chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
BOXMAN fotologue https://awazo.com/ja/

あちらこちらを訪れて、なんやかんやと撮った写真に、あれやこれやと書いた旅行記のような写真ブログです。

tetsu
フォロー
住所
目黒区
出身
世田谷区
ブログ村参加

2010/11/26

  • 日本帝国陸軍の軍都だった佐倉が文化都市に変わった理由とは? (千葉)

    かつて佐倉は軍都だったと聞いても、駅前を歩いても、旧堀田邸を訪れても、武家屋敷を覗いても、その名残を感じることはできない。今でも海上自衛隊の基地のある横須賀のように、街を歩いても自衛隊の隊員を見かけることもない。知らなければ、千葉県佐倉市に日本帝国陸軍の軍隊が駐屯していた歴史に気が付かないだろう。佐…

  • 佐倉城址公園には臼杵古園石仏大仏如来像のレプリカがポツンと展示されている (千葉)

    千葉県佐倉には、かつて江戸時代に諸藩の中で最も多くの老中を輩出した佐倉藩があった。この事実から、現在の佐倉に磨崖仏が残っていても不思議ではないと思ってしまったのだ。しかし、冷静になって考えれば、佐倉城が「老中の城」と称されたことと、岩壁に石仏が造立されていることには関連性はない。佐倉には日本の歴史…

  • 写真の方がありふれているのに、画家のほうが写真家よりも有名な人が多い (東京)

    世田谷美術館は混んでいた。一般的に、絵画作品の展覧会に比べて、写真作品の展覧会を訪れる人が少ないイメージを持っているけれど、それは作家の知名度によるのだろう。世の中では画家のほうが写真家よりも有名な人が多いのだ。そのような中、この日に展覧会が模様されていた写真家・藤原新也の知名度はそこらの画家よりも…

  • 江戸時代の千葉県には17もの藩がひしめき合っていたらしい (千葉)

    現在、47の都道府県に分けられている日本は、律令制の時代には68の国に分けられていた。令制国だ。大宝律令が制定された701年から、1871年に廃藩置県が実施されるまでの1200年近くの間、用いられ続けられた行政区分だ。驚くべきことに、令制国の改廃が行われたのは奈良時代までと明治以降だけ。平安時代から…

  • 楽しげな人が大勢いる場所には楽しげな空気が漂っている (東京)

    有楽町駅周辺は多くのビルが建ち並び、活気に溢れている場所だ。面白いのはJRの線路を挟んで街の性格が違うところ。丸の内側はビジネスエリアで大きなオフィスビルがいくつも立ち並んでいるビジネスマン向けの場所である一方で、有楽町側はデパートもある一般消費者向けの場所なのだ。どちらも活気に溢れているのは同じで…

  • 週末のオフィスビルを巡回するのは人間の警備員だけではなかった (東京)

    東京駅にほど近い丸の内に建つ大きなオフィスビル・東京ビルTOKIAは閑散としていた。平日ならば多くの人が働いていているオフィスも、週末にはあまり人がいないのだろう。オフィスエリアへのエントランスも静けさに包まれていた。しかし、いくら出社している人が少ないとはいえ、大きなオフィスビルのインフラは働き続…

  • 東京駅の丸の内側と八重洲側でかなり雰囲気が違う (東京)

    辰野金吾が設計した赤レンガの駅舎を期待して八重洲口から東京駅を出てしまうと、あまりにも雰囲気が違って戸惑ってしまう。丸の内側には1914年に建てられたシックな駅舎があるのに対し、八重洲側にはこれといって説明するのが難しい駅舎があるだけ。百貨店もあるし、高級ホテルもあるし、大きなバスターミナルもあるし…

  • 日本橋の麒麟には本来ないはずの翼がついている (東京)

    東京の日本橋の上に翼の生えた獰猛そうな動物が鎮座している。初めて見た人は、この像が西洋のドラゴンだと思うかもしれないが、実は違う。この銅像は中国神話に登場する伝説上の動物である麒麟だ。キリンビールのラベルに描かれているあの麒麟だ。本来なら、麒麟には翼はないのだが、日本橋の麒麟は、日本の道路の起点から…

  • 住宅街にあるからといって、等々力渓谷を侮ってはいけない (東京)

    東京にはコンクリート・ジャングルしかないと思っている人は意外と感じるだろうけれど、23区内にも渓谷がある。エコブームで造られたような人工的な渓谷ではなく、自然にできた渓谷があるのだ。それが東急大井町線の等々力駅からほど近くにある等々力渓谷だ。等々力渓谷は武蔵野台地を大量の湧水が浸食してできたもので…

  • あまり知られていないけれど、東京にも多くの古墳があるのだ (東京)

    あまり知られていないけれど、東京にも多くの古墳がある。東京タワーのすぐ近くには芝丸山古墳があり、オシャレな代官山には猿楽塚古墳がある。また、花見の名所でもある飛鳥山には飛鳥山1号墳がある。さらに、多摩川下流に広がる武蔵野台地の南端部には、大小50基以上の古墳が確認されており、荏原台古墳群と呼ばれてい…

  • 人は母語であっても自分が想像する以上のことを理解するのは簡単ではない (東京)

    九品仏駅はプラットホームが短いことで有名だ。そう。プラットホームが停車する電車よりも短いので、ドアが開かない車両が存在するのだ。まさか停まったのにドアが開かない駅があるなんて、思いがけなく、罠にかかったような気分になってしまう。車内アナウンスで何度も注意を喚起しているにも関わらず、この予想外の内容を…

  • なぜ神社や仏教寺院は時折思わせぶりな案内をするのだろうか (東京)

    九品仏駅を出ると、真っ直ぐ伸びる参道に目を奪われる。入り口には、白い羊羹を立てたかのような太い石柱が立っていて、浄真寺参道と書かれている。ここは、通称「九品仏」と呼ばれる浄真寺の参道だ。浅草寺のように観光地化されてはいないが、見応えのある仏教寺院だ。なにせ観光地化されていないため空いている。そんな浄…

  • 千葉市も川越と同じように似たような名前の駅が複数存在していてややこしい (千葉)

