今年はどうしたことか綾波たちが元気です.早春からガツンと水をあげたせいでしょうか.春の綾波を見ると誰しもが,これはすごい刺が出て来たと期待してしまいます.大抵は普通の刺におさまるのですが,毎年騙されます. 綾波の花は文句なく綺麗です.太平丸などは個体間でかなり花色の濃淡があるのですが,普通の綾波はそれほど差がありませんね.花弁先端の羽状の切れ込みも大体皆同じです.これは王綾波系.ここ何年も本調子...
NHK趣味の園芸の雑誌を買うのは久しぶりです.多肉植物,サボテンの特集なので買ってみました.この雑誌は別段新しいことが載るわけではないのですが,人々のニーズをNHKや登場する業界人がどのように捉えているのかが反映されていると思うので,どんなものか見てみたかったのです. 副題に「知ればきっと好きになる」とありますように,まだ新たなタニラーを生み出そうという企画意図があるようです.7部構成の充実した内容....
以前,ウインゾリーの開花がなかなか合わないことを記事にしました.その後なんとか開花が揃うことがあっても,今度は花粉出て来ない.どうやら春先の開花は蕾が伸長する時期の温度が低いので花粉の発達が良くないようです.そして随分暑くなりかけた6月も後半,終わりかけの花でようやく花粉が採れました.花の形態はパキポジウム共通,以前に紹介した方法で確実に授粉させました.何はともあれ,着果したので安心しました. ...
昨日の金鯱の立ち位置の検討は,趣味家にとっては一大事のように見えますが,分類学者にとってみればなお検討中のサボテン科の再構成の一つです.この流れでエキノカクタスがさらに詳しく再検討されている研究を紹介しておきます.この研究では従来エキノカクタスとされる6種を全て揃えて,葉緑体DNAの4つの部位,ゲノムDNAのベタレイン合成系の2遺伝子,及び42項目の形態比較を元に系統分類を試みたかなり充実した研究です....
金鯱の属名が変わったんだってね,という「今更話」を最近聞きました.ちょっと整理しておこうと思い,簡単に経緯を書いておきます.2014年にTaxonomy of the Cactaceaeを著したJoël Lodéは,金鯱をKroenleiniaという新属に置くことを提唱しました. その根拠は,それまでの幾つかの分子生物学的研究により,金鯱が他のエキノカクタスの種よりフェロカクタスのいくつかの種に近いことが示されたことに端を発します(Butterwor...
いよいよ植木鉢にも3Dプリンタ製品が登場して来ました.渋谷の東急ハンズで実物が並んでいるというので見てきました.なるほど単なるプラポットでは有りません.型に流し込んで固めるものとは異なる細かい構造になっていることが,実際手にとって初めて分かりました. 一つ買い求めてきたのですが,これはThe mesh potさんのThe Cylinder Pot TEという作品です.デザイン性もさることながら,最大の特徴はポットの壁面は無数の...
このコピは,アルティコスタータ(Copiapoa coquimbana var. alticostata PV2133)で,6年前に小さな苗を手にしたものです.今でもさほど大きくはないのですが,少しそれらしい顔つきになり,ようやく初花を咲かせました. 蕾の様子からもしかして赤花?と期待させましたが,開くとやはりごく普通の黄色でした.大体コピの花はどれも似ていますが,いずれも外側の花被片が赤く色づくことが多いです.つまり赤い色素を貯める能...
これまで何度も書いて来ましたが,黒王様の開花は実に気まぐれです.水やりに反応するのは確かですが,とても一斉開花とはなりません.今年も何株か居る王様は,自由気ままに咲いて来ます. 花を拡大してみるとわかりますが,実にたくさんのおしべがあります.この葯の部分だけをピンセットでつまみ取り,小さなプラスチック容器に入れて,蓋を閉めずに冷蔵庫へ,数日するとすっかり乾くのでしっかり蓋を閉めてそのまま冷蔵庫に...
暦の上で立秋を過ぎた後の暑さを残暑と言うらしいのですが,一般的にはお盆が終わってなお暑い日が続いていると,人々は残暑が厳しいねと挨拶をします.そんな残暑の中,紫野が蕾をたくさんつけているなと思っていたら,急速に大きくなり,まるでピンクのソフトクリームのようになりました.花自体もさることながら,蕾の美しいサボテンがボクは好きです. 翌日の朝にハウスを覗くと,一気に花開いて豪華な空間を作り出していま...
