風の道<四> ―風の道(兵庫とお半シリーズ)―
「黒堂が見えました」 肌を刺す冷気のなか、前を歩いていた飛丸が声をあげる。兵庫介は、はっとして我に返った。「お待ち申しておりました」 龕灯のあかりに気づいた祭司が、雪を踏み分け門より出てくる。黒堂は、紅葉山の艮(うしとら・東北)の鬼門を守護する黒翁の館である。中腹の木々に覆われた岩場にあり、祈り堂たる須弥堂は地下洞へと通じ全貌は計り知れぬ。「さあ、こちらへ。翁よりお指図を賜っておりまする」 出迎え...
2024/02/25 20:22
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