    埼玉の川越を訪れた際に、川越には似たような名前の駅が複数あって、どれが川越の中枢にある駅なのかを名前からよそ者が判断するのは難しいと書いた。そのような問題は川越だけの問題なのかと思いきや、この日にやって来た千葉市もなかなかの問題児だった。やはり似たような駅があって、駅名を見ただけでは、どの駅が市の中…

  • 千葉市美術館はかつての川崎銀行千葉支店をすっぽり覆うように建てられている (千葉)

    当初は訪れるつもりはなかったものの、千葉県立美術館で江口寿史のイラストを観終えた僕は千葉市美術館にも行ってみようと思い立った。せっかく千葉市まで来たのだから、千葉市美術館にも足を伸ばしてみようと思ったのだ。地図で見ると千葉県立美術館から千葉市美術館までは近い。歩いて30分くらいの道のりだ。埋め立てら…

  • モノトーンで描かれた江口寿史のイラストは版画のように見えた (千葉)

    僕にとってはよく分からないもののひとつに、アートとアートでないものを分け隔てる境界線がある。精巧に作られているから自動的にアートに分類されるわけでもない上に、下手くそに見えてもアートに分類されるものもある。また、自らの手で作ったものでなくとも、マルセル・デュシャンの「泉」のようにアートとされるものも…

  • 県庁所在地名と県名は違っていた方がいいと思うときも同じであった方がいいと思うときがある (千葉)

    いつもと違って、県名と県庁所在地名が同じだとややこしいと感じていた。千葉県立美術館に行くつもりでいたが、気を抜くとすぐに千葉市美術館に向かっているのか、千葉県立美術館に向かっているのかわからなくなってしまっていたのだ。千葉県立美術館と千葉市美術館は歩いて行ける距離にあるものの、それほど近くにあるわけ…

  • 流山線は旅情が高まる前に終点に着いてしまう (千葉)

    流鉄流山線は短い。たった11分の行程で、始発駅から終着駅まで乗り通すことができる。路線にはわずか6つの駅しかなく、流山駅から乗っても馬橋駅にたどり着くのもあっという間だった。車両はここで乗客を降ろして、再び流山に向かう。この短さはローカル線の旅情を感じるには足りない。僕が家から最寄りの駅まで歩く時間…

  • 流山は新選組局長だった近藤勇が最後に陣営を敷き、自首したところだ (千葉)

    新選組といえば、泣く子も黙る幕末を舞台にした人気コンテンツだ。尊攘派志士の弾圧活動をした浪士隊だから、歴史的にはその後の日本の発展のスタートになる明治維新を邪魔した集団なのだけれど、そんな事実はみんな脇において楽しんでいる。気がつけば息の長い人気コンテンツに変貌を遂げているのだ。そのため、町おこしに…

  • 流山駅は関東の駅百選にも選ばれている駅だ (千葉)

    平和台駅を降りた僕は、旧陸軍糧秣本廠流山出張所跡を通り過ぎ赤城神社でお参りをし、キッコーマンの工場横を通り、近藤勇陣屋跡を訪れたりしながら、歩いて流山駅までやってきた。流鉄流山線の終着駅であるここは、関東の駅百選にも選ばれている。しかしながら、その外観は特に目を引くものではない。詳しい人が見れば、い…

  • 太い注連縄はなんだか朝鮮人参のように見えてしまう (千葉)

    昔、出雲大社を訪れたときに目にした注連縄が、今まで見たことのある注連縄と比べて異様に太かったので、僕は山陰地方の注連縄は日本の標準的な注連縄よりも太いという独自の仮説を立てていた。しかし、その後倉敷にある阿智神社で太い注連縄を見たときに揺らぎ始めた仮説は、この日訪れた千葉の流山にある赤城神社でも太い…

  • 単線の流鉄流山線は小金城趾駅で電車がすれ違う (千葉)

    千葉県松戸市の馬橋と流山市の流山を結ぶ流鉄流山線は、5.7キロというとても短い路線だ。しかしながら、その歴史は100年以上に及ぶ。1916年に営業を開始した流鉄流山線は、かつては旅客輸送だけでなく、流山で製造された醤油や味醂の輸送も行っていた歴史もあるものの、今では2両編成の車両が乗客を乗せてのんび…

  • 日本の高層ビルの寿命ってどれくらいあるのだろう (東京)

    丸の内を散策していると、三菱一号館のように古き良きレトロなビルもあるけれど、ほとんどは1960年代に建てられたビルで、ちょっと年季の入った感じがする。そのような中、丸の内では2002年に竣工した丸ビルを皮切りに再開発が進んでいる。新丸ビルやザ・ペニンシュラ東京、丸の内パークビル、丸の内二重橋ビルなど…

  • ポスト印象派や象徴主義からも影響を受けたとされるヴァロットンの版画はモダンだった (東京)

    気がつけばこの日も美術館に来ていた。この日にやって来たのは東京の丸の内にある三菱一号館美術館だった。1894年に日本政府が招聘した英国人建築家ジョサイア・コンドルによって建てられたクイーン・アン様式の建物を、2009年に復元した三菱一号館に入っている美術館だ。かつて三菱銀行(現在の三菱UFJ銀行の源…

  • どんなに収蔵作品が素晴らしくとも、訪れたときに美術館が混雑していたら鑑賞が台無しになってしまう (東京)

    京橋にあるアーティゾン美術館は世界中の有名な近代画家たちの作品が収蔵されている素晴らしい美術館だ。ルノワールの「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」を始め、ピカソ、セザンヌ、ゴッホ、マティス、クレーなどの西洋画家の作品が収蔵されている。日本人画家たちの作品も幅広く収蔵されており、岸田劉生や藤島…

  • 屏風という調度品は現代日本家屋になじまないものになってしまったような気がする (東京)

    17世紀に黄金時代を迎えたオランダ絵画には小さなサイズの作品が多い。例えば、日本でも人気のフェルメールの作品にも50センチ×40センチ程度のものが多い。これは絵画の購買層が大金持ちに限られていなかったからだ。当時のオランダは、オランダ東インド会社が香辛料貿易で莫大な利益を上げると同時に、銀行や証券取…