瑞雲丸(G. mihanovichii)は,子供の頃に持っていたギムノの一つです.茶緑の花がなんとも言えず「オトナ」な色で不思議な魅力を持っていることは子供にも分かりました.その時持っていた瑞雲丸は,陵数が多く,陵間の白い筋がはっきりしていて,昨今流行ったLBナントカという牡丹玉のような風情をしていたと記憶しています.懐かしいこのサボテンを一つ栽培棚にと思っていたのですが,なかなか良い出会いがありませんでした.出...
ホムセンで桜吹雪の小鉢をイチキュッパで買ったのは2年前のことでした.その後少し大きな鉢に植えてやり,さらにバザーに出そうと小さなプラ鉢に鉢上げしていましたが,コロナでバザーは2年続けて無くなり,ハウスの隅に残骸として転がっていました.夏になりそのうちのいくつかが花を上げて来ました. なるほどアナカンプセロスらしい花です.分類上スベリヒユとサボテンの間に居るのですが,花の様子からもこれがよく分かりま...
今から9年前のことです.熱川ワニバナナ園の清水さんのブログに,メロカクタス シャッツリー(Melocactus schatzlii)という名前で素敵なメロカクタスが紹介されていました.当時メロカクタスにちょっと入れ込んでいたボクは,フログにタネを分けてもらえませんか?とコメをしたところ,ちゃんと手紙で分譲依頼を出しなさいと諭されました.なるほどその通りだと思いお手紙を差し上げ,その後はご丁寧に対応して頂き,無事種子...
神竜丸(Echinocactus parryi)と太平丸(E.horizontalinius)は共にとても魅力的なサボテンです.この両者は遺伝的にも近縁で交配が可能,と言っても神竜を母親にしたときに限り可能です.色々なタイプの太平と問題なく交配が可能で,ウチにもいくつかタイプの異なる神竜太平がいます.一般に種間交雑種は,両親の縁遠さにもよるのですが,不稔のことが多くそれ以上の子孫が残せません.しかし神竜太平は近縁種同士なので,この...
春に交配しておいた玉翁殿(M. hahniana f. lanata)の実が顔を出しています.この株もう10年近くウチに居て,そろそろ世代交代の用意でもしておくかと昨年あたりから交配しています.ただ,元々この長毛系の個体は,開花数が少ない上に,株ごとで開花日が微妙に合わず,これまで大した数の交配ができていません. マミラリアの中ではマイナーなピンク色系の果実です. 種子はマミラリアらしい茶色の小さな種子で,ひとつの果...
刺マミのヨンストニー(M. johnstonii var. sancarlensis)たちは,随分前からウチに居ます.この種の刺はどこかエリオシケとかネオポルテリアを彷彿とさせ,花も美しくまさに刺マミの女王様のような存在,ボクはこの種が大好きです.これはこの春の写真.今年も綺麗な明るい紅色の花を着けました. 特に交配しなくても,今頃の時期にこのように赤い実を出して来ます.面白いことに大抵ちゃんと種子が入っていて,発芽もします....
昨年も丁度今頃,この花を取り上げ記事にしています.本当に花の少ない8月のハウスを彩ってくれる貴重なサボテンなのです.このEriosyce islayensisは,特に夏サボってわけでもないのですが,極めて少雨地帯がふるさとだけあって,夏の乾燥にはヘッチャラです.気の毒がって水をじゃぶじゃぶやっては返ってストレスになるかもです. 彼らの花色は単に黄色というよりは,レモンイエロー,しかも輝くレモンイエローです.花柱も葯...
昨日に続き,バハGたちです.7月になると兄弟のような豊明殿(M. grahamii)とオリビアエ(M.grahamii var. oliviae)が咲いて来ます.オリビアエはこの後も次々と本当にたくさんの花を咲かせます. そして銀姫(M. slevinii).これも咲いては休み,休んでは咲くの繰り返し,夏の間に随分とたくさんの花を咲かせる素晴らしいマミラリアです. さらに源氏車(M.bullardiana).この目立たないマミ,それでもなんとなく風情があ...
