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2012/11/12

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  • 名盤『Uptown Conversation』

    ロン・カーターはジャズ・ベーシストのレジェンド。リーダー作については、ベーシストとしては珍しく、かなりの数に上る。リーダー作というのは、まずテクニックがあって積極性があって、そして、プロデュース力があって、統率力がなければ出来ない。加えて、サイドマンとして、他のジャズマンのリーダー作のセッションに参加した数は膨大な数にのぼる。「演奏内容と共演メンバーを活かすも殺すもベーシスト次第」という面からす...

  • 伝説ベース、ロンの初リーダー作

    ジャズ演奏におけるベースの役割は大きい。まず、演奏全体の曲のボトムをしっかり支える。次に、曲のルート音をしっかり押さえて、曲全体の調性を整える。そして、リズム隊として、ドラムとピアノと共同で、曲のリズム&ビートを供給する。「演奏内容と共演メンバーを活かすも殺すもドラマー次第」というが、ベースもドラマーと同様に、ジャズ演奏における役割は大きい。「演奏内容と共演メンバーを活かすも殺すもベーシスト次第...

  • シェリー・マンの絶妙な職人芸

    米国ウエストコースト・ジャズは「小粋に聴かせるジャズ」。演奏の基本はハードバップだが、優れたアレンジを施し、演奏テクニックは極上、個の演奏よりグループサウンズを優先。アンサンブルとインタープレイがメイン、聴き手にしっかりと訴求する、聴き応えがあって、聴き味の良いジャズ演奏を「聴かせる」。そんなウエストコースト・ジャズにおいて、ドラマーの役割は重要。演奏内容と共演メンバーを活かすも殺すもドラマー次...

  • ブラジリアン・フュージョン名盤

    我がバーチャル音楽喫茶「松和」は、フュージョン・ジャズも分け隔てせず範疇に入れて、ジャズ盤の感想を掲載している。フュージョン・ジャズも「良い音楽」と「悪い音楽」とがあって、当然、「良い音楽」なアルバムも沢山ある。決して、「時代の徒花」などと突き放すことはしていない。今月の最新号、レコード・コレクターズ 2024年5月号の「【特集】 フュージョン・ベスト100 洋楽編」を読んでいて、ベスト100に...

  • ニュー・ジャズなドラミング

    ジャック・デジョネット(Jack DeJohnette)。John Abercrombieの『Timeless』(1974)辺りから、サイドマンとしては、ECMレーベルのハウス・ドラマーとして、数々のアルバムのドラムを務めている。1983年からは、キース・ジャレット率いる「スタンダーズ」の専任ドラマーとして、キースが引退状態になる2018年まで継続した。特に、ECMサウンドには欠かせない「臨機応...

  • ラーズ・ヤンソンの攻めのピアノ

    ラーズ・ヤンソンは、1951年、スウェーデン生まれ。1975年、プロとしての活動がスタート。自己のトリオを結成した1979年以後は、北欧ジャズの第一線で活躍している「古参」の存在。1980年代に優れた内容のリーダー作を連発、国際的にも北欧ジャズの担い手なる一流ジャズ・ピアニストとして認知されている。Lars Jansson Trio 『The Time We Have』(写真左)。1996年3月...

  • 好盤 『Kessel Plays Standards』

    バーニー・ケッセルのギターは、チャーリー・クリスチャンを源とするビ・バップ・ギターを洗練させ、ビ・バップ・ギターの奏法を取りまとめて、ひとつのスタイルとして完成させたもの。コード弾きを織り交ぜたシングル・トーンの旋律弾き、伴奏に回った時のクールなコード弾きのカッティング、太いトーンでホーンライクに弾きまくるアドリブ・フレーズ。バーニー・ケッセルのギター奏法は、源にチャーリー・クリスチャンのモダン...

  • 名盤 『スペシャル・エディション』

    歴代のファースト・コールなドラマーのレジェンドの一人、ジャック・ディジョネット。ディジョネットもリーダーとして優れたリーダー作を多数リリースしている。ディジョネットのドラミングは「ポリリズム」。ファンクネスはかなり控えめで、品が良く切れ味の良い、クールなポリリズムが身上。1969年、帝王マイルスがディジョネットを見初めて、「ロスト・クインテット」でドラムを叩いたが、ツアーに出るのが嫌で、マイルス...

  • Bill Bruford 『Feels Good to Me』

    ジャズを本格的に聴き出す前は「ロック小僧」だった。高校に入って、いきなりプログレッシブ・ロック(略して「プログレ」)に嵌った。EL&Pから始まって、イエス、キング・クリムゾン、ピンク・フロイド、フォーカス、ジェネシス、ムーディー・ブルース等々、クラブの先輩達とガッツリ聴きまくった。このプログレ好き、バカテク+インスト中心の楽曲好きが昂じて、即興演奏がメインのインストの「ジャズ」に興味が移...

  • クルセイダーズの『旋風に舞う』

    クロスオーバー・ファンクに音楽性が変化した「クルセイダーズ」。『サザン・コンフォート』(1974年) から、徐々に米国南部の粘りのあるファンクネスが抜けて、洗練されたアーバンな雰囲気のファンクネスに変化、同時に、当時流行し始めていたフュージョン・ジャズにいち早く、適応していった時期が1970年代半ばの頃。そんな時期に、いよいよ、フュージョン・ファンクな音を整えたクルセイダーズの好盤がリリースされる...

  • ジャズ喫茶で流したい・270

    オスカー・ピーターソンは、ジャズを本格的に聴き始めた頃からの「お気に入りピアニスト」。「鍵盤の皇帝」と呼ばれるほどの超絶技巧とスイング感。高速フレーズをバリバリ弾きまくる。ドライブ感&グルーヴ感抜群。歌心溢れるバラード表現も秀逸。『Con Alma: The Oscar Peterson Trio – Live in Lugano, 1964』(写真左)。1964年5月26日のライヴ録音。ちなみ...

  • 清々しいブレイクのドラミングです。

    ジョナサン・ブレイク(Johnathan Blake)。1976年7月生まれ。今年で48歳。現代ジャズにおけるファースト・コール・ドラマーの一人。ブレイクのドラムは伝統的なハードバップ〜モード・ジャズのドラミングの継承。テクニックが高い分、彼のドラミングには幅と余裕があるが、叩きだすビートはポジティヴで「攻めのドラミング」である。Johnathan Blake『Passage』(写真左)。202...

