『日蓮大聖人御書全集』新版が発刊されてから、約2年4ヶ月となりました。発刊されてすぐに「観心本尊抄」を読み、その後、1ページ目からの通し読みをして、読了しますと、ある意味、燃焼し尽くしたといいますか、御書を読もうと思わなくなるのですね。 時折、御書を読むのですが、継続的な読書とならないときがあるものです。時々読むという感じになるわけですね。 せっかく御書の新版が出ているのですから、毎日、御書…
才芸を誦し浮言を吐くには依るべからず。正しき経文・金言を尋ぬべきなり〈これ七〉。 『日蓮大聖人御書全集 新版』851頁(真言見聞) 才芸とは、才知と技芸とのことですが、才能のある人、技術のある人、芸事に優れている人等、特別な能力を持っている人のことを指しているといってよいでしょう。…
日蓮幼少の時、習いそこないの天台宗・真言宗に教えられて、この義を存して数十年の間ありしなり。これ存外の僻案なり。 『日蓮大聖人御書全集 新版』804頁(題目弥陀名号勝劣事) 「この義」とは、南無妙法蓮華経も南無阿弥陀仏も同じであるという考え方のことです。同じ南無であっても、妙法蓮華…
妙覚の釈尊は我等が血肉なり。因果の功徳は骨髄に非ずや。 『観心本尊抄 訳注』小松邦彰訳 山喜房佛書林 39頁 最高の悟りを得た釈尊は、我々の血肉であり、因果の功徳も我々の骨髄であるという御文です。 仏の境涯の釈尊が我々の中にあるとは、通常、想像しがたいですね。仏なるものは、我々の…
昨年発刊された『日蓮大聖人御書全集 新版』を読み進め、「諫暁八幡抄」に至りました。「諫暁八幡抄」の最後の部分は、 天竺国をば月氏国と申す、仏の出現し給うべき名なり。扶桑国をば日本国と申す、あに聖人出で給わざらん。月は西より東に向かえり。月氏の仏法の東へ流るべき相なり。日は東より出ず。日本の仏法の月…
一代聖教の中に、法華経は明鏡の中の神鏡なり。銅鏡等は、人の形をばうかぶれども、いまだ心をばうかべず。法華経は、人の形を浮かぶるのみならず、心をもうかべ、心を浮かぶるのみならず、先業をも未来をも鑑み給うことくもりなし。 『日蓮大聖人御書全集 新版』679頁(神国王御書) 日蓮は、法華…
しかるに、日蓮、このことを疑いしゆえに、幼少の比より随分に顕密二道ならびに諸宗の一切経を、あるいは人にならい、あるいは我と開見し、勘え見て候えば、故の候いけるぞ。我が面を見ることは明鏡によるべし、国土の盛衰を計ることは仏鏡にはすぐべからず。 『日蓮大聖人御書全集 新版』678頁(神国王御書)
『摩訶止観』は、智��(天台大師)が講説したものを弟子の灌頂(章安大師)が筆録した書物です。全部で十巻となっており、それぞれの巻に、上、下があります。摩訶止観巻第一(の上)には、『摩訶止観』の成立意義についての説明があります。 玄奥なことわりを示す本書のような書物は、そのよって来たる根源がどこにあ…
今、真言をもって日本の仏を供養すれば、鬼入って人の命をうばう。鬼をば奪命者という。魔入って功徳をうばう。魔をば奪功徳者という。鬼をあがむるゆえに、今生には国をほろぼす。魔をたっとむゆえに、後生には無間獄に堕つ。 『日蓮大聖人御書全集 新版』664頁(木絵二像開眼之事) 鬼とはどのよ…
我が弟子等の中にも信心薄淡き者は、臨終の時、阿鼻獄の相を現ずべし。その時、我を恨むべからず等云々。 『日蓮大聖人御書全集 新版』640頁(顕立正意抄) 日蓮仏法を信仰するといっても、その信仰が薄いと成仏できないどころか、阿鼻地獄、無間地獄に陥ると日蓮は指摘します。そして、我を恨むな…
