はじめに

「役に立つ薬の知識」より発症当時、私は妊娠22週(6ヶ月)の妊婦でした。朝起きた瞬間に始まったその痛みは尋常ではなく、まさに「七転八倒」と呼ぶにふさわしいものでした。入院し、携帯からちまちまと尿路結石について調べましたが、圧倒的に男性の体験談ばかり。女性の目線からも残すべきだと思い、痛みと戦いながらも病室のベットの上でブログの開設を決めました。(ちなみに男性は大半のかたが痛みに耐えきれず救急車を呼んでいるようです。女性は見る限り、私も含めて皆無なのに)おそらく妊婦での尿路結石患者、かつ体験談は少ないのではと思います。私の体験談、そして尿路結石について書いてゆきます。体験記はコチラからまとめて一気に読めます♪原因・対策・マメ知識はコチラはじめに

尿路結石とは

尿路結石とは、その名の通り、「尿路（腎、尿管、膀胱、尿道）に結石のある状態」を指します。ちなみに、腎・尿管結石を上部尿路結石、膀胱・尿道結石を下部尿路結石と呼びます。生涯罹患率は10人に1人程度といわれ、増加しつつあるようです。5年再発率は約40％であり、繰り返しやすいのも特徴です。20～50歳代が大半を占め、男女比は2～3：1です(下部尿路結石では、6：1と圧倒的に男性に多い)。95％が上部尿路結石、5％が下部尿路結石であるといわれています。簡単に説明すると、結石が尿管で詰まることにより、排出されない尿で内圧がかかるため、痛みが発生します。川が無理やり堰止められたら氾濫しますが、尿路には氾濫しようがありません。堰止められた尿は、尿管を風船のように膨らませることになります。だから痛むのですね。「尿路結石の基礎知...尿路結石とは

尿路結石のしくみ

結石のほとんどはシュウ酸カルシウム結石で、尿の中にカルシウムとシュウ酸が増えすぎて結合し、それが腎臓で結晶化して結石に成長したものです。このカルシウム結石ができる原因は、肉類や糖質のとりすぎ、カルシウム不足、過度の飲酒などだそうです。シュウ酸は、ほうれん草などのアクが強い野菜やレバーに多く含まれているそうです。本来、このシュウ酸とカルシウムは腸の中で結合し、便として排泄されます。しかし肉類中心の食事を続けていると、肉類に多く含まれる脂肪酸が、カルシウムと結合してしまいます。すると、カルシウムに結合できず余ったシュウ酸が尿の中へ吸収されます。そこで尿中のカルシウムと結合して結石ができるのです。カルシウムが不足した食事が続いた場合も、シュウ酸の結合相手が足りなくなるため、腸内にシュウ酸が余り、尿中へ排泄され、そこで...尿路結石のしくみ

原因☆食生活

◆食塩を過剰に摂取しない◆動物性蛋白質を過剰に摂取しない◆ビタミンCを過剰に摂取しない◆就寝直前に食事をしない◆1日の尿量が2リットル程度になるように水分をとる結石を作らないためには、以上のことを特に気をつけなくてはなりません。その理由について、下で説明いたします。◆塩分塩分を採りすぎると、身体に吸収されるナトリウム量が低下し、その分尿中のカルシウム量が増えることになります。この状態が長く続くと、低カルシウム血症のために副甲状腺ホルモンの分泌量が増え、骨からのカルシウム溶出も増加し、骨が弱くなりやすくなります。これは将来の骨粗鬆症の原因ともいえますよね。◆動物性蛋白質肉類をとると一時的に腎係球体の濾過量が増大し、濾過されるカルシウム量が増加し、尿中のカルシウムが増加します。また、尿中の尿酸とシュウ酸の排出量も増...原因☆食生活

妊婦は尿路結石になりやすい！？

◆妊婦が結石になった原因私は妊婦なので、体重管理のために肉類や糖質には気をつけていました。またお酒は1滴も口にしていませんでした。しかしカルシウム不足は十分考えられます。なにせ胎児にとられていますから。そして妊娠してからは鉄分を摂取するため、ほうれん草やレバーをかなり食べていました。つまりカルシウム不足になりがちな妊娠中に、シュウ酸を多く採りすぎていたのが、妊娠中に尿路結石（尿管結石）になった原因の1つかもしれません。妊娠中の鉄分摂取にほうれん草は不向きですね。妊婦は尿路結石になりやすい！？