  • ブライアン・ブレイドの初リーダー作

    現代のファースト・コール・ドラマーの一人、アントニオ・サンチェスのリーダー作を聴いていて、他のファースト・コール・ドラマーのリーダー作を聴き直してみたくなった。まずは「ブライアン・ブレイド(Brian Blade)」。1970年生まれだから、今年54歳。ジャズ界では引っ張りだこのドラマーの一人である。ブレイドのドラムは、多彩かつ大胆かつ繊細。非常に味のあるドラミングを披露してくれる。聴いていて惚...

  • サンチェスの初リーダー作を聴く

    昨日、アントニオ・サンチェス(Antonio Sánchez)の『Three Times Three』(2014年)を聴いて、彼は現代ジャズの先端を行くドラマーの一人だということを再認識。そういえば、まだ、当ブログで、彼の初リーダー作を記事にしていないことに気がついた。と言うことで、早急に彼の初リーダー作を聴き直してみた。Antonio Sánchez 『Migration』(写真左)。2007...

  • ドラマー、サンチェスの力量

    現代の一流ドラマーの一人、アントニオ・サンチェス(Antonio Sanchez)。1971年11月1日生まれ。今年で53歳、バリバリの中堅ドラマー。2002年の作品『Speaking of Now』にて、パット・メセニー・グループ(PMG)に参加。初リーダー作は、2007年の『Migration』。これまで9枚のリーダー作をリリース。現在では、押しも押されぬ、現代のジャズ・ドラマーの代表格の一人...

  • コニッツの歌心と即興演奏の妙

    Lee Konitz(リー・コニッツ)。1927年10月13日、米国シカゴ生まれ。2020年4月15日、米国NYにて逝去。享年92歳。コロナ感染が起因の合併症での逝去であった。トリスターノ門下生として「クール・ジャズ」推進の旗手の一人として活躍。その後、即興演奏の極みを求めて、様々な演奏フォーマットにチャレンジ。70年余の活動期間の中で、自らのスタイルを貫き通した「サックスの仙人」である。Lee...

  • お蔵入りだった 『Loose Blues』

    ビル・エヴァンスはジャズ界最高のピアニストの一人。活動期間は、初リーダー作が1956年。第一線で活躍の中、1980年9月に急死。約25年の活動期間だった。約25年の第一線の活動期間の中で、ハードバップからモード・ジャズを自家薬籠のものとし、1970年代のクロスオーバー〜フュージョン・ジャズの時代にも、自らのスタイルを変えること無く、メインストリーム志向のビル・エヴァンス流の純ジャズなピアノを深化...

  • これぞ、クルセイダーズの音世界

    クルセイダーズは息の長いバンド。1961年にジャズ・クルセイダーズとしてアルバム『フリーダム・サウンド』でメジャー・デビュー。以降、R&Bやソウル・ミュージックの要素を取り込んだ、粘るビートの効いたファンキー・ジャズをメインとし活動。そして、1971年にグループ名を「ザ・クルセイダーズ」に改名。エレ楽器メインのクロスオーバー志向のジャズ・ファンクに音楽性を変えながら、1970年代半ばには、フュー...

  • フリー・ジャズへの鍛錬の第一歩

    アトランティック・レコード時代のジョン・コルトレーン。リーダー作の記事化の最後のアルバムになる。ブログの右下のカテゴリーの欄に、「ジョン・コルトレーン on Atlantic」にてまとめているので、ご興味あれば、ここからブログ記事を参照されたい。さて、僕はアトランティック・レコード時代のコルトレーンのリーダー作は、どれもが自らの「鍛錬」を最優先にしたリーダー作だと感じている。コルトレーンのアトラ...

  • 『Coltrane Plays the Blues』 です。

    以前から、コルトレーンは意外と「聴き手」のことは気にしていない様に感じている。バラード表現にしろ、シーツ・オブ・サウンドにしろ、モード・ジャズにしろ、どれもがコルトレーンが独自に考え出した「コルトレーン流」の表現であり、「コルトレーン流」の奏法であり、そのコルトレーン流の表現や奏法について、自らの「鍛錬」を最優先にリーダー作を吹き込んでいたふしがある。『Giant Steps』は、コードチェンジ...

  • 出揃う「コルトレーンの音」の基本

    コルトレーンは、1964年辺りから、モード・ジャズから、急速にフリー・ジャズ、そして、スピリチュアル・ジャズへと進化を遂げていった。1965年リリースのリーダー作には、もはやハードバップの欠片も無い。それでも、ハードバップ時代の、ハードバップな吹奏のコルトレーンは絶品だった訳で、聴き手側からのニーズとして、「鑑賞音楽」としてハードバップなコルトレーンが聴きたい、というのは、いつの時代も聴き手から...

  • 良好ハードバップなコルトレーン

    1959年、プレスティッジ・レーベルから、アトランティック・レーベルに移籍したコルトレーン。移籍後、いきなり『Giant Steps』なる問題作を吹き込む。コルトレーン流のモード・ジャズ、そして、コルトレーンの十八番「シーツ・オブ・サウンド」に本格的に取り組んだセッションの記録。しかし、コルトレーン流のモード・ジャズとシーツ・オブ・サウンドは、共演するジャズマンをシビアに選ぶ、そして、今までのジ...

  • コルトレーンの進化途上の姿。

    当ブログでの未記事のジョン・コルトレーンのリーダー作の「落穂拾い」は順調に進んでいる。先週、コルトレーンのディスコグラフィーを基に、当ブログで既に記事にしたリーダー作をチェック。リーダー作はあと7〜8枚程度残っているだけ、パブロ・レーベルのライヴ盤については、もともと今までノーマークだったので、未聴のライヴ盤が5枚。いよいよ、今年はコンプリートに向けて、ラストスパートである。John Coltr...

  • 1960年代終わりのデックス名盤

    デクスター・ゴードン(以降、デックス)は、1962年に渡欧、主にパリとコペンハーゲンで活動している(1976年には米国に戻るが)。米国でのレーベル契約を "ブルーノート" から "プレスティッジ" に切り替えていた為、この盤は、プレスティッジ・レーベルでの録音になっている。プレスティッジでの録音と聞くと、お得意の「ジャムセッション一発録り」と「複数セッションからの直感的な選曲」を想起して、内容につ...

