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soramimiさんのプロフィール

住所
枚方市
出身
高知市

読書の感想(主にミステリ) 本格的なミステリが好きなのですが、最近評判の良かったものを読んでいます。一覧法も作っています。 写真(花や風景) 花のマクロ写真や、風景・旅の想い出など。

ブログタイトル
空耳soramimi
ブログURL
https://blog.goo.ne.jp/m3353
ブログ紹介文
あの日どんな日 日記風時間旅行で misako
更新頻度(1年)

86回 / 365日(平均1.6回/週)

ブログ村参加:2012/10/21

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soramimiさんの新着記事

1件〜30件

  • 「陰の季節」 横山秀夫 文春文庫

    第五回松本清張賞受賞作後の刑事小説の基になったと思える一冊。「震度0」に見える警察機構内部の軋轢と個人の存在意識。「顔」のストーリーの面白さなど、その後の作品の原点を感じた。「陰の季節」横山秀夫文春文庫

  • 「神様のカルテ」 夏川草介 小学館

    本好きは一度は目にし、手にも取るほど、話題の本だった。主人公の栗原一企は信濃の国、本庄病院に勤務する5年目の内科医。愛読書の漱石「草枕」をはじめ彼のすべての著作の影響をうけて、言動がいささか現代向きでない、見方によっては変人に分類されるような人柄である。外面はそうであっても、こころの奥は柔らかな熱い医師魂を秘め、患者第一で、過酷な生活に身をおいている。結婚一年目の記念日を忘れて、妻に申し分けなく思うような愛妻家であり、いまだに松本城に近い、古いアパートに住み続けている。外から見れば奇態な住人たちも、それぞれ付き合ってみれば、深いつながりが生まれていて、酒を酌み交わしているだけで心地よい。患者には死を迎える高齢者も多い。死に向かい合う姿勢もそれぞれで、一企は、仕事とはいえ人生の終末を迎える人たちにどういう治療をす...「神様のカルテ」夏川草介小学館

  • 「熱い読書 冷たい読書」 辻原登 マガジンハウス

    本好きは、自分の好きな本を大好きと言ってくれる人に会うと「でしょう、ねっ!そうでしょう」と肩をたたきあって、瞬間、本友になる。そんな一冊。ここには79冊の本が紹介されている。その79の本にまつわるエッセイを集めたもので、2000年のものが一番新しい。だから今読むと少し時代をさかのぼるけれど、読んでいるうちに、時の境があいまいになり、いい本はいいのだと感動が蘇る。そう、そうなんだと。辻原さんの子供時代から作家になった現在まで、本の底には自伝的な連想、交友の思い出、忘れられない本との思いが、本に寄せて底辺に詰まっているのが親しみ深くていい。詩的で美しい文章もすっかり好きになった。ここで初めて読んだ本は作家の眼でも、そんなに面白いのか、興味深いのか、名作なのか、なら必ず読んでみようと思う。読んだことがある本は、神髄は...「熱い読書冷たい読書」辻原登マガジンハウス

  • キーパー」 マル・ピート 池中耿訳 評論社

    スポーツが好きでその上厳しい練習経験があり試合を重ねたことがあれば、そうでなくても、主人公ガトーが、流行りで言えば神コーチの指導でみるみる才能を開花させる過程にワクワクする。#海外文学vol.4自他共に許す南米一のスポーツ記者が、一昨日ワールドカップをとったばかりのガトーにインビューを開始する。192センチの巨躯に恵まれたガトーは軽々と動いて記者の前に座った。そして生いたちからワールドカップを手にするまでを淡々と語りだす。手足ばかり細長いコウノトリと呼ばれた子供時代。父は木こりで家はバラック、町を挙げてサッカー狂。彼は仲間はずれで深い森を、森と呼ばれるジャングルの中をさまよった。それまで足元ばかり見ていた、サッカーを離れて初めて広々とした空や森の生物を見た。森の匂いを嗅ぎそこに住む様々な生き物を見ながら踏み込ん...キーパー」マル・ピート池中耿訳評論社

