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支配者たちと 黒い鳥と http://ibara-gensai-1.blogspot.com/

緑のなんでも屋が運営する、エンターテイメントプロダクションです。小説、映画、音楽、その他!

G-ROSE所属、薔薇の志士『いばらの幻斎』が、すべての生きる人に送る『真実の物語』第一弾、好評連載中です!

G-ROSE
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熊本市
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2010/05/01

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  • 第十六羽

    俺の名前は武藤 純一。『元』が頭に付く、電気屋だ。 今年でもう齢50になる。 この体にこの夏の暑さはこたえる。おまけに内海霊園までは長い坂道になっていて、 普通のもんが難無く上がっていくこんな緩やかな傾斜でも、俺の場合は少しの油断が命取りになるんだ。 墓参りに着たの...

  • 第十五羽

    ★カラス『う~ん。・・・ホームレスなんだろ?』 ★ユリ『さっきはさぁ!!』 口調が激しくなるユリにまたビックリして、カラスはシケモクに火をつけようとしていたライターを地面に落とした。 ★カラス『何?』 ★ユリ『何でもないないよ・・・水遣りするから』 ★カラス『...

  • 第十四羽

    暁色の夕日は、北西の町並みに半分ほど沈みかけていた。 夕日が沈んでいくと共に、ロック嬢の『ママ』の姿が、上下黒の破れたシャツとズボン、ボサボサで伸びきった黒髪、マニキュアを塗ったように黒く長い爪、穴の開いた黒い靴、私の知っているホームレスの姿に戻っていく。 もう何が起...

  • 第十三羽

    ★車椅子の男 『おい。おい!大丈夫か!?』 車椅子の男が恐怖で固まったユリのもとに駆けつけ、正面にまわり 込むと、酒で充血した据わった目を大きく開いてユリの様子をうかがう。 ★ユリ『・・・うん。大丈夫。何ともないよ』 ★車椅子の男『ふぅ。頼むじぇ!ほんとに何ともな...

  • 第十二羽

    車椅子のオヤジに言われたとおり、両手の親指を拳でぎゅっと握り締めた。 ユリ達が空を見上げると、大勢の烏が、ホームレスとロック嬢の上で八の字を描いて飛び回っていた。 ★ユリ『・・・烏!?』 ★車椅子の男『何度見ても、これだけは気味が悪いな。それに、おい、にーちゃんを見て...

  • 第十一羽

    ※近くの浜辺から流れてくる潮風で、葉が痛んだ公園の桜は葉を揺らすのをやめた。 風がやんだ。 ユリと車椅子の男は、目の前のクロスケと、おそらくクロスケの ”客人” であろう人物のやり取りを、少し離れた位置から息を殺して見ていた。 木製の 黒い椅子 に座っていたのは、 紫の口紅 、 ...

  • 第十羽

    いつもなら裏道を通って10分ほどの道のりが、20分かかり一本桜公園に到着した。 ★車椅子の男 『見よ落下傘空に降り ~♪見よ落下傘空を征く ~♪見よ落下傘空を征く ~♪』 ★ユリ『ハァ、やっとついた。・・・てかさっきから何?その歌』 ★車椅子の男 『讃えよ空の神兵を神兵を ~肉弾...

  • 第九羽

    焼酎の匂いにまとわり付かれながら、一本桜公園を目指す。 大通りから少し寂れた裏道は地元の者しか知らない。 この道は真昼だというのに、ひっつき合って建った家々のおかげで 日陰が多くヒンヤリしている。 途中途中の民家から漂う蚊取り線香の香りが、ユリを懐かしい気分にさせた。 ★車椅子の...

  • 第八羽

    ※ユリは車椅子の男と別れしばらく歩いていると、後ろの方からしてくる何かの音に気付いた。 そしてその音が少しずつ自分に近づいてくるのもわかった。 さすがに気になり後ろを振り返ると、さっきの車椅子の男の姿が目に入ってきた。 聞こえていた音は男が車椅子の車輪を漕ぐ音だった。 ユリは足を...

  • 第七羽

    クロスケが摘んだ花は枯れなかった。 かんかん照りの太陽と蝉の声。 焼け付くアスファルトの上でゆらめく陽炎。 厚く塗った日焼け止めの香り。 影もたまには間違って、私と違う動きをしないかな? ユリはアスファルトに映った自分の影を時々眺めながら最寄の駅へ向かっていた。 午後3時。 父親...

  • 第六羽

    ★ホームレス『真樹!』 ★真樹『ん?』 ★ホームレス『どうしたの?眠いの?』 ホームレスの言葉に、はっとさせられ、我に返る真樹。 よほど疲れてるのか、こんなぬるま湯の様な睡魔に浸かったのは久しぶりだった。 なんだか体が肌寒く感じた。 ★真樹『ああ。わりぃ。夜更かしのし過ぎかな』 ...

  • 第五羽

    月裏の明け方の空。 一本桜公園にて。 潮風はなく、空は暁色の雲に被われていた。 夜の闇の束縛から解放された烏たちが、何処からともなく、いっせいに鳴き始めた。 ドーム状の土管の斜面になったところに腰を下ろし、缶コーヒーを飲む二人。 真樹の細く小さな手には牛乳...

  • 第四羽

    時々思う。 そっとしといて。 私は喜ぶの事にも、悲しむ事にも、怒る事にも、愛する事にも疲れたの。 あなたの物語の邪魔はしないから、あなたも私の邪魔はしないで。 毎日同じことの繰り返しじゃない。 何がよくて、何が悪いの? 何が楽しくて、何が悲しいの? お父さん、お母さん。 お姉ちゃ...

  • 第三羽

    月裏の、とある安アパートの2階の一部屋。 外から見ると真っ赤なカーテンで仕切られた窓。 そこからは、毎日決まった時間に呪文の様な声が聞こえてくると、近隣からはちょっとした七不思議だった。 『The stain which is one extreme redness that t...

  • 第二羽

    月裏海岸の防波堤。 風は強く、潮風の香りが鼻につく。 今朝は釣り人がいないその海岸に、一人の車椅子に乗った男はいた。 白髪染めが取れかかった灰色の頭。 左手には缶チューハイ、力の抜けた右手にはタバコがぎこちなく握られていた。 右足には、重そうな補助器具がつけられている。 男はいつ...

  • 第一羽

    あっしはこの街の傍観者。 真っ黒な羽で身を被い、支配者たちの食べ残しをあさる。 行くあても、帰る故郷も知らず。 ただ、あっし達は不幸や悪、闇を体現しているのではなく・・・ 支配者達のための偶像にしかすぎない。 支配者達はあっし達の真実を知ろうとしてはくれないの...

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