初夏から夏に向けて咲いてくるマミラリアのことをボクは勝手に「夏マミ」と呼んでいます.その中でよく似た独特な花を咲かせる小型マミをこれも勝手に原産地からバハグループと呼んでいます.正確に言えば,cechemiea亜属ceochemiea節の種たちです.今年も彼らは他の多くのマミラリアが開花を終える梅雨の頃から順次咲いて来ました.6月に入るとまず風流丸(Mammillaria blossfeldiana)が先陣を切ります.おしゃれな花を精一杯...
コロナが未だに治まっていませんが,今日から孫たちを迎えた賑やかなお盆休みの始まりです.パソコンの前にゆっくり座る時間もないので,ブログを少しだけ休止し,15日には再開します.とはいえ,目の前のサボテンハウスは休みになるわけではなく,日々の管理は続きます.リタイヤしてサボテン三昧の日々の中での初めてのお盆休み,家族に囲まれ,これほど自由な時間を享受できているのは本当に幸せなことです. サボテンの世...
一体これは何だろう,あまり見たことのない小さなサボテンを覗き込んで見たのは昨年のことです.マミラリアなのかな?と思いましたが,ラベルはCumarinia odorataとあります.調べてみるとこれはCoryphanthaだったり,Neobessayaだったり,はたまたNeolloydiaだったりした経緯がありました.しかしいずれにも属し難く,クマリニア属を守っています.花の様子はマミラリアのように見えますね.カギ刺もあるし. 小型のまま群生株...
エビサボの交配種桃太郎の花色には2タイプがあります.この春なので少し前の写真になりますが,ピンクと朱赤です. この両者を交配したら花色は分離するかな?と交配して見ました.朱赤×ピンクはあっさり落花しましたが,ピンク×朱赤は着果しました.いえしたはずでした.ところがいつまで経っても果実は肥大しません. どうやら花筒の下部が枝化したようです.以前に袖ヶ浦にも同様の変な花芽ができたことを記事にしました....
この春に地味なマミと紹介したヘイデリ(Mammillaria heyderi subsp. hemisphaerica)です.その記事の中でこの果実がchilitosと呼ばれ食べられると言われていると紹介しました.交配しておいたので,果実が出て来ました. いかにもマミラリアらしい赤い果実です.ものは試し,早速食べてみました.確かに甘酸っぱく,食べられるといえば食べられます.このような赤い果実をつけるマミラリアはたくさんあります.試しにいくつ...
斑入り象牙丸が何やら儚げな花を咲かせています.どこか弱々しい感じではあるのですが,花としての機能はちゃんと果たし,これまで幾つかの象牙丸を交配すると,ちゃんと種子を生産してくれました. しかし問題は,斑入りの出現です.ほぼ全てが青ものです.下の2枚の写真は異なる鞘の種子由来の実生ですが,ご覧のようにごく普通の顔をしています. 稀に斑入りかなと思える実生もあるのですが,実生接ぎで拾ってみるとベタ斑...
夏らしい天気が続く中,天恵丸(Frailea cataphracta)の黄色い花が目に飛び込んできました.花弁も花柱も花粉もレモンイエロー,清楚な花です. フライレアは小さなガタイに比べて,みな比較的大きな花を咲かせますね.この後何をしなくても種子まで残すのですから,なかなかの働き者です. フライレアの仲間は夏にもポツポツ咲いて来ます.昨年は狸の子の記事を7月に書いています.ギムノ棚の一角にひっそりといる彼らですが...
猛暑の中,グランカクタスさんに寄ってきました.午前中ならまだ少しはマシかと思い早朝から出ましたが,とんでもない暑さでした.9時過ぎに千葉ニュータウン中央からの歩きで既に汗をかいてしまいました. 園主さんにご挨拶した後,ハウスの中を一回り,二回り,汗が滴ります.ここの魅力はサボテン,多肉の多様性にあるのですが,ニーズはごく限られたいわゆる人気種に集中しているそうです.それでも,エケベリア,ハオからコー...