  • 「噂」 荻原浩 新潮文庫

    ミステリ部分は軽いノリで、荻原さん得意の滑らかな味のある作品。軽いといっても独特の雰囲気があり、重々しい警察小説に比べて親しみやすかったということで。ユニバーサル広告社を舞台にした「オロロ畑でつかまえて」は小説すばる新人賞をとり、デビュー作ながら絶妙な舞台装置と語り口だった、続く「なかよし小鳩組」までも鮮烈ユーモア小説だった。こういった話(地球を回すギャングとか三匹のおじさんとか)大好き人としては、完成度の高い作品でデビューしたのだから、続きがでるだろうと期待して待っていたが「シャッター通り」までで、路線変更するとは思わなかった。まだ続きを諦めてはいないけれど。荻原さんを気にしていると耳に入ってくる。「明日の記憶」山本周五郎賞。「二千七百の夏と冬」で山田風太郎賞「海の見える理髪店」はとうとう直木賞。それからも次...「噂」荻原浩新潮文庫

  • 「隠し剣孤影抄」 藤沢周平 文春文庫

    短編8編まず題名に惹かれる。それぞれが避けがたい運命の重さを背負っている。剣を交えなくてはならなくなる武士の生き方に、現代にも通じる哀しみがある。「女人剣さざ波」がいい。「隠し剣孤影抄」藤沢周平文春文庫

  • 「夏目漱石読んじゃえば」 奥泉光 香月ゆら  河出書房新社

    表紙をよく見ると、これは14歳の世渡り術シリーズの一冊で、《知ることは生き延びること。未来が見えない今だから「考える力」を鍛えたい、行く手をてらす書き下ろしシリーズ》だと書いてある。その上中学生以上大人まで。よし、この本を読んでみよう。14歳で世渡りか、シリーズなら他にもあるのかな、「行く手を照らす」か、ぴったり来るような気持ちは考えてみれば、この(どの)年になってしまうと悲喜こもごもかなぁ。奥泉さんの書き下ろしというので喜んで開いてみた。漱石好き、漱石狂の様子も見えるが、やや距離がある視野から書いている。照らさないといけないからか。漱石を少しは読んだつもり。残りもそのうちと思って積んであるが、漱石がそんなに面白いなら読み方を習おう。すぐ読むのではなくて申し訳ないけれど。漱石の面倒な読み方ではなく、小説の世界は...「夏目漱石読んじゃえば」奥泉光香月ゆら河出書房新社

  • 「マンガ 日本の古典 1」 中公新書

    <面白かった。新聞広告で東大生のクイズ王が推薦、それもそうだが、最近漫画で勉強というのを知って、受験生でなくてもいいかもいいかもと思っていた矢先、これは凄くいいかもとさっそく図書館に予約した。すぐに読めて面白かった。長い長い神様たちの名前はカナ表示で、それでも長いが、漢字で読まないので簡単な逸話なども分かりやすい。「古事記」は文字通り古いというので、習ったのもすっかり忘れて、日本書紀との区別もおぼろになっていた、大和朝廷の頃に書かれたことも意外に感じた。天武天皇がみずから検討を加えて稗田阿礼に誦習させ、それをのちに太安萬侶が筆録した。和銅五(西暦712)年成立まず世界の始まりは、混沌としていた。「混沌は世界だけでなくて人の世も同じでな」と稗田阿礼が話し始めるところから。油のように柔らかい大地から“勢い”の神が生...「マンガ日本の古典1」中公新書

  • 「兎の眼」 灰谷健次郎 角川文庫

    ハエを飼う話は塵芥処理場が舞台では仕方がないかもと読んでいるうちに慣れて来た。世間知らずの小谷先生だから、こうして無邪気に子供の仲間になれるのか。今ならどうかな。ほとんどストーリーは忘れているくらい昔に読んで、こんなに感動した本は他に知らない、とその時思った。胸がいっぱいになり、読みながら涙が流れて止まらなかった。そんな事があったなと今まで時々思い出していたが、今年のカドフェスのリストで見つけて、読んでみた。新任ほやほやの小谷先生が、小学校一年生の担任になって、悪戦苦闘しながら成長していく話だった。学校のそばに塵芥処理場がある。高い煙突からは焼却炉の煙が灰を四方にまき散らす。うずたかく積まれたごみの周りは生ごみの腐敗臭に覆われている。処理所で働く人たちは、近くに立てられた長屋風のプレハブ住宅に住んでいる。住民鼻...「兎の眼」灰谷健次郎角川文庫