  • よく見ると秋葉原駅前の総武線の鉄橋はかなり高いところに架けられている (東京)

    秋葉原駅を出て万世橋の方へ向かうと、すぐに大きな通りにぶつかる。目の前に広がる横断歩道の上空に視線を移すと、そこには古びた鉄橋が架かっていて総武線が走っている。よくよく見てみると、秋葉原駅前の総武線の鉄橋はかなり高いところに架けられている。まるでビルを橋桁にして鉄橋を架けたかのようだ。この鉄橋が高い…

  • かつては駅前も賑わっていた万世橋駅は時代の移り変わりで駅自体がななくなってしまった (東京)

    かつて電気街というイメージそのままに、家電ならば何でも売っていると思われた秋葉原に僕は時折やって来ていた。家電を買うためでもなく、カメラ機材を買うためでもなく、「パソコン界のポルシェ」と呼ばれていたマッキントッシュに直に触れるためだった。往時のアップル社製のマッキントッシュは目が飛び出るくらい値が高…

  • 酉の日に立つ酉の市のような移動する祭日は現代的合理性から距離を保っているように思える (東京)

    酉の市といえば、鷲神社や酉の寺、大鳥神社などの鷲や鳥にちなんだ神社仏閣の境内に派手な熊手を売るお店が軒を連ねる年末の恒例行事だ。11月に巡ってくる酉の日に行われるお祭りだから、その開催回数は年度によって異なる。酉の日とは十干十二支を当てはめる日付け法で、「酉」に当たる日のこと。年度に寅年とか丑年など…

  • 殿ヶ谷戸庭園もかつて三菱の岩崎家が所有していた邸宅の跡地だ (東京)

    今でも大企業が名を連ねる三菱グループを創業した岩崎弥太郎がどれだけの資産を築いたのかは、よくわからないものの、残っている資産を垣間見るだけでも相当なものというのがわかる。例えば今では東京都の所有する庭園になっている旧岩崎邸庭園は岩崎家の茅町本邸だったところ。三代社長の久彌が建てた邸宅は細部まで意匠に…

  • 壁に挟まれた細い通路はスロットカーレースのコースのようだった (東京)

    21_21 DESIGN SIGHTは東京ミッドタウンの敷地内にあるものの、ミッドタウンのメインの建物からちょっと離れたところに建っている。ミッドタウン・ガーデンにあるので、ガレリアのあるメインの建物へ行くには一度建物の外に出なければいけないのだ。そのため21_21 DESIGN SIGHTで企画展…

  • ラッピングされた凱旋門は構想から実現まで60年かかった壮大なプロジェクトだ (東京)

    パリに建つ凱旋門が布で覆われたのは2021年のこと。芸術家ユニットである「クリストとジャンヌ=クロード」による「L’Arc de Triomphe, Wrapped」(ラッピングされた凱旋門)というプロジェクトでパリの象徴とも言える凱旋門がすっぽりと布で覆われたのだった。いくら大きいとはいえ、凱旋門…

  • 凱旋門を包むのには多くの人の知恵と時間とお金が必要なのだ (東京)

    赤坂にある東京ミッドタウンにある美術館といえば、サントリー美術館だ。その名が示すとおり、サントリーの創業者の次男で、第2代社長も務めた佐治敬三が創設した美術館だ。鎌倉時代に作られた浮線綾螺鈿蒔絵手箱という国宝も所蔵する美術館は、古美術を中心とした所蔵品とは裏腹にスタイリッシュな外観だ。なんでも隈研吾…

  • 川内倫子は写真家というよりも現代芸術家と呼ぶほうが相応しいように思えた (東京)

    この日にやってきた東京オペラシティのアートギャラリーで開かれていたのは川内倫子という写真家の展覧会だった。大抵の場合、写真展では数こそ違うとはいえ、壁に飾られた写真を黙々と眺めていくことが多い。この日もそのつもりで展示室に足を踏み入れたところ、ちょっと様子が違う。もちろんプリントされた写真も飾られて…

  • オペラシティという名前から判断するに、中心にあるのを想定されているのはオペラ座なのだろう (東京)

    オペラシティという名前から判断するに、ここの中心にあるのを想定されているのはオペラ座なのだろう。敷地にはオペラだけでなく、バレエや現代舞踊・演劇を上演するための新国立劇場が設けられている。しかしながら、ここに設けられているのはそれだけではない。パイプオルガンを備えたクラシック専用のコンサートホールも…

  • ドッグカフェに犬用の食事メニューがあるのかどうか僕は知らない (東京)

    犬がペットという存在を超えて家族の一員に格上げになって久しく、犬を連れて入れるようなカフェもよく見かけるようになってきた。いわゆるドッグカフェというやつだ。ペットを飼っていない僕はわざわざドッグカフェに赴くことはないので、ドッグカフェでのお作法は想像するしかないのだけれど、そこでは犬も人も同じように…

  • 地震にも焼夷弾にもやられてしまうことなく、増上寺の三解脱門は400年経った今でもしっかり建っている (東京)

    増上寺に来るたびに木造の大きな門がよく残っているものだと思っていた。日比谷通りに面して建つ増上寺の三解脱門は1622年に建てられたもの。それから400年間もの間、ずっとここに建っているわけで、その長い月日の間には安政の大地震(1850年代)や関東大震災(1923年)などの天災もあれば、第二次世界大戦…

  • もともと仏教寺院の中心に据えられた三重塔などの仏塔も日本では中心に据えられるのはほとんどない (神奈川)

    いくつもの歴史的建造物が移築されている三渓園で、もっとも存在感を放っているのは旧燈明寺三重塔だろう。小高い丘の上にシンボルのようにそびえていて、三渓園に入るとすぐに池の向こうに姿を表す三重塔は京都の木津川市にある燈明寺から移築したもの。1457年に建てられた三重塔は園内で最も古い建物だ。なお三渓園に…

  • いくつもの歴史的な建造物が建っている三渓園はさしずめ建物の美術館だ (神奈川)