夏が来れば思い出す♪〜象牙丸の花が咲いている♪.夏サボの彼ら,今年もポツポツ咲いています.まずは安宅象牙丸.この株はもう長いことウチに居ます.小さいうちは普通の象牙丸でしたが,だんだん立派な刺を出すようになって来ました.じっくりと育って行ってほしいものです. 安宅象牙丸が開花した頃,短刺象牙では昨年の実が顔を出していました.あまり長いこと植物体の上に置くと果実内発芽をするそうなので,写真を撮った後...
東京に行く用事ができた時,Saori Ohwadaさんの個展が開かれているのを知りました.前に一度見過ごしているので,今回は是非と思いました.恵比寿の広重ギャラリーという小さなカフェギャラリーでした. これまで,雑誌で絵の写真を拝見したり,ポスターを購入したりしていましたが,原画を見たことは有りませんでした.原画たちの細密さと奥深さは,わざわざ足を運んで見て良かったと思わせるものでした.風景的に何枚か写真を...
この季節あまり花がない中で,マミ棚でアザラシの赤い実がとても目立ちます.アザラシ(M. parkinsonii)はどうしてそうなるのか知りませんが,受精して種子を作ることなくこの赤い実を着けます.もちろん交配すれば種子ができるのですが,交配されてなくてもしっかりと実を形成します.一見無駄に見えるこのようなことをなぜ行うのか,その理由は不明です.今年も綺麗に赤い実を伸ばしています. この実の数は,花の数を示してい...
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今年はどうしたことか綾波たちが元気です.早春からガツンと水をあげたせいでしょうか.春の綾波を見ると誰しもが,これはすごい刺が出て来たと期待してしまいます.大抵は普通の刺におさまるのですが,毎年騙されます. 綾波の花は文句なく綺麗です.太平丸などは個体間でかなり花色の濃淡があるのですが,普通の綾波はそれほど差がありませんね.花弁先端の羽状の切れ込みも大体皆同じです.これは王綾波系.ここ何年も本調子...
またまだ移植が終わらないのですが,今日からちょっと息抜きに出かけて来ます.昨年は丁度今頃メキシコへ行っていました.ですから昨年に比べるとなんとなく余裕のある4月なのです.昨年と比較して3月の気温が低く,サクラを始めとしてあらゆる植物の動き始めがゆっくりでした.しかし上手くしたもので,だんだんと追いついて来た感があります.サボテンたちも早春の花から初夏の花へと移行しつつあります.この花サボは,紫野×...
春の花レブチア&スルコレブチアがどんどんと咲いています.ハウスに入って彼らのかわいい花を見るとホッとします.そう言いながら栽培に力を注いでいるわけでもなく,春に植え替えするとあとはほぼ放置,中には調子を崩すものも出て来ます. 明るいオレンジ色の花のR.fiebrigii R784(= Aylostera walteri)です. ホフマニー(R.hoffmannii R521a), 温かみのあるオレンジ色の花.何度も咲いてくれるので,結構長い間楽しんでい...
超普及種の月影丸には赤花と白花があります.白花は原産地では確認されたことはなく,園芸生産の中で生まれたものとされています.この赤花と白花を相互交配してみました.後代は下の写真のように全て赤花になりました. もし白花が花弁の色素合成に関わる遺伝子の突然変異ならば,白花は1遺伝子の潜性(昔は劣勢と言いましたが,実態に合わない用語なので,学術的には使わないことになり,今はこれを潜性と言います)である可...
プシスの白花なんて誰も見向きもしないのかもしれません.しかし,朝まだ陽が差し込まないハウスに入り,この花を眺めるとその良さが分かります.これは大豪丸錦の花,何かを語りかけるかのようにこちらを向いているように見えます.仄かな香りを楽しんでから写真を撮りました. 下の写真の株は,Echinopsis subdenuda L943です.だんだんと大きくなり,たくさん花をつける様になりました.短毛丸や花盛丸系のものは相当な大株...
春は駆け足,毎日違った表情を見せながら,季節はどんどん進んでゆきます.ぼっとしていると色々なことを見過ごしてしまいそうな勢い,エビたちも次々と咲いてきます. これは白元(E. reichenbachii),少し花弁の先が弱くてヨレてしまうのが少し残念.全ての白元がこうなるわけではありません. そしてラウイ(E. lauii)穏やかな花色が素敵です.基部からだんだんと仔を吹いてきました.群生株となってたくさんの花を一斉に...