  • 「手のひらの音符」 藤岡陽子 新潮文庫

    まず、新潮文庫100選を読んで抽選に当たった本です。ありがとうございます。前向きで暖かい、幸せな気持ちになれるこの本から新しい年を始めます。服飾業界のデザイナーの夢を持ち続けて実現させてきた。実績もある35歳の水樹。突然会社が方向転換して業界から撤退することになった。中途採用で難関を切り抜けてきたがまだまだ愛着がある。仕事は好きだ。落ち着かない将来の方向に、迷いに迷っていた時、京都の母校から連絡が来る。水樹の困難な夢の実現に後押しをしてくれた恩師が入院している、治癒の難しい病気で、命が残り少ないかもしれない。クラスで集まってお見舞いに行こう。まだ30代半ばでまた将来の道に迷っている、才能を見つけてくれた。上京し好きな道に進むきっかけを与えてくれた美術の先生に、間に合ううちに会わなくてはならない。そうして水樹の記...「手のひらの音符」藤岡陽子新潮文庫

  • 「彼女がその名を知らない鳥たち」 沼田まほかる 幻冬舎

    病的なわがまま女とまとわりついて離れない男の話。しかしこんな生き方もあるのかと思う。まほかるさんは読んでおかないといけないと思ったのは正解。よくできた姉と崩れた妹。でもどこにでもあるように、出来た姉でも何か抱えているものがある、それを見せまいという姿勢がやりきれないと同時に痛ましい。妹の十和子が、同じ親から生まれたのかと疑うほど、自分勝手でだらしなく汚い。それに不思議なことに身を粉にして尽くす男が付いている。そりゃ見ていてどうしてこの人にこの人がと思う夫婦は多い、いくつになっても仲がいい。他人事なので自分のことは棚に上げて。こうして小説に立ち入って読む分には夫婦のことは微に入り細にわたってわかってしまう、世間一般の夫婦はそうはいかないのが普通だが。それにしても、汚れに耐えられなくなると掃除機だけはかけるらしいが...「彼女がその名を知らない鳥たち」沼田まほかる幻冬舎

  • 令和2年元日

    明けましておめでとうございます!今年も他愛ないことや読んだ本など、あれこれつづります。よろしくお付き合いくだされば嬉しいです。早速今日のあれこれです。キッチンの窓べで出番を待っている小さな三つ葉です。庭には山茶花今年はつぼみがいつもより多い。例のボリジは秋にたくさん芽を出しました。さすがに我が家の二代目は血気盛んに茂り始めています。新聞や書籍のキャッチは前向きで気合いが入ってます。私に有効なのは約半年かも。効き目はいかに。今年の始まりの内外の風景でした。令和2年元日

  • 「ゆっくりさよならをとなえる」 川上弘美 新潮社

    一編が文庫3ぺージに収まる長さで、ほっと心が休まるエッセイ集。あ~そうですそうですと、思い当たるようなちょっとした出来事や、出先で見聞きしたことなどが書いてある。中でも川上さんが引用されている本は、読みたくなってしまう。好きな食べ物は飽きるまで食べる、なんかそのこだわりが良く分かる。私も米粉パンを卒業して今は塩バターパンに凝っている。どこを読んでも、川上さんの人柄がにじみ出ている。拘らない楽そうな生き方や、作家で主婦でお母さんの、ゆったりした毎日が微笑ましい。身近なものに向ける視線もユーモア含みのほっとする文章が納まっている。"織田作之助の「楢雄は心の淋しい時に蝿を獲った」にふれ、そうやって楢雄は自分の不器用な生をめいっぱい喜んでいたんじゃないだろうか、その人の奥底も知らずに、と思う。少し淋しかったので風呂場に...「ゆっくりさよならをとなえる」川上弘美新潮社

