初めて小説という形式を意識して文章を書きました。書く前に目標に据えたある作品に少しでも近づけるよう力を尽くしました。失敗作ということを度外視すればまずまずの出来ではないでしょうか。恥を忍んでどんどん書いていこうと思います。小説を書くのって楽しいっすなあ。ブログとかで小説を量産している人の気持ちが少し解りました。...
二週かけて原稿用紙換算たったの八枚!週一篇なんか書けねーよ!...
来月から週一篇、短篇小説を書いていこうと思います。がんばります。...
私のひざにはなめくじが住んでいる。こいつが実に贅沢な奴で食事にレタスをやっても触角をつんと立てて抗議しやがる。レタスなんてものは低俗ななめくじの喰い物であって高貴秀麗万能天才世間驚愕奥様恍惚絶世美男子の私の口に合うわけがないということらしい。寄宿している身でよくそんな口を叩けるものだ。美食家を気取りやがってそんなに喰い物が欲しいならこれをくれてやると一度塩をまぶしたことがある。これにはさすがに驚い...
傘も役に立たない豪雨であった。昼間は晴れていたから、傘を持たずに家を出た人も多かったのだろう。商店街のアーケードの下は雨宿りする人で一杯であった。家を出るとき、傘なんて要らないだろうという家の者の忠告を無視して荷物になるのを覚悟で持ってきたまではいいが、雨が強すぎた。駅からの帰路にはバスを使った。バス停には簡易な屋根が設けられているが、これも雨を防ぐに足らなかった。重い雨粒は屋根に激しく打ちつけて...
夜はしんしんと更けて、昼間の、人を殺してしまいそうな暑さの残骸をひとつずつ拾い集めて空の星の光に変えた。簡素であることを強いられ、色彩の権利を剥奪された無機質な公団住宅の密集に這う白い小径は、街灯の虚弱な光に照らされてぼうと浮かび上がった。径の上にはぽつぽつと、黒ずんだ短い紐が落ちていた。まるで誰かが跡追いのための目印として、手持ちの紐を短く切断し、落としておいた風だった。わたしはその紐を十まで数...
便所の戸を開けると床に白い虫が走った。わたしは戸に手をかけたままぎょっとして動けなかった。虫が大嫌いなのである。『あの忌々しい虫どもは!人を驚かす手段を十分心得ているかのように突如その姿を見せ、そして消え入る!あのずる賢い虫どもは!虚をついて動き出し、常に予想を欺いて静止する!』しかし色の白い虫なんて存在するだろうか?わたしが見たあの白い虫は今やちり紙の欠片に姿を変えていた。とは言えそれは風に生命...
目の前をいくトラックの巨大な車輪のしたから出現したのは、黒褐色の表面に赤色の筋がいくつか走った盛り上がりに過ぎなかった。普通、動物の轢死体というのは、それがたとえアスファルトに丁寧に伸されていても、その大きさや毛色等わずかに残る原形から何の動物であったかある程度推定できるものである。しかし昨晩わたしが見たものは、肉と骨と臓腑の区別を疾くに忘却せられた塊であった。いや、塊というにはあまりに固体として...
おれは快い夜風を浴びながら虫のさえずりが騒音になるほど静まりかえった住宅街をひたひたと散歩していた。その家は街灯を味方につけて、新築の住宅に特有の翳りなき白さ、穢れなき純潔さを発散し垂れこめる夜闇から身を守るのであった。「どうしてマイナス二十になるの」 而して静寂は破られた。 背の低いヒイラギモクセイの垣根越しに、おそらくはリビングの開かれた窓から母親という人間が一様に発するあのヒステリックな、...
学校の図書館の雑誌コーナーが充実している。ファッション雑誌や一般の情報誌はもちろんのことだが、書店ではまず目にすることのできないものが置いてある。川端康成文学研究会の年報や「非行と少年」というタイトルの月報紙はいったい誰が読むのだろうか。英語やドイツ語のタイトルが冠せられたグラフィカルな科学雑誌を文系科目のみのキャンパスでいったい誰が求めるのだろうか。おれが図書館で読む雑誌はキネマ旬報だけである。...
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