優はなかなかコウと別れる決心がつかなかった。理屈では解っていたが、訳のわからない「意地」が芽生えていた。それが「初めての妊娠の相手」であるだけで望んだ妊娠でも…
前日は一睡もできなかった。優はふとお腹に手をあて、心の奥底に封印していた、ほのかに芽生えた「命」と「母性本能」を感じて 泣いた。手術は午前9時からだった。病院…
手術までの一週間。エミは毎日のように優に電話をくれた。妊娠のことには触れず、他愛もない話をして、優が「つらい」「不安だ」と言えば、聞いてくれた。ありがたかった…
就職して間もなく、優は身体の異変に気づいた。月のものも2ヶ月ない。腰も重い。薬局で検査薬を買い、「陽性」だった。愕然とした。まさか?嘘やろ?思い切って、エミに…
4月になって、優は大手証券会社に入社した。地元の大学出の友人も多く、はじめ3か月の研修期間も楽しかった。2か月目は、2週間ごとの研修所に入る。優は2週間分の着…
1週間ほどして、お金が返ってきた。予想はしていたが、半分の額だった。「ほな、こりでバーッといこか」 とコウの提案。「優、こんな銭は 使った方がええで」というこ…
「ね 分割で返してもらうんは もうやめて 全部、お金返して」優は、思い切って言ってみた。すると、カズがキレた。「そんなこと出来るハズないやん。せやから、わざわ…
優はコウと津は合い初めても、カズへの想いを断ち切れないでいた。カズの次の彼女は、職場が同じだった。まだカズと別れ話の途中、何度も無言電話があった。時には「優さ…
「不倫」を体験したのもこの頃からだった。今までにも既婚者とベッドを共にしたことはあるが、何年にも渡って付き合ったのはコウがはじめてだった。優が22歳から、35…
カズと別れた後、優は自暴自棄になっていた。「あんなに好きやったのに あんなに好きってゆうてくれたのに....カズの言うことなら、何でもきいたのに なんで?私の…
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