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ヒルナギ
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茨木市
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吹田市
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2012/09/17

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  • 迷宮は黄昏の光に満ちて 020

    「ほう」再び老人の顔に戻った魔神は、値踏みするように黒天狐を眺める。突然、凶悪な風の刃が黒天狐に襲いかかった。地面は引き裂かれて土煙をあげ、森の枝が切り飛ばさ…

  • 迷宮は黄昏の光に満ちて 019

    灰色のマントを纏いフードで頭を覆った魔道士は、夜空をみあげていた。無慈悲な女王たる月が冴えた輝きを放つ夜空から、八枚の黒い翼を広げた死の天使がごときおとこが降…

  • 迷宮は黄昏の光に満ちて 018

    ヒースは、eVTOLの操縦桿を握っている。eVTOLは全長七メートルほどの、自動車に似た姿をしていた。だが、車輪のあるべきところにあるのは、四機のサイクロロー…

  • 迷宮は黄昏の光に満ちて 017

    中央大通りを西側へ入り込むと、官庁街が広がる。その官庁街と商業区域の中間地点には公園があり、噴水がある池やちょっとした森林も公園の中にはあった。昼間はそれなり…

  • 迷宮は黄昏の光に満ちて

    中庭は、爆笑と歓声にのみこまれている。ダンジョン・エクスプローラーやダンジョン・ガイドは、FASTを嫌っていた。自由に生きようとする彼らを、何かと管理しようと…

  • 迷宮は、黄昏の光に満ちて 015

    トキオのその行動はひどく衝動的にみえ、ゆえに皆の意表をついた。トキオは背中に差し込んでいた八式拳銃を抜き放ち、夜空にむかって撃つ。赤い銃火が闇に伸び、獰猛な音…

  • 迷宮は黄昏の光で満ちて 014

    おんなは、平然と応える。「もちろんギルドはモンスターの部位やアーティファクトを管理しますけど、ダンジョンで得た知識は管理できないのでは?」「ヒースは戦争屋だか…

  • 迷宮は黄昏の光で満ちて 013

    トキオが少し戸惑ったような笑みを見せるのを意に介していない態度で、トキオに貴婦人がするような礼をしてみせた。「えっと」トキオが何か言おうとしたのを遮るように、…

  • 迷宮は黄昏の光で満ちて 012

    そこは、吹き抜けで剥き出しの夜空の下に開かれた空間であった。四角い館に囲い込まれた中庭であるが、館の規模が大きいためサッカーグランドほどの規模がある。そしてそ…

  • 迷宮は黄昏の光で満ちて 011

    アキはやれやれと肩をすくめると、強化ガラスの砕けたケースに向き合う。そこには、確かにグリモワールらしきものがあった。まあ、ようするに禍々しい気配をまとった本が…

  • 迷宮は黄昏の光で満ちて 010

    古書店には、独特なにおいがただよっている。彼女はそれが、死のにおいなのだと思う。書物に込められた死せる観念が、ゆるやかに立ち上ぼり店内をみたしている。彼女はあ…

  • 迷宮は黄昏の光で満ちて 009

    ダンジョン・シーカーは、マンティコアの死体に歩み寄ると確認した。とどめをさす必要がないと判断したのかマンティコアから離れ、バイクのところへゆく。レザージャケッ…

  • 迷宮は黄昏の光で満ちて 008

    チェーンソウはエリカの手から離れ、橋の上に落ちる。エリカは、尻餅をつく。エリカは、なぜか薄く笑った。恐ろしくて気を失いそうであったが、不思議とやりきったような…

  • 迷宮は黄昏の光で満ちて 007

    「いや、まて」カタギリは、不審げな声をあげる。首を失ったマンティコアは、地に落ちることなく空中に留まっていた。ロミオもあやしく思ったのか、追撃のため再度高周波…

