A・ローウェン「ナルシシズムという病 文化・心理・身体の病理」初版第1刷発行-1990年12月20日 初版第5刷発行-1996年2月1日 新曜社 快楽とは生の肯定的な経験である。のどが渇いたときにつめたい水を飲むことは、真の快楽の一例である。そのような快楽と最上のカクテルを結びつけることは困難であろう。おなじように、お腹がすいているときにとるほどよい食事は、どんなものであっても楽しい。他方、お腹がすいていないときに...
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■女性セブン2021年10月14日号「毒性が強いコロナ変異株は発生しない」英ワクチン開発者の発表の根拠とは より ☟ 「新型コロナもその他のウイルスも、毒性が強くなりすぎて“宿主”であるヒトが死んでしまうと新たな感染先が見つからず、かえって感染が広がらなくなります。つまり、ウイルス自身が生き残れなくなるんです。 また、毒性が強くなるとワクチンもすぐに作られてしまうので、ウイルスの生き残り戦略として不利...
■平均回帰の法則「私の経験から言って、半インチからニインチ半の間なら、どんな大きさのアンズでも作ることができる。 しかし、グレープフルーツのように大きいアンズは、絶対に作れない。 つまり、改良にも限界があり、限界の法則というものがある。平均回帰の法則である。広範囲にわたって実験してみたが、やはりこの体験が立証されただけだった。 つまり動物も植物も、遺伝的に常に今ある姿から極端に離れまいとする傾向が...
公益財団法人 腸内細菌学会 胸腺で成熟したナイーブCD4+ T細胞は、二次リンパ組織で活性化されてエフェクター機能を獲得するが、それぞれ異なった機能を持つエフェクター細胞(Th1, Th2, Th17など)に分化し、免疫応答において相補的な役割を担っている。 このうち、Th1細胞は、速やかに血流に入り、感染部位へ移動し、IFN-γやIL-2などのサイトカインを分泌し、マクロファージの活性化や炎症反応を引き起こす。これによりマク...
国際ヒトエピゲノムコンソ-シアム日本チーム「アレルギー疾患・自己免疫疾患とエピゲノム」 より 自己免疫疾患、アレルギー疾患の患者さんのリンパ球では、多くの場合、「ヘルパーT細胞」に何らかの異常がおきている。ヘルパーT細胞は、ほかの免疫担当細胞に指令を与え、抗体の産出や殺菌作用などを作動させる、免疫の司令塔。何百万もの異なる種類の抗原を、個々のヘルパーT細胞が1種類ずつ分担して記憶でき、あらゆる免疫応...
■国立研究開発法人/国立成育医療研究センター「新型コロナウイルス感染者では気管支喘息の基礎疾患保有率が有意に少ない」~アレルギー患者では、新型コロナウイルスが上皮細胞への侵入に用いる受容体の発現が低下している可能性~ ☟ ・アレルギー疾患に関連するサイトカイン(インターロキシン13)が、新型コロナウイルスが上皮細胞に侵入する際に結合する分子(アンジオテンシン変換酵素:ACE2)の発現を低下させ、逆に気管支...
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医療法人信岡会/菊池中央病院 「Th1/Th2細胞バランス」 リンパ球には、T細胞と、抗体を作るB細胞があります。T細胞には、さらに、単球・マクロファージ(抗原提示細胞)から抗原を提示され、免疫反応を調節するヘルパーT細胞とウイルス感染細胞などを障害するキラーT細胞があります。 ヘルパーT細胞には、Th1細胞とTh2細胞とがあります。抗原提示細胞がIL-12を産生するとTh1細胞(細胞性免疫)が多くなり、PGE2を産生す...
京都大学 iPS細胞研究所「加齢やサイトメガロウイルス感染が新型コロナウイルス反応性キラーT細胞に与える影響」より 一方、サイトメガロウイルスなどの潜伏感染ウイルスへの感染が、T細胞の構成を大きく変化させることが知られており、またワクチン効果にも影響するという報告があります。サイトメガロウイルスは健常な人でも多くの人が感染しているウイルスであり、このウイルスに感染しているか否かが、新型コロナウイルスに...