  • 「ある一生」 ローベルト・ゼーターラー 浅井晶子訳 新潮クレスト・ブックス

    アンドレアス・エッガーという男の生涯は幸せだったというが、読んだ後になって、彼が過ごした年月の跡は心の底に雪のように積もって、思い出すごとにじわっと暖かい思いと感動が湧きあがってくる。アンドレアス・エッガーという男の物心ついてから死ぬまでの物語。生まれて死ぬということは命の継承ということから見て自然なことだ。それを運命とか宿命と名付けて生涯の時間の経過に乗せて、様々に人は過ごしていく。そしてこの物語のように一人一人の人生がある。エッガーは周りの影響を受けない。相対とか絶対という言葉の外で生きていた。人の思惑や環境はどんなものでも彼は向き合うことはない、ただ心に深く焼き付いた出来事は時々浮かび上がっては来るが。生きていくために、働くことは必要であり、厳しいアルプスの麓では冬の脅威にさらされることもある、寒さの厳し...「ある一生」ローベルト・ゼーターラー浅井晶子訳新潮クレスト・ブックス

  • 「誰かが足りない」 宮下奈都 双葉社

    分かりやすい、優しい物語だった。うっすらとした寂しさが絵になったような日々の中に、訪れた「ハライ」というレストランでの幸せな時間が、しみじみとしみる。読む本の中にはむずかしい漢字ばかりの時がある。鋭く心の中をかき回してあとはわずかに理解の外にあるような疑問符を残す。考え続けて著者の深遠な思いに気が付いたり、迷路に迷い込んだりする。そんな何かを求める読書もたまにはいい。生きている実感がある。それでもこうした暖かい日々を優しい言葉でつづってくれる小説に、癒されたいときもある。文字好きが選ぶ文章は、生きていく指針だったり喜びだったりするが、生活の中で、そんな文字好きだけでなく、いろいろな手段で喜びを感じて生きている人に感動する。アスリートは身体を使って、書家は墨と筆で、料理人は食材で人を慰め喜ばす。幸せの輪に包み込ま...「誰かが足りない」宮下奈都双葉社

  • 「絵のない絵本」アンデルセン 川崎峰隆訳 角川文庫

    本選びで時々失敗をする。アンデルセンの童話なのですが、なんだか暗い話が多く、序でに暗い感想を残します。雑談は大変役に立つ(ことが多い)もので、特に本読みが集まると意外な発見があってやめられません、結構な薀蓄が披露され勉強にもなります。そこで本の題名のあれこれが話題になりました。不思議な題名や見事な題名やありきたりの魅力がない題名という話で、なかなか辛辣な意見が出ていました。そこでひそかに「絵のない絵本」と、中身は読んでなくてもどこかで見た「醒めてみる夢」が浮かんでいました。「醒めてみる夢」はとっさに浮かんだだけなのでそれが何だったか思い出せず、後になってやっぱりいい加減なことを言わなくてよかったという気がしましたが。帰って「絵のない絵本」の意味を解決してみるかなと、先立つ雑用をさておき探してみたのですが。この薄...「絵のない絵本」アンデルセン川崎峰隆訳角川文庫

  • 「神のふたつの貌」 貫井徳郎 文春文庫

    ぼくは神の存在を確かめたかった。特にこの作者のものを全部読みたいと思っているわけではなくて、前に読んだ「慟哭」が頭に残っていたので買ってきた。読み始めてこれは困ったなと思った。キリスト教も仏教もよく分からない。だから読んでいても、日常の生活を通して感じている信仰者の心理というものを想像するしかなかったが、キリスト教の枝分かれした難しいあり方とは別に、プロテスタントだという牧師一家の、信仰を持つゆえの悲劇がそれなりに理解することは出来た。牧師館で生まれた早乙女輝は無痛症だった。小学生の頃、環境のせいもあって、痛みや死、死後の魂の行方、などに関心がありカエルなどを殺してその有様を見て、それらを想像しているような子供だった。彼は神が万能であり、自分に似せて人間を創り、人の人生のあり方は、生まれる前にした神との契約があ...「神のふたつの貌」貫井徳郎文春文庫

  • 「ロートレック荘事件」 筒井康隆 新潮文庫

    平成2年初刊行の文庫版で平成7年発行。筒井さんにしては珍しい推理小説。でも読み終わってみみると、やはり読者に対してサービス満点というところの筒井作品だった。今のミステリ小説はジャンルが豊富で作品数が多くなりストーリーも多彩で、人気作はシリーズ化するのが定石のようになってきているが、この時代、推理小説が発表されたころはまだは今のように推理小説がメインの賞も少なかったようで、当時の水準がよくわからなかった。私の知識不足もありそうなので、声がだんだん小さくなるが。と調べてみたのは、筒井さんが自信をもって発表した(らしい)作品のストーリーには、期待したほどには驚かなかった。ちょっと構えて読み始めたので。それに閉ざされた別荘に集まった人たちの中に犯人がいるという設定は歴史があるし。叙述トリックというのは、もっと頭をひねっ...「ロートレック荘事件」筒井康隆新潮文庫