  • 迷宮は黄昏の光で満ちて 006

    「十分ですよ、あれで。マンティコアは、耐えきれなくなる」長大な高周波チェーンソウを肩に担いだロミオが、口を挟む。「別位相から、我々の位相へと存在を同期させてき…

  • 迷宮は黄昏の光で満ちて 005

    それは、傷口から膿が流れ落ちるようであった。闇が自身の重みに耐えられなくなり、液状化して崩壊する。エリカは、そんな様を目の当たりにした。黄昏の薄明かりに引きず…

  • 迷宮は黄昏の光で満ちて 004

    ロミオは、深く頭を下げた。エリカは笑みをカゴメに投げたが、カゴメは多少こわばった微笑でそれに応える。エリカは頭をあげたロミオに、向き合う。「ねえ、撮影していい…

  • 迷宮は黄昏の光で満ちて 003

    エリカは、少しため息をつく。「逃げられるかしら」ロミオはエリカの問いに、首を横にふった。「場所が、よくありません。橋の上、ですからね。多分もう逃すことはないと…

  • 迷宮は黄昏の光で満ちて 002

    エリカがロミオに眼差しを、向けた。「不可解、てどういうこと?」カタギリが紫煙を吐きながら、言った。「モンスターを狩るものは、仕留め損ない傷ついたモンスターを逃…

  • 迷宮は黄昏の光で満ちて 001

    「これは、不味いんじゃあないかな」エリカは、カタギリの言葉に驚いてふりむく。カタギリは、少し蒼ざめた顔に引き攣ったような笑みを浮かべている。彼は、洒落たサファ…

  • 新年おめでとうございます

    僕はその迷宮にも似た街の中を彼女と共に、歩いていた。逢魔が時は世界をくすんだ色の無い景色に塗り変え、いたる所にうずくまる影が今にも動き出しそうで不安になり、僕…

  • 地球よ、永遠に 103

    「まあ、身構えることはないよ、ユーリ君。僕は君と、友達になりたいだけなんだ。今日のところは、ちょっとばかり挨拶にきたというわけだね」そういわれても、どうみても…

  • 地球よ、永遠に 102

    そのとき、唐突に目の前の空間に白い輝きが出現する。ユーリは、隣にいるダーナも驚いて前を向いたことに気がついた。雪原の白さをまとう輝きは薄れてゆき、その輝きの中…

  • 地球よ、永遠に 101

    ユーリ・ノヴァーリスは、ブリッジで操舵レバーを握っている。パルシファルの減速プロセスは、もう最終段階にはいりつつあった。ブリッジの全天周スクリーンは、天頂付近…

  • 地球よ、永遠に 100

    「いやその」フランツは、苦笑を浮かべた。「あれって、つまりルシファー・ファウストのことですよね」ロキは、頷く。ティークは、思わず笑って口を挟んだ。「それはまた…

  • 新春譜

    夜は漆黒の静寂を内に湛え、ゆっくり世界を沈めてゆく。静寂は、至高の音楽であり。沈黙は、神がもたらす至上の啓示となる。獣は狂気の荒野を駆け、屍衣に守られし乙女を…

  • 地球よ、永遠に 099

    「作戦開始前の、ブリーフィングをはじめる」いつものように凶悪な表情をしたワルターが、宣言をした。ティークは頷くと、あいかわらず無意味に贅沢な設備が備えられた会…

  • 地球よ、永遠に 098

    グスタフは、ため息をつく。「隊長の戦闘記録、気になったんで確認したんですよ。ホワイトファングとの戦闘中の記録は、ノイズ混じりでよく判らなかった」ケンは、笑う。…

  • 地球よ、永遠に 097

    エンシエントロード内では、加速は行われず慣性航行となる。よって人工重力は発生しないはずであるが、居住ブロックは船外に放出され船の周りを回転することで人工的な重…

  • 地球よ、永遠に 096

    ワルターは、再びユーリのほうへ向き直った。「航海士、ミリタリーモジュールの収容は、完了したのか?」ユーリは、頷く。「損傷を受けた機体を含め、全ミリタリーモジュ…

  • 地球よ、永遠に 095

    シルヴィアは、夜の闇が持つ漆黒で染められた細身のドレスで纏った肢体を、パルシファルのブリッジに晒している。ただ大気圏突入型宇宙船のように見事な流線型を持つ彼女…

  • 地球よ、永遠に 094

