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その沈黙は到着するまで続き、車は目的地であろう海岸沿いにひっそりとたたずむ大きなマンションの地下の駐車場に入った。ドライバーを残し車を降り、天井の高い薄暗い地下駐車場を進む。三人は歩き慣れているのか会話も交わさず一直線にエレベーターへと向かう。「はぁ・・・」僕のため息に気づいたユウが一瞬横目でこちらを見たが、すぐに視線を前方へと戻した。エレベーターに乗り込み9階のボタンをジェイが押す。静かなモータ...

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「そろそろなんでその女の子を監視するのか教えてくれてもいいんじゃないですか？」それは僕が今まで一番気になっていたが、聞いてはいけないことなのではないかと思い、聞けずにいたことのひとつだった。僕がレオさんからの返事を待っていると、以外にも答えたのはジェイであった。「仁衣奈はな。国の要注意人物なんだってさ。どうだ？怖いだろ？」そう言って後部座席から顔をひょっこりと覗かせた。”怖い”という言葉とは裏腹に、...

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春独特の新しいにおいはいつの間にかなくなり、気づけば4月最後の金曜日を迎えていた。風と時の流れによって散っていった桜の花びらがアスファルトを彩る。僕はその花道を歩きながらめずらしく一人で家路についた。明璃は喫茶店のバイトの面接に行くらしい。今日はゆっくりやすもう。近所の弁当屋で明太子のり弁当とわ～いお茶を買って帰り、ドラマを見ながらその弁当をつつき、残った最後のおかずのちくわの磯辺揚げをつまもうと...

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ディーと会った日からしばらくは、僕は明璃と平凡な日々を過ごしていた。しかし僕はその怠惰な日常に満足していた。大学の講義に出て、食堂で昼食を取り、帰りにツタ屋で雑誌を立ち読みし、映画をレンタルしてmonster donutでドーナツを4つ買う。そして家でそのドーナツをほうばりながら二人でベッドに座り、DVDを見てダラダラとすごすのである。映画のエンドロールが流れ出すと、明璃はいつもなんの前ふりもなくストーリーの感想...

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7歳の女の子を監視・・・まさかそれはやばいやつじゃないよな・・・僕は周りの客を気にして声を潜めた。「なんか危ないにおいがするんだけど。気のせいかな？」疑いの眼差しをディーに向けながら言った。「すくなくともお前が考えてるようなことはないって。まぁ考えようによっちゃあ・・・な。」眉毛を吊り上げながらこちらを向いて頷く、”察してくれ”という意味だろうか。「そもそもなんで7歳の子どもに監視なんかいるんだよ。...