一生にひとつのタカラモノ。 書き上げてみませんか。
ずっと小説を読んできました。小説の「成り立ち」や「しかけ」を探ります。
「ジャン・モノーは何かを隠している」(村上龍『ヒュウガ・ウイルス』より)
コウリーはうなずいた。圧倒的な危機感をエネルギーに変える作業を何千回、何万回と日常的に繰り返してきたものだけがヒュウガ・ウイルスから生還できる。特A地区や…
便所の中は静かだ。爺い、開けるのをあきらめたか。そのうちお節介なタクシーでもきて、ロープを解いてくれるぜ。バールを思いきり、便所の壁になげつける。 環七に…
長篇小説とは、なんなる長い小説を意味してはいない…(蓮實重彦『小説から遠く離れて』より)
中上健次の『枯木灘』が長篇小説だということは、いささかも自明の事実ではない。長篇小説とは、たんなる長い小説を意味してはいないからである。では、長篇小説という…
それぞれが背負い堆積している過去を…(柄谷行人『批評とポストモダン』より)
アメリカに滞在するたびに、私はそういうことを考えた。むろん西欧どころか、私はアメリカの現実=言説についても「実感」をもって感受できない。したがって、私が外国…
…公的・知的・政治的空間が、次第に地平線に姿を没しかけ、…(江藤淳『自由と禁忌』より)
このように考えるなら、、昭和三十年代後半以後今日にいたる戦後日本の文学状況は、大江氏の“戦後民主主義”の公的・知的・政治的空間が、次第に地平線上に姿を没し…
彼女は会う人ごとにそうしゃべりつづけた。(レイモンド・カーヴァー 『ダンスしないか?』より)
「中年の男よ。一切合財を庭に並べてたの。ホントよ。それで私たちぐでんぐでんに酔っ払ってね、ダンスしたの。車寄せでよ。ねえ、笑わないでよ。その人がここにあるレ…
奇妙なとりあわせだった。(村上春樹『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』より)
それから私はTVの上の頭骨のとなりに、ペーパー・クリップをばらまいてみた。 奇妙なとりあわせだった。 羽根枕と氷かきとか、インクびんとレタスといったくらいに…
それ以後、事態は遅滞なく奇妙な方向へと……。(トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』より)
それ以後、事態は遅滞なく奇妙な方向へと発展することになった。エディパが〈トライステロ・システム〉あるいは単に〈ザ・トライステロ〉と(まるで何かの秘密の名称…
この翁媼二人の中のいいことは無類である。(森鴎外 『じいさんばあさん』より)
じいさんが隠居所にはいってから二、三日たつと、そこへばあさんが一人来て同居した。それも真っ白な髪を小さい丸髷に結っていて、じいさんに負けぬように品格がいい。…
あなたと違った意見をもってるとしたら、…(マルグリット・デュラス 『ヴィオルヌの犯罪』より)
――もしわたしが、あの晩のピエール・ランヌの態度のついて、あなたと違った意見をもってるとしたら、あなたはそれを知りたいと思いますか? ――いいえ。 (マルグ…
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