京都大学 iPS細胞研究所「加齢やサイトメガロウイルス感染が新型コロナウイルス反応性キラーT細胞に与える影響」より 免疫応答の能力は一般的に加齢に伴って徐々に弱くなり、その一方で炎症反応が起こりやすくなることが知られています。ウイルスに感染した細胞をウイルスごと排除できるキラーT細胞は、免疫細胞の中でも感染症の遷延や重篤化を防ぐ上で主要な役割を果たしています。 免疫系は、異なる特異性を持つ抗原受容...
京都大学 iPS細胞研究所「加齢やサイトメガロウイルス感染が新型コロナウイルス反応性キラーT細胞に与える影響」より ■要旨 COVID-19では、高齢者が重症化しやすいことから、加齢によるリスクファクターがあるのではないかと考えられています。しかし、その実態は必ずしも十分に理解されていません。 一般的にウイルスに対する免疫応答はT細胞が中心的な役割を果たし、ヘルパーT細胞とキラーT細胞が協調して働くことが、新...
体内に病原体などの異物が侵入すると、樹状細胞が貪食し分解 ➡ナイーブヘルパーT細胞へ抗原提示 ➡ナイーブヘルパーT細胞は抗原受容体で有害かどうか判断する ➡有害であると判断した場合、ナイーブヘルパーT細胞は刺激を受け増殖し、エフェクターヘルパーT細胞へと変化する。 樹状細胞はまた、ナイーブ細胞傷害性T細胞へ抗原提示する。 ➡ナイーブ細胞傷害性T細胞は、さらにエフェクターヘルパーT細胞からも刺激を受け、エ...
リンパ系幹細胞は骨髄で造血幹細胞から未熟リンパ球として分化、胸腺(Thymus)へ運ばれると、未熟T細胞に変わり、さらにヘルパーT細胞やキラーT細胞に成熟し、血流に乗ってリンパ節などへ移動する。リンパ液は血液と同様に全身を循環する。血液の血漿(血液から血球を取り除いた)成分は毛細血管で染み出され、細胞に栄養と酸素を運ぶ。静脈に戻れなかった余分な水分は、リンパ管で回収される。この水分(組織液)の中にT細胞や...
COVID-19有識者会議「日本人における新型コロナウイルスIgM、IgG、IgA」より ■抗体検査結果から示唆される交差免疫の存在 新型コロナウイルスの流行が広がるにつれて、日本人を含む東アジア地域と欧米では、COVID-19の罹患率および重症度が異なることが明らかになってきた。その機序としては、新型コロナウイルス受容体のバリアントの相違などの遺伝的要因、マスクの着用や衛星観念の相違といった社会的背景があると推定されて...
■免疫グロブリンの種類 IgGー血中濃度が最も高い抗体。唯一胎盤を通過するもので、胎児にも存在する。感染後期の免疫を担い長期間産生が続く。 IgMー感染初期の免疫を担う。補体活性化に関わる。 IgAー消化管や気道の粘膜に含まれ、唾液にも含まれている。目・鼻。口といった外と触れる粘膜上にも分泌される。母乳にも含まれる。体全体で見たときに、一番多く産生される。 IgEー食物アレルギーに関わる。 IgDー詳細が不...
■アレルギーには免疫反応が関係している ⇒ 体に入ってきた異物に対して、体を守ろうとするのが免疫 ⇒ この反応が強すぎるものがアレルギー ⇒ アレルギーの原因は、免疫の種類、抗体の種類、機序、アレルギー反応の四つに大別される。 ■アレルギー用語 抗原⇒ 体に入ってきた異物 抗体⇒ 異物に対抗して戦うたんぱく質 ■免疫グロブリン 体液性免疫であるB細胞は形質細胞に変化すると、抗体(免疫グロブリン)を産生...
近畿大学薬学部・久保道徳研究室「漢方医学双書ー3」アレルギーと漢方 B細胞は、抗原 に直接結合することはなく、抗体を産生して、抗原を攻撃します。 抗体となるたんばく質には、電気泳動法や超遠心分離などによって、IgG,IgA,IgM,IgD,IgEの五つの種類があることが知られています。 IgAは唾液とか乳汁、涙、消化液 に含まれていて異物が体 の組織内 に入る前に排除する役目を果 たしています。 IgGは主として血液中 に...
