奈良の古本店『十月書林』店主小久保和雄の詩を紹介します。
昭和55年10月8日より奈良にて古書店を営みつつ、奈良の文芸誌『乱声』にて詩を連載しております。 2010年には詩集『無言歌 乱声そして青聲』を上梓致しました。 <十月書林Web> http://www.ne.jp/asahi/gc/f-13th/oct.html <十月書林業務ブログ> http://blog.livedoor.jp/librairie_octobre/
月光 : 小久保和雄 ある秋の晩 群雲が月を隠す頃 喧騒の大都市を停電が襲う 都市機能のほぼすべてを失い 漆黒の闇が支配する 絶叫と静...
守宮 : 小久保和雄 夜更けて沈黙する 暗緑色の闇に向かって シャッターが切られ 太古の恐竜のシルエットが ストロボの光で白く浮かび上がった...
鞦韆 : 小久保和雄 雨が降る、だあれもいない公園で ふたつ寄り添うブランコが ゆきつもどりつ、ゆりゆられ 風にそよいでおりました 雨の...
僕もまた、檸檬の爆弾を... : 小久保和雄 生きとし生ける物の中で、 ただ人類のみが、自然の生態系を破壊し、 地球という「生命体」にとりつく悪...
僕もまた、檸檬の爆弾を... : 小久保和雄 肥大化した数量を恐れよ。 産み落とされた欲望は、増殖し、 肥大化して、とどまる所を知らない。 そ...
僕もまた、檸檬の爆弾を... : 小久保和雄 都市は今、樹海のごとく、 高層建築物が林立している 谷間の底から吹き上がるように 死臭のする湿っ...
前の投稿からの続きです。 稲妻の一閃する眠られぬ夜 うつうつと、とどめ置かれる「革命」 さめた珈琲(モカ・マタリ)の酸っぱさ 論議の後の苦い酒...
大公孫樹に寄せて : 小久保和雄 吹き荒ぶ寒風を突いて 無名の修行僧、 又は孤高の哲学者のごとく 佇立している大公孫樹の追憶 自由な自己活動...
仮面 : 小久保和雄 一つの表情に固定された仮面 一つであるが、一つではない 泣いた仮面がある 悲しみを感じる人がいる うれし泣きと見る...
道連れ : 小久保和雄 旅立ちは、凍てつく冬の早朝がいい 白い息を吐きながら 一番電車に乗り込んで 遥かなる地平をめざすのだ 未だ見ぬ、あな...
邂逅(めぐりあい) : 小久保和雄 僕と君との二人のめぐりあいとは 実は夢であり、幻覚(まぼろし)であったのだろうか 錯綜する迷路の中で、入口は...
春は足早に... : 小久保和雄 春の曙は 満開の桜の独壇場 世界を桜色に染めあげて 気分はフォルテシモ全開 花冷えの独り夜桜見物は ...
漂流する時間 / 私的郷愁 : 小久保和雄 喧騒の表通りを曲がると 沈丁花の白い香気が漂う細道 迷路のように小道が絡まる 「ここは何処の細...
月の石 : 奥山鳴小久保和雄詩集『『無言歌 乱声そして青聲』の巻末に 小久保評論家として 『小久保考-その詩を手がかりにて』 『続小久保考』 を寄...
埋火 : 小久保和雄 寒風を突いて 煙突が墓標に見える 焼却炉の内部では 打ち砕かれた青春の夢と欲情 悲喜交交の心の残滓が燃え溶け 赤...
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