3月の終わり頃,白鷺多頭株にそれはたくさんの花芽が出てきました.これは期待できるぞと,ワクワクしながら待っていました. お天気がすぐれない日が続きましたが,薄日に反応して一斉に開花. 再び,三度と咲いてだんだんと豪華に,株全体が花で見えなくなりました. 花姿も良いのですが,一度開いた花が閉じた姿がまた良いですね. これらの多頭株は,キリンで大きく育成したものを胴切りして作ったものです.実生から3年...
瑞鳳系の中で,このニベウム(Astrophytum capricorne var. niveum)が今年は先陣を切りました.他のカプリコルネたちはようやく新刺を伸ばし始めたところです.いつ見ても彼らの花は魅惑的で,吸い込まれそうです.一体誰を誘ってるの?と聞きたくなります. このニベウムの不幸は以前に記事にしました.こうして横から見ると,普通の瑞鳳より刺はしっかりとしており,なるほど大鳳の系統だなと思わせます. 園芸的に言う白瑞...
今年はなんだか大文字白鳥が好調なようで,たくさんの蕾を上げてきました.ちっとも大文字らしくないねと言われそうですが,締めて作ると大文字の模様は出てきません.接木でふっくら作ると明瞭なのですが,今度は白鳥らしくなくなります.やはり白鳥は詰まった真っ白の刺じゃなくちゃと思っています. 程なくして一斉に開花しました.花は全く普通の白鳥です. もう一つ単頭の大文字がいます.これは少し大文字らしい縞が見え...
英丸(Echinomastus dasyacanthus SB120)が綺麗に咲いています.輝きのある伸びやかな花弁はとても綺麗です.草姿も花も桜丸に似ています.それもそのはず,E.intertextus subsp. dasyacanthus,つまり桜丸の亜種とされています.さらに今では,E.intertextusに統合する見解もあります. 形態的には英丸は刺が立っていて,素手で触ると刺がかなり当たります. しかし,実生を見ると刺が立っておらず,いわゆる桜丸とはあまり...
このマレッティアーナ(Copiapoa malletiana)は,昨年あるイベントの廣仙園さんのブースで手にしたものです.順調に成長して少し丸みを帯びて来ました. コピの花の写真を撮ってどうすんだってところですが,一応花が咲いたので撮ってあげることにしました.コピにしてはやや大きめの美しい花です. 日本の園芸家に馴染みの黒士冠は,C.dealbataという学名に対応するとされて来ました.園芸的理解は,白肌で一本の刺がシュッ...
随分と昔のこと,ある有名園で象牙宮と名札の立っている小さいパキポを買いました.その頃まだパキポのことは全く知らず,これがグラキリスなのかと思い持ち帰りました.程なく葉が展開して来ましたが,なんだか違うようです.でもずんぐりと育つ姿は,ちょっとそれらしくも思えました.その後たくさんのパキポを扱うようになり,ああこれは何かの交配種だと思うようになりました. しかしサイズは十分になったのになかなか花が...
ブイニンギー(Parodia buiningii)がこれでもかってほどド派手に大きな花を咲かせています.昨年も記事にしましたが,ガタイが大きくなりいよいよ本領発揮ってところでしょうか.こんなに大きな花が咲くと確かに見事です. これはGC783,04,刺色にかなり個体差がありますが,刺に色のつくタイプです. そしてこれがHU90,刺が白くて綺麗なタイプです.両方ともにウルグアイ産です. たまにサボテン屋さんで見ることもありま...
うちの古株のロビンソルム(Escobaria robbinsorum SB464)は,ウチに来てからかれこれ7,8年,刺が詰まりすっかり貫禄が出て来ています.故郷はアリゾナ州南東部コチセ郡です.衛星画像で見るといかにも乾燥していそうなところ,大きなスプリンクラーが作り出す緑の円がまるでオセロのように並んでいます. この古株の後代たちが色々いるのですが,数年前にキリンで育成して降ろしたものたちもしっかりして来ました.もうこれ以...