  • 「森の岬の喫茶店」 森沢明夫 幻冬社

    生きるって、祈ることなのよ。トンネルを抜けたら、ガードレールの切れ目をすぐ左折、雑草の生える荒れ地を進むと、小さな岬の先端に、ふいに喫茶店が現れる(帯より) 図書館のお勧めで読んだ。噂では聞いていたが、もう胸が詰まって、二度読んだ。将来の目標はミス・マープルさんだったけれど、しばらくは悦子さんがいい、そうしよう。 第一章《春》アメイジング・グレイス 妻が白血病で亡くなった。40歳の男の心は窓の外の雨交じりの空のように暗い、生きていることが不思議に思えた。4歳の娘と二人のぎこちない生活にもいちいち思い出すことが多い。娘は母の習慣を教えながら今を受け入れて父を気遣っていた。朝食の後虹が出た。ゴールデンウイークだ、娘と旅に出よう。虹を探す旅。車を走らせ、小さな看板を見つけて横道に入った。大きな白い犬が案内した先に小さ...「森の岬の喫茶店」森沢明夫幻冬社

  • 「グランドアヴェニュー」 ジョイ・フィールデング 文春文庫

    ハーレクイン風の作家かと思っていたが、何かで書評を読んで面白そうで借りてきた。4人の若い母親が子育てをしながら、それぞれが将来に対する違った望みを抱いていて、いつか幸せに繋がると信じていた。グランド・アヴェニューに沿って住んでいる4組の親子の話。突き当たりの公園で、小さい子供を遊ばせていて知り合った家族のその後。今で言う公園デヴューして出合ったと母と子。それぞれの母親は全く違った個性をもっていながら、深く結びつく。そして25年、自分で作り出した不幸、避けられなかった不幸に見舞われ、賢く、つよく、時には避けきれず、それぞれ形の違う人生を歩んでいった。未来の歴史が、公園からもうすでに始まっていた。現代が色濃くこまやかに映し出され、女性の作家らしい気配りが見える。美容整形で若さを保ちたいという執念を持つ人。大学で学び...「グランドアヴェニュー」ジョイ・フィールデング文春文庫

  • 「運命の日」 デニス・ルヘイン ハヤカワミステリ文庫 加賀山卓朗訳

    運命の日(上下巻の感想です)ボストンで起きた警官のストライキ。「運命の日」ボストン署の警部だった父と三人の息子は信念に従ってこの時を精一杯生きた。これは並みのミステリではない。ミステリというジャンルから生まれた、歴史の一片を語る叙事詩のような作品だった。上下巻二段組みの長編を読み通したのは、面白く、ストーリーに破綻もなく読み手を楽しませる、手法、構成から目が離せずにいたこともある、しかし一方ではこの長さがちょっと苦しかった。特に上巻の家庭や警察内部の動き、兄弟、親子のいざこざなどが、まだ話の流れに乗り切らない時点で通り過ぎるのに時間がかかった。「チボー家の人々」や「収容所群島」などなど、世界の名作といわれる長編に夢中になり、話が長いほど嬉しかった時代は遠くなった。ボストンの警官が待遇改善を求めてストライキをする...「運命の日」デニス・ルヘインハヤカワミステリ文庫加賀山卓朗訳

  • 「龍宮」 川上弘美 文春文庫

    川上さんは「ぐにゃぐにゃ」したり「ヌルッと」したものを言葉に変換して、それらを人の形にして連れてくる。大風の吹く日は浜に降りて歩きたくなる。時間が止まったような気分になるときがある。そんな時ぐにゃっとした感じのするものに呼び止められた。金がないから「おもってくれ」という。奢ってがうまく言えない。無職で金は1763円しか持ってなかった。赤ちょうちんで「酎ね」と勝手に注文してお湯割りを吸うようにして飲んだ。「昔、蛸だった」という。気にいった蛸壺につい入ってしまった。逃げ出して畑の芋を食べて、そこにいた女に巻き付いた、女はよがった、「女ならまかしたまえ」などといい、葛飾某の絵のモデルだという。男は北斎の春画を引き合いに出すいささか下品で女好き、世渡り指南を垂れて言葉尻に「心するように」などとつけて繰り返す。「人の世は...「龍宮」川上弘美文春文庫