Bリンパ球B lymphocyteともいう。 哺乳類では骨髄の造血細胞により分化・増殖する。 胸腺thymusに由来するT細胞に対し,直接,造血幹細胞に由来するところから,骨髄bone marrow由来の意で名づけられた。【コトバンク】増殖したヘルパーT細胞の一部にB細胞が抗原提示する。➡ヘルパーT細胞から指令を受けたB細胞は形質細胞(抗体産生細胞)へ分化。 ➡B細胞はヘルパーT細胞の情報に基づいて抗体を産生。抗体はウィルスに接着し...
■即座に対応する自然免疫のバリアーによって細菌を排除すると同時に獲得免疫が働きだす。 樹状細胞(マクロファージも抗原提示できるが樹状細胞のほうが能力が高い)はリンパ管を通ってリンパ球の集まっているリンパ節へ移動 ➡ヘルパーT細胞に貪食した病原体の断片を提示する(抗原提示) ➡ヘルパーT細胞はT細胞受容体で危険かそうでないかを判断する。➡危険であると判断した場合、ヘルパーT細胞は増殖を始める。 ...
■体内に病原体などの異物が侵入するとマクロファージや樹状細胞がこれを食べる。自然免疫の病原体認識は大雑把。異物であればとりあえず食べる特異性の低い免疫(非特異性免疫)■マクロファージは病原体を食べながらサイトカイン(細胞間で用いられる言葉のようなもの・情報伝達物質)を放出。➡血管内にいる好中球が血管外に飛び出してくる(血管外遊走)➡好中球も病原体をどんどん食べるが、自身も死んで膿になる。■マクロファー...
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公益財団法人・東京都医学総合研究所「子供はなぜ、新型コロナウイルスに感染しにくいのか?」より SARS-CoV-2ウイルスは、大人に比べて子供には感染しにくい、あるいは感染しても重症化しないことが知られていました。ARS-CoV-2が大人に感染すると、呼吸系の症状が顕著であり、急性呼吸窮迫症候群の発症に至る場合があります。 一方、子供の場合は呼吸器系の障害は稀ですが、生命の危機をもたらす小児多臓器系炎症性症候群...
MBLライフサイエンス「細胞性免疫と液性免疫」より https://ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/article/Cellular-immunity-Humoral-immunity.html 獲得免疫は、活躍するヘルパーT細胞の種類や作用の仕方によって、さらに「細胞性免疫」と「液性免疫」に分けられます。 ■細胞性免疫は局所的に起こる免疫反応で、CTL(細胞障害性T細胞)やマクロファージが直接細胞を攻撃する免疫反応です。ヘルパーT細胞の1種で...
近畿大学薬学部・久保道徳研究室「漢方医学双書ー1」排泄の医学と漢方 局所免疫を通過してしまうと、複雑なメカニズムを持つ免疫システムが働くようになります。一度かかったハシカは二度とかからないことはよく知られています。 それは消化、排泄の過程で一度マクロファージに貪食された異物の情報がマクロァージによってリンパ球という細胞に伝達されて記憶されるからです。 リンパ球は骨髄でつくられT細胞とB細胞と...
彼はヒーローではない。我々を見守る番人、沈黙の守護者。闇の騎士「ダークナイト」だ。➡ ジム・ゴードン「ダークナイト」 近畿大学薬学部・久保道徳研究室「漢方医学双書ー1」排泄の医学と漢方 呼吸器から侵入した微生物はまず鼻の穴の中の長い毛によって大きな異物が受けとめられます。指で鼻をさわったり、くしゃみをしたりしてその異物を追い出してしまうこともできます。 また、鼻の中にはベタベタとした粘液がたえ...
菅靖彦「心はどこに向かうのか」NHK Books ワークショップに来たある中年の男性のことが今でも印象に残っている。一対一で対面し、互いの目を見つめ合い、なんらかの心の交流が起こったと感じるまでそれをつづけるという、われわれが「アイコンタクト」と呼んでいるワークをしていた時のことだった。 その男性は落ち着かなげで、なかなか視線が定まらず、ペアになった若い女性とえんえんと対面していなければならなかった。...
菅靖彦「心はどこに向かうのか」NHK Books つまり、規範依存型の人間から規範選択型ないし規範創造型への転換を果たすのだ。 この〈前個/個/超個〉という意識進化の見取り図をこれまでの人間の歴史にあてはめると、人間は自然と一体化して生きてきた原始的な暮らしから出発して、個人を単位とする個人主義の時代を作り上げ、これから個人主義と近代国家の枠組みを超えた超個人的な人類社会を築き上げようとしている物語が...
