その古本屋の店主はポンコツ美大出の気取り屋で、最終団塊世代だった。いい年をこいて、長髪で金輪際似合わぬ髭を生やし、スカしたメガネをかけている。よくアゴが...
Peyote-Agree, Coyote-Angry, Golyat-Hungry
記憶の劇場の帰り道、ふと持ち上げたカルヴァドスの空き瓶の下に「巴里の午睡」とコッペココペリと虹のコヨーテは恥ずかしそうにうずくまっていた。 いにしえの昔、ディネの男たちとアステカの民はコヨーテを「歌う犬」と呼び、いたずら好きの神として敬った。彼らはコヨーテが太陽と死と雷とたばこをもたらしたと信じて疑わなかった。
その古本屋の店主はポンコツ美大出の気取り屋で、最終団塊世代だった。いい年をこいて、長髪で金輪際似合わぬ髭を生やし、スカしたメガネをかけている。よくアゴが...
退院連絡票と投薬説明書を読んでいるときだった。向かいのベッドに横たわるエデンの園から来た大富豪の老人の声を初めて聞いた。老人の声は嗄れていたが、威厳と自信...
村上春樹には双子の弟がいる。村上冬樹だ。村上春樹は4242、村上冬樹は4243。村上春樹/4242と村上冬樹/4243は驚くほど似ていない。二卵性の域を超...
世界中が敵にまわっても裏切らず、背を向けず、手のひらを返さないものを探して秘密の森を歩く。
侵しても、灼いても、踏みにじっても、森はいつも静かにそこにいる。世界中が敵にまわっても裏切らず、背を向けず、手のひらを返さないものを探して秘密の森を歩く...
砕け散った心と夢のかけらをひとつ残らずひろいあつめて。幾千億回の朝がきてもなお。
いつからか、エッダ・デル・オルソが歌う『Once Upon a Time in America/昔々、アメリカで』の劇中歌であるエンニオ・モリコーネの...
4θ4 Life Not Found 十万の十字架と幾千億の墓標と
リトアニアの首都・ビリニュスの郊外に奇妙な場所がある。周囲に人家はない。荒野の中心、小高い丘に無数の十字架が立っている。その数、十万。19世紀前半、ロシア...
ラ・コンメディア・デッラルテが14行で語る人生 ── 最後は笑いにかえるから。
BGMはいつもかぐや姫の神田川か赤ちょうちん。昭和の風景生きてることはただそれだけで悲しいことだと知りました。Cosets Minamiいまでも、雨の夜、...
クマグス・デイズ/南方マンダラは集合知(Big Data)である。
知の巨魁、南方熊楠が描いた「南方マンダラ」は集合知(Big Data)である。
カフカの雪がとけて、グレゴール・ザムザ氏が冬虫夏草に変身変態した年の秋。世界規模の蜘蛛の巣が日本を覆いはじめた。World Wide Web. 1996年...
666をめぐるロクでもない話 おしゃべり魔女は麓郷の人々に六花亭の毒入りマルセイ・バタサンドを666個配る。
666は死の数字Barcodeは獣の数字の刻印である。六馬和せざれば造父も以て遠きを致す能わず Jun-Kyo小さな者にも大きな者にも、富める者にも貧し...
サヨナラをする、その前に/2000トンの雨が上がり、射しこんだ14番目の月のマイナス100度の太陽みたいな光に瞳を開いたら。
タツロー、ユーミン、サザンは1970年代後半から1980年代を生きた者の青春のアイコンだった。ニュウドウカジカ・キッズのたまり場になっていた成金大金持ち...
静寂は殺しのサイン/長く強い痛みとアダージョ・ソステヌートの殺人者
Shooted by Jukai-Jin人生はラフマニノフの1小節にも値しない。G-Gアダージョ・ソステヌートの死。息は乱れない。常に平均律を保っている...
だれであろうと崖から転がり落ちそうになったらつかまえるのだ。ライ麦畑の捕手。そういうものになりたい。冷たい雨の中、夢の球場の入口で僕は待っていた。銀河系宇...
ディオゲネス・ザ・ドッグはとてもじょうずにピエトロ・マスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナ 間奏曲』を弾く。繰り返し弾く。そして、殺す。
愛を知らない無敵の闘犬と盲目のピアノ調律師の話だ。悪魔がいる。悪魔の名はディオゲネス・ザ・ドッグ。アメリカン・ピット・ブル・テリア。通称、ピットブル。途轍...