  • 1980年の新感覚のアコ・ジャズ

    1970年代後半から1980年代前半は「フュージョン・ジャズの時代」。電気楽器をメインに基本のビートは8ビート、テクニック優秀、聴き応えと聴き心地を優先したジャズ。1950年代から培われてきた、生楽器をメインに基本のビートは4ビート、テクニック優秀、即興演奏の妙とインタープレイを主とした「ハードバップな純ジャズ」とは正反対の音楽性。しかし、1979年、このフュージョン・ジャズとハードバップな純ジ...

  • 音志向の転換点・Samurai Samba

    1970年代後半から1980年代前半のフュージョン・ブームの真っ只中、後に伝説となる人気グループが多く出た。パッと頭に浮かんだだけでも、「スタッフ」「ジェントル・ソウツ」「クルセイダーズ」「ブレッカー・ブラザーズ」「ステップス・アヘッド」「スパイロ・ジャイラ」「イエロージャケッツ」など、個性溢れるバカテク集団がずらり。Yellowjackets『Samurai Samba』(写真左)。1985年...

  • ミンガスの名盤 『メキシコの想い出』

    ベーシストがリーダーのアルバムは難しい。ベースという楽器自体、リズム&ビートと演奏のベースライン’を供給するのがメインの楽器なので、管楽器などの様に旋律を奏でるのが「得手」ではない。つまり、演奏する旋律をメインに、演奏の個性や特徴を全面に出すのが難しい。それでも、ベーシストがリーダーのアルバムには、リーダーのベーシストの個性や特徴、テクニックを全面に押し出したアルバムもある。しかし、これは後が続...

  • 1983年のスパイロ 『City Kids』

    創り出す音世界は、フュージョン・ジャズの音世界の代表的イメージの一つで、フュージョン・ジャズを語る上で、スパイロ・ジャイラは避けては通れない存在。そんなスパイロ・ジャイラの1980年代のアルバムの一気聴きである。フュージョン・ジャズ人気の後期は1980年代前半。それも大体、1982年くらいまでが、フュージョン・ジャズが「ウケていた」期間で、1983年以降、その人気はガタッと落ちていく。Spyr...

  • スパイロ・ジャイラのデビュー作

    スパイロ・ジャイラ(Spyro Gyra)は、フュージョン系バンドの代表格。1977年に米国にて結成、トロピカルな電気サウンドをメインに『Morning Dance』『Catching the Sun』『Carnaval』などのヒット盤を量産。現在まで、20枚以上のアルバムを制作、累計1,000万枚以上のアルバムを売り上げ、フュージョン系バンドの中でもかなりの成功を収めている。活動の中、スムース...

  • 聴かせる Jimmy Smith Trio + LD

    1950年代から1960年代のブルーノート・レーベルは、プロデュースが大変優れていると感じる。セッションのジャズマンのブッキングなど、その対象となるリーダー作が、どの様な「志向」の演奏内容にするかによって、メンバーを厳選している。そして、その演奏の「志向」に則った演奏を実現する。このブルーノートの優れたプロデュースが数々の名盤を生み出している。『Jimmy Smith Trio + LD』(写真...

  • 『Elegant Gypsy & More Live』

    1976年、ソロ活動に入り、初リーダー作をリリース。以降、クロスオーバー&フュージョン・シーンのど真ん中で活躍を続けている、超絶技巧ジャズ・ギタリストの人気者、アル・ディ・メオラ(以降、ディメオラ)。意外とディメオラのライヴ盤は少なく、1週間ほど前にご紹介した、1982年2月4日、フィラデルフィアの「Tower Theatre」でのライヴ演奏を収録、1982年リリースの『Tour De Forc...

  • 米国ジャズマン「渡欧組」の活躍

    米国ではジャズマンの扱いが粗雑で、人種差別もあり、生活も苦しい中、1960年代には、ジャズマンの渡欧が相次いだ。ジャズについては、欧州では「音楽芸術」として評価され、その演奏の担い手のジャズマンは「アーティスト」として、一目置かれて扱われた。ジャズマンにとって、欧州の方が活躍の場があり、生活の糧も得やすかった。米国東海岸ジャズマンの「渡欧組」の演奏拠点としてはパリ、ロンドン、ミュンヘン、そして、...

  • ギターを弾きまくり唄いまくる盤

    バップの如く弾きまくり、ソフト&メロウにR&Bに唄いまくるギタリスト、ジョージ・ベンソン。バップの如く弾きまくるギタリストは沢山いるが、「ギターをバップの如く弾きまくり、R&Bに唄いまくる」ジャズ・ギタリストは、ジョージ・ベンソンしかいない。George Benson『The Other Side of Abbey Road』(写真左)。1970年の作品。1969年10月と11月の2セッションの...

  • 唄いまくるが如くギターを弾く盤

    ソフト&メロウに、R&Bに唄いまくるが如く、バップの如く弾来まくるギタリスト、ジョージ・ベンソン。これが凄い。弾きまくるギタリストや、バップの如く弾きまくるギタリストは沢山いるが、「唄いまくるが如く弾きまくる」ジャズ・ギタリストは、ジョージ・ベンソンしかいない。George Benson『Shape of Things to Come』(写真左)。1968年8-10月の録音。ちなみにパーソネルは...

  • 第2期RTF 『銀河の輝映』再び

    チック・コリアは「リターン・トゥ・フォーエヴァー(Return to Forever・以降、RTFと略)」を結成、それまでのジャズのトレンドを集約し、最先端のコンテンポラリーなメインストリーム志向の純ジャズを実現した。いわゆる「第1期RTF」である。そして、チックは次の展開として「エレ・ジャズ」を選択。親分マイルスは、ファンクなエレ・ジャズでブイブイ言わせている。チックは「ハードなインスト・ロッ...

  • 未知のジャズ好盤 『Collections』

    アート・ペッパーは、僕のお気に入りのアルト・サックス奏者の一人。ジャズを本格的に聴き始めた頃、 『Art Pepper Meets The Rhythm Section』に出会って以来、長年、ずっと「お気に入り」。最近、当ブログにアルバム評をアップしたリーダー作を、ディスコグラフィーに照らし合わせてチェック。今回、この盤で、ペッパー前期(麻薬禍で収監され活動を停止した時期以前)の盤をほぼ押さえる...

  • ドルフィーの本質 『Out There』

    エリック・ドルフィーはアルト・サックス奏者。この人の吹くフレーズは、一聴すればすぐに「これは変だ」と感じるはずだ。この「これは変だ」は、ジャズ者初心者の方々のみならず、音楽を趣味で聴く人ならば感じるはず。それだけ、このドルフィーの吹くアルトは「並外れた」個性の塊である。このドルフィーの「これは変だ」は、オーネット・コールマンの類の「変だ」では無い。オーネットは、従来ジャズの決め事の反対をやること...