太平の接木を見ていたら,台木の根本から枝が伸びているものがありました.何か変だなーと思って少し用土を退けてみると台木の切り口から出ているようです. 掘り上げてひっくり返すと,驚いたことに根の途中から出ています.普通,根というのは茎と違って所謂‘芽’というものを持ちません.根が分かれするのは全て不定根といって,根の維管束外側に分裂組織が新たにできて根が枝分かれます.ですから袖ヶ浦の根から芽が出るのは...
マミのアンソロジーをしたのですが,この時期次々とエビたちも花を咲かせます.朝ハウスに入ってあれ?何か良い香りがするなと思ったら,何かしら小型のエビが咲いています. この宇宙殿(Echinocereus knippelianus)は,特に花形が優れており,毎年花を見るのを楽しみにしています.これも良い香りがしますよね. この青花エビ(Echinocereus viridiflorus var. robustior)随分と昔からウチにいて,どんどん大きくなってい...
先の土日,地元のカクタスクラブで滋賀の廣仙園さん,愛知の三河サボテン園さんを巡る一泊二日のツアーに乗っかって来ました.いつもは一人で気ままに訪ねる旅ですが,今回は大人数です.バスの中も食事時もサボテン談義を楽しく繰り広げました. 廣仙園さんには1日目午後に到着,いつものように2匹のワンコに出迎えられました。参加者のほとんどがサボテン屋さんを訪問する経験があまりなく,ずらりと並ぶサボテンに歓声をあ...
この時期どんどんいろんな花が咲いてくるので,どうしても記事にするのをスルーしてしまうものが出て来ます.せめて今年の姿だけでも記録に残そうと思い,マミのいくつかをアンソロジーで紹介しておきます. 銀紗丸,由来がよくわからない交配種.でも丈夫でよく花が咲きますね. ラウイ・ダシアカンサ.実に色々なダシアカンサがありますが,小粒であまり刺の痛くないのが人気です.少し増やしてよと頼まれたので,交配して...
春星が咲いています.この株は4年前の冬にホムセンから救出してきたものです.すっかり大きくなりました.これは去年の姿. そしてこれが今年の春,毎年ひと回り大きな鉢に移植しないといけない成長っぷりです.どこまで大きくなるのか,楽しみにしています. これは刺のタイプか異なる白雪姫と呼ばれる系統です.園芸的にはこの方がより優れていますが,やや成長が遅い感じがします. 春星はMammillaria humboldtiiという学...
ヨンストニー(M. johnstonii)には色々なタイプが存在します. FNのついた株を比較するとその多様性がわかるのですが,やはり鮮やかな赤い花の系統が良いなと思います. さらに園芸的には10年前に手にしていたエルモシヨと名付けられていた株のようなうねる刺のものが優れているように思います.その元株は調子が悪く,今も燻っています.しかしその子が元気に育っています.でもなかなか親子超える優れた刺の個体は得られませ...
明日からしばらくメキシコへ行ってきます.3度目のメヒコは,メキシコ中央高原の中北部,今回はモンテレイが起点です.コロナで長いこと国外で出られず,久しぶりの長旅にちょっと不安を抱きつつも,新しい出会いがあるだろうと心が躍ります. 留守中は,家人に灌水を託しますが,できるだけシンプルに対応できるように,お願いのメモには腐心しました.まあサボテンは2週間ぐらい水をやらなくても枯れることはなく,むしろ野菜...
茶色の毛に覆われた蕾と純黄色に輝く花弁,いかにも旧ノトカクタスらしい花姿です.しかし鋭角の稜線がはっきりとしており,この点はノトらしくないとも言えます.これはNotocactus buiningii (Parodia) GC783,04,故郷はウルグアイです. 刺の色合いは変異がありそうで,下の写真のようにほとんど色付かないものもあります.ガラスのような刺とブルー肌は美しいものです.これはHU90.やはりウルグアイ産ですが,上のGC783,0...
これはThelocactus hexaedrophorus var. fossulatus SB892,昨年友人から頂いたものです.この学名は,しばしば緋冠竜に対応するものとして用いられますが,この株を見ていると緋冠竜はなるほど園芸品種なのだなと思います.この変種(variety)は基本種に統合され,今は無くなっているようです.それよりこの植物がなぜ六面体(hexaedrophorus)という種小名をもらったのでしょう.六面体はサイコロのような形がその典型です....