    「ダメージコントロール」ケン・ブラックソードの声に、ヴェリンダが応える。「本機本体の損傷は、ゼロ。まあ、スペースキヤノンの残弾尽きて、スペースアックスもエネル…

  • 地球よ、永遠に 093

    ルネ・ジラール連邦艦隊少尉は、網膜投影ディスプレイに映される発着用ハッチを見つめていた。彼のファイター仕様ミリタリーモジュールで構成された小隊八機は、発着用ハ…

  • 地球よ、永遠に 092

    「ヴェリンダ、連邦旗艦の発着ハッチの位置を教えてくれ」ケンは、旗艦に手をのばせば届くところまでたどりついていた。旗艦の迎撃用機関砲は、味方を誤爆するのを恐れて…

  • 地球よ、永遠に 091

    カール・グスタフの隊は、乱戦に入りつつあった。連邦艦隊の旗艦は、目の前にいる。しかし、旗艦を背負った連邦のミリタリーモジュールが行う防衛戦は、熾烈を極めた。グ…

  • 地球よ、永遠に 090

    ケン・ブラックソードは、一編隊八機から追われている。ケンは羽毛で硝子細工を撫でるような繊細さを要求される自機を巧みに操作し、降り注ぐスペースキヤノンの砲弾をか…

  • 地球よ、永遠に 089

    常識ではありえない、奇妙なドッグファイトがはじまろうとしている。それはドルーズとウルフバートの間にだけ存在する、暗黙の呼吸に基づく戦闘だ。あまりに予想どおりの…

  • 地球よ、永遠に 088

    「ウルフバートと推定される機体を、見つけました」ドルーズは、彼のフェアリーであるミルククラウンの言葉に頷く。ミルククラウンは、ドルーズの視界にウルフバートの映…

  • 地球よ、永遠に 087

    「ブラックソード隊、発艦する!」ケンが声をあげると同時に、電磁カタパルトで加速されたミリタリーモジュールは宇宙空間へと飛び出す。連邦軍が散布した微粒子の中に飛…

  • 地球よ、永遠に 086

    艦底に巨獣がぶちあたったように、パルシファルは揺れる。全天周スクリーンがホワイトアウトしたのは数秒のことで、スクリーンにはぬばたまの闇が戻っていた。ダーナの叫…

  • 地球よ、永遠に 085

    ワルターは刺すように強い眼差しを、ユーリに向ける。「ノヴァーリス航海士、進路を連邦艦隊へ向けろ。第一戦闘速度まで、加速」ユーリはごくりと息をのむと、操舵レバー…

  • 地球よ、永遠に 084

    ユーリ・ノヴァーリスは、パルシファルの戦闘艦橋にいた。戦闘艦橋を覆う巨大な全天周型スクリーンの天頂付近に、木星が異様な姿を晒している。その惑星は狂気と混乱を象…

  • 地球よ、永遠に 083

    「科学班長、フランツ・フェルディナンド、入ります」フランツは、ロキの「入りたまえ」という返答を待つことなく、入室した。ロキはずっと使っていた艦長室をワルターに…

  • 地球よ、永遠に 082

    ミリタリーモジュールを眺めている。機体の装甲には、漆黒の塗装がなされている。夜の闇を切り裂く稲妻のように、金色のストライプがボディに描かれていた。間違いなく、…

  • 地球よ、永遠に 081

    凍てついた冬の夜空で輝く星の輝きを宿した瞳で、キルケゴールはシュレーゲルを見つめる。そして、問いを発した。「確か連邦艦隊には、ネームドであろうパイロットがいた…

  • 地球よ、永遠に 080

    シュレーゲルは、ブリュンヒルドの作戦室から量子リンクで接続しパルシファルでの会議に参加していた。シュレーゲルから立体映像でパルシファルの乗組員が見えているよう…

  • 地球よ、永遠に 079

    ネグリは、鋭い眼差しで嫌そうな顔をするガタリを見つめる。「むろん、ひとりのパイロットが戦況を左右するとは思わないがね。しかし、ずば抜けたパイロットが思わぬ事態…

  • 地球よ、永遠に 078

    ネグリは、冷たい怒りを潜ませた声を出す。「戯れ言を許容するのも、時と場合によるぞ。大佐」ガタリは、不思議そうに問い返す。「戯れ言? なぜです? ルシフェルの相…

  • 地球よ、永遠に 077