前四味の諸経にては、「菩薩・凡夫は仏になるべし、二乗は永く仏になるべからず」等云々。しかるを、かしこげなる菩薩も、はかなげなる六凡も、共に思えり。「我ら仏になるべし。二乗は仏にならざれば、かしこくして彼の道には入らざりける」と思う。二乗はなげきをいだき、「この道には入るまじかりしものを」と恐れかな…
処世のおきて 気もちよい生活を作ろうと思ったら、 済んだことをくよくよせぬこと、 めったに腹を立てぬこと、 いつも現在を楽しむこと、 とりわけ、人を憎まぬこと、 未来を神にまかせること。 (『ゲーテ詩集』高橋健二訳 新潮文庫) ゲーテは、「済んだことをくよくよせぬこと」と言います…
今の世は闘諍堅固・白法隠没なる上、悪国・悪王・悪臣・悪民のみ有って、正法を背いて邪法・邪師を崇重すれば、国土に悪鬼乱れ入って、三災七難盛んに起これり。 同書 600頁(如説修行抄) 鎌倉時代と同様、実際のところ、現在もこのような状態でしょうね。確かに、科学技術の発展により、利便性の…
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『日蓮大聖人御書全集』新版が発刊されてから、約2年4ヶ月となりました。発刊されてすぐに「観心本尊抄」を読み、その後、1ページ目からの通し読みをして、読了しますと、ある意味、燃焼し尽くしたといいますか、御書を読もうと思わなくなるのですね。 時折、御書を読むのですが、継続的な読書とならないときがあるものです。時々読むという感じになるわけですね。 せっかく御書の新版が出ているのですから、毎日、御書…
外典・外道等は、仏前の外道は執見あさし。仏後の外道は、仏教をききみて自宗の非をしり、巧みの心出現して仏教を盗み取り自宗に入れて邪見もっともふかし。附仏教・学仏法成等これなり。 『日蓮大聖人御書全集』新版 54頁〜55頁 (開目抄) 「附仏教」とは、仏教を取り入れ、仏教に添って、仏教に基づ…
日蓮は広・略を捨てて肝要を好む。いわゆる、上行菩薩所伝の妙法蓮華経の五字なり。「九方堙が馬を相するの法は玄黄を略して駿逸を取り、支道林が経を講ずるには細科を捨てて元意を取る」等云々。 『日蓮大聖人御書全集』新版 156頁 (法華取要抄) ここで「支道林」という学僧が出てきますが、中国東晋…
本日は、元旦であり、初日の出の日です。今後は、旭日昇天の勢いでありたいですね。旭日を連想させる御文を拝しましょうか。 天晴れぬれば地明らかなり。法華を識る者は世法を得べきか。 『日蓮大聖人御書全集』新版 146頁 (如来滅後五五百歳始観心本尊抄(観心本尊抄)) 太陽が昇れば、大地は明るく…
夫れ、諸宗の人師等、あるいは旧訳の経論を見て新訳の聖典を見ず、あるいは新訳の経論を見て旧訳を捨て置き、あるいは自宗に執著し、曲げて己義に随い、愚見を注し止めて後代にこれを加添す。 『日蓮大聖人御書全集』新版 149頁 (法華取要抄) 法華経信仰、御書信仰、本尊信仰をする中で、重要なのは成…
英語をある程度の速度で読みたいと思いますが、なかなか速度が上がりません。途中で嫌になり、読まなくなるのですね。どうすればよいのかと思っていたところ、以下の文章に出会いました。 教科書をおそく読めば読むほど、そのほかの本をますます早く読むことができ、教科書を早く読めば読むほど、別の本の読み方がおそく…
小林秀雄さんが私たちの高等学校へ講演にきたことがあります。 (中略) 小林さんは、外国語の本を読むのにも、一日一冊を片づけられる程度のはやさがなければ、そもそも外国語の知識というものは使い道にならない、という演説をしました。 加藤周一『頭の回転をよくする読書術』光文社 97頁 加藤周一…