    横浜にある三渓園の広い庭園内にはあちらこちらから移築してきた建造物が建っている。ここは原富太郎という絹貿易で財を成した実業家が造った庭園。日本国内にも海外にも富豪がコレクションした美術品を公開している美術館は多い。ここ三渓園も単なる庭園でなく、世界でも珍しい本物の建造物を陳列している美術館と呼ぶのに…

  • 三渓園は絹貿易で富を築いた原富太郎が古建築を邸宅の敷地内に移築したのが始まりだ (神奈川)

    日本各地から移築してきた建造物が建っている横浜本牧にある三渓園は、実業家で茶人である原富太郎という人物が造園したものだ。17.5haもあるこの庭園はもともと原富太郎の住まいだったというから原富太郎の財産がいかに多かったのか想像できる。絹の貿易で富を築いた原富太郎が住まいを本牧に移すと自らの号を三渓と…

  • 川越には似たような名前の駅が複数あってややこしい (埼玉)

    川越の鉄道事情はややこしい。住んでいる人間には当たり前のことを何を言っていると思われるかもしれないけれど、馴染みのない僕のような人間にはややこしいのだ。理由は簡単。電車で川越に行こうと思ったところで、どの駅に向かって行けば良いのかよくわからないのだ。中心市街地だけをとってみても、川越駅・川越市駅・本…

  • 開運と縁結びをご利益にしている神社は大勢の参拝客で賑わっているように思える (埼玉)

    神社の境内に掲げられたいくつもの白い提灯に真っ黒な絵柄が描かれていた。羽のようなものが丸を描くように広げられているので、パッと見たところバットマンのロゴマークが描かれているのかとも思ったけれど、ここは日本の川越。もちろん描かれていたのはバットマンではなかった。可愛らしくデフォルメされた3本足のカラス…

  • 小江戸と呼ばれる川越の町並みは、実は明治時代になってから作られたものだ (埼玉)

    川越の駅からちょっと離れたところにある一番街は賑わっていた。ここは小江戸と呼ばれる古い町並みが残っていて、多くの人が散策に訪れる人気スポットだ。蔵造りと言われる建物が道路に沿って並んでいる姿は圧巻だ。まるで古い時代にタイムスリップしたかのような錯覚を覚えてしまいそうになるけれど、大丈夫。土蔵造りの前…

  • 台湾様式の道教寺院・聖天宮を建てた人は坂戸とは縁もゆかりもない人なのだという (埼玉)

    台湾ではどこの道教寺院でも参拝客の姿が絶えない。有名な寺院でなくとも参拝客がいるし、ほとんどの人が真剣にお参りしていて、繰り返し繰り返しポエを放り投げて運勢を占っている人もいる。中には買い物袋を携えたままお参りしている人もいたりして、寺院が市民生活に溶け込んでいるのを感じるのだ。そのような状況に比べ…

  • 聖天宮は建材だけでなく職人も台湾から呼び寄せて、15年の歳月を費やして建造された台湾様式の寺院だ (埼玉)

    口を開けた狛犬が柱の陰から向こうに建つ建物の様子をうかがっている。それが現実なのか幻なのか自信が持てず、真正面から眺められないようだ。おそるおそる横目で見ている。確かに建物は日本ではあまり見かけない様式だ。三層の屋根は反り返り、黄色に彩られているし、横に供えられた塔の屋根も同じように黄色だ。狛犬が寄…

  • 仏殿よりも井伊家墓所よりも招き猫が豪徳寺の人気者だ (東京)

    世田谷にある豪徳寺は日本史の教科書にも登場する井伊直弼の井伊家の菩提寺で、歴史ある寺院だ。関ヶ原の戦いが終わり、徳川家康が江戸幕府を開いてしばらくした1633年にこの辺りが彦根藩の所有地になると、彦根藩主であった井伊家が1480年に創建されたこの寺院を江戸菩提寺と定めたのだった。爾来400年。豪徳寺…

  • ワンマン運転になったら、電車から車掌の姿が絶滅してしまうのかもしれない (東京)

    豪徳寺駅に停車した電車の扉が閉まると、おもむろにプラットホームに出てきた車掌が設置されたカメラを確認していた。長い小田急線のすべての扉がきっちり閉まっているのか、電車が走り出しても大丈夫なのかを確認しているのだ。よくよく見てみると豪徳寺駅のプラットホームにホームドアはない。この駅では電車の最後尾にい…

  • 間接照明で照らされたエレベータ・ホールは登場人物をドラマティックに仕立ててくれる (東京)

    ビルが建っているところに必ずやエレベータ・ホールがあって、エレベータのカゴに乗り込むための乗降口の他にボタンやインジゲータが備え付けられている。日本でエレベータなるものがまだ珍しかった時代に作られたもの、例えば高島屋日本橋店のエレベータなど、は大仰しい造作になっていることもあるけれど、大抵のビルにあ…

  • 日本橋川には1882年になるまで正式な名称はなかった (東京)

    日本橋の橋のすぐ上空に首都高速都心環状線の高架が蓋をするかのように架けられているのが話題に上がるのも多い一方で、橋の下に焦点を当てた話題が上がることはあまりない。南北問題ならぬ上下問題だ。橋のところに来た人びとも、高速の高架の隙間に伸びるように鎮座する麒麟の像を見上げる人は多くとも、橋の下に目を向け…

  • 日本橋堀留町にある三光稲荷神社には迷い猫が家に帰ってくるという霊験があるらしい (東京)

    愛知県の犬山にある三光稲荷神社は歴史のある大きな神社のようだけれど、日本橋堀留町にある同じ名前の神社は比べるのもおこがましいほど小さな神社だった。神社の前の路地に鳥居がなければ、誰かの住居だと思ってしまいそうなくらい質素な社殿が猫の額ほどの境内に建っている。飼い猫が行方不明になったときにこの神社でお…

  • 有名なマシュマロ・テストも追試では再現が困難と報告されている (東京)

    境内に多くの屋台が立ち並んでいるのと対照的に、大井にある鹿嶋神社の社殿でお参りしている人の数は少なかった。ほとんどの人がお参りよりも屋台で買った食べ物を頬張るので忙しい。写真の男の子も鳥居に寄りかかりながら、かき氷をもぐもぐしていた。お参りを済ませてから屋台の食べ物に食らいつくのが理想なのだろうけれ…