ピエトロ・マスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナ 間奏曲』とロッキー・マルシアノの右フック
22歳の冬だった。横浜馬車道の映画館。『レイジング・ブル』(マーティン・スコセッシ監督/ロバート・デ・ニーロ主演)のオープニング。モノクロの映像。リングで...
新宿の厚生年金会館大ホールで古謝美佐子の『童神』を聴いてから25年になる。以来、きょうまで聴きついできた。心さびしいとき、うれしいとき、つらいとき、苦しい...
私は大酒飲みである。先祖代々の大酒飲みである。大酒飲みの因子は幾世代にも渡って受け継がれ、遺伝子に深く強く濃く刻まれている。母親は若かりし頃、「ビールの飲...
イリスの卵運び試験に合格し、卵好きどもが画策した鮫島事件を再検証する過程でゾルタクス・ゼイアンを知った。そして、すべての都市伝説の黒幕はゾルタクス・ゼイア...
オイラは黄金のカエルだ。名前なんかねえ。あすの朝一番で旅に出る。北の沼を出るんだ。あてはねえが目的はある。ずっと昔にオイラの前から姿を消した一匹の緋鯉を探...
父が死んだ。1週間前のことだ。米寿目前。大往生だった。縁台の陽だまりで眠るように逝った。いくつもシミの浮いた皺だらけの手には前の日に私が贈った真新しい携帯...
【センス・エリート100箇条】30歳を目前にした熱い夏、ある輸入ビールの広告制作の依頼が舞いこんだ。当時はキリンビールが圧倒的なシェアを有していて、どいつ...
演劇部の美人部長M子とすごした1975年10月14日(火曜日)の放課後の音楽室
【第1楽章】「料理はセックスである」と大江健三郎に言ったのは17歳のわたくしであるが、その考えはいまも変わらない。変わらないどころか、より強固に頑迷になっ...
夏が急ぎ足で通りすぎてゆく。永遠につづくかと思われた夏の終りの足音がかすかに聴こえはじめた。君よ、夏を惜しめ。Carpe Diem. その一日の花を摘め。...
夏は別れを告げるものではなく、追悼すべきものである。曖昧で、名前すらつけることのできない空を見上げて雨の気配を探る日々。かつて、われわれはそのような日々を...
フォルトゥーナから伝言 ── ロゼクロワ、運命の輪、引き出しに隠されたもの
パリのロゼクロワ本部から『薔薇通信』が送られてきた朝から22日連続でタロットの大アルカナの「運命の輪/La Roue de Fortune」を引いた。その...
銀河鉄道のグラマティカ ── 冬の夜、神宮外苑の銀杏並木で銀河鉄道を待ちつづけた少女
ある若い女の独白である。 10年ぶりに『銀河鉄道の夜』を読んだ。10年前の冬の夜。わたしは小学生で、初潮を迎えていて、おまけに人生という得体の知れないも...
No Leaf, No Life./凍った森、ジョージ・ウィンストンのThanksgivingがしみた夜
George Otis Winston III (February 11, 1949 – June 4, 2023)良心の音楽を紡ぎ奏でつづけた者よ。凍っ...
久里浜スタイル ── 夜明けの久里浜の海辺でロドリゴ・レアンの『Ave Mundi』にたどり着く。
2022年11月、ひどい歩行困難に見舞われてからずっと6音による短い旋律が頭の中で鳴っていた。ミニマルともアムビエントとも思える悲しげな旋律。iTunes...
トパンガの夢 ── Green Mileより、8 Mileより、500 milesより少しだけ遠い238,856 miles彼方の約束の地を目指して。
青い月の夜だった。虹の橋の帰り道、ジャンクヤードの戦争の犬たちが道端に置かれたジョゼフ・コーネルの箱から『犬の聖歌』を歌いながら出てきた。ジャンクヤードの...
グリニッチ・ヴィレッジを遠く離れて。マリー・トラヴァースを探して。500 milesを夢見て。
Born in a hotel room, and God damn it, died in a hotel room. E-OMy clothes a...
今夜、宇宙を横ぎって。/銀河鉄道の夜を越えて宇宙の始まりを思いだし、万物は流転することを知る。
Τα Πάντα ῥεῖ. H-E (Fluctuat Nec Mergitur Weeping Philosopher)No man ever step...