    「敵艦ルシフェルは、我が艦隊インドラクラス六隻、ヴァーハナクラス十隻を一斉射で行動不能に陥れました。戦艦十六隻のバリアをものともせず、電磁パルスを艦体に浴びせ…

  • 地球よ、永遠に 076

    フェリックス・ガタリは連邦艦隊旗艦ヴィシュヌの執務室で、ヴァーチャル・コンソールを操作する。殺風景な部屋が、大きなヴァーチャル会議室の映像に切り替わった。そし…

  • 地球よ、永遠に 075

    ティークは、その艦長室を贅沢だなと思う。パルシファルは元々洋上艦として造られた船であるため、仮想現実ですませられる部分も物理的に作り込まれていた。その艦長室も…

  • 地球よ、永遠に 074

    キルケゴールと呼ばれたおんなは、目を細めケンを見る。キルケゴールの左目は黒い肉眼であるが、右目は機械の義眼であった。右目としてはめ込まれた強化レンズが放つ冷徹…

  • 地球よ、永遠に 073

    ケンの言葉に応えるようにフランツは、優雅に一礼をする。「これは失礼をした、ケン・ブラックソード君。それと、僕のことはフランツと呼ぶといいよ!」フランツはまた、…

  • 地球よ、永遠に 072

    ダーナはテーブルに身をのりだすと、ぐっとユーリに顔を近づけた。「それでね、ユーリ。この船のメインパイロット、あなたが採用されるのほぼ決まりだから」ユーリは、目…

  • 地球よ、永遠に 071

    ケンは、にっと歯を見せて笑い親指をたてる。「よし、ユーリ。メス・デッキに、行こうぜ。そこに皆、集まってる」ユーリは、少し驚いた顔をする。メス・デッキは、下士官…

  • 地球よ、永遠に 070

    ユーリ・ノヴァーリスは、パルシファルへと向かうバージに乗っていた。物資の運搬が主な担務であるバージであるから、ひとの乗り心地はあまり考慮されていない。荷物のつ…

  • 地球よ、永遠に 069

    フランツは、微笑みながら頷く。「ええ。パルシファルのベースとなったのは、第三帝国と同盟を結んでいた海洋帝国フソウが寄贈したマホロバ級と呼ばれる戦艦だったと聞き…

  • 地球よ、永遠に 068

    護衛官が、呆れた声をだす。「よく、あなた方はそんな船を、使おうという気になりましたね」ティークは、笑いながら応える。「この程度の出鱈目さに躊躇いを感じていては…

  • 地球よ、永遠に 067

    ティークは、ここは贅沢な部屋だと思う。そこは、パルシファル内のブリーフィングルームであった。宇宙戦艦内のブリーフィングは、VR装備を使いネットワーク上の仮想空…

  • 地球よ、永遠に 066

    ホフマンは、闇の中にいた。その闇はとても深く、死そのもののように思える。ホフマンは死とはなるほど、このようなものかと馬鹿げたことを思う。もしかすると自分が死ん…

  • 地球よ、永遠に 065

    シュレーゲルは、信じがたいものをみる目で連邦艦隊を見ている。全く打つ手がないほどの無敵さをもった連邦艦隊が、抵抗する術もなく完膚に打ち砕かれていた。シュレーゲ…

  • 地球よ、永遠に 064

    ロキは苦笑を浮かべながら、肩を竦めた。「気にするな、フランツ君。どうやらパルシファルは、覚悟を決めたようだ」フランツは、はあ? といったふうに目を見開く。それ…

  • 地球よ、永遠に 063

    「インドラクラスから、ビーム砲の砲撃がきます」ヴェルザンディのあげた報告の声とほぼ同時に、全天周スクリーンの天頂付近が七色の光を放つ。無数の虹が砕かれまき散ら…

  • 地球よ、永遠に 062

    「ビーム砲、全て直撃ですが、目標に変化はありません」ブリッジの艦長席で、クレルボーはうんざりしたような顔でオペレータの報告を聞いた。突然戦闘宙域に出現したその…

  • 地球よ、永遠に 061

    「さすが、わたしの計算は完璧だね」スクルドが、とても上機嫌な声を出す。パルシファルは、見事に連邦艦隊とテラ艦隊の中間地点に出現していた。「ああ、そうだな」フラ…

  • 地球よ、永遠に 060

    「戦闘宙域に、小惑星出現」オペレータの報告と共に、フライアの全天周スクリーン天頂部に出現した物体をみて、シュレーゲルは頭を抱える。「うーん、あれはどうやらカイ…