  • 綿菓子は日本発祥のお菓子だと思い込んでたけれど実際はアメリカ生まれだった (東京)

    お祭りの主役はやはり子どもたちだ。日頃は買い食いを禁じられている子どもも、この日ばかりは屋台で売っている甘いものを買うのが許される。文字通りハレの日だ。この日にやって来た大井の鹿嶋神社にも、立ち並ぶ屋台の間に子どもたちのワクワク感が漂っていた。祭囃子が演奏されている神楽殿の前にある広場にいた女の子も…

  • 大井鹿嶋神社の例大祭で演奏される大井囃子は280年前に作られたものだそうだ (東京)

    グーグルマップを見ながら歩いてきたら、予想に反して賑わっていた。境内には屋台が立ち並んでいて、子どもたちがお菓子をついばみながら歩き回っていた。どうやら図らずも例大祭の日に大井にある鹿嶋神社にやって来たようだ。何はともあれ誰もいなくて閑散とした境内をウロウロするよりも、大勢の参拝客で賑わっている境内…

  • 名称を結合させる結合名称は日本ではあまりメジャーではないような気がする (東京)

    立会川のほとりに天祖諏訪神社という神社が建っている。もともとは別の神社だった天祖神社と諏訪神社を合祀してできた神社のため、会計事務所や法律事務所にありがちな合体させた名称になっているようだ。法律事務所だと森濱田松本法律事務所、会計事務所だとプライスウォーターハウスクーパースみたいな感じで、別の神社が…

  • 長い歴史を誇るものを目にすると信頼を置いてしまう一方で、あまりにも長いと訝しく思う自分もいる (東京)

    長い歴史を誇るものを目にすると、歴史が長いのだから自然と信頼を置いてしまう一方で、あまりにも歴史が長いと本当のところはどうなのだろうと訝しく思う自分もいる。ソロアスター教の聖地であるイランのヤズドで聖なる火を見たときもそうだった。470年から1500年以上もの間、一度たりとも消えることなく燃え続けて…

  • 住宅街の路地は入るのを躊躇してしまうときもあるけれど、商業地域にある路地でそのように思うことはない (東京)

    路地を歩くのは楽しい。日本でも海外でも路地を見つけると嬉しくなって入りたくなってしまう。でも入りたくなったからと言っても、いつだって中に足を踏み入れられるとは限らない。路地が住宅街にある場合には特に分からない。路地のように見えるているものの、実は誰かの家の敷地なのではないかと思うような場合もあって…

  • レインボーブリッジの橋桁は海面から52mの高さにあるから、両端に1kmを越えるアプローチ部が設けられている (東京)

    レインボーブリッジの橋桁は海面から52mの高さに吊られているから、レインボーブリッジに通ずる道路は地上から高さ52mに向かって高度を上げていかねばならない。そのため橋の両端に1kmを越えるアプローチ部が設けられている。地図を見て分かるのは、お台場側も芝浦側も海上にアプローチ部分が設けられていて、芝浦…

  • 港区立伝統文化交流館はもともとは花柳界の見番として建設された建造物だ (東京)

    落語の芝浜の舞台だった雑魚場からそれほど離れていないところに一軒の古い木造建築が建っている。港区立伝統文化交流館だ。これは第二次世界大戦後、長らく港湾労働者の宿泊所として使用されていたものだが、もともとは1936年に花柳界の見番として建設された建造物。今では芝浦と聞いて歓楽街を思い起こす人は少ないけ…

  • 落語芝浜の舞台になった雑魚場は今では高層ビルと線路に囲まれて魚市場らしさはどこにもない (東京)

    古典落語に芝浜という演目がある。裏長屋に住む棒手振りの魚屋が主人公の人情噺だ。その中で主人公の魚屋は芝にある魚市場で仕入れる設定になっているのだけれど、芝に魚市場なんてものは見当たらない。作り話なのだから魚市場自体がフィクションなのかと思いきや、そうではなかった。かつて芝には雑魚場と呼ばれる魚市場が…

  • おとなしく信号待ちするか否かに国民性が現れるのだろうか (東京)

    週末だったせいか芝の道を走っている車は少なかった。信号待ちをしている歩行者の前を横切る車は現れない。でも歩行者たちは動かない。赤信号を無視して道路を横断しようとする人はいないのだ。律儀に信号が青に変わるのを待っている。僕には当たり前の光景のように思えるものの、それは僕が日本人だからかもしれない。そう…

  • 柴又と映画「男はつらいよ」は切っても切れない関係になっている (東京)

    亀有から中川を越えて向かった先は柴又帝釈天だった。夏目漱石の「彼岸過迄」など多くの文芸作品に登場し、古くから名所として扱われていた寺院だけれど、東京観光の定番として名を上げたのは映画「男はつらいよ」シリーズが制作されて以降のこと。映画の中で柴又帝釈天の門前町が主人公・車寅次郎の生まれ故郷に設定された…

  • 新宿交通公園には実際に乗れるミニ鉄道が走っている (東京)

    黄色い新幹線が僕の立っている陸橋の下をゆっくりと走っていた。普段なら、目にしてちょっとラッキーな気分になるドクターイエローも、この時はちっともラッキーな気分にはなれなかった。なにせ僕がじっと眺めていたドクターイエローは本物と比べてとても小さい。新宿交通公園の中を走るミニチュアのドクターイエローだった…

  • 近未来の乗り物がいつの間にか空飛び車から自動運転の自動車に変わっている (東京)

    陸上を走る自動車の自動運転にまつわるニュースは耳にすることも多い。一口に自動運転と言っても、単なる運転支援であるレベル1から、完全自動運転のレベル5まで幅がある中、アメリカや中国では一部ですでにドライバーのいない自動運転タクシーが運行している。運転手のいらない自動車が町を走る時代はすぐそこまでやって…

  • ベビーカステラを売っていない縁日なんてないに違いない (東京)

    お祭りが催されているということは、何かしらの縁日なのだろうけれど、何の縁日なのかはわからなかった。もっとも僕にとっては境内にいくつもの屋台が並んでいれば、何の縁日なのかはどうでもいいことだ。亀有香取神社の狭い境内に肩を寄せ合うように並んでいる屋台を端から眺めていく。お面や水笛などの玩具を売る屋台も出…