  • 凄まじいディメオラの初ライヴ盤

    久しぶりに「アル・ディ・メオラ(以降、ディメオラ)」である。最たる超絶技巧ジャズ・ギタリスト。1974年にチック・コリア率いる「リターン・トゥ・フォーエヴァー」に参加、そして、リターン・トゥ・フォーエヴァーが 1976年に事実上の解散。ディメオラはソロ活動に入り、1976年に初リーダー作をリリース。以降、クロスオーバー&フュージョン・シーンのど真ん中で活躍を続けている。Al Di Meola『T...

  • 異色のドルフィーの 『Caribe』

    アルト・サックスの早逝の鬼才、エリック・ドルフィーは独特のモード〜フリー〜アブストラクトなジャズが個性。どこから聴いても、ワン〜ツゥー・フレーズで「これはドルフィー」と判るほどの強烈な個性的ブロウ。そんなドルフィー、単独、もしくはコルトレーンとの共演は理解できるとして、ラテン・ジャズ系のアルバムにも手を染めているのが面白い。The Latin Jazz Quintet + Eric Dolphy...

  • 大作名盤 『The 2nd Crusade』

    クールでアーバン、ソフトでメロウなフュージョン・ファンク集団「クルセイダーズ」。1971年作品の『Pass the Plate』で、それまでのグループ名だった「ジャズ・クルセイダーズ」からジャズを取って、「クルセイダーズ」というシンプルなグループ名に。それまでのジャズ濃厚ファンクから、ジャズから少し距離を置きつつ、クロスオーバー&フュージョン志向な音作りに変化していった。The Crusader...

  • テナーの名盤 『The Little Giant』

    Johnny Griffin 『The Little Giant』(写真左)。1959年8月4, 5日の録音。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Blue Mitchell (tp), Julian Priester (tb), Wynton Kelly (p), Sam Jones (b), Albert "Tootie" He...

  • 魅力のグリフィン 『Way Out!』

    身長170センチという小柄な体型にも関わらず、骨太で悠然とした音、超絶技巧なテクニックで、高速フレーズを吹き上げることから付いたニックネームが「リトル・ジャイアント」。繊細な表現にも優れ、バラードを吹かせれば天下一品。そんなサックス奏者が「ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)」。Johnny Griffin 『Way Out!』(写真左)。1958年2月26–27日の録音。Riv...

  • サウンドの確立 『Hollywood』

    ジャズ・クルセイダーズから「ジャズ」を外して、クロスオーバー&フュージョン志向へ、バンド・サウンドの方向性の舵を切ったクルセイダーズ。クルセイダーズとなって初のアルバム『Pass the Plate』では、試行錯誤が見え隠れして、クルセイダーズ・サウンドの確立は今一歩だったが、次作のこの盤では、そんな迷いを断ち切った、クルセイダーズ・サウンドの確立が感じ取れる。The Crusaders 『H...

  • 音の確立前夜 『Pass the Plate』

    1970年代、フュージョン・ジャズの中で一世を風靡したジャズ・ファンクなバンドが「クルセイダーズ(The Crusaders)」。ポップでファンキーなフュージョン・ジャズが素敵なバンドで、僕の大好きなフュージョン・バンドの一つである。The Crusaders『Pass the Plate』(写真左)。1971年の作品。ちなみにパーソネルは、Stix Hooper (ds), Arthur Ad...

  • 成熟&極上の Fourplay 『4』

    フュージョン・ジャズの世界では、伝説的な人気グループが多くある。パッと頭に浮かんだだけでも、「スタッフ」「ジェントル・ソウツ」「クルセイダーズ」「ブレッカー・ブラザーズ」「ステップス・アヘッド」「スパイロ・ジャイラ」「イエロージャケッツ」など、個性溢れるバカテク集団がずらり。そして、僕が愛してやまないのが「フォープレイ」。Fourplay『4』(写真左)。1998年の作品。ちなみにパーソネルは、...

  • Genius of Modern Music Vol.2

    セロニアス・モンク(Thelonious Monk)。モダン・ジャズの最高の才能、最高の奇才。モンクのピアノは強烈な個性。スクエアにスイングし、フレーズは幾何学的に飛ぶ。クラシック・ピアノの正反対の「音」。クラシック・ピアノの影響は微塵も無い。ジャズから生まれた、ジャズの最高の個性。Thelonious Monk 『Genius of Modern Music Vol.2』(写真左)。録音日とパ...

  • Genius of Modern Music Vol.1

    セロニアス・モンク(Thelonious Monk)。モダン・ジャズの最高の才能、最高の奇才。モンクのピアノは強烈な個性。スクエアにスイングし、フレーズは幾何学的に飛ぶ。クラシック・ピアノの正反対の「音」。クラシック・ピアノの影響は微塵も無い。ジャズから生まれた、ジャズの最高の個性。Thelonious Monk 『Genius of Modern Music Vol.1』(写真左)。録音日とパ...

  • ダブル・ドラムの優秀な企画盤

    ジャズ・ドラムというのは、意外と「個性の塊」である。フロント管を交えたバンド演奏の中で、リズム&ビートを供給する役割のドラム。リズム&ビートを供給するだけ、と思いがちなので、ドラムには個性は必要無い、と言われそうなんだが、それは「違う」。ドラミングの個性によって、演奏の雰囲気は変わるし、演奏全体のトーンによって、ドラミングの質は変わる。ジャズにおいては、ドラミングは演奏の雰囲気やトーンを決定づけ...

  • 好盤、Elvin Jones 『Elvin!』

    僕は長年、この盤がエルヴィン・ジョーンズの初リーダー作だと思っていた。この盤より先に『Keepin' Up with the Joneses』で、The Jones Brothers名義で、エルヴィンが共同リーダーとして、初リーダー作をリリースしていたのを知ったのは、21世紀に入ってから。ただし、この盤はエルヴィンの単独リーダー名義で、エルヴィンのドラムが全面に出ていて、エルヴィンのドラミングが...