昨年は種したマミ実生バットで,小さなレコイが咲いていました.レコイは先日記事にしたレプタカンサの元の種です.花筒がやや長いところはよく似ています.しっかりとしたカギ刺ですね.人目を引く鮮やかな花色です. 咲く,咲かないはどうやらサイズだけではなく,ある程度の早生晩生があるようで,大ぶりになっても花を着けない個体もありす.また中刺の色にも若干バリエーションがあります. これはMammillaria krasuckae ...
植え替え作業に忙しい時期,夕方にハウスを回るとホルスティーの蕾を見つけました.ああ,今年もそんな季節かと思い,鉢を部屋に持ち込みました.ところが,夜になってもひらきません,開花はまだ先でした.気温の高い時期だとこれくらいの大きさの蕾はその日に咲くのですが,気温が低いとゆっくりなのですね. そして翌日,これはもう確実だろうと再び部屋に持ち込みました.ところがまたもや期待を裏切られました.こんなに蕾...
地味系マミのMammillaria antesbergeriana L1163が開花してきました.このアンテスベルギアーナは,M.wagnerianaのシノニムとされ,さらにこれはM.petterssoniiに近いものとされ,その分類は議論のあるところのようです.このL1163の故郷は,デュランゴ州 Canoasです. ストライプの入る花が特徴のようです.覗き込むとなかなか良い花です. ペッテルソニー自体が大変種内変異が大きい種とされるので,どこまでが基本種で,ど...
アストロ達は気温の上昇に敏感に反応します.この時期つい数日前までネズミ色の蕾だと思っていたものが,あっという間に開花しますね.ほぼ全ての株が今年の初花だったのですが,その中でひときわ目立った大輪だったのがこの株です.とても良い香りがします. この株はごく初期の亀甲ランポーで,アレオレ部分の突起は小さく,サイズが大きくなるに従い地味な風貌になりました.でも未だなおちゃんと亀甲柄を出しています. 子...
レプタカンサ(M. rekoi subsp. leptacantha)がだんだんと縦長になり,胴切りして多頭化しようかと思っていたら基部から仔を吹き始めたことを以前に記事にしました.それから2年,基部の仔にも花が咲き,すっかり貫禄がつきました.そうか、こんな風に群生株化していくんだなと理解しました.下手に胴切りしなくてよかった. レプタカンサには黄花と赤花があり,以前に持っていいた黄花が昇天.花のない時に黄刺の小株を,こ...
史上最速の桜の開花が各地で記録され,ここ讃岐でも例年より随分と早くソメイヨシノの満開を迎えました. 毎年咲き始めを気にしている太平達ですが,今年は3月下旬に咲き始めました.3月中に幾つもの株が開花したのは,僕の記憶の中では初めてです.これは白刺翠平ですが,例年は集団の真ん中付近で咲いていました. 白鳥や白鷺なども咲いて来ています.これもまた例年より随分と早い開花です. 3月上旬に4月並みの暖かさが...
今月は今日で終わり,個別に紹介できなかった弥生のマミたちを載せておきます.まずは金洋丸錦(M. marksiana),穏やかな黄色の花を次々と長期間楽しませてくれました. 金剛丸錦(M. centricirrha),斑に赤い花が一層鮮やかに映えます. クルシゲラ(M. crucigera),この小さな世界を覗き込み、今年も元気にしているのを確認しました. 明月(M.schiedeana subsp.dumetorum),この穏やかな花はいつ見てもホッとします....
ガタイをすっかり覆い隠すように武者影(Thelocactus hexaedrophorus subsp.lloydii)の小株が花を咲かせています.テロカクタスらしい清楚な花です. テロカクタスは案外小さい時からちゃんと花を咲かせるので,楽しみが多いサボテンです.それにしてもちょっと大丈夫?ってくらい不釣り合いに花が大きいですね. この武者影と鶴巣丸を交配したものが,下の写真の鶴武者.別にどーってことない交配種になっています. テロカク...