  • かつて亀有香取神社は千葉県香取市にある香取神宮の社領だった (東京)

    秋祭りの季節が来ていた。特にその期間を狙って訪れたわけでもないのに、神社を訪れるとお祭りに遭遇するのだ。この日にやって来た亀有香取神社もそうだった。なんでも3年ぶりに例大祭が開催されているのだという。久しぶりに屋台が立ち並んだ境内は賑わっていて、人びとが食べ物を頬張りながら練り歩いていた。楽しそうだ…

  • 大鳥神社の神楽は神前で祭典中に舞うもので、ヒョットコやオカメが出てくる里神楽とは違うものだ (東京)

    普段からすぐ近くを通ることも多く、特に気にも留めていなかった神社もお祭りが行われているとなると話は別だ。いつもなら通り過ぎてしまう境内も、祭りの日ばかりは輝いて見える。この日通りかかった目黒にある大鳥神社の境内が輝いているように見えたのは、狭い境内にところ狭しと屋台が出ていたからだ。祭だ。そう思った…

  • 奥澤神社は住宅街にあるのにもかかわらず鬱蒼としていて非日常を感じられる (東京)

    暗渠にされた九品仏川の跡地に設けられた九品仏川緑道から奥沢方面に坂道を上っていくと、ほどなくして奥澤神社にたどり着く。室町時代に創建されたとされる歴史ある神社だ。周囲がすっかり開発されて住宅密集地になっているのを横目に、この神社の境内は狭いながらも緑が残っている。足を踏み入れると、あっという間に緑に…

  • 自由が丘駅の周りにはまだまだ路地があってごちゃごちゃした雰囲気が残っている (東京)

    個人の感想と言ってしまえばそれまでだけれど、駅前の繁華街はゴチャゴチャしている方がいい。そこに大資本のフランチャイズではない、そこにしかないような小さなお店が肩を寄せ合っていればなお良い。そう思うのだけれど、実際にそのような形態で成り立っている街は少ないのが実情だ。武蔵小山駅前にあった雑踏の似合った…

  • 自由が丘学園があるところが後から自由が丘という地名になったのだ (東京)

    自由が丘という地名は戦後のGHQ占領下で名付けられたようなイメージを持つけれど、実際には戦前に名付けられた名前だ。碑衾村と呼ばれていた一帯が自由が丘という名前に変貌したのは、手塚岸衛が自由教育を旗印にこの地に自由が丘学園という学校を創立した1930年以降のこと。大正デモクラシーの中で「自由が丘」とい…

  • 自由が丘という地名のイメージとその旧称である衾村という地名のイメージはかなり違う (東京)

    自由が丘のおしゃれな町並みを進んでいくと、突然木々がこんもりした空間が現れる。東京で建物が密集した地帯にこのように木々が生い茂った場所が現れた場合、その可能性はふたつ。ひとつは豪邸だ。狭小住宅ばかりが建つと揶揄される東京にあっても、中には人並み外れた財力で大きな家を構える人もいる。そのような豪邸には…

  • 意外なことに氷川神社のほとんどが関東に建っているらしい (東京)

    赤坂をはじめ都内のところどころに建っているので、稲荷神社と同じように日本全国にあるのだと勝手に思っていたけれど、そうではなかった。氷川神社の総本社は埼玉の大宮に鎮座する大宮氷川神社で、そのほとんどが関東、かつての武蔵国に建っている。さらに意外だったのは氷川神社の名前の由来だ。氷川という名は出雲国を流…

  • 昔は裕福であっても貧乏であっても、夏の暑さに無防備にさらされる点は平等だった (東京)

    現代の日本で建てられている家屋と比べると伝統的な日本家屋はどれだけ寒いのだろうかと、古民家を訪れるたびに思ってしまう。なにせ建物の外と中を分かつのは薄っぺらい障子のみ。家の中をいくら温めてもこれではすぐに家を囲い込んでいる冷気に太刀打ちできない。密閉できないから隙間風も好きなだけ家の中に入り込んでく…

  • 東京都美術館や東京都現代美術館と比べると東京都写真美術館の存在感は薄い (東京)

    絵画作品と比べると写真作品に有名なものはあまりない。絵画であれば、絵画を鑑賞する習慣のない人であってもレオナルド・ダ・ヴィンチと言われたら謎めいた微笑を浮かべた「モナリザ」を思い浮かべるだろうし、フェルメールと言われたら青いターバンを巻いた「真珠の耳飾りの少女」を思い浮かべるだろうし、ムンクと聞けば…

  • 国宝の天守も競売に掛けられて危うく解体されそうになったことがある (長野)

    関ケ原の戦いを経て徳川幕府が開かれていたものの、まだその権力が盤石ではない江戸時代の初期のころ、配置換えもあって各地の大名はこぞって築城したのだという。人読んで「慶長の築城ラッシュ」。その結果、日本各地に3000にも及びお城が建ち、数百基もの天守が建っていたという。それがどうだろう。時代の変遷ととも…

  • 鳩を平和の象徴とするイメージが世界的に広まったのはそれほど古いことではない (東京)

    銀座駅よりもずっと新橋駅に近くて、銀座と言って良いのかどうか悩んでしまうところにギャラリーがある。株式会社リクルートホールディングスが運営するクリエイションギャラリーG8だ。グラフィックデザインやビジュアル・コミュニケーションに関する展示が多いギャラリーで、この日に展示されていたのは大貫卓也というク…

  • 休日の横断歩道は閑散としていて、ピアノの鍵盤のように白線が並んでいた (東京)

    JR田町駅の前を走る第一京浜には大きな横断歩道が設けられている。いったいどれだけ多くの人が渡るのを想定しているのかと思ってしまうくらい幅の広い横断歩道だ。平日の朝で大勢の人が会社や大学に向かう時間なら、この広い横断歩道も歩行者で埋め尽くされるのかもしれないが、この日は週末。自動車の信号が赤に変わって…