菅靖彦「心はどこに向かうのか」NHK Books ところで、ウィルバーの意識のスペクトル論の重要性の一つは、われわれが現在、成人の正常な意識とみなしている状態は、きわめて不安定な意識状態であり、今後、人間の意識はさらなる安定化を求めて進化していく可能性があることを示唆している点にある。 つまり階層的な意識の構造論は、発達論的な視点を盛り込めば、人間の意識の進化論になるのである。ただし、発達論的な視点の...
菅靖彦「心はどこに向かうのか」NHK Books 現代のような個人主義の時代には、人間はどうしても狭い自己イメージに拘束されやすい。狭い自己イメージに拘束されるということは、それだけ窮屈な生き方しかできないことを意味する。 たとえば、自分が「マジメな人間」だという自己イメージにとらわれているとしよう。当然、人前で「マジメな人間」を演じることになる。けれども、 マジメなだけの人間などこの世に存在しない。と...
C.G.ユング「タイプ論」みすず書房 もしそうなれば世紀の変わり目に醜い姿を見せた、あの虚ろで味気ない実証主義に陥ってしまい、同時に粗暴な感情や鈍感で尊大な暴力性の先駆形態である、あの知的放漫にも陥ってしまう。客観的な認識能力を過大評価すると、主観的要因・主体の意味そのもの・が抑圧されてしまうのである。 菅靖彦「心はどこに向かうのか」NHK Books 繰り返しになるが、至高体験も神秘体験も普段の意識とは異...
A・グッゲンビュール-クレイグ「結婚の深層」創元社 つまり、我々は、救いとはまさしく何であるかを正確に言うことも、あるいは想像することさえもほとんどできないのであって、ただ様々な救済論的道筋を知っているだけである。救いの状態自体は、多分人間の生涯においては宗教的あるいは哲学的至高経験として短い瞬間に直観されるだけであろう。 日没を見ているとき、あるいは俄雨の中に立っているとき、あるいは教会で洗礼を...
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A・ローウェン「ナルシシズムという病 文化・心理・身体の病理」初版第1刷発行-1990年12月20日 初版第5刷発行-1996年2月1日 新曜社 快楽とは生の肯定的な経験である。のどが渇いたときにつめたい水を飲むことは、真の快楽の一例である。そのような快楽と最上のカクテルを結びつけることは困難であろう。おなじように、お腹がすいているときにとるほどよい食事は、どんなものであっても楽しい。他方、お腹がすいていないときに...
A・ローウェン「ナルシシズムという病 文化・心理・身体の病理」初版第1刷発行-1990年12月20日 初版第5刷発行-1996年2月1日 新曜社 👇 「よき」生活(グッドライフ)の非現実さは、外見上の快楽、或はさまざまな快楽の仕掛けがあるにもかかわらず、それには喜びが欠けているという点にある。この世には喜びなどない、などと私は言おうとしているのではない。だが、「よき」生活と言われるような生活のスタイルにはそれが欠けてい...
A・ローウェン「ナルシシズムという病 文化・心理・身体の病理」初版第1刷発行-1990年12月20日 初版第5刷発行-1996年2月1日 新曜社 👇 現代人はその想像あるいは現実において、子どものときの、そしてまた大人になってからの無力さの経験から生じる内的な絶望を克服するため、力の感覚を必要としているように思われる。だが、複雑な人間的問題が力によって解決できるなどと信じるのは幻想にすぎない。 現代世界の非現実性は...
A・ローウェン「ナルシシズムという病 文化・心理・身体の病理」初版第1刷発行-1990年12月20日 初版第5刷発行-1996年2月1日 新曜社 👇 我々の社会は逃避主義的傾向が非常に強い。とりわけ青年たちに広く見られる麻薬やアルコールの使用はその証左である。私の信じるところでは、若者たちが麻薬に目を向けるのは、自分たちがさらされている過剰な刺激が手に負えないからである。耐えがたい状況から逃避する道を麻薬やアルコール...
A・ローウェン「ナルシシズムという病 文化・心理・身体の病理」初版第1刷発行-1990年12月20日 初版第5刷発行-1996年2月1日 新曜社👇 生気の欠如とイメージヘの陶酔との結びつきは、テレビやビデオに対する我々の関わりにおいて最も明確になる。テレビに対して過度に身をさらすことが身体の生気に抑うつ的な効果を与えることは、誰でも知っている。我々は絶えずイメージの刺激を受けるのだが、それから生じる興奮を解除する方...
