小説「ふわふわ時間（服従せよ愚民ども）」

「ふわふわ時間（服従せよ愚民ども）」タヒツチカ 夏が茹(う)だっていることは知っていた。 熱された鉄板のようなアスファルトの上を妹の憂と歩いている時、茹だった夏を滅ぼす術を私は探していたのだ。そしてそれを見つけることなく、私たちはスーパーで夕飯の買い出しを

詩「→ポップンミュージック」

「→ポップンミュージック」汚い部屋にいて、虫がたかるペットボトル眺めている。生態系ができているね、まるでひとつの惑星だねどこに着地するでもなく、どこに行くでなく、ゆらゆらしてる酩酊人間男らしくもなく女らしくもなりたい、お金が欲しいと言うのはだめですか十六

詩「真夏のTwitter」

「真夏のTwitter」投げてよ、ストレート。壁は、そう言う。まっさらな白い壁、ほっそりとした腕。彼女は、壁で。夏が差し込んで、交差するグラウンド、目を細めて、壁は、そっと、ポカリを差し出した。その瞬間、水たまりが跳ねて、少年は破裂した。「僕はどこへ行くのだろう

詩「朝に溶ける」

「朝に溶ける」 気だるい水溜まりから朝の匂い もやの中にはうっすらと影 空気の音がする 朝日が溶け出しているみたいだ 私は息を吸う この前買った長靴がかわいくて ふわふわとした気分で 水溜まりの中の私を私は踏んづけた はじける私は粉みじんだ どっかとどっ

『素直に感じた事を描いてみる トーナメント』

どうも、タヒツチカです。にほんブログ村、というサイトで記事のトーナメントがあるそうです。今回は『詩「計りくずし」』で挑戦です。昔、詩のボクシングなんてものが流行りました（？）けれど、どうなるんでしょう。どきどき。興味がある方は、覗いてみるとよいかとおもい

詩「隙間だよ」

「隙間だよ」はまって。いいよね。とっとこ、狭いよ隙間だよ。 くらりと、するような場所だよ。高層ビルの間だよ。テレビのCMの間だよ。ぼくらは生きている。淋しい、とつぶやくぼくだよ。それは狭い壁にはじける。とびちる、破片がキラキラと燃えたぎる、流星みたいでそ

詩「080*6*2**2*1##の情景」

「080*6*2**2*1##の情景」 アヒルが口をきいたなら 野ばらで縛り付けてやれ やつが余計なことなどを 口走ってしまわぬよう 3から4までの数字で お好きなものを選びなさい それがあなたのIQだ コンチネンタルを すごした午前中 暮れに4つもらった トチの実 かるく口にほ

詩「戦う」

「戦う」 突然、左手で触れた人が破裂したらあなたはどう思いますか。崇めてくれますか。愛してくれますか。それとも恐れますか。怖がり、消しゴムを投げつけ、必死の形相で昇降口へ駆けますか。 となりのクラスの女の子が怪物になります。私は左手をぶらぶらさせながら逃

プロフィール

■yatroku（ヤタロク）……詩をかく人。趣味は小説をかくこと。 Twitterやってるそうです。なんて。庶民的。http://twipple.jp/user/yataroku■タヒツチカ……小説をかく人。趣味は詩をかくこと。

詩「計りくずし」

「計りくずし」 右足のわだかまり 足りない 足りない足の満足感 ソックスの先が五つに分かれて 幸せになる人が 豆乳を、バナナ味の豆乳を、 健康のために、飲む 私 左手のふきだまり 余計な 余計な物が満ち溢れ あんなに好きだった映画のラストに 難癖を付けてしまう 家鴨が