  • 歴史あるフリをしているけれど、慶應義塾大学三田キャンパス東館は築20年程度しか経っていない (東京)

    三田の国道1号沿いに赤レンガ風の建物が建っている。慶應義塾大学三田キャンパス東館だ。歴史ある建物に見せかけるために赤い煉瓦を積んで建てたかのような外観をしているものの、これは由緒ある建物ではない。竣工は2000年のこと。建てられてから、たかだか20年程度しか経過していないのだ。慶応大学の三田キャンパ…

  • ロックゲートは川と川をつなぐエレベータだ (東京)

    地図を眺めていると、荒川にロックゲートという設備が設けられているのに気がついた僕は、行ってみることにした。ロックゲートとは水位の異なる河川の間に設けられ、船を通航させるためのもの。川と川のあいだに水門をつくって、水位を調節して水面の高さを合わせて船を通すのだ。平たく言うと、水位の違う河川間に設けられ…

  • ロダンの考える人は日本でもっとも有名な彫刻に違いない (東京)

    フランスの彫刻家オーギュスト・ロダンの「考える人」は日本でもっとも有名な彫刻作品なのではないかと思う。そう思うのはタレントでもないただの彫刻なのに、何回もテレビCMに使われたからだ。数年前にも某証券会社のCMに起用されていたし、彫刻そのものが登場しなくともそのポーズをモチーフにしたCMが作られていた…

  • 勅使の人たちはいったいどこで衣冠姿に着替えて歩き出すのだろう (東京)

    歴史小説に登場することもあるし、写真では見たことがあるけれど、どこか現実感のない存在だった勅使というものを生まれて初めてこの目で見たのは偶然の出来事だった。何も考えずに訪れた明治神宮で鎮守の森に伸びる正参道を歩いていると、向こうから時代がかった衣装に身を包んだ男たちが、ザッザッと玉砂利の上を進んで来…

  • 等間隔に立った警備の人たちはマスゲームの練習をしているかのようだった (東京)

    参列している人たちは微塵も意識していないと思うけれど、本殿前にある回廊に囲まれた空間を神職を先頭に花嫁と新郎が歩いていく参進の儀は明治神宮の見どころのひとつになっている。自動車の走る音も無駄に流れる広告も聞こえてこない境内に烏帽子をかぶって時代錯誤の格好をした人間がいるだけでも興味深いのに、その後ろ…

  • 落ち着いた雰囲気の中を明治神宮に行きたいなら参宮橋から向かうのがおすすめだ (東京)

    駅のすぐ近くに立つ第一鳥居を抜けて南参道を進み、大きく左に曲がって正参道に入って大鳥居を抜けてしばらく歩いた後に今度は右に曲がって進んでいくルートだ。このルートはいつ来ても大勢の人が歩いて賑わっている。もっと人が少なくて落ち着いた雰囲気の中、本殿まで歩きたいと思うときには参宮橋から向かうのがおすすめ…

  • 江戸城は天守も本丸御殿も明治維新を迎える前に焼失していた (東京)

    東御苑は旧江戸城本丸と二の丸及び三の丸の一部を公園として整備したもの。富士見櫓や百人番所など、ここが江戸城だった歴史を感じさせる遺構もいくつか残っているものの、芝生が敷き詰められた広い空間があったりして、その様子は城郭の跡地というよりも近代的な西洋の公園だ。今となっては徳川幕府の中枢だったことを思い…

  • 展示室の外にさりげなくアントニー・ゴームリーの「反映/思索」という作品が置かれている (東京)

    東京国立近代美術館の2階でトイレに行こうと思うと、途中に不思議なものが立っている。人の形をした不思議な物体が窓の外を向いて立っていて、窓の外に立つ同じような人の形をした物体と向かい合っている。展示室の外にこっそりと置かれているものの、これはれっきとしたアート作品。イギリスの彫刻家であるアントニー・ゴ…

  • 25色に塗られた196枚のプレートを用いて作られた作品は、25×196で4900の色彩というタイトルになっている (東京)

    現代美術の巨匠と言われるドイツの画家ゲルハルト・リヒターに「4900の色彩」という作品がある。写真に写っている作品がそれだ。色見本を主題にしたカラーチャート・シリーズに連なる作品で、25色で塗られた約50cmのプレートをランダムに並べたもの。プレートの総数は196枚あり、25×196=4900である…

  • 東京国立近代美術館で一番のお気に入りは収蔵作品ではなく、「眺めのよい部屋」という名の休憩室だ (東京)

    北の丸公園にある東京国立近代美術館にやって来た。東京国立近代美術館は、上野にある国立西洋美術館のように建物が世界遺産に登録されているわけでもなく、木場にある東京都現代美術館のように現代美術に振り切っているわけでもない。なんとなく地味な美術館だ。でも、それがいい。収蔵品もアンリ・ルソーがあれば、岸田劉…

  • 江の島エスカーはエスカレータであるものの、下りのエスカーというものはない (神奈川)

    時間を潰すために稚児ヶ淵をしばらくウロウロしたものの、江の島岩屋へ入ろうとする人の行列は一向に減る様子はなかった。せっかく江の島の一番奥までやって来たのに、目玉の江の島岩屋の中に入るのは難しそうだった。江の島岩屋とは長い歳月を経て波の浸食で出来た洞窟で、江の島弁財天信仰の発祥の地とされるところ。かつ…

  • 階段がきつくとも、途中で生しらす丼が気になっても、江の島の稚児ヶ淵まで歩いていく価値はある (東京)

    階段を上ったり下ったり、江ノ島の小径を進んでいくといろいろなものが現れる。足を踏み入れるとまず現れるのは青銅の鳥居だ。江島神社の参道の始まりを告げる鳥居を抜けると、昔ながらの商店街のような参道が大鳥居まで続いている。多くの人で賑わっている参道を歩くだけでも気分が高まるものの、これは序章に過ぎない。こ…

  • 金運アップのご利益のある江島神社の奥津宮では老若男女がを熱心にお願いしていた (東京)

