ちょっと多めに。
昔はこうやってどこの家でも多めに氷を作っていた。新しい住宅地には同年代が集まることが多い。自然に子どもたちの年齢も近い。誰かが熱を出したら近所から氷をもらう。どこからともなく聞きつけて持っていってやる。どこの家にもゴム製の氷枕があった。「〇〇ちゃん熱出したってー」ベランダ越しの会話はLINEよりも早かった。兄弟姉妹がいれば互いに面倒をみる。どこの家でもオカンが家に居た。子育て支援なんて言葉は知らなかった。みんなのオトンの帰りは遅く、残業まみれだった。景気が良かった平成の幕開け。そして今、氷を多めに冷やすのはもっぱら白ワインのためとなった。ちょっと多めに。
2024/09/22 13:08