  • 「卵の緒」 瀬尾まいこ 新潮文庫

    こういう暖かい本もなくては暮らせない。いいなぁ瀬尾まいこさん新潮文庫のフェアに乗っかって在庫整理をしている。瀬尾さんの「卵の緒」を買って来た。買って増やしたら在庫整理といえなくなっているけれど。リストには100冊もあるんだから在庫がなくても当然、と気持ちを勝手に整理する。好きで読んでいるミステリは、日ごろは見せたくない苦い心理をさらけ出すような生々しさがあって、尖った気持ちがより尖って、毒をもって制すのかと思わせる。小説の中の安心圏はどこか遠くの星にあるというあらかじめのお約束で距離感をもって読むところが面白い。でもときどきこういう本を読むと、いやいや近場で、ついそこという所には、少しは波風が立っても、特に目立つこともなくほのぼのとした家庭が多いのかもしれないという、尖った気持ちが丸くなるような気分になる。こん...「卵の緒」瀬尾まいこ新潮文庫

  • 「異邦人」 カミュ 窪田啓作訳 新潮文庫

    これが「異邦人」か。ムルソーが不条理な人物なのだろうか、不条理な男が不条理な殺人を犯した話なのだろうか。生まれたら死ぬのが宿命だ、それを人為的に行うのが不条理なのだろうか。44歳でノーベル文学賞を受け、当時活躍中のサルトルと並んでさまざまな見地から評される作品を書いた。「実存主義に沿った作品かそうでないのか」当時、難しいサルトルの哲学をあてはめてよいやら悪いやら、という風潮もなかったとは言えないが、カミュは、彼の作品はそういったサルトルの思想とは関係ないと断じている。裁判に入り、ムルソーに対する裁判長の言葉はあながち間違っているわけではない。冒頭の有名な「きょう、ママンが死んだ」にしても、母親がなくなっても悲しみもなく、年齢も知らず、柩を開けて顔を見るでもなく煙草を吸っていた。次の日友達の友達が持っている海岸の...「異邦人」カミュ窪田啓作訳新潮文庫

  • 「さくらえび」 さくらももこ 新潮社

    面白うてやがて哀しきももこさん。さくらももこさんの本は娘が集めて読んでいた。うちに似合わない優しい娘は、本は好きだが私とは方向が違う。殺人事件やイヤミスは勧めても「いいです」と断られる。昔「もものかんづめ」とか「さるのこしかけ」とかいう面白い題名の本を貸してくれた。雑食の私の部屋には家族からオススメというのが集まってくるので読んでみる、家族だって好きな本を勧めて「おもしろかったね~」といわれると嬉しいし言いたいので読む。息子からきた「三国志」でも。そのころ「ちびまるこちゃん」を書いた人は面白いがずいぶん元気な人だという感想だった。これも読み易くて面白かった。娘の部屋には今も本棚が半分置きっぱなしになっている。「マンションは狭いから」といっていたがマンションを抜けた今も持って行かないのはどうもこれ確信犯だ。さくら...「さくらえび」さくらももこ新潮社

  • 「刺青殺人事件 新装版」 高木彬光 光文社文庫

    やはり好きだな探偵小説。初めて読んだが、神津探偵の神がかり的謎解きも拝みたいほど鮮やかで、古くて新しい。怖いもの見たさというが、見た目化け物ではないところがホラーと一線を画す。ミステリは好きだ、ちょっと歴史は浅いが、読んだことがある名探偵くらい調べればぞろぞろ出てくるにちがいない。というので検索してみたら、もう言わずもがな、散々だった。知らない探偵ばかり。やっぱりね。山は高くて海は深い。おまけに国内の探偵御三家の中で「神津恭介探偵」を読んだことがなかった。あれ?そうか、推理小説でなくて探偵小説かな、と「検索ワード」のせいにしてみたが聴いたことはあっても読んだことがなかった。探偵は和服で下駄かと思ったら、スマートで6か国語を話す白皙のイケメンだという、やっぱり読んでなかったわ。そこで高木彬光のデビュー作「刺青殺人...「刺青殺人事件新装版」高木彬光光文社文庫