A・ローウェン「ナルシシズムという病 文化・心理・身体の病理」初版第1刷発行-1990年12月20日 初版第5刷発行-1996年2月1日 新曜社👇 こうした体操(ロルフィング:米国生まれの手技療法)がもたらしてくれるような身体との接触感覚がなければ、人は現実に根ざした感情(グラウンディング)を失ってしまう。ところが、それこそ今日、多くの人々に生じていることなのである。現代世界の非現実性を一番簡単に特徴づけたいと思う...
エーリッヒ・フロム「愛するということ 新訳版 1991年3月25日 第1刷発行/1996年8月15日 第9刷発行 紀伊國屋書店 愛について学ぶべきものは何もない、という思いこみを生む第二の誤りは、恋に「落ちる」という最初の体験と、愛している、あるいはもっとうまく表現すれば、愛のなかに「とどまっている」という持続的な状態とを、混同していることである。 それまで赤の他人どうしだった二人が、たがいを隔てていた壁を突然取...
エーリッヒ・フロム「愛するということ 新訳版 1991年3月25日 第1刷発行/1996年8月15日 第9刷発行 紀伊國屋書店 👇 このような考え方には、現代社会の発展と関連したいくつかの理由がある。そ の一つは、愛の対象の選び方が今世紀になって大きく変化したことである。ヴィクトリア朝時代には、他の伝統的な社会の場合と同じく、愛は、結婚へと至ることもありうる自発的な個人的体験ではなかった。それどころか、結婚は双方の家あ...
エーリッヒ・フロム「愛するということ 新訳版 1991年3月25日 第1刷発行/1996年8月15日 第9刷発行 紀伊國屋書店👇 何も知らない者は何も愛せない。何もできない者は何も理解できない。何も理解できない者は生きている価値がない。だが、理解できる者は愛し、気づき、見る。……ある物に、より多くの知識がそなわっていれば、それだけ愛は大きくなる。……すべての果実は苺と同時期に実ると思いこんでいる者は葡萄について何一つ知...
エーリッヒ・フロム「愛するということ 新訳版 1991年3月25日 第1刷発行/1996年8月15日 第9刷発行 紀伊國屋書店 はじめに 愛するという技術についての安易な教えを期待してこの本を読む人は、きっと失望するにちがいない。そうした期待とはうらはらに、この本が言わんとするのは、愛というものは、その人の成熟の度合いに関わりなく誰もが簡単に浸れるような感情ではない、ということである。 この本は読者にこう訴える―...
君は悪夢の中で叫ぶ 代償はあまりにも法外だ 君の良心は停止しているのか? 一度それに気づけば 貴方は目覚める 地上にいる ただ一人の人間 二つの耳と二つの目を持つ人間として 君は海を渡り船出する 遠い過去の思い出と 幼年期の終わり 幻想が 厳しい現実に溶けてゆく 帆を揚げると 瞳が潤む 口に出せなかったすべての不安が 究極の選択を迫られる 貴方は誰だ 私は何者だ? 私たちは理解しているといえるだろ...
マセラティG.Tを手に入れた 内装は蛇の革張り ゴールドブラットのカードも でも 君は手に入らない クローゼットに満杯の服 どこに行ったって 誰にも文句は言わせない でも 君は手に入らない バーと酒屋を手に入れた 演奏する曲は444 魔法のナンバーさ 君知らないの? どこにいても完璧にキメてる 俺の右には女がいて 俺の左にも女がいる 俺の周りにはいつでも でも 君だけがいない そう 君だけがいない ...
いつかもらったプレゼントは全部捨てて 出せなかった手紙は全部埋めちゃう だって 簡単なことを簡単だからってするのは よくないの 私は 自分の好きなようにしたい でもできない 彼女は山道を よろよろ進む 山の中を 行くあてもなく でも愛しているなら 心がわかる 私たちが 離れつつあるって いつか 癒す方法を見つける そして 濡れた瞳を乾かすの だって 簡単なことを 簡単だからってするのは よくな...