やってみよう！「尿路結石」チェックリスト

「尿路結石」チェックリスト1)夕食後すぐ寝てしまうことがよくある2)ビールが好きでよく飲む3)肉類や脂っぽい食べ物が大好き4)濃い味付けの料理が好き5)カルシウムを含む食品をあまり食べない6)ジュースが好きでよく飲む7)水分はあまり取らない方だ8)尿（トイレ）の回数が1日3回以下のことが多い9)尿酸値が高いといわれた10)親兄弟に尿路結石になった人がいる「5つ以上該当するようなら結石ができるリスクが高い」「春日町くりクリニック」(東京都練馬区)泌尿器科専門医・栗原浩司医師・・・ちなみに私が当てはまっていたのは「4」のみ。やってみよう！「尿路結石」チェックリスト

⑥7日目・教授回診

その瞬間は突然おとずれた。いつものように個室のお手洗いに座り、いつものようにビーカーに尿をためる。尿意をもよおしたのに、出ない。尿道出口がふさがれているような感覚があった。ちょうど、ホースの出口をつまんで水が出るのをふさいでいる感じ。でも痛みではなかった。コロン！ビーカーの中に、かん高い音が響く。ビーカーを持つ手にも、その振動は伝わってきた。ついにでた！！出る瞬間、チクッとした感じはあったものの、たいして痛いとは思わなかったのは、それまで激しすぎる痛みを耐えてきたからだったかもしれない。でも膀胱炎になった時の痛みと比較したら、出る瞬間のほうが痛みはなかったように思う。・・・・・・・・・・「石、出たんだって？」教授の言葉に、私はすぐさまあの石を見せた。「みんな、こんな貴重なものは見られませんよ！本物の石？！すごい...⑥7日目・教授回診

⑤4日目・動き始めた？

月曜日。午前中から教授回診が行われるとの放送が入りました。白い巨塔のような、大名行列的なモノを想像していた私は、入院4日目にもなり、ちょっとワクワクできる余裕が出ていました。しかしいざ教授と10人くらいの医師たちが来ると、どうも違う・・・。どうやらみんな未来の医師たちで、気さくな教授が「この患者さんは尿路結石で入院中」などと説明。この時点で4日経過しているのに、痛みは相変わらず続いていました。ただ微妙に痛みの位置がずれている気がしました。右のウエストあたりの痛みだったのが、少し下のほうに来ているような・・・？「おそらく腎臓付近にあった石が、動き始めたんでしょうね。位置的にはちょっと時間かかるかも」とのこと。もう吐き気などはなくなったけれど、依然として不定期に襲ってくる痛み。看護師さんたちも、忙しい中ちょこちょこ...⑤4日目・動き始めた？

④入院生活

痛み止めのカロナールを飲んでいても、とにかく痛みでじっとしていられず、本当に一睡もできないまま唸り声を上げつつ朝を迎えました。朝になって教授が病室に来てくれました。「痛みの変化はどうですか？やっぱり寝られませんでした？」やっぱり、というところでつい苦笑いしてしまう。「妊婦さんだから、レントゲンも撮れないし、位置もわからないから破砕治療もできない。強い痛み止めも使えないから、ひたすら我慢してもらうしかなくてね・・・」とりあえず大量に水分を採り、トイレに行くように指示された。対処法はとにかく水分を採り、動いて石を下に落とすことだそう。それから石が出ているかどうかの確認も兼ねて、尿は一旦ビーカーの中に出してから、蓄尿袋に入れるように指示されました。個室だから、運よく(？)病室内にトイレもあります。そこに蓄尿袋を置き、...④入院生活

③発症当日・緊急入院へ

診察室に入ると、昨日とは違う男性医師がいた。後にこの医師が産婦人科教授であることを知るが、気さくな雰囲気なのでいい意味で教授らしくない先生だった。まずはエコーで胎児の確認。胎動はないものの、赤ちゃんは元気だった。まずはひと安心。続いて背中からエコーをあて、腎臓をチェック。痛みがある右腎がかなり肥大していた。通常妊婦は右腎が肥大する傾向にあるようだが、それとは比べ物にならないほどらしい。「腎臓結石かなぁ？」と医師が呟く。ただエコーには石らしきものは写っていなかった。本来、石が疑われる場合はレントゲンを撮るらしいが、妊娠中はレントゲンが使えないため妊婦の場合はレントゲン検査はしないので、確定診断が難しいらしい。レントゲンを使えば、石がどこにいくつあるのかわかるのに、と言っていた。とりあえず痛みは治まったため、妊婦で...③発症当日・緊急入院へ