 彼女は今間違いなく崖っぷちにいる。このまま手をこまねいていれば…
第三部 第十四話 接点(5) 痩せても枯れても弁護士さんなんだ。プロとしてのプライドは彼女にもあるだろう。しかも失職されたばかり。ひどく傷ついている女性への配…
第三部 第十四話 接点(4) ぎゅうっと唇を噛んだ鬼沢さんを見て、こっそり苦笑する。 どんなに弁護側有利の法的材料を積み上げても、それだけじゃだめさ。相手だっ…
第三部 第十四話 接点(3) そうか。俺に謝りたいというよりも、仕事関係以外の人付き合いがないから恩を着せてある俺くらいしか接点の持てる相手が思い付かなかった…
第三部 第十四話 接点(2) おいおい。思わずずっこけそうになる。「うはあ、それは逆ですよ。あなたをトラブルに巻き込んでしまったのは私です。本来なら、私の方か…
第三部 第十四話 接点(1) 四引く三は一。案件四重奏は三つが終演となり、残り一つだけが不気味な通奏低音としてまだ鳴り響いている。 鹿間雄介という若社長の身上…
案件が重なって超多忙だった上に、痴漢冤罪騒動にまで巻き込まれたみさちゃん。ぐったりですが、四件のうちウエディアルの件だけがまだすっきり片付いていません。 次…
臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ わたしが暮らしているところはどちらかといえば都市寄りなんですが、川のすぐ側ですし、田畑やちょっとした丘陵も近くにあるところ…
《ショートショート 1308》『ふんわり』 (苔緑 21)「ラビットファー?」「そう」 小さなキーホルダー。金具の先にふわっとした毛の塊がぶら下がっている。珍…
百合を抱いた乙女が一人辻に立って秋波を送る誘われた男の目の中に女ではなく百合が焼きつく(オリエンタルリリー)それは確かに女なのだろうか女に見えるあやかしではな…
読書ノートの138回めは、伊藤たかみさんの『ぎぶそん』(2005年発表。文庫版はポプラ文庫ピュアフル)です。 伊藤さんについてはこれまで何作もご紹介してきま…
人が道を見失う理由には、二種類あると思う。 道標が全くない場合と。 道標が多すぎる場合だ。 そして特に深刻な問題に発展するのは、後者の方だと思う。(シマスズ…
《ショートショート 1307》『みっちり』 (苔緑 20)「みっちり生えるってか」「そう」 タカノがどこぞのサイトでたまたま見つけたという発毛スプレーは、見る…
暑くて枯れたわけじゃない 水が切れて枯れたわけでもない 夏が過ぎたから枯れたんだ ただそれだけ 特別なことじゃないさ(ナギナタガヤ?)「枯れてなお美しいって…
読書ノートの137回めは、藤原伊織さんの『テロリストのパラソル』(1995年発表。文庫版は角川文庫)です。 藤原さんは推理小説畑の作家さんですが、現ドラや純…
陸(おか)にあがった河童。アウェイの立場で、何もできない無力な状態のことですね。その逆が、水を得た魚。 ただ。実際には陸上で元気に暮らしている河童は大勢いま…
《ショートショート 1306》『うんざり』 (苔緑 19) どこに行っても大勢の人がいる。うんざりだ。落ち着いた場所でのんびりリラックスしたいと思っても、俺の…
理で始まるものは好ましい理解はあった方がいいし理屈は通った方がいいし理性は保った方がいいからでも世の中はそんなに甘くないそんなのは無理まかり通る不合理首を傾げ…
「腐らないのはおかしい。万物は腐るんだよ」(ベニタケの仲間?) 腐ることが意識しされないのは、腐ったものがすぐに除去されてしまうからだ。 腐るというのは形ある…
読書ノートの136回めは、中山智幸さんの『暗号のポラリス』(2015年発表。NHK出版)です。 中山さんの作品も、初読。どのような作品を書かれる方なのかは寡…
植物は独立独歩で生活している……そういうイメージを持ちがちなんですが、実際にはかなりの植物が他の生物との共生関係に依存しています。 共生には、相互にメリット…
《ショートショート 1305》『散華』「結婚式の時のフラワーシャワー」「うん」「あれって、残酷だと思わない?」 結婚式を目前に控えたカナコが、パフェの底に溶け…
(ウバタマムシ)「どうした? 暑いからじっとしてるのか?」「いや、ちぃと考え事してたんだ」「ほう、考え事か。深遠なる宇宙の真理でも考えてたのか?」「おれは男な…
読書ノートの135回めは、遠藤彩見さんの『キッチン・ブルー』(2015年発表。文庫版は新潮文庫)です。 遠藤さんの作品を読むのは初めて。『給食のおにいさん』…
豊かに実るものが、美しいとは限らない(フサアカシアの莢果)豊かに実ったものが、長く残るとは限らない(ウワミズザクラの液果)豊かに実ることが、好ましいとは限らな…