3月も下旬になり,菜種梅雨のぐずついた天気が続く中,素敵な花が咲きました.これは白ランに赤花兜をかけたものです.どんな花が咲くか見たくて,一つだけ袖に接木したものです.黄色でもなく赤でもないこの微妙な色が魅力です. 白ランポーと兜は容易に掛かるのですが,やはり異種なので,この個体は種間交雑にありがちな斑入りです.種間交雑で得られる斑入りは大体表皮が陥没したようになり,不健全な姿になり,斑入りとし...
今年も大好きな桜丸たちが開花期を迎えました.いつもても魅力的な花です.ここ数年毎年種子を蒔いているので,我が家の桜丸ファミリーは大所帯になっています. 大元の親株は下の写真のように蕾のつき方が違います.面白いことに後代のほとんどが1,2枚目の写真の株と同様に成長点付近に纏まって発雷します. 開花にはやや早晩はありますが大した差ではありません.下の写真のように花色には若干濃淡が見らますが,もっと桜色...
春先にザブッと水をやったら,間も無く側面に蕾が見え始めると共に,パックリと身割れしました.ああ痛そう,そんなに急いで吸水しなくても良いのにと同情しました. その数週間後,桜の便りが聞かれ始めた頃,このなんとも渋い花を咲かせました.渋い花ですが,とても良い甘い香りがします. 夕方,横から見ると渋い色合いが一層はっきりします. このサボテンには,カルメネンシスf.ラクエスタというラベルが立っていました...
シュレセリー(Sclerocactus spinosior subsp. schlesseri)の実生ができたのでキリン台で養成し始めたのは3年前です.その後降ろした株達は元気に生育しました.キリン台で養成したこともあり,自然にはない多頭株になったのですが,刺の様子にバリエーションが見られ,両親にはなかったはっきりとした白刺が長い個体も出ました.でもその後どうしたことか開花期が合わず交配はお預けでした.今年はほとんどの株に蕾が見え,待...
この花が咲くといつも鼻を近づけて香りを楽しんでいます.チョコレートのような甘い香りなのです.これは,Echinocereus viridiflorus var. robustior HK1007.青花蝦のやや大柄な変種ということです.青花蝦という和名を頂いていますが、もちろんブルーフラワーではなく,ご覧のように緑花です. この株は9年前に記事にしていますから,相当長いことウチにいます.下の写真のように基部から仔を吹き主幹は太くなりつつもまだ...
マリオナエ(M. sinforosensis subsp. marionae ROG730)が如何にもマミラリアらしい見事な花輪を作っています. この株はこれまで何度か登場していますが,順調に成長し年々径を増し,10cm近くになっています.どこまで大きくなるのかなーと移植のたびに鉢を大きくしています.このM. sinforosensisは,M.standleyiのシノニムリストに現れますので,スタンドレイの1タイプということかも知れません.何しろスタンドレイは,種...
毎年この時期,フェロの円盤くんの花を見ると嬉しくなります.フェロの中では飛び抜けてオシャレな花です. この株はウチの中では最古参,おそらく20年近く前に手にしたのだと思います.サボテンから遠ざかっていた間に居た数少ないサボテンの一つです.サボテンを再開してこのブログを書き始めた2011年から毎年のように記事にしてその様子を記録してきました.歳の割には大きくなってはいないのですが,未だ元気に成長し毎年花...
今年も月宮殿(M.senilis)花の宴の季節がやって来ました.毎年見つめている株ですが,今年も元気一杯咲いています.一度開くと夕方に閉じることのない月宮殿は,午後遅くでも花を楽しめるという点で優れたサボテンですね.また大株になるとかなりの蕾が着くので1ヶ月ほど楽しめるのも良いところ. そしてキリン接ぎで養成した上の写真の子供.仲間は皆もお嫁に行きましたが,一株だけ残して様子を見ています.月宮殿はやや根が...
このネオポル ニグリホリダ(Neoporteria nigrihorrida FK22)は,10年ほど前にブログ友のアイハルさんから分けてもらいました.当時各ポットに9株が植わっていた本当に小さな株でした.頂いてから2年後には開花を始め,それ以来何度も調子を崩しては全滅しかけましたが,その度になんとか回復して今日に至ります.でも最初9株だったものが,今は5株に減っています.如何にもネオポルらしい花と黒い刺は,毎年見ているのですが...