  • 地球よ、永遠に 059

    フェリックス・ガタリは連邦艦隊旗艦ヴィシュヌの自室で、もの思いに耽っていた。毛皮に覆われた顔で光る金色の瞳を、三日月のように細めている。ガタリにとって、テラと…

  • 地球よ、永遠に 058

    「敵ミリタリーモジュール十六機、ジークルーネに接近中。後二百秒で、戦闘距離に入ります」落日のように赤く輝く薔薇に彩られた顔を、クリス・ローゼンクロイツは少し曇…

  • 地球よ、永遠に 057

    ヴェルザンディの切迫した声に、フランツが叫び声を被せる。「王陛下、あなたは脱出を」「馬鹿を、いいたまえ」ロキ王は、落ち着いた声で応える。「テラごと吹き飛ぶのに…

  • 地球よ、永遠に 056

    パルシファルのブリッジは、重低音の響きに満ちている。月の光で輝いているかのような白衣を纏ったフランツ・フェルディナンドの周りには、コンソールが光の渦を造り上げ…

  • 地球よ、永遠に 055

    「エイリーク、沈みます」オペレータの声に、シュレーゲルは全天周スクリーンを見上げる。連邦艦隊の手前に、星が生まれたかのような明るい輝きがあった。ある意味エイリ…

  • 地球よ、永遠に 054

    「よし、ルーイ・ノヴァーリス航海士。よくやってくれた」突然のホフマンが発した言葉に、驚いたルーイは振り向く。ホフマンは、焔に彩られた顔に優しげといってもいい笑…

  • 地球よ、永遠に 053

    ごうん、と鈍い衝撃がエイリークにはしる。突然全天周スクリーンが甦り、ヴァーハナクラスの姿が映し出された。鋼鉄のリヴァイアサンを思わせる流線型の船は、もう手をの…

  • 地球よ、永遠に 052

    再び、巨大なハンマーで連打されるような衝撃が艦体に走る。ヴァーハナクラスの放った次弾が、全弾エイリークに命中した。全て装甲板に被弾し、艦の機能に影響はない。そ…

  • 地球よ、永遠に 051

    ルーイ・ノヴァーリスは、操舵レバーを握りしめヴァーハナクラスへ向かって艦を進める。奇妙な、高揚感があった。胸の奥で火が燃え上がり、その炎が血液とともに全身を駆…

  • 地球よ、永遠に 060

    フランツは両手を天にかかげ、高らかに笑う。闇の中で炎が踊るようにフランツの金髪が、揺れる。「さあ、全ての天使たちよ。恐れ、おののくがいい。天より墜ちし輝けるも…

  • 地球よ、永遠に 049

    そこは、広く洞窟のように昏い空間であった。その闇の中で、星なき漆黒の夜に輝く月のように白衣を薄明に浮かびあがらせるおとこがいる。フランツ・フェルディナンドで、…

  • 地球よ、永遠に 048

    「ロスヴァイゼ、沈みます」ルーイは、悲痛な声で報告する。スクリーンに、爆炎に包まれ崩壊してゆく宇宙戦艦が映し出されていた。宇宙での艦隊戦でビーム砲を受け船が沈…

  • 地球よ、永遠に 047

    「ヴァーハナクラスが本艦の射程に入るまで、後二十秒」「全乗組員の退艦を、確認」相次いで、UIの報告が入る。フリードリッヒは、鋭い声で命令を下す。「主砲、発射準…

  • 地球よ、永遠に 046

    「ヴァーハナクラス、百二十秒後に本艦主砲の射程に入ります」オペレータの報告を聞き、フリードリッヒは笑みを浮かべる。それはとても満ち足りて、穏やかな笑みであった…

  • 地球よ、永遠に 045

    「ヴァーハナクラスが二隻、艦隊の隊列を離れ加速をしています。我が艦隊との接触は三百秒後」オペレータの報告に、シュレーゲルは頷く。平静を保とうとしてはいるが、瞳…

  • 地球よ、永遠に 044

    「ロスヴァイゼ、インドラクラスの攻撃を凌ぎました」ルーイ・ノヴァーリスは、情報を解析した結果を報告する。炎を顔に宿したおとこ、ホフマンが頷く。太々しい笑みを、…

  • 地球よ、永遠に 043

    赤黒い染みのような爆炎が、スクリーンに広がっていった。「デコイ、全滅です」オペレータの報告に、フリードリッヒは頷く。多少あっけないように感じるが、砲撃に特化し…

  • 地球よ、永遠に 042