シーズン5 第九話 蒼茫(2) 夕食後に三人を召集し、私の計画を伝えた。いろいろ考えてはみたが、各人の真意をつまびらかにした上で関係者の総意で解を探るしかある…
シーズン5 第九話 蒼茫(1) 酷暑の角が取れて少しくしのぎやすくなってきたというのに、私の気分はどうにも優れなかった。「ううむ……」 執務室の机の上に片肘を…
『長い月の顎』九月月の顎が長いことを知りその顎に俺の荷物を引っ掛ける俺の荷物も誰かに負わされたものだ俺の代わりに月が持ってくれるのならそりゃあ助かるでも月はい…
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毎年毎年、破ってはいけない約束のように桜が咲き乱れます。今年は咲き出しが遅かったこともあって、ずいぶんと長く楽しませてもらいました。桜の季節は変わらずに来る…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 日脚が伸びて暖かくなってくると、ほにゃらあっという感じでお出ましになる方々がおられます。 みなさんよく…
読書ノートの264回めは、藤原伊織さんの『ダックスフントのワープ』(2000年発表。文庫版は文春文庫)です。 藤原さんについては、以前『テロリストのパラソル…
固く折り畳まれていた未来が(トチノキ)折り目に沿ってじわりと緩む(ムクロジ)明るい未来は保証されていない(ヤツデ)だが少なくとも今は明るいのだ(アジサイ)残っ…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「ねえねえ、趣味と実益を兼ねたアルバイトってなんですか?」「筍掘りだ」「わ! そりゃあ、すげえ! 掘った…
第四話 春萌え(5)「豊島さん、ご主人の博打は結局当たったんですか?」 こういう聞き方もどうかと思ったんだが、突っ込まれっぱなしというのも癪に触るからな。だが…
第四話 春萌え(4) 俺に家内のことを聞いたくらいだから、おそらくカレシ関係の悩みなんだろうなと、大体のあたりはつく。だが、さすがにそっち方面は自分の分だけで…
第四話 春萌え(3) 変わらない野原はともかく、牧柵の外は大変だーとげっそりしながら一周して戻ったら。牟田さんが全く同じ姿勢で牧柵に寄りかかっていた。陽花と同…
第四話 春萌え(2)「いやあ、ひっさしぶりだなあ」 思わず口走る。子供らがまだ小さい頃は子供を連れて中を歩き回っていたが、それ以降は野原を訪れること自体数える…
第四話 春萌え(1)「参ったなあ……」 ぽよぽよと春萌えが始まった野原をぼんやり見渡しながら、細い溜息を春風に吹き流している。俺一人のはずの野原に予想外の先客…
太陽は増殖する(ノゲシ)薄暗いところでは華やかに燃え盛り(セイヨウタンポポ)明るいところでは炎熱をかじり取り(ノボロギク)火の粉を散らして次々に増え広がる(ヤ…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「どうしても花を咲かせないとだめなのかな」「そんなことはないと思うけど。ただ、目立たないだけ」「目立ちた…
《ショートショート 1462》『手水鉢』 (かうんたーぱーと 8)「おむすびころりんなら可愛げがあるが、これはないな」「勘弁してほしいです」 スタッフ全員で、…
「なんか、客からクレームが来てるんだが」「クレームぅ?」「そう。看板に偽りありだとめちゃめちゃ怒ってる」「知ったことか。俺たちゃまともに商売してるぞ」「だよな…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 今年は桜の開花が遅かったので、画像が例年以上に溜まりました。お蔵入りさせてしまうのはもったいないので、…
読書ノートの263回めは、川上弘美さんの『蛇を踏む』(1996年発表。文庫版は文春文庫)です。電子本での読書。 川上さんの作品はこれまでも取り上げてきたので…
下を向いてぶつぶつ言うってのは。 アブナイ人か。ぼっちのコミュ障か。 いやそこまでは言わないにしても、あまり好印象にはなりません。 それが一人でなく大勢にな…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇「民間でもロケットを飛ばす時代になったんだな」「目指せ、スペースXだ!」「いや、それはいいけど。なんかお…
《ショートショート 1461》『相棒』 (かうんたーぱーと 7)「合わない?」「合わない。徹底的に」「うーん、仕方ないな。代えるしかないか」「そうしてくれ」 …