旅をしながら君のことを考える だから 離れていようと君は独りじゃない 二人が何処にいようと 離れ離れじゃない 君のことを思って行くから 君のことを思う(I’ll think of you) 夢を見るように (as I dream) だから 暗闇の中でも (so when its dark) 君と一緒にいる (you’ll be with me) 二人が何処にいようと 同じ星空を見ることができる そして 夢のなかでも君を思う 長く曲がりくねった道の途中でも 君...
早起きした 早起きした でも そうしない方がよかった 私を追い立てるのは苦しみだった Hill ò bha hò Hill ò bha hò 山には霧がかかっていた 山には霧がかかっていた にわかに 雨が降り 私は 愉快な娘に出会った Hill ò bha hò Hill ò bha hò ワインをあげましょう ワインをあげましょう そして あなたが望むものすべてを でも まだ君を起こしたくない Hill ò bha hò Hill ò bha hò 世間知らずの娘 ...
思い出してみよう 5月だったっけ? それとも11月? 覚えているのは 大きな壁のことだけ それでも 私たちは一緒にいて 一緒に 壁を越えて来た 思い出してみよう 5月だったっけ? それとも11月? 覚えているのは 大きな壁のことだけ それでも 私たちは一緒にいて 一緒に 壁を越えて来た 思い出してみよう 5月だったっけ? それとも11月? 覚えているのは 大きな壁のことだけ それでも 私たちは一緒にいて 一緒...
ぼくは 何であれ自由 望むものが 何であれ ブルースが歌いたければ 歌う ぼくは 何であれ発現する 何であれ 好きなように 間違っていようが 正論だろうが ぼくはこう思う 君は 人の評判ばかり気にする ライブツアーに出るのは いつになることやら・・・ 自分さえ 信じていれば 怖いことなんかないさ 君も 何であれ自由 何を言おうが たとえ実現しなくても かまわない どこにいても自由 どこでも好きな所で 自由に...
何処へ行くかは 知ってる でも 何処にいたのか 知らない 自分が何を知っているかは 言える でも何を見てきたかは 言えない ぼくらは 幼子じゃない 望むものが何か 知ってる そして未来は 確実だから 解決するための 時間が欲しい 行くあてのない旅さ 一緒に 行こうよ 行き先のない旅さ 車に 乗って 今日のぼくは 上機嫌 君も 気づくはずさ 楽園に向かっているんだ さあ行こう さあ行こう 行くあてのない旅さ ...
風向きが 短剣のように変わり 雨は ハンマーのように降る 空が 暗くなってきた だがまだ 遅くはない 天気が 崩壊する 失ったものは 見つからない 闇が 深くなってゆく だがまだ 遅くはない まだ間に合う 遅くはない まだ間に合う 遅くはない 雰囲気は 絶望的だ しかし 私は悪を恐れない 海は 雷のようにうねる 嵐が 私たちを引きずり込む 犬たちが 遠吠えしている でも 遅すぎることはない まだ間に合う ...
私は流されない 流されない 私は流されない 流されない 岸辺に植えられた柳のように 私は流されない 私は天国へ向かっている 私は動じない 天国への道のりで 私は動揺することはない 岸辺に植えられた柳のように 私は動じない 私は流されない 流されない 私は流されない 流されない 岸辺に植えられた柳のように 私は流されない ああ、伝道師よ 私は信念を曲げない ああ、説教者よ 私は信仰を変えない ...
「シュタイナー経済学講座」筑摩書房 わたしは約四十五年前に、ある家族を訪れたことがあります。そこで、ある絵を見せられました。その絵は三十年間、床の上に放置されていました。だれも、その絵に気づかなかったのです。部屋の片隅に放置されていた二十年の間、《経済プロセス》から見て、その絵には何の価値もありませんでした。 ところが、「その絵には三万グルデンの価値がある」ということがわかったのです。当時 の三...
「シュタイナー経済学講座」筑摩書房 「今日、本当に経済活動を把握しようとするなら、″自然のなかへ下降する領域と、資本のなかへ上昇する領域との中間に経済活動がある″と、見なくてはならない。この二つの領域の中間に、本来の経済活動として把握すべきものがある」と、言わなくてはなりません。 しかし、「経済学を学問全体のなかで正しい位置に据えるための概念」など、人々が持ったことは、 一度もありませんでした。「...