  • エルヴィンの初リーダー作です

    ジャズ・ドラマーの中では、アート・ブレイキー、エルヴィン・ジョーンズ、スティーヴ・ガッドの3人がお気に入り。3人のディスコグラフィーをまとめ直していて、まだまだアルバム評をブログ記事にしていないリーダー作があることに改めて気がついた。どうも、ドラム、ギターは後回しになってしまう傾向にあって、反省、反省。The Jones Brothers『Keepin' Up with the Joneses』...

  • マクリーンの優れた「寄せ集め」盤

    メンバーの選定は「場当たり的」が多く、録音はリハ無しの「一発録り」。複数セッションからの寄せ集めでアルバムを作成する。録音日やセッションを無視して、プロデューサーの直感と好みだけで選曲する。当然、パーソネルはセッションごとに異なり、編成も異なることが多い。セッション共通のメンバーはリーダーのみ。よって、アルバム全体のトーンが変わることが多い。いかにも、プレスティッジ・レーベルらしい仕業である。逆...

  • マクリーンを愛でる「寄せ集め盤」

    Jackie McLean『Strange Blues』(写真左)。1957年2月15日、7月12日、8月30日の3セッションからの寄せ集め。いかにも、プレスティッジ・レーベルらしい仕業である。当然、パーソナルはセッションごとに異なる。3セッション共通のメンバーは、リーダーのマクリーンだけ。まず、1957年2月15日は、1曲目の「Strange Blues」のみ。ちなみにパーソネルは、Jacki...

  • 活動前期の傑作『Consciousness』

    最近やっと、パット・マルティーノ(Pat Martino)をしっかり聴き直している。しっかりディスコグラフィーのリストを作って、聴いたアルバム、未聴のアルバム、入手不可能なアルバムに分けて、聴いたアルバムについては、当ブログに記事化されていないものは順に記事化、未聴のアルバムは時間を見つけては聴き直している。パット・マルティーノは、1944年8月生まれ。2021年11月、惜しくも77歳で逝去して...

  • モンクの 『ソロ・オン・ヴォーグ』

    ジャズの高僧・セロニアス・モンク。バップの開拓者の一人、そして、バップを超えて、唯一無二のオリジナリティを確立した「孤高のジャズ・ピアニスト」である。このピアニストの「音」は、ワンフレーズ聴いただけで直ぐに判る。出てくるハーモニー、タッチのタイミング、間の取り方、どれをとっても、それまでの西洋音楽の「音」では全く無い。他の音楽ジャンルには無い、ジャズというジャンルで初めて現れ出た「音」。しかも、...

  • 縦ノリのグルーヴ 『Gaddabout』

    久々にフュージョン・ジャズ盤をチョイス、である。年配のジャズ者ベテランの方々からは、概ね「ジャズの徒花」扱いされるフュージョン・ジャズであるが、クロスオーバー・ジャズも含めて、内容のある、聴き応えのある傑作、好盤は多々ある。ジャズの裾野は広く、ジャズは柔軟。フュージョン・ジャズの中にも「良い音楽」は沢山ある。Steve Gadd『Gaddabout』(写真左)。1984年7月、NY「A&amp...

  • 染みる『In The Wee Small Hours』

    子供の頃、小学校5年生の頃だったと記憶している。親父のAMラジオをくすねて、寝床に入ってイヤホンで聴くようになった。夜の10時頃、NHK第一だったと思うが、アメリカン・ポップスを聴かせる番組があった。その番組の中で、時々、ジャズ・ボーカル曲がかかる。大人の雰囲気で演奏はしっとり落ち着いている。英語で歌われているので、何を歌っているのか、基本的に判らない。8ビートのポップスやロック曲と比べて、基本...

  • 『Johnny Griffin Sextet』 です

    1957年、ブルーノートより『 Introducing Johnny Griffin』をリリースし、初リーダー作デビュー。その後、ブルーノートに『A Blowin' Session』『The Congregation』の2枚の好盤を残したジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)。1958年、満を辞して、リヴァーサイド・レコードに移籍する。『Johnny Griffin Sextet』...

  • 「ファーマーの音色」だけを聴く盤

    「ファーマーの音色」を聴く盤ジャズの演奏の世界って、アレンジが重要なんだなあ、と思う時がある。アレンジの良し悪しで、リーダーの担当する楽器や、フロント管の旋律やアドリブがくっきり前面に明確に聴こえたり、聴こえなかったり。聴いていて、演奏全体が聴き心地良かったり、悪かったり。アルバム全体を聴き通していて、集中して最後まで聴けたり、途中で飽きがきたり。意外とジャズには「アレンジの重要性」が必須要素と...

  • Art Farmer『The Aztec Suite』

    邦題『アズテック組曲』。キューバの作曲&編曲家、指揮者のチコ・オファリル(Chico O'Farrill)のアレンジによるアフロ・キューバン・ジャズ。トランペットのアート・ファーマーがリーダーの12人編成のスモール・ビッグ・バンドのたエキゾチックな雰囲気が芳しい企画盤。アル・コーンが音楽監督を務めている。Art Farmer『The Aztec Suite』(写真)。 1959年11月の録音。ち...

  • 復活直後の『Live at Donte’s』

    1960年代後半、薬物中毒者の為のリハビリテーション施設シナノンで過ごしたブランクの時期を境に、1970年代〜亡くなる1982年までの活動期間を「後半のペッパー」 とするが、このライヴ音源は「後半のペッパー」の予告編的な演奏内容が記録されている。Art Pepper Quintet『Live at Donte's, 1968』(写真)。1968年11月24日、ハリウッド「Donte」でのライヴ音...

  • 後を継ぐ者・ニタイのソロ盤

    2018年、キース・ジャレットが脳卒中に倒れ、復帰の見込みが立たなくなって、キースの様な耽美的でリリカル、クラシック風味の創造的なソロ・ピアノの担い手が見当たらなくなった。というか、この10年くらい、キース以外で、ソロ・ピアノのアルバムがめっきり少なくなったと感じている。Nitai Hershkovits『Call On The Old Wise』(写真左)。2022年6月、スイス ルガノのコン...

  • McCoy Tyner『Expansions』

    ブルーノート時代のマッコイ・タイナーは、自らのモード・ジャズの完成に向けて鍛錬を積んでいた時期であり、そのタイナー流のモード・ジャズの確立に向けてのチャレンジ、試行錯誤が演奏から透けて見えて、なかなか味わい深いものがある。McCoy Tyner『Expansions』(写真)。1968年8月23日の録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Woody Shaw (tp), G...