さて。えとわ1400番代後半はフリーに書き始めましたが、随時サブテーマの虫干しをしていく予定です。これからの五話は、『かうんたーぱーと』というサブテーマでお…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第7話 内覧と怪談(2) スーパーの駐車場を突っ切って中通りに入るところに、一軒のお屋敷がある。古いけど、しっか…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第7話 内覧と怪談(1) 店長がたぶんオールだって言ってたけど、丈二さんの沈没と同時に客間が静かになった。客間か…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第6話 男泣き(2) 母には「絶対に自分から離れない夫」がどうしても必要だった。私を庇護するためではなく、実父代…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第6話 男泣き(1) ちょっと微妙なやり取りだったけど、紗枝さんに私の事情をオープンにしたので気分的にはすっきり…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第5話 秘密にするつもりはない(2) 急に顔をしかめた私を見て、紗枝さんが慌てた。「どうなさいました?」「いえ、…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第5話 秘密にするつもりはない(1)「萌絵、松橋さんが呼んでるの。ちょっと、いい?」 ドアの外で紗枝さんの声がし…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第4話 繭(2) 世間一般に言えば、結構女の子路線の部屋なのかなあと思ったんだけど。そうか。めーちゃんの好みとは…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第4話 繭(1) サポーターがいっぱいいると言っても、ずっと半幽閉状態にされていた家に戻るのは強烈なストレスだっ…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第3話 自己犠牲(2)「ルイは、自分を守るための幽閉やったとおかんをかばった。めーちゃんも、丈二に大嫌いだとか許…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第3話 自己犠牲(1) 少し早かったけどレンタルショップに戻って、店長とわいわい雑談している間に荷出しの時間近く…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第2話 過去への散歩(2) それでも。母、植田さん、前沢先生という極めて限られた人で固められていた鶏小屋の壁は、…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第2話 過去への散歩(1) 「うーん、まだ二時間もあるのかー」 ハンバーガーショップから出ると、途端に手詰まりに…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第1話 お嬢様、それはいかがなものかと(2)「あいつらも、極端から極端やな」 くわえたタバコに火を点けるのも忘れ…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3-前章 桜を観る第1話 お嬢様、それはいかがなものかと(1) なんちゃって女子寮こと第二梅花寮(実はただのおんぼろシェアハウス)…
桜と幽霊 -レンタル屋の天使3- 予告 さて。そろそろ長編を書きたいと思いつつ、なかなかモチベーションが上がらなくてずっと悩んでいたんですが。もういいや、いっ…
おかげさまで、えとわの話数が1400話に到達しました。 最近は作話のエネルギーを中・長編に多く割いている関係で、話数の増加速度がとても遅くなっています。まあ…
季節画像消化のための臨時増刊です。(^^)◇ ◇ ◇ 蛍の光が流れているのに、ずうずうしく居残りを決め込むやつがいる。さっさと退店してくれないと、あとの業務…
《えとわ(絵と話)》 (ショートショートシリーズ)その28(1351〜1400)1351.塩と抹茶1352.フラクタル1353.島々の掟1354.猫足プリント…
《ショートショート 1400》『長毛種』「ウィル。お客さんはこっちに着いたのか?」「到着したよ」「もう個室に入れたんだな」「ああ。入室してもらってる」 ベイツ…
「おっちゃん、聞いたか?」「なにをや」「俺らの中にサクラがおるらしいで」「何言うてんの。俺ら桜やん。おるのが当たり前やろ」◇ ◇ ◇ だだあっと桜が駆け抜けて…