    フライアの全天周型スクリーンは、三つの光を天頂に映し出している。デコイのバリアは、インドラクラスの主砲直撃に辛うじて耐えたようだ。光は、やがて沈静化していく。…

  • 地球よ、永遠に 041

    ホフマンは、全天周型スクリーンに映し出されたインドラクラスにほうとため息をあげる。天空から自分たちに向かい振りかざされた神の槍は、三つの砲口に赤く燃えさかるエ…

  • 地球よ、永遠に 040

    「それにしても、フリードリッヒ艦長。あなたが、こんなに我が儘だとは思わなかったわ」フリードリッヒの隣に浮かぶ、おんなのホログラム映像が語りかける。フリードリッ…

  • 地球よ、永遠に 039

    闇の中で砕かれ撒き散らされた宝石のように、無数に星が煌めく漆黒の海。その海に、小さな空中都市がごときコントロールデッキが浮かんでいる。コントロールデッキの周囲…

  • 地球よ、永遠に 038

    ユーリ・ノヴァーリスは、再びブリッジで操舵レバーを握っていた。今ブリュンヒルドは、テラの方向に艦尾を向けフルセイル状態で最終減速プロセスに入っている。この状態…

  • 地球よ、永遠に 037

    その沈黙を破ったのは、シュレーゲルであった。「王陛下、それは今から十三時間後に、例のパルシファルが戦場につくということですか?」王は、頷いた。「君の言うとおり…

  • 地球よ、永遠に 036

    ティークは頷き、おとこたちは一斉にティークを見た。フランツは、おとこたちがティークを見る顔にリスペクトはなく、値踏みするような眼差しであると思う。ただ、ティー…

  • 地球よ、永遠に 035

    その部屋は、広くて薄暗く倉庫のようである。ただ、倉庫とは違い備品が置かれている様子はない。その部屋を満たしているのは、静寂だけであった。ふたりのおとこたちが、…

  • 地球よ、永遠に 034

    だん、と扉が開かれる。そこは、トレーニングルームであった。ウエイトトレーニング用の、様々な器具が置かれている。部屋の半分はマットが敷かれてあり、格闘技のスパー…

  • 地球よ、永遠に 033

    アグネス・ルンゲ少尉は報告書を書き終え、ヴァーチャル・コンソールを閉じた。ブリュンヒルドは、十二時間の二交代制をとっている。近衛士官は別組織に属してはいるが、…

  • 地球よ、永遠に 032

    再び一人きりとなったティークは、広い会議室の静寂が深まったように思う。ティークは何かに押されるように立ち上がり、会議室の外へ出た。そこに、ひとりのおとこが立っ…

  • 地球よ、永遠に 031

    「ティーク執務官、こちらです」ティークは案内をしてくれた女性の事務官に礼を言うと、会議室に入る。中央に楕円状のテーブルがあるきりのシンプルな部屋にはいり、ティ…

  • 地球よ、永遠に 030

    ユーリの物思いは、過去の追憶をたどりはじめる。ルーイの父親は、ゲオルク・ノヴァーリスという名の貴族であった。貴族は、王家と血の繋がりがあるが既に未来決定能力を…

  • 地球よ、永遠に 029

    ユーリ・ノヴァーリスは、自室でひとりであった。同室であるケン・ブラックソードは、士官食堂にいったきり帰ってこない。ベッドに横になったユーリは、次の当直まで少し…

  • 地球よ、永遠に 028

    ケンは、今度は挑発にのらない。間合いを保ったまま、その場で垂直に跳びはじめる。とーん、とーん、と。軽やかなリズムに乗って。とても自然で、軽やかな動きの跳躍だっ…

  • 地球よ、永遠に 027

    ダーナは、いつのまにか獲物を前にした肉食獣の笑みを浮かべていた。「わたし、ダーナ・ロキは王女として王国の国民を、教え導く義務がある。だから」ダーナは、再びケン…

  • 地球よ、永遠に 026

    ケン・ブラックソードは、薄く笑いながら椅子に深く腰をおろしていた。そこは、士官用の食堂である。士官用とはいえ、今のブリュンヒルドにいる士官は王女の教育係しかい…

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