  • 一休寺(酬恩庵一休寺)の紅葉

    紅葉が見ごろだというので行ってきました。目が痛くなるような鮮やかな赤に染まっていました。まだこれからも見ごろはが続くようで、散策する人もゆっくり散歩を楽しんでいました。ここは一休さんが後年過ごされたところです。禅師は文明13年(1481)11/21に88歳で示寂されたがこれに先立って文明7年(1475)ここに寿塔を立て慈楊塔と名付けられた。前面の庭は禅院式枯山水の様式で室町の古風を存している。現在墓所は宮内庁が御陵墓として管理をされており門扉に菊花の紋があるのもそのためである。(一休寺のHPhttp://www.ikkyuji.org/precincts/より)一休寺(酬恩庵一休寺)の紅葉一休寺(酬恩庵一休寺)の紅葉

  • 雑誌 「サライ 2019年11月号 特集奈良」 小学館

    私の奈良からみんなの奈良へという気持ち裳階と水煙が美しい「凍れる音楽」薬師寺東塔の修理が来年終わる。表紙は円成寺大日如来坐像雑誌は基本的に買わないのですが、「サライ」30周年記念号だそうでめでたい、それもあるが「大特集奈良へ」の文字を新聞で見て知った。二年越しで奈良回帰の気分になってしまったのがまだ続いている、子供のころからJRですぐ行ける奈良に親しんできた。「サライ」の今月号は買おう。先月、久しぶりに奈良に行った。東大寺横のパーキングに車を置いて歩いたが、少し前まで利用していた博物館の向いの駐車場がいつの間にか広くなり、回りにお土産屋さんができ、観光客向けの食事処や物産店に変わっていた。観光客さんいらっしゃいが見え見えで嬉しいような悲しいような。たくさんの人が訪れて1400年前の歴史を見てほしいけれど、私の奈...雑誌「サライ2019年11月号特集奈良」小学館

  • 「蜘蛛の巣の中へ」 トマス・H・クック 文春文庫

    父の最後を看取るためにカリフォルニアから20数年ぶりに帰ってきたロイ。若い頃には逃げ出すことばかり考えていた故郷の、ウェスト・ヴァージニア州キンダム郡は谷間にある貧しい炭鉱の町で小さい池や村落が点在し、川が一筋、無舗装の道路が走っている取り残されたような場所であった、東北にあるウェイロードは電気もない、より貧しい地域でロイの父はここの出身なのを恥じていた。母も弟も亡くなってしまい、肝臓癌で余命いくばくもない父を看取るのはロイだけになっていたし、いくらお互いの間には憎しみの心だけしかなかったとしても帰らないわけにはいかなかった。もう二度と戻るまいと思って出た故郷の暑い夏の日、ロイは否応なしに、心から締め出していたはずの過去に絡め取られていく、まるで暗い貧しい谷間に張られた蜘蛛の巣に絡まるように。一番深い心の傷とな...「蜘蛛の巣の中へ」トマス・H・クック文春文庫

  • 「向日葵の咲かない夏」 道尾秀介 新潮文庫

    今頃やっとミステリ評論家千街昌之さんという名前を覚えた。この解説を読んだだけでどういう傾向のものかよく分かる。ミステリの解説はあとから読む方がいいみたいだが、つい癖でちょこっと覗いてしまうけれど。本格ミステリといわれているが、そうともいえない幻想的でサイコっぽく、背景は現実と幻想のパラレルな世界が広がってもいる。こんな小説の世界が大好きな人も多いだろう。私もそうなので読みたいと思っていて道尾さんの名前を探した。売れていたし、このミス一位の本はどのくらい面白いのか、読んでみた。最後に全てが収束する、非常に巧妙な語りが面白かった。あの事件が起きた夏、ボクは小学四年生だった。ボクには当時、三歳の妹がいた。月日が経って、僕は大人になったけれど、妹はならなかった、事件のちょうど一年後、四歳の誕生日を迎えてすぐに、彼女は死...「向日葵の咲かない夏」道尾秀介新潮文庫

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