  • 菊池雅章+ギル・エヴァンス

    ジャズ・オーケストラの演奏の中で一番のお気に入りは「ギル・エヴァンス」。音の魔術師「ギル・エヴァンス」の主宰するビッグ・バンドの演奏はどれもお気に入り。ギル・エヴァンスのアレンジが大好きで、ギル・エヴァンスのアレンジのジャズオケがバックの演奏であれば「なんでも通し」である。特に、1970年代に入って以降、電気楽器を導入、8ビートをメインにアレンジされたジャズオケの演奏が堪らない。ギルのアレンジの...

  • 『The Art Farmer Septet』

    何故か、我が国では実力に見合った人気が伴わないジャズマンは多々いる。が、21世紀に入って、過去のジャズ盤の音源の入手が飛躍的に楽になったので、過去のリーダー作が聴き直しし易くなった。聴き直してみると「イケる」。どうして、我が国では人気が伴わないのか、訝しく思う。そんなジャズマンが結構いるから面白い。『The Art Farmer Septet』(写真左)。1953年7月2日と1954年6月7日の...

  • Jazz Lab と The Cecil Taylor 4

    ドナルド・バードのリーダー作の落穂拾い、当ブログで「未記事化」のアルバムをピックアップしていて、不思議なアルバムに再会した。ハードバップど真ん中とフリー・ジャズの先駆け、2つの全く志向の異なる演奏スタイルのユニットの不思議なカップリング。どういう感覚で、こういうカップリング盤を生み出したのやら。The Gigi Gryce-Donald Byrd ”Jazz Laboratory” & The ...

  • 意外とイケる新鮮な『Jazz Lab』

    ジャズ・トランペットのプロフェッサー & レジェンド、ドナルド・バードの落穂拾いをしている。FMから流れてくるモダン・ジャズ、マイルス・デイヴィスのトランペットに触れて、ジャズを意識して聴き始めて早50年。ドナルド・バードのリーダー作については一通り聴き終えてはいるが、当ブログに記事でアップしていないリーダー作はまだまだある。追々記事にしていっているのだが、その記事にする時、おさらいに対象盤を聴...

  • 北欧らしい Swedish Standards

    北欧ジャズの国単位の範疇は「ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク」。北欧ジャズには独特のフレーズと響きがある。耽美的でリリカルでメロディアス。静的で決して暑くはならないクールなインプロ。クラシックの影響とそれぞれの国のフォーク・ソングのフレーズが垣間見える。Jan Lundgren Trio『Swedish Standards』(写真)。1997年5月10−11日、コペンハーゲンの...

  • 流麗バップで粹な『Lover Man』

    長年、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)のピアノがお気に入り。ジャズを聴き始めた頃に、ジョーダンの名盤『Flight to Denmark』に出会って、ジョーダンのピアノと曲がお気に入りになった。ブルージーで哀愁漂う「オン・ビート」のバップ・ピアノ。この「オン・ビート」の弾き回しが、最大の個性だと僕は思っている。Duke Jordan『Lover Man』(写真)。1975年11月1...

  • 80年代タイナーの Double Trios

    ジャズマンには、時代時代のトレンドに合わせて、スタイルや奏法をマイナーチェンジするタイプと、時代時代のトレンドには左右されず、一度確立したスタイルや奏法は滅多に変えないタイプと、大きく分けて2つのタイプに分類されると感じている。迫力満点のモーダル・ピアノのレジェンド、マッコイ・タイナー(McCoy Tyner)は、一度確立したスタイルや奏法は滅多に変えないタイプ。コルトレーンの下で確立したスタイ...

  • ショーターの「白鳥の歌」

    2023年3月2日、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)は、89歳で逝去した。ジャズを聴き始めてから、リアルタイムでずっと聴き続けてきたジャズマンが逝去するのは単純に辛い。ショーターのサックスのベースは「モード」。ショーターのモード奏法は、マイルスのモードの個性とコルトレーンのモードの個性を極端に拡張〜融合した、当時のモード奏法の究極形の様な吹き回し。確実にステップアップしたモー...

  • ショウの名盤『The Iron Men』

    1970年代の純ジャズ・シーンに現れ出た、不世出の偉大なスタイリストであるショウ。彼のトランペットを初めて聴いたのは、1981年の初めだったと記憶する。ジャズを本格的に聴き始めて丸3年。何とか、ジャズの聴き方が判って、演奏のトレンドの特徴や演奏自体の良し悪しが判ってきた頃だった。ウディ・ショウについては、我が国のジャズ評論の世界では、ハバードのコピーの様なトランペットを吹く、ハバードの後塵を拝す...

  • ショウの優秀作『Rosewood』

    ウディ・ショウ(Woody Shaw)のリーダー作を聴き直している。聴けば聴くほど、早くに亡くしたのは実に惜しいトランペッターだった。そんな気持ちがどんどん募ってくる。ショウのトランペットは、1960年代の最先端のモード・ジャズを掘り下げて、新しい響きと新しいフレーズ展開を具現化したもの。今の耳で振り返ればそれが良く判る。明らか1960年代のモードには無いし、1980年代の純ジャズ復古以降、新伝...

  • エヴァンスの『Half Moon Bay』

    ジャズ・ピアノの伝説のレジェンド、ビル・エヴァンスが生前、リーダー作の録音を残したレーベルは、Riverside、Verve、Fantasy、Warner Bros.、Elektra が主だったところ。Milestoneレーベルからのリリースは「発掘シリーズ」。エヴァンスの逝去後、発掘された音源を、マネージャーだったヘレン・キーンと判断して正式リリースしたもの。Bill Evans『Half M...

  • 第2期RTF『第7銀河の讃歌』再び

    マイルスがエレクトリック・ジャズに手を染めたのが切っ掛けとなって、1970年代前半のジャズのトレンド、「ジャズの電気化」と「ロックとの融合」が進み始める。いわゆる「クロスオーバー・ジャズ」である。マイルスはいち早く電気化を実現、「ファンク」との融合を推し進めた。そこで、チック・コリアは考える。第1期Return to Forever(RTFと略)では、それまでのジャズのトレンドを集約し、最先端の...

  • 最高の「92年ブルーノート東京」

    チックが主宰する「ストレッチ・レーベル」からリリースされた(当時は日本だけでの発売だったと記憶している)、自主制作盤っぽいリーダー作は秀作ばかり。なぜ正式盤としてリリースしなかったのか不思議。大手レーベルは、チックの昔の録音はリリースしても売れない、とでも思っていたのだろうか。今ではどの盤も廃盤状態なので、中古を探すしかない。勿体ないことである。Chick Corea Akoustic Band...