一流の作家なら誰でもいい、好きな作家でよい。あんまり多作の人は厄介だから、手頃なのを一人選べばよい。その人の全集を、日記や書簡の類に至るまで、隅から隅まで読んでみるのだ。 小林秀雄『読書について』中央公論新社 12頁 小林秀雄は、読書について、一人の作家を隅から隅まで読むことを推奨して…
今の法華経の文字は皆、生身の仏なり。我らは肉眼なれば文字と見るなり。たとえば、餓鬼は恒河を火と見る。人は水と見、天人は甘露と見る。水は一なれども、果報にしたがって見るところ各別なり。この法華経の文字は、盲目の者はこれを見ず。肉眼は黒色と見る。二乗は虚空と見、菩薩は種々の色と見、仏種純熟せる人は仏と…
日本のような高い文明国には、むかしもいまも、数かぎりないよい本が日本語であります。しかし、それでも外国語の本を必要とする人は、一番必要なものからはじめるのがよろしい。外国語を習うのに一番こうつごうな教科書は、私たちが一番必要としている本以外にないと思います。 加藤周一『頭の回転をよくする読書術』光…
田村芳朗氏は、戦争中の思い出として、 新しい中隊長が赴任してまもなく、中隊は一〇人を残してフィリッピンに転出し、上陸寸前で全滅した。私は一〇人の残り組のほうであったが、中隊長は出発にさいし、戦死者をとむらうための適当な経文を教えてくれと私に頼み、そこで、私は、『法華経』如来寿量品第十六の有名な詩句…
キリスト教には、予定説というものがあると世界史で勉強しました。救われる人と救われない人とは、はじめから決まっているという説です。思い切った説であるなと感じていましたが、なんとなく、そうだろうなとも感じていました。 仏教徒としては、キリスト教のひとつの説という認識であり、気になる説ではありながら、深く考えることはありませんでした。 しかし、仏教信仰、法華経信仰、日蓮信仰をしていく中で、また、一…
雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ 夏ノ暑サニモ マケヌ 丈夫ナカラダヲ モチ 欲ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシズカニ ワラッテイル 一日ニ玄米四合ト 味噌ト 少シノ野菜ヲタベ アラユルコトヲ ジブンヲ カンジョウニ入レズニ ヨクミキキシ ワカリ ソシテワスレズ 野原ノ松ノ林ノ蔭ノ 小サナ萱ブキノ…
かしこきも、はかなきも、老いたるも、若きも、定め無き習いなり。されば、まず臨終のことを習って後に他事を習うべし 『日蓮大聖人御書全集』新版 2101頁(妙法尼御前御返事(臨終一大事の事)) 賢明な人間も、思慮分別がない人間も、老人も、若人も、どうなるか、いつ死ぬかは分かりません。それ故に…
『ジーニアス英和辞典』第6版で「only」を調べて、用例を見ていますと、大谷翔平選手の名前が出てきました。And now, the one and only Shohei Ohtani! さあみなさん, 正真正銘の大谷翔平さんです《◆登場の場面で用いる》. 『ジーニアス英和辞典』第6版 1451頁 『ジーニアス英和辞典』第6…
本書の読者、そして英語を生業としない日本人にお勧めしたいのは、もう一方の道である。すなわち、基礎的な英語だけは身につけておいて、あとは自分の得意分野に専心するという生き方である。 斎藤兆史『日本人に一番合った英語学習法』祥伝社 177頁 以前は、『総合英語One』の例文を「基礎的な英…