なにごともなかったように雨はやんで、なにごともなかったように空は晴れあがる。
「あなたはなつかしいにおいがするから好き。わたしのハートはStop Motionだけど、好きだから、あげる。」そう言って、Stop Motion Girl...
世界に無数の透明な歯車が回り始めてからというもの、不思議なことが次々と起こるようになった。今朝は昨夜から降り出した雨の中でレインコートを着た若く美しい女の...
滅びのレシピ ── 世界はKGBの小役人上がりの狂人の退屈陳腐狭量陰湿陰険極まりないレシピによって滅びようとしている。
ナパームは線香花火となり、メガデスすらこどもだましとなった時代を我々は生きている。Enzo Molinari1940年5月9日、オランダ、ベルギーに侵攻し...
葬列の向こう側に ── 滝山病院事件から仄見える精神医療の闇
朝、雨に煙る窓越しに葬列を見た。また人が死んだのだ。誰が死んだのかはわからない。誰が死のうとそれはどうでもいい。確実なのは死んだのが私ではないということだ...
グレート・リセットのためのレッスン/マイナス100度の太陽に灼かれた空の怪物アグイーみたいに ── 私の「ホテル・カリフォルニア問題」あるいは『同時代ゲー...
波止場の夜は長く、闇は深く、ノクターンは聴こえない。波止場は眠らない。 Enzo Molinari久里浜発金谷行きの東京湾フェリーの最終便は春の闇の海を滑...
死はいつも目の前にある。 E-M-H野比海岸には風と光と波音しかなかった。砕ける波濤のあいだには死者たちの無数の白い手のひらが揺れていた。マーラのシンフォ...
久里浜スタイル ── 遠い冬の日の航海日誌 潮風のデッキは人影もなく
うつろう青春に身をまかせていれば、長い人生さえ宇宙のかけら。Youmeen真冬。東京湾フェリー久里浜港19時30分発金谷港行の最終便のデッキに人影はない。...
久里浜スタイル ── いつかさよならのときが来たとき 大きな玉ねぎの下に埋まっているもの
はるかなる想いは、きっと大きな玉ねぎの下に埋まっている ── 。「いつかさよならのときが来たとき」という言葉がずっと頭の中で聴こえている。アダージョ・ソス...
久里浜スタイル ── 朝の海辺で人生の晩鐘に耳を傾け、森羅万象を計測する老人。
虹の彼方の朝の海辺に出た。虹の彼方の朝の海辺には人生の晩鐘に耳を傾け、森羅万象を計測する老人がいた。海のひとだった。海のひとは小さな音でセルゲイ・ラフマニ...
沈黙ノート/STOP! CULT! カルトのニオイは元から断たなきゃダメ!
Rhonda Byrneの『The Secret』を愛読書に挙げる者は脳みそにしわのないおスピちゃんである。アクセス数稼ぎに日も夜もない者、イイネ/Ni...
海沿いのカーブをいくつもの夏がすぎて。/1983年夏のクラクション
海沿いのカーブを君の白いクーペ 曲がれば夏も終わる… Gakky Junichi曖昧で、名前すらつけることのできない空を見上げながら雨の気配をさぐる日々...
寒かった1988年の夏が終わり、3度目のRadio Daysが始まろうとしていた。「"君の中の少年"に捧げる」とつぶやく日々だった。周囲にいる善良な人々は...
私は常に先駆者だ。Miles Dewey Davis III三楽オーシャンのVAN登場前夜。伝説はすでに神話だった。「So what? ギャラはいくらだ?...
東京の午睡/圓朝の朝 ── 明治地獄の言文一致神経運動会で滑って転んで寝床で鰻を喰ってサゲてくたばってカンカン踊りして火屋を逍遥する。
年寄りの冷や水で廓は火の車すべては「14歳の出淵次郎吉はたった四杯の上喜撰で夜も寝られなくなったか?」という問いから始まった。泡劇場が終幕し、「日本一客の...
No Radio, No Life./8人目のDEBCOピープルの脳天を叩き割ったとき、スクラブ・ヒッコリーのハンドルが折れた。
ラジオは知っていた。僕の心をノックした。遠ざかる故郷の空。帰れない人波に。本当の幸せ教えてよ。壊れかけのRadio。 HideTokuトゥイッ・トゥイッ・...
もう、ひとりはコリゴリだ。── 生まれくる「ひとりぼっち」の新米くんたちへ
ひとりぼっちのベテランとは「人間は一人では生きていけないことを知る者」であることに、この頃、ようやく気づきはじめた。わたくしがそのような考えに至ったのはあ...