  • 名演 Live From Country Club

    アコ・チックのアルバムを聴き直していて、チックが主宰する「ストレッチ・レーベル」からリリースされた(当時は日本だけでの発売だったと記憶している)、自主制作盤っぽいリーダー作が複数枚出ているのに、改めて気がついた。そして、この盤の内容がどれも優れている。順に全アルバムを聴き進めて、思わず聴き惚れてしまった。Chick Corea『The Trio: Live From Country Club』(...

  • 常態のペッパー『Smack Up』

    伝説のアルト・サックスの天才奏者「アート・ペッパー(Art Pepper)」。彼のキャリアの最大の特徴は「ジャンキー(麻薬中毒者)」であったことだろう。ペッパーのディスコグラフィーを振り返ってみると、初リーダー作が1956年の録音。それから1960年の録音までが、アート・ペッパーの活動前期と定義して良い。アート・ペッパーの活動前期は、1950年代半ばから薬物関連の懲役刑のため何度も活動が中断、刑...

  • 純ジャズ志向の『Trio 99→00』

    パット・メセニーは何の前触れもなく、いきなり「コンテンポラリーな純ジャズ」に転身することがある。通常のパットは、パット・メセニー・グループ(PMGと略)での活動がメインで、音の基本は「コンテンポラリーなクロスオーバー・ジャズ、もしくは、硬派な純ジャズ志向のジャズ・ロック。パットの個人名義での活動もあるが、こちらは「オーネット・コールマン」を踏襲したフリー・ジャズがメイン。しかし、突如として「コン...

  • パットのソロ『Dream Box』

    パット・メセニーは、今年70歳。盟友ライル・メイズが2020年に亡くなって、パット・メセニー・グループの活動は停止した。ソロ活動のみに集中して現在に至る。2021年リリースの『Side-Eye NYC(V1.IV)』は、久しぶりに「PMGサウンドに通じるパット」らしい内容で、聴いていてワクワクしたが、その後が続かない。どうしたのか、と思っていたら、昨年、突如、ソロアルバムが出た。Pat Meth...

  • 『Eastern Rebellion 4』を聴け

    シダー・ウォルトンが率いる「イースタン・リベリオン」。第1作が、1975年12月の録音。第1作から第4作まで、スタジオ録音のみで全4作。1975年から1983年までの8年間。基本的には、1970年代のモード・ジャズの進化形のパフォーマンスの記録で、これがなかなか見事な内容で残っている(我が国では取り上げられることは殆ど無いが....)。Cedar Walton『Eastern Rebellion...

  • 『Eastern Rebellion 3』を聴け

    そこはかとなくファンキーでバップな「情熱&躍動ピアノ」。テクニックは確か、端正で正確なタッチ。両手を一杯に使って、ダイナミックにスケールの大きいバップ・ピアノを弾きまくる。そんな「シダー・ウォルトン」のリーダー作の聴き直し。1970年代の純ジャズ。これが意外と興味深い。Cedar Walton『Eastern Rebellion 3』(写真左)。1979年12月19日の録音。ちなみにパーソネルは...

  • エレ・ハービーの「最終成果物」

    エレクトリックなハービー・ハンコック(エレ・ハービー)の活動期は、1969年から1984年辺り。以降『Perfect Machine』(1988年録音)、『Dis Is Da Drum』(1993-94年録音) と、4〜5年に1枚のタイミングでアルバムをリリースしている。そして、今回、ご紹介するアルバムで、エレ・ハービーは打ち止めである。Herbie Hancock『Future 2 Futur...

  • ハービーの謎『Dis Is da Drum』

    ハービー・ハンコックのリーダー作の「落穂拾い」。当ブログでの、ハービーのリーダー作の記事のコンプリートを目指しているのだが、1980年代後半から、ポロポロッと何枚か、記事化されていないリーダー作がある。エレ・ハービーについては2枚ほどのリーダー作が未記事化。その中の一枚を今回取り上げた。ハービー・ハンコックは、1963年、マイルスのバンドに抜擢される。マイルスにはモード・ジャズの薫陶を得て大成長...

  • ECMのギター・トリオの秀作

    3日ほど前まで、しばらくの間、冷たい北西の季節風が吹き荒れ、外出するのが憚られた。とにかく冷える。気温は上がらない。そんな日に外出〜散歩なんて、とんでもない。風邪をひいたらどうするんだ、ということで、暖房の効いた室内で、終日、読書とジャズ鑑賞に勤しむことになる。こんな真冬の冷え冷えした日の昼下がり、暖かい室内で聴くジャズは、意外とECMレコードの「耽美的で静的でクリスタルでリリカル」な即興演奏メ...

  • アレッシの『It’s Always Now』

    ラルフ・アレッシは、1963年3月5日、米国SFO生まれ。今年で61歳の大ベテラン・トランペッターである。が、これまでかなりマイナーな存在だった。というか、僕はこのアルバムで出会うまで、アレッシの名前に馴染みが無かった。それもそのはずで、アレッシは基本的に学者であり研究者。カリフォルニア芸術大学で、ジャズ・トランペット演奏で学士号、ジャズ・ベース演奏で修士号を取得している。そして、教育者として、...

  • チャーラップとロスネスのデュオ

    ちょっと「デュオ」づいている。ジャズのユニットの最小単位の「デュオ」。双方のテクニックと音楽性のバランスがバッチリ取れると、一人では出せない、スケールの広い、ダイナミズム溢れる、奥行きのある即興演奏を実現することが出来る演奏編成。二人というシンプルな編成なので、音が重なるのは最小限。個々の音の一つ一つをしっかり確認できるのも「デュオ」の良いところ。Bill Charlap & Renee Ros...

  • ジャンゴの名盤『Djangology』

    Django Reinhardt(ジャンゴ・ラインハルト)は「ジャズ・ギターの創始者」とされる。ジャンゴ・ラインハルトは1910年、ベルギー生まれ。父母ともに旅芸人の音楽家&ダンサー、つまりジプシー。旅から旅へのキャラバン育ち。ジャンゴの音楽性に、この「ジプシーのキャラバン育ち」の影響は明らかで、汎欧州的、欧州の様々な国の音楽の要素が混ざった、ユニークな音楽性がジャンゴのギターの個性。18歳の...