「シュタイナー経済学講座」筑摩書房 国民経済ではなく、 スズメたちの経済、ツバメたちの経済を考えてみてください。それも一種 の経済です。しかし、動物界の経済は人間界の域に達することはありません。 ハムスター経済など、「動物資本主義」について語ることもできますが、「動物経済」の本質は、「自然は産品を提供し、個々の動物は、ただそれを受け取る」という点に尽きます。人間は動物的経済 のなかを突き進んできました...
「シュタイナー経済学講座」筑摩書房 最も重要なのは、大戦後の経済の結果が現われる前に、まず社会有機体三分節化の思想をできるだけ多くの人々に伝えることでした。社会有機体三分節化の思想を唱えはじめたとき、今日のような為替相場の状態はまだ生じていませんでした。当時、社会有機体三分節化の思想が理解されていたなら、今日のような為替相場の困難な状況は生じていなかったでしょう。 人々は、「ものごとを実際的に理...
「シュタイナー経済学講座」筑摩書房 最も重要なことは、単に思考だけでなく経済全体において、「イギリス経済対中部ヨーロッパ経済」という、根本的な対立が生じたことです。どのように経済活動が展開されたかは、この対立に基づいています。 この西ヨーロッパと中部ヨーロッパの対立なしには、十九世紀から二十世紀への経済の発展は考えられません。それは、「どのように商品を製造し、販売するか」の相違・対立でした。イギ...
「シュタイナー経済学講座」筑摩書房 もっとも、この「変化」には、さらにほかの要素も結びついています。「イギリスでは、工業化への移行が無意識の内になされた。その移行は、自然のできごとのようになされたのだ」。 ドイツにおいては、 一八三〇年代まで中世的だった。ドイツは農業国だった。しかし、外的な経済状況が依然中世的なかたちで推移しているあいだに、人間の思考は根本的に変化した」と、言うことができます...
「シュタイナー経済学講座」筑摩書房 国民経済学の誕生――イギリスとドイツ まず、きょうは序論のようなことを話し、あすから、現代人が直面している国民経済学、社会経済学についての全体像を明らかにしていきたいと思います。 今日の経済学は、近代の産物です。かつての経済状態に比べ、近代の諸民族の経済活動が非常 に〈複雑〉になったとき、経済学は誕生したのです。この講座は、おもに経済学を専攻している学生を対...
代償の 「激情」は生活のない無力な人生の結果であり、必然の結果である。人間が無力でなくなってはじめて、人間は破壊者やサディストでなくなり、人間が生に興味をもちうる状態だけが、人間の過去から現在にいたる歴史を恥ずかしめたその種の衝動をなくすことができる。➡ エーリッヒ・フロム ロバート・N・ベラー「心の習慣」アメリカ個人主義のゆくえ 彼らにしてみれば、生産性の上で十分な「成果」さえ上っているなら、私た...
ロバート・N・ベラー「心の習慣」アメリカ個人主義のゆくえ 知的専門職の共同体経験といえばふつう地域共同体におけるものではないから、彼らの市民的義務の感覚は都市や町へと向けられてはいな い。彼らの世界観はコスモポリタン的なものであるが、それは高等教育によって形成されたものであり、よく似た他者とのネットワークの中で維持されている。 すなわち、彼らはよく似た訓練を受けてよく似た技術を身につけた者どうし...
ロバート・N・ベラー「心の習慣」アメリカ個人主義のゆくえ 初期のころに職業的行政官の手による国家計画の立案を提唱した者たちのねらいは、脆弱な中央政府のもとでの急速な工業化と都市化がもたらした混乱に秩序をもたらすことにあった。 彼らは、主として中産階級のプロテスタントに属する二〇世紀初期の改革者、プログレッシヴ(革新主義)として知られる者たちである。階級間の争い、移民をめぐる緊張、企業工業経済発...
ロバート・N・ベラー「心の習慣」アメリカ個人主義のゆくえ トクヴィルは、近代社会が自由の喪失へ向かうとすれば、その道筋の一つと なるのが「管理的専制」 ―― ときに彼はこれを「民主的専制」という逆説的用語で呼んでいる―― の出現であろうと考えた。 彼の定義によれば、管理的専制とは「秩序だった、穏和にして平和的なる奴隷制度」といったものである。「それが外面的に自由の形態を取ることは、ふつう考えられる以上...