    島を思わせる名前であるものの、江の島は島ではなく陸繋島という種類の地形に該当するらしい。陸繋島とは海岸の近くにある島に砂州が発達した結果、陸地とつながってしまったもの。つまり海を渡ることなくたどり着けるということだ。確かにたどり着けるか不安な気持ちを抱えたまま、片瀬東浜海水浴場から砂州を辿っていくと…

  • 片瀬東浜海水浴場にはビーチテントも出ていて、それなりに混んでいた (東京)

    江ノ島にやってくると、思いの外、ビーチに人がいた。海の家も出ているし、コロナ以前と同じとはいかないまでも今年はここ数年でもっとも人手が多いのかもしれない。ビーチを見渡すと、適度に海水浴客が点在していて、もし来るならこれくらいの人混みがいいと思うくらいの混雑だった。もっとも僕は海水浴のためにやって来た…

  • アートアクアリウム美術館で鑑賞していると、美術館と水族館の違いがわからなくなってきた (東京)

    進んでも進んでもライトアップされた水槽が並んでいて、中で金魚が泳いでいた。ここは東京の銀座にあるアートアクアリウム美術館で、その名の通りアクアリウムをモチーフにしている。中には金魚を放した水槽がいくつも置かれていて、それぞれが暗闇の中でライトアップされているのだ。色とりどりのライトを浴びて泳ぐ金魚も…

  • 単に綺麗なものよりも謎めいたものの方がこころに引っかかてしまう (東京)

    人間ではないと分かっていても、暗闇にマスクがあると不気味に見える。この日にやって来た銀座にある美術館は水槽をモチーフにした美術館なのにもかかわらず、入ると僕を出迎えてくれたのは水槽ではなくて能面のようなマスクだった。暗闇の中に掲げられたマスクはのほほんとやって来た僕をあざ笑っているかのようで薄ら寒い…

  • 雨乞いならぬ雨止めの奇祭が住宅街の真ん中で催されていた (東京)

    奇祭というと、どこか人里離れた山奥でひっそりと催されているようなイメージを持ってしまうけれども意外や意外。東京の住宅密集地に建つお寺でも催されていた。600年以上も続いているというから、近年になって町おこしのために始められたお祭りなんかとは格が違う、由緒正しい奇祭が都内で催されているのだ。その奇祭は…

  • 成田山新勝寺は平将門の調伏を旨とする不動護摩供を奉修したとされる場所に建っている (千葉)

    東京で時折思い出したように赴く神社のひとつに神田明神がある。きれいに整備された境内は広いわけでもなく、社殿が国宝に指定されているわけでもない。でも年に何回かはお参りしに来てしまう。ご利益を求めにやってきているわけでもないから、よくよく考えたら氏子でもないのに不思議な話だ。すぐ近くに湯島聖堂もあって…

  • 山車の屋根に咲いた赤い番傘がなぜだかセルジオ・メンデスのアルバムジャケットを思い起こさせた (千葉)

    成田山新勝寺でお参りして、境内から外に出るとちょうど山車が来るところだった。この日は成田祇園祭の日。市内のあちらこちらを山車が練り歩いている日だ。タイミングを図ったわけではないけれど、ちょうど山車が門前を通る時間に新勝寺から出たのだ。山車を引っ張る人たちが連なっていて、その奥に山車が見えた。成田祇…

  • 山車を引く人の中に神の使いであるはずの狐も紛れ込んでいた (千葉)

    山車が走っているのを見ると、その迫力に圧倒されてしまい山車の詳細はほとんど記憶に残っていない。同じように成田祇園祭に参加している山車であっても、その形は山車によって異なっているものの、堪能する余裕なんてない。大きな車輪のついた物体が目の前を走り抜けていくイメージしか残っていないのだ。特に今年は祭りが…

  • 成田祇園祭は合計10台の大きな山車が曳き廻される祭りだ (千葉)

    僕が知らなかっただけで、成田で行われる祇園祭は規模の大きなお祭りだった。JR成田駅で電車を降りて改札を出た時は特に盛り上がっていなかったので地味な祭りなのかと思ったけれど、そのさり気なさはフェイントだったかのよう。成田山新勝寺へ続く参道を歩いていると、寺院に近づくほど祭りのボルテージが上がっていく…

  • 平家物語で祇園精舎の鐘の聲と詠われているものの、本当の祇園精舎に鐘は無かった (千葉)

    今まで一度も見たこともなく、特に思い入れもないのに3年振りに開催されると聞いて胸が高まった僕は千葉県の成田を目指した。成田空港のある成田だ。コロナ禍になって以来、中止になっていた成田祇園祭が今年は開催されたのだ。祇園祭というと真っ先に思い浮かぶのは京都にある八坂神社の祭礼だ。成田祇園祭も八坂神社の祇…

  • 欧州では日傘をさす習慣は廃れてしまったという (東京)

    強い日差しを避けられるだけでなく、肌の大敵である紫外線をもカットできるため、夏場は日傘を差して歩いている女性は多い。最近では女性だけでなく、男性でも使用する人が増えているとメディアで喧伝されるけれど、やはり使用しているのは圧倒的に女性が多い。日本で日傘が一般化したのは、大正から昭和初期にかけて洋風文…

  • 航行を止めた青函連絡船の甲板は古びてきていた (北海道)

    今では東京から列車に乗って乗換なしにやって来られる北海道も、青函トンネルが1988年に開通するまで直通列車なんてものは存在していなかった。青森駅まで列車でやって来た乗客はここで青函連絡船に乗り換えて津軽海峡を渡り、函館から再び列車に乗っていたのだ。今となっては信じがたいけれど、青函連絡船は日本の高度…

  • 五稜郭タワーの展望室に展示されているジオラマが思いの外面白かった (北海道)

    五稜郭の形状を上空から臨むために建てられただけあって、地上90メートルの高さに設けられた五稜郭タワーの展望室からは五稜郭がよく見える。もっとも見えるのは五稜郭だけではない。タワーの周囲に背の高い建造物が一切なく、タワーは孤高の存在。360度全てがガラス張りの展望室からの視界を遮るものは何もなく、函館…

ブログリーダー」を活用して、tetsuさんをフォローしませんか?

ハンドル名
tetsuさん
ブログタイトル
BOXMAN fotologue
フォロー
BOXMAN fotologue

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用