物盛んなればすなわち必ず衰え �驍�ればまた替あり 速成は堅牢ならず すみやかに走れば顚躓多し 灼灼たる園中の花 はやく発きてまたまず萎む 遅遅たる澗畔の松 鬱鬱として晩翠を含む 賦命は疾徐あり 青雲は力めて致し難し 語を寄せて諸郎に謝す 躍進は徒為のみと 『蒙求・小学 (中国の古典)』…
えまれぬことなりとも、えませ給え。 『日蓮大聖人御書全集』新版 1952頁 (河合殿御返事) 仕事をしている場合、通常は、笑顔でいられない状態であることが多いものです。嫌な人との関わりがあったりしますし、忙しすぎるという場合もあります。余裕がなくなり、顔が険しくなってくるのですね。当然、…
人間の幸せに必要な基礎的な事柄は、「睡眠」、「食事」、「運動」です。これらを外して幸せになることは不可能ですね。 この中で「食事」について、御書を拝してみましょう。 食には三つの徳あり。一には命をつぎ、二にはいろをまし、三には力をそう。人に物をほどこせば、我が身のたすけとなる。 譬えば、人の…
人は、インスタントにすぐに結果を求めがちですが、その結果が大したことがなく、すぐに陳腐になり、使い物にならない場合が多いのではないでしょうか。 やけに急ぎますが、そんなに急いで出来上がったものが長持ちすることはなく、いわば、安物買いの銭失いに似た状態になるだけでしょう。 中国の古典に学びながら、どのように行動すればよいのか、考えてみましょう。
日蓮の書を読むにあたり、骨格となる御書を確認しておくことは有益でしょう。 また、日蓮の生涯を「初期日蓮」「佐渡期日蓮」「身延期日蓮」と区切り、以下のとおり、それぞれの時期に2つの御書を選定するのがよいでしょう。 【初期日蓮】 「守護国家論」「立正安国論」 【佐渡期日蓮】 「開目抄」「如来滅後五五百歳始観心本尊抄」 【身延期日蓮】 「撰時抄」「報恩抄」 結局、五大部に「守護国家論」を付け…
衆生既信伏 質直意柔軟 一心欲見仏 不自惜身命 時我及衆僧 倶出霊鷲山 創価学会教学部編. 妙法蓮華経並開結 (Kindle の位置No.13007-13013). 創価学会. Kindle 版. 「不自惜身命」とありますので、そのまま読めば、自らの命を惜しまないでという意味にとれますが、本当に命を惜しまないでという意味なの…
今、本時の娑婆世界は、三災を離れ四劫を出でたる常住の浄土なり。仏、既に過去にも滅せず、未来にも生ぜず、所化もって同体なり。これは即ち己心の三千具足、三種の世間なり。 『日蓮大聖人御書全集』新版 136頁 (観心本尊抄) この部分は、「四十五字法体段」といわれています。漢文で漢字四十五字か…
問うて云わく、如説修行の行者と申さんは、いかように信ずるを申し候べきや。 答えて云わく、当世日本国中の諸人一同に、「如説修行の人と申し候は、諸乗一仏乗と開会しぬればいずれの法も皆法華経にして勝劣・浅深あることなし。念仏を申すも、真言を持つも、禅を修行するも、総じて一切の諸経ならびに仏菩薩の御名…
御書新版分冊の第2巻の冒頭は、「如説修行抄」ですね。 日尊の古写本がありますので、日蓮の筆とみてよいでしょう。 「如説修行抄」は、勢いのある筆致であり、リズム感がある御書です。佐渡流罪中に書かれた情熱的な御書ですね。信仰をする上で重要な法門が散りばめられています。分量的にも、左程多くもなく、何度も読み返すことができる御書といえましょう。 最後には、
我が此の土は安穏にして 天人は常に充満せり 創価学会教学部編. 妙法蓮華経並開結 (Kindle の位置No.32314-32316). 創価学会. Kindle 版. 「我此土安穏 天人常充満」の書き下し文は、上記のとおりですが、通解や現代語訳では、どのようになっているのでしょうか。確認してみましょう。