いのちの歌/泣きたい日も絶望に嘆く日もそばにいて寄り添うあなたの影。二人で歌えばなつかしくよみがえる。故郷の夕焼けのやさしいぬくもり。
すみだ少年少女合唱団の歌う『いのちの歌』がかかった。ピアノの前奏の12音が終わらぬうちに古い友人はなんの前触れもなく嗚咽し、号泣した。古い友人は2012年...
新月の夜の冒険クロワッサンの焼き方/太陽に向けた週末飛行 ── それは、夏かぎりの恋を終わらせるにはうってつけの新月の夜だった。
40年を経て、Toshiki Kadomatsuの『Crescent Aventure』にたどりつく話だ。かつて、今から40年も前に「City Pop」と...
Bleu Lundi/憂きことのみ多いが、とりあえず、Smile.
笑っていればあしたはあかるい。Sir C-S-C原発。放射能。伝染病。飢え。そして、殺戮。憤怒と憎悪の炎を燃やすのも滂沱の涙を流すのも当然だ。悲しみは東京...
Late for the letter/最初で最後の手紙には「私はあなたなしでも生きていける」と書いてあった。
女の最初で最後の手紙には「私はあなたなしでも生きていける。そう思いつづけて、あなたとさよならしてから32年間生きてきたのよ。正確には32年間2ヶ月3日と1...
Carpe Diem/ゴンチチの沈黙 ── いちばん大事なものは放課後の音楽室の沈黙だった。
長い沈黙のあと、雨上がりのアンダーソンの庭のマダムQの伝説の食卓で大陸風に吹かれる貧しい王家は短めの昼食に漂流するオウムガイのムニエルを食べる。大事ななに...
夢の比重/ナイルのブルー・ヒポになって初めての冬のさなかに重力の虹がかかるビートのきいた路上をエボナイト棒をステッキがわりにケルアックとオールナイトでWalk, Don't Runすることについて。
青いナイルカバたちがドランク・タンクで茹で死にし、トウヒ遭難しかけた途端にケルアックが重力の虹をつれて現れた。ケルアックの吐く息はマイヤーズ・ラムのにおい...
ゴンザレスの南、チチリアーノの西。あるいはRide On Timeの男/君が去ったこの場所、ずっと僕はいたよ。
1980年の秋の初め。「君が去ったこの場所、ずっと僕はいたよ。」とつぶやく日々。ないはずの時間に乗りきれない日々がずっとつづいていた。君は遠く去ったけれど...
海と神話と犯罪/酔いどれの死は世界樹の上で踊り、グレープフルーツ・ムーンを見上げる。
どこにも行きたくない者にとっては世界のどこであろうと地の果てだ。Enzo Molinari1991年の冬の初めの海賊時代最初期。第1回ハマノス会議。第三管...
肺と言語/言語接触とコンゴ・セックス ── 宇宙を支配する巨大な意志の力はいかにしてンチウゥ・ワヲ・スィハァィスゥイルー・ヌィスィ・ヌゥ・ティカァルァになったか?
サブ・サハラ踏破の旅の最中。タンザニアの果てしなく広がる平原で究極の1行、ひと言を手に入れた。その勢いでザイールに足を伸ばし、「キンシャサの奇跡」の名残り...
「ドラゴン・カレーは飲み物である」と強弁するウガンダ・トラの脳血管に強烈なKiller Blowを入れたついでに図画工作物としてのランランルーの制作に取り...
殺すカラス/Killer Crow, Killer Clow, Killer Blow.
Killer Crow, Killer Clow, Killer Blow.名うての殺戮屋のコルシカ・ハシブトカラスのロンリー・カーボーイ・カースケはシ...
ヘレン・フォラシャーデー・アデュは歌う。静かに、スモーキーに、揺らぐように、憤怒を内に秘めて。1984年の夏の盛り。Sadeの存在の揺らぎのような音楽を聴...
ジュリア・マンデルブロとの濃密、深淵、再帰にして空疎きわまりないマグワイ・モグワイの夜を息も絶え絶えに超えて迎えたフラクタルの朝。ケツの拭き方のおさらいと...
ミニアチュール・ラブ/別れを告げ合うミニアチュールの朝、恋人たちはいかなる協奏曲をいかに聴いたか?