  • ジェリとカートの孤高のデュオ盤

    形体が全く異なるのだが、ピアノとギターは良く似た性格の楽器である。ピアノとギターは音のスケールも似通っている。ギターについては、単音のみならず和音も出る。アルペジオも出来る。弦を掻きむしることもできるし、和音をストロークで連続することで、リズム楽器としての機能を果たすことも出来る。ピアノについては、和音と単音を右手と左手に分けて別々に同時に出せるし、リズム部と旋律部を同時に奏でることが出来る。...

  • 新生「バッド・プラス」の新作

    1960年代は、1950年代のハードバップをベースとした「ジャズの多様化」の時代だった。エンターテインメント志向としては、ファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズ、イージーリスニング・ジャズ。アーティステック志向としては、モード・ジャズ、フリー・ジャズ。聴く側の嗜好と演奏する側の志向とで、様々なバリエーションのジャズが展開された。この「ジャズの多様化」は、1960年代以降、意外と綿々と続いている。19...

  • John Patitucci Trio の秀作です

    ジャズ盤の鑑賞については、昔のハードバップやモードを聴くこともあるが、最近の、現代のジャズの新盤も努めて聴く様にしている。1970年代においては「ジャズは死んだ」として、現代のジャズはジャズで無い、とし、コルトレーン逝去前のジャズをジャズとして、1950〜60年代のジャズしか聴かないジャズ者の方々もいたみたいだが、それはかなり極端な見解だろう。21世紀に入った現在から以前のジャズを聴き直すと、コ...

  • デュオ盤『Crystal Silence』再び

    『Return To Forever』と『Light As A Feather』の名盤2枚で、リリカルでメロディアスなユートピア志向のサウンドをメインとした「クロスオーバーなエレ・ジャズ」を表現したチック・コリア。しかし、音楽性のバリエーションが豊かなチックは、その傍らで、メインストリーム系の純ジャズにも、しっかりと手を染めている。ただし、チックは旧来のハードバップをなぞることは無い。必ず、新し...

  • 名盤『Light As A Feather』再聴

    大傑作『Return To Forever』の録音が1972年2月、リリースが1972年9月。次作の録音が1972年10月。『Return To Forever』のアルバムとしての出来と評判を確認して、満を持しての次作の録音である。この次作、チックの、そして、バンド「リターン・トゥ・フォーエヴァー(RTF)」の揺るぎない自信が満ち溢れた傑作に仕上がった。Chick Corea & Ret...

  • 名盤『Return to Forever』再聴

    ECMでの録音、マンフレート・アイヒャーとの出会い、欧州ジャズとの触れ合い。このあたりが良かったのだろうか。チック・コリアは、自由度の高い硬派なモード・ジャズ〜フリー・ジャズへの傾倒から、リリカルでメロディアスなユートピア志向のサウンドをメインとした「クロスオーバーなエレ・ジャズ」に転身した。Chick Corea『Return to Forever』(写真左)。1972年2月の録音。ちなみにパ...

  • ハービーのソロ『The Piano』

    ハービー・ハンコックは「2つの顔」を持つ。一つは、メインストリーム系、アコピをモーダルに弾きまくるバリバリ硬派な「純ジャズ志向」、もう一つは、判り易くてポップな、エレピやシンセを駆使した「ジャズ・ファンク志向」。どちらの顔も超一流。どちらの志向も、ジャズ史に残る立派な成果をしっかりと残している。Herbie Hancock『The Piano』(写真左)。1978年10月25–26日の録音。ちな...

  • 『Eastern Rebellion 2』を聴け

    Cedar Walton(シダー・ウォルトン)のリーダー作を追いかけている。存在はジャズを聴き始めた頃から知っていた。が、ビッグネームから追いかけていって、ウォルトンに辿り着くのに30年かかった。そして、今、記事を書く為に聴き直しを進めている。順にウォルトンのリーダー作を聴いていると、やはり、ウォルトンは優れたジャズ・ピアニストの一人だった、と再認識させられる。Cedar Walton『East...

  • 良い音ハービー『Directstep』

    ハービー・ハンコックのリーダー作の落穂拾い。当ブログで記事にしていないリーダー作はあるのか、と調べてみたら、まだまだあるんですね、これが。ハービーについては、評論記事のコンプリートを目指しているので、記事にしていないリーダー作を順に聴き直している。Herbie Hancock『Directstep』(写真左)。1978年10月17–18日の録音。ちなみにパーソネルは、Herbie Hancock...

  • マイルスを愛でる『Amandla』

    マイルス・デイヴィスは、1991年9月28日に鬼籍に入っている。65歳。ジャズマンとしては早すぎる逝去であった。マイルスは、正式にリリースされた音源として、1991年2月までスタジオ録音を、1991年7月までライヴ録音を残している。1991年9月初旬、定期検査の為、サンタモニカの自宅近くのセントジョンズ病院に入院。入院時に脳内出血を引き起こし昏睡状態になり、その後、1991年9月28日午前10時...

  • 北欧のマイルス『Aura』

    晩年のマイルス・ディヴィスの聴き直し。この盤は1985年に録音されながら、4年ほどお蔵入りしていた、マイルスにとって「曰く付き」の企画盤。マイルスのアルバムは録音されたらなるべく時を置かずにリリースされていたのだが、この盤は違う。どうも、録音当時のコロンビア・レコードと契約などでもめていたらしく、リリースは1989年になっている。Miles Davis『Aura』(写真左)。1985年1月31日...

  • これも好盤『The 45 Session』

    中間派トロンボーンの代表格、ベニー・グリーン。リーダー作の多くをブルーノートからリリースしており、その内容はどれもが優れたもの。中間派、つまりはスイングとハードバップの間。スイングの雰囲気を残しつつ、ロング・レンジのアドリブ・ソロを展開する。と言って、ハードバップの様に切れ味良く、丁々発止としたアグレッシブなソロでは無く、スイングの雰囲気を踏襲した、味のあるミドル・テンポの小粋で聴き心地の良いソ...

  • 中間派の名演『Walking Down』

    トロンボーンのホンワカした丸いフレーズと力感のある低音のブリリアントな響きが好きだ。ビ・バップからハードバップ畑には、J.J.ジョンソン、カーティス・フラーらがいる。また、スイング・ジャズからハードバップ手前まで進化した「中間派」には、ベニー・グリーンがいる。特に、中間派のベニー・グリーンについては、ホンワカしたトロンボーンならではの音色とスイング・スタイルを踏襲した伝統的なフレーズと味のあるブ...

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