君想ふ

心恋し 君よ百花繚乱咲き乱れる色の中で手折ったのはあなただった

苺の存在

フォークで刺した瞬間ほろほろ崩れてくショートケーキ重ねた愛情舌の上で溶けてく甘ったるいクリーム胸焼けが止まらない小さな嘘甘く表情華やげる柔らかなスポンジ不安も全て受け止めて

狂宴

歪んだ愛情に感覚が麻痺してゆく君が吐き出す言葉一つ一つに翻弄されたい誰が鳴らしたオルゴール二人を象るようにして躍り狂うマリオネット抱き締めた胸から伝わる鼓動伝わる君の悲しみを突き放せない孤高な瞳の奥に宿す熱情狂い始めたオルゴールは誰にも止め

アガペ

愛償えないよあなたが残したヒトヒラの悲しみ今でも僕は—愛償えないの君が落としたヒトヒラの苦しみ今でも私は—切ない声が体に響く想い続けた証が刻まれた求め合ったのは優しい苦痛

メロウ

綻んだ美しい花何故かアタシに優しい「アナタには棘があるんでしょう？」そう言って息を吹き掛けると、花はくすぐったそうに揺れた不思議ねアナタの名前の花は棘を持つそうよけれどアナタには必要ないみたいいいわねその棘アタシに頂戴禍々しいアタシはこの身

被われた白

弱い心ぶら下げて重い体引き摺り歩く道の真ん中転んだらいつの間にか罪の手生えた白い骨はただ脆いのです

全部聴いたこと

月は美しいらしい花は枯れると散るらしいチョコレートは甘くてたまに、苦いらしい(恋も同じ)人は弱いらしい空は青かったり、暗かったりするらしい(海も同じ)明日はいつだってあるらしい地球は丸いらしいあの子は僕が好きらしい世界はいつか滅びるらしい全

死んだ感情 部屋の中

止まない耳鳴り部屋に広がる爛れた感情ベッドの上の携帯電話散らばった昔の写真鏡に映るのっぺらぼう何もかもどうでもいい何もかも捨て去れたら寂しいと言う感情も生温い関係性も無機質な毎日も悲しいほどに愛したものも溶け合えない想いも全部全部投げ出した

スピカ

夜空に浮かぶ孤独な星二つの哀しみ引き合うよ二つは一つに二つで一つに僕らは一つに繋いだ手を明日に伸ばした

空の羽

飛べ愛しい人青いその羽で散れ私の恋桜と共に二つは相容れぬ埋葬した感情は桜木の下空を羨む

サヨナラ

また会えるなら命を懸けてまた会いたいもう会えぬならまた会えると嘘を吐いてほしい

フラスコ

想いが満ちるフラスコ色を変えて揺らめくほんの少しの勇気でほら 赤く 強く中和する

伝わるかい？

光は涙のように零れた。すがり付くことも出来ない果敢なげな光それでも光の名を取った刺すようなそれとは違い醜い僕をただただ見つめていた

溺れる砂糖

私は彼が好きだった私は彼になりたかった私は泣きたかった私は一人だった私はただ水に溶けた砂糖みたいに目立たなくても甘い存在になりたかった(けどきっと冷たい水には溶けきれない)

虹を越える

虹の先目映い光が零れる空の向こうへ明日なんて見えないほど眩しい太陽の向こうへ雲の間を縫って行く

体の裡

崩れてゆくガタガタと「つまらない」浮かんだその日からこの穴だらけの体を埋めて心ばかり着飾って動けない

グレーテル

指先から滴る赤が私たちを繋ぐ糸見つけてよ グレーテルアトを残すから今扉を開けるわ

月と私

まだ君の嘘に触れていたい曖昧な境界線涙で少し滲んだ縮まない私たちの距離逃げる月を追いかけた輝ける君の光手を伸ばしても届かないその笑顔はあのコにもあげるの？

消費する日々

誰しもが生まれたいと望まない誰しもが死にたくて生きてない無条件に僕ら吸ったり吐いたりする纏まらない感情を並べて選び戸惑う惰性的でひどくつまらないような幸福な毎日に塗れてるそんな世界でキラキラ崩れる音がしたユラメク君の幻を見た無い物ねだり空回

バラッド

まるで世界と自分の居る場所を遮断するように音を掻き鳴らすそんな君を初めて見たのは薄っぺらいテレビの中でしたギターを手に歌う君は何度も同じフレーズを繰り返していました私は手に持ったアイスクリームが溶けて零れていることにも気付かず、「ああ、これ

夕焼け

背中に重なる鼓動その重みに息苦しくなる真っ直ぐに見つめる先が狭まって行く遠く 遠くへ二つの影が一つ泣き出しそうな君夕焼けが痛い

零れ落ちた念

切られたシャッター一枚の枠の中運命に巻き込まれた僕等は世界の終わりみたいなキスをした囁く声が聞こえる「お願い 時よ止まれ」

覚めない夢

咀嚼する日々疑問符だらけの過去から否応無く進むだけずるり ずるり昨日見た夢が脳裏に焼き付いたずるり ずるり重い首を持ち上げてずるり ずるり誰かの意識に流される続ている

裏表

クラスのあのコが笑った時私は悲しい 苦