草と花と木々と鳥たちを濡らす魔法の雨はなんてやさしいんだろう。Happa Fumi-Fumi別れを告げ合うミニアチュールの朝。恋人たちはサラ・ボーンの歌う...
Misty City/アイスワインをつくるように殺す ── 街のはずれのミスド雲海店でミスティに返り咲いたロサ・グラウカをめぐるミステリー
肉がよく切れる霧の夜。ミスティに返り咲いたロサ・グラウカが斬殺された。犯人はわかっているが、捕まえるのは適切な剪定くらいむずかしい。あるいは適度な甘さのア...
笑ってる場合か! チュー公と道化師!ディズニーランドとマクドナルドとスカイツリーで幸福が手に入れられるなら神さまだって苦労しない。Enzo Molina...
記憶にまつわるエト・セトラ/変になりかけた気分をまぎらわすためにドアにエリック・ドルフィーの『OUT TO LUNCH』のジャケットをぶら下げる。
死体は学習し、死骸は復讐する。M-Bいまだ! いまこそぼくは喋るんだ! アンリ・ソルジュ1990年の夏の終わり。バブル崩壊とバブルガム・ブラザーズの『Wo...
記憶にまつわるエト・セトラ/砂漠では自分の名前すら思い出せない。
記憶の話だ。ゴビ砂漠のど真ん中(42.59°N 103.43°E)で、ユヴァル・ノア・ハラリの『Sapiens: A Brief History of H...
日々の異言/マドレーヌ現象(自動書記/自動発語)とダイナスティナ・グロソラリア語とヂサフィナードゥの女。そして、Pole pole, ndiyo mwendo.
『サイコパスの肖像』を描きあげ、与那国島の暴風域まみれの鼻行類世界に迷いこんでから3日目。名うてのインセクト・マイスターであるヨーロー教授は私の耳元で「ギ...
Biohazard Ruins/経済原理と隠蔽と捏造がバイオハザードを生み、増幅する。いまや世界はBSL-3実験室である。
バイオハザード・シールがプリントされた黄色いビニール袋が足にからみついた。ふりほどき、眼を上げる。大量の薬剤、汚染物質、感染性廃棄物、無施錠のBSL-3実...
最後のセブンナップ/雨に濡れたからではない。明日に向かって撃たなかったからではない。『いちご白書』をもう一度みなかったからではない。CSN&Yを聴いたからではない。心が風邪をひいただけである。
雨に濡れたからではない。明日に向かって撃たなかったからではない。明日と呼べる日がなかったからではない。イージー★ライダーになれなかったからではない。Ve...
北緯36度14分 東経27度34分/ハルキ島にハルキンボ・ムラッカーミのカワウソ痕跡を探しにいくついでにカモミーユに似たディモスエンポリオカストロギクを摘む。
ハルキ島はあまりにも小さくて、かたちもよくわからない島だ。かつて遠い太鼓の爆発音に悩まされ、スプートニクの変人にふられてこっぴどい目にあったハルキンボ・ム...
ハーパース・ビザールを聴きながらハーパーズ・バザーを読み、「Other Voices, Other Rooms」について考えること。
アンファンテリブル・ストレックファス・パーソンズは20世紀に生まれ、20世紀に死んだ。The brain may take advice, but not...
シュルレアリスムでフォーヴィスムに満ちたカリグラムの朝。アポリナリス・ドゥ・コストロヴィツキの『Le Petit Trou pas cher』の自筆原稿に...
ΙΧΘΥΣとPS23言葉は人類が発明した最古のサーカスである。 D.K.スラップスティック・ミトロジーの話である。物語はヘドバ&ダビデの『シャンポリオンの...
幽閉された林檎/赤い表札と源初の記憶の連続性と切断面について。
赤い表札と源初の記憶の連続性と切断面について。ドルーアンの1000年物のカルヴァドスを飲みすぎたせいで林檎の囚人になった。かれこれ1300年になる。天地開...
アノニマス・ファイター/朝めし後、昼めし前の仕事はカスミガセキシロアリ退治
名無しの戦闘機乗りはカンタム世代統合打撃ジェット戦闘機 F-55 Velociraptorのコントロール・コラムを操作する。HMDに映る霞ヶ関1丁目の中央...
饒舌な廃墟/横須賀市田浦町4丁目の田浦住宅街はなぜゴーストタウンTになったか?
ゴーストタウンTは横須賀市田浦町4丁目にある。JR田浦駅から徒歩14分。ゴーストタウンTには崩壊した時間が流れている。ゴーストタウンTが孕む崩壊した時間は...
笑死千万/獅子はファラリスの雄牛の中で槍をふり、沙翁はエコール・デ・アナールでココナツ死する。
ひっくり返せ。背中はもう焼けている。紀元前620年アテナイの立法者ドラコンはアイギナ島の劇場で、自らの業績を称える群衆によって投げかけられたマントや帽子の...
思想の断層/スキゾとパラノのメランコリア。メメント・モリ!「死」もまた「生」の一部なのだ。
47,000㎡ほどもある広大なディオニューソス・コロッセウム=トランクルーム・フィールドと北緯40度48分41秒、東経140度41分48秒にある40ヘク...
昔々、横浜で。/恋の季節の始まりの風景 ── Pinky & Killersとニッカーボッカーおやじと電信柱にぶら下がった若い男と蒼ざめた馬
1968年の夏の盛りのことだ。横浜文化体育館でPinky & Killersのコンサートをみた帰り道。横浜市営バス58系統本牧・根岸駅経由磯子車庫前行きの...
絶対真空と西インド諸島とバンザイサボテンのコンソレア “ルーベン・オリバレス” ルベスケンスとカクタス・オウルのカオはロールする。
虹のコヨーテと共闘して絶対真空を手に入れ、冬眠を忘れたクマの依頼で大気圧を手なづけ終え、呪われたアルマジロの指令を受けて大西洋とメキシコ湾とカリブ海のコロ...
年越しそばに命をかける女は大晦日の未明から準備をはじめる。秋のはじめに航空便で取り寄せておいたタスマニア島産の蕎麦の実は地下の貯蔵庫に保管される。タスマニ...
昔々、横浜で。/Bar Star Dustではいつもジム・ビームのダブルのオン・ザ・ロックスを時間をかけて2杯飲み、ジューク・ボックスでポール&ポーラの『Hey Paula』を3回聴く。
Bar Star Dustは昔々、大昔の甘い痛みの記憶とつながっている ── 。Bar Star Dustではいつもジム・ビームのダブルのオン・ザ・ロッ...
シンクロニシティ42丁目の海辺で非因果的連関の原理が遠くで泡の割れたような大きな音を立てて弾けた午後、ビーチ・ボーイはサーファー・ガールに恋をする。
七里ガ浜の海岸で君を見ていたんだ。波音に寄り添って立ちつくしながら。シンクロニシティ42丁目の海辺で非因果的連関の原理が遠くで泡の割れたような大きな音を...
佃島は隅田川の河口にある。かすかに潮の匂いがする。石川島燈台に灯がともる頃、わたくしはかまびすしくも愛すべき人々がつつましやかに暮らす場所へと鉄の馬で忍び...
山岳犬ダフィーの冒険をめぐる年老いた哲学者とパラフィン紙に包まれた「意味のクッキー」
17年間、マスターもフィールドもハンツマンも置きざりにし、カヴァーさえ跳びこえて矢のように駆け抜け、カブ・ハンティングには目もくれず、レッド・フォックスが...
母親は磯で蟹をつかまえ、ワカメをあつめ、海岸でアサリをとっていた。そのあいだ、私は竹籠に入れられ、波打ち際に置かれて眠った。そのようにして、多くの矛盾と不...
紐育と昏睡 NYのつぶれかけていた小さな会社の最後のメッセージ
ヴァガボンド・シューズが知らない世界に迷いこみたがってるんだ。放浪しろ、彷徨えと誘うんだ。眠らない街、ニューヨークよ、ニューヨークよ。F-Eあなたの人...
No Radio, No Life/憎しみと怒りのポリフォニー ── 殺戮の対位法
ゆるす? ゆるすわけがない。憎しみと怒りはずっとつづく。ポリフォニーでつづく。春の夕暮れ。東京。千代田区内幸町。TEPCO本店前。ラジオ少年は指揮棒に見立...
No Radio, No Life. 本当の幸せを壊れかけのラジオは知っていた。
「本当の幸せ教えてよ」と壊れかけのラジオは歌っていた。なにも聴こえない。なにも聴かせてくれない。僕の体が昔より大人になったからなのか。ラジオは知っていた...
Un Homme et Une Femm/白い恋人たちはなにゆえにかくもせつなく甘く香しいのか? ── 真冬のグルノーブルのビストロでナタリー・ドロンによく似たフランス語の個人教授からもらった白い恋人
フランス語の個人教授はマルコヴィッチ事件の容疑者だった。彼女が逮捕される前日。私とフランス語の個人教授はパレ・グルノーブルの北側にある古いビストロにい...
『ダニーボーイ』がしみる夜/冬のさなかに考える「世界が孕むある種のやさしさ」
不遇困憊のただ中にある人々にその暖炉のぬくもりのひとかけらとそのあたたかい食事のひとすくいが届けばいい。冬のニューヨークは厳しい。ニューヨークにおでまし...
Blue Velvetの夜。Mr. Lonelyはいかにして孤独を手なづけたか?
サンドラD・ガールを失ったBlue Velvetの夜。Mr. Lonelyは深いBlue Velvetの夜の闇に向かって言った。「おれは兵士なんだ。たった...
会いたい女/I miss you. 会いたい女は逗子の森戸海岸の小さな埠頭の先に身じろぎもせずに立っていた。
初めて会いたい女に会ったのは1990年の夏の初めのことだった。会いたい女は逗子の森戸海岸の小さな埠頭の先に身じろぎもせずに立っていた。会いたい女の口がか...
コロナの時代のサイコーに「好きな」の件/やがて来る餓死の時代のために。
盗みすぎた泥棒かささぎの疑問に答える。ヨジーコ・オパーランディは本稿を熟読吟味三昧し、講義に備えるべし。好きなサイコーは『最後の晩餐』好きなサイコパスはノ...
夜空をさまようあの星に/夢からさめて宇宙を泳ぎ、星の産声を聴く。
夢からさめて、宇宙を泳ぐ。夢からさめて宇宙を泳ぎ、星の産声を聴く。大丈夫。星はあり、産声は聴こえる。産声歌唱:城 南海作詞/作曲:森山直太朗あなたに触れ...
Heartlight/最後に「いい子で」とだけ言い残して、不思議な植物学者は去っていった。
みんないい子で。E.T.だれのハートにもあたたかなあかりがともればいい。E.T.小さな友だちができた。手のひらに乗るほど小さい。小さな友だちはすぐに傷つ...
しっ! 静かに! 耳を澄ませ! 祈りを捧げろ! 輝ける漆黒の葬列の船団が通りすぎてゆく。STINGの『The Pirate's Bride』が葬送の調べ...
High School Graffiti Days/サヨナラ TOKYO ── だれもが心の奥深くにだれにも見せない落書きを隠し持っている。
落書きは消えるが痕跡は残る。Enzo Molinariだれもが心の奥深くにだれにも見せない落書きを隠し持っている。Enzo Molinari六本木高校の...
「きれいごとですむなら、だれも死にはしない。狼は生き、豚は死ぬ。それが街の掟だ」とGRIP GLITZは言い、容赦なく引き金を引いた。物言わぬふたつの肉の塊が保税倉庫No.42の前に転がった。
手負いの獣にとってやさしさは危険を招く罠になる。Minato No Yo-Co Aggy愛しい人よ。もう一度振り向き、もう一度この胸で泣きなよ。Mina...
大アルカナX 運命の輪曾祖父宛のカール・オルフの古い手紙をきっかけに『カルミナ・ブラーナ』の写本をめぐる謎解きの旅はその緒についた。アノ・ドミニ紀元20...
「ブログリーダー」を活用して、虹のコヨーテさんをフォローしませんか?
その古本屋の店主はポンコツ美大出の気取り屋で、最終団塊世代だった。いい年をこいて、長髪で金輪際似合わぬ髭を生やし、スカしたメガネをかけている。よくアゴが...
退院連絡票と投薬説明書を読んでいるときだった。向かいのベッドに横たわるエデンの園から来た大富豪の老人の声を初めて聞いた。老人の声は嗄れていたが、威厳と自信...
村上春樹には双子の弟がいる。村上冬樹だ。村上春樹は4242、村上冬樹は4243。村上春樹/4242と村上冬樹/4243は驚くほど似ていない。二卵性の域を超...
侵しても、灼いても、踏みにじっても、森はいつも静かにそこにいる。世界中が敵にまわっても裏切らず、背を向けず、手のひらを返さないものを探して秘密の森を歩く...
いつからか、エッダ・デル・オルソが歌う『Once Upon a Time in America/昔々、アメリカで』の劇中歌であるエンニオ・モリコーネの...
リトアニアの首都・ビリニュスの郊外に奇妙な場所がある。周囲に人家はない。荒野の中心、小高い丘に無数の十字架が立っている。その数、十万。19世紀前半、ロシア...
BGMはいつもかぐや姫の神田川か赤ちょうちん。昭和の風景生きてることはただそれだけで悲しいことだと知りました。Cosets Minamiいまでも、雨の夜、...
知の巨魁、南方熊楠が描いた「南方マンダラ」は集合知(Big Data)である。
カフカの雪がとけて、グレゴール・ザムザ氏が冬虫夏草に変身変態した年の秋。世界規模の蜘蛛の巣が日本を覆いはじめた。World Wide Web. 1996年...
666は死の数字Barcodeは獣の数字の刻印である。六馬和せざれば造父も以て遠きを致す能わず Jun-Kyo小さな者にも大きな者にも、富める者にも貧し...
タツロー、ユーミン、サザンは1970年代後半から1980年代を生きた者の青春のアイコンだった。ニュウドウカジカ・キッズのたまり場になっていた成金大金持ち...
Shooted by Jukai-Jin人生はラフマニノフの1小節にも値しない。G-Gアダージョ・ソステヌートの死。息は乱れない。常に平均律を保っている...
だれであろうと崖から転がり落ちそうになったらつかまえるのだ。ライ麦畑の捕手。そういうものになりたい。冷たい雨の中、夢の球場の入口で僕は待っていた。銀河系宇...
愛を知らない無敵の闘犬と盲目のピアノ調律師の話だ。悪魔がいる。悪魔の名はディオゲネス・ザ・ドッグ。アメリカン・ピット・ブル・テリア。通称、ピットブル。途轍...
22歳の冬だった。横浜馬車道の映画館。『レイジング・ブル』(マーティン・スコセッシ監督/ロバート・デ・ニーロ主演)のオープニング。モノクロの映像。リングで...
新宿の厚生年金会館大ホールで古謝美佐子の『童神』を聴いてから25年になる。以来、きょうまで聴きついできた。心さびしいとき、うれしいとき、つらいとき、苦しい...
私は大酒飲みである。先祖代々の大酒飲みである。大酒飲みの因子は幾世代にも渡って受け継がれ、遺伝子に深く強く濃く刻まれている。母親は若かりし頃、「ビールの飲...
イリスの卵運び試験に合格し、卵好きどもが画策した鮫島事件を再検証する過程でゾルタクス・ゼイアンを知った。そして、すべての都市伝説の黒幕はゾルタクス・ゼイア...
オイラは黄金のカエルだ。名前なんかねえ。あすの朝一番で旅に出る。北の沼を出るんだ。あてはねえが目的はある。ずっと昔にオイラの前から姿を消した一匹の緋鯉を探...
父が死んだ。1週間前のことだ。米寿目前。大往生だった。縁台の陽だまりで眠るように逝った。いくつもシミの浮いた皺だらけの手には前の日に私が贈った真新しい携帯...
朝、雨に煙る窓越しに葬列を見た。また人が死んだのだ。誰が死んだのかはわからない。誰が死のうとそれはどうでもいい。確実なのは死んだのが私ではないということだ...
グレート・リセットのためのレッスン/マイナス100度の太陽に灼かれた空の怪物アグイーみたいに ── 私の「ホテル・カリフォルニア問題」あるいは『同時代ゲー...
波止場の夜は長く、闇は深く、ノクターンは聴こえない。波止場は眠らない。 Enzo Molinari久里浜発金谷行きの東京湾フェリーの最終便は春の闇の海を滑...
死はいつも目の前にある。 E-M-H野比海岸には風と光と波音しかなかった。砕ける波濤のあいだには死者たちの無数の白い手のひらが揺れていた。マーラのシンフォ...
うつろう青春に身をまかせていれば、長い人生さえ宇宙のかけら。Youmeen真冬。東京湾フェリー久里浜港19時30分発金谷港行の最終便のデッキに人影はない。...
はるかなる想いは、きっと大きな玉ねぎの下に埋まっている ── 。「いつかさよならのときが来たとき」という言葉がずっと頭の中で聴こえている。アダージョ・ソス...
虹の彼方の朝の海辺に出た。虹の彼方の朝の海辺には人生の晩鐘に耳を傾け、森羅万象を計測する老人がいた。海のひとだった。海のひとは小さな音でセルゲイ・ラフマニ...