ロバート・N・ベラー「心の習慣」アメリカ個人主義のゆくえ 大規模な社会をどう理解したらよいものか。すでに見てきように、人々にと って受け入れやすいイメージは、社会は概ね平等な者どうしが集まって公平に競争する市場のようなものだ、というものである。それは、コンセンサス型の自発的共同体 のイメージと対 になって道徳的なバランスを取っている。 だが、いかにこのモデルが広く受け入れられていとはいえ、 これが...
ロバート・N・ベラー「心の習慣」アメリカ個人主義のゆくえ もし個人主義文化が真の文化的・社会的な相違に対処することが困難だとしたら、それが大規模な非人格的組織や制度に対処するのはさらに困難である。政治家は、複雑な問題を人格や道徳のせいにしてしまう誘惑につねにさらされている。 マス・メディァは、政治家の政策的な立場よりも彼らのカリスマ性や政治家どうしの闘争劇のほうによほど関心を寄せている。複雑な...
ロバート・N・ベラー「心の習慣」アメリカ個人主義のゆくえ 同じ集団のメンバーであるセシリア・ダウティーは、たいへん広いヴィジョンをもっているにもかかわらず、自分の仕事は基本的に「サンタモニカの地域共同体を支えてより良いものにしていく」ことだと言っている。 ウェインにとっても、セシリアにとっても、地域共同体からの手応えこそが彼らの政治的コミットメントを支えるものなのである。また、彼らは共同体を自...
ロバート・N・ベラー「心の習慣」アメリカ個人主義のゆくえ 市民精神をもった知的専門職であるエリナー・マックリ ンは、行政学の学位をもっており、国家規模の社会・経済についての理解はハワードやマイクよりも深い。 しかし彼女もまた理想化された小さな町に強い郷愁を抱いている。彼女は、サフォークがふたたび昔風のニューイングランドの町に戻って、人々が 「愛国的な昔風の価値観」にもとづきながら共に協調して働け...
ロバート・N・ベラー「心の習慣」アメリカ個人主義のゆくえ サフォークのタウン・ファーザーであるハワード・ニュートンにとって、小さな町という理想は多少薄まっているとはいえなお生き続けており、そこには護るべき何ものかがある。ハワードによれば、地域共同体の生活におけるモーレスは、他者への顧慮や同情心を育てるばかりではない。自尊心を満足させることに対する強い欲求や、仕事の成功を測る尺度もまたこれによって...
ロバート・N・ベラー「心の習慣」アメリカ個人主義のゆくえ 個人主義的政治観は、そもそもどうして利害の対立が生じたのかを説明することはほとんどできない。 地域、職業集団、人種、宗教集団、性にもとづく利害の違いが実際どのようにして生じているのか、またこれらの集団は自分たちの意志を通すためなぜひどく不揃 いな力を傾けて競わなければならないのか、一般的に理解できる説明はない。 どうやら利害の政治の世界...
ロバート・N・ベラー「心の習慣」アメリカ個人主義のゆくえ もちろん、個人主義的な成功追求に内在する自己利益への専心といったものと、共同体の喜びや公共 の事柄への参加の喜びを得るために必要な他者への気遣いといったものとの間にバランスを保つことは、けっして容易なことではない。 アメリカには、人々がもっとも心を開いたときそれに形と方向性とを与えるいくつかの理念の伝統が生きてきたのだが、これらの理念は経...
ロバート・N・ベラー「心の習慣」アメリカ個人主義のゆくえ たとえばハワード・ニュートンが、自分の町に住む援助を必要としている人々をロータリー・クラブを通じて助けることの喜びについて語るときはどうか。そのさい、彼はアメリカの小都市では経営者が成功した人生を送るには、あらゆる実際的な目的からいって、何かそういった「奉仕クラブ」に参加しないわけにはいかないのだという事実については、全然考えに入れていな...
ロバート・N・ベラー「心の習慣」アメリカ個人主義のゆくえ 仕事もうまくこなし、市民としても分なく暮らすというのは次第に難しくなってきているのだ。社会的なコミ ットメントの気持ちを失った理由を、地域共同体をはなれて、銀行の高度な部署の仕事につくよう圧力を受けていることに帰す一方で、ジムはまたしばし考えたのち、「それにはおせっかいな政府のせいもあるかもしれませんね」と言う。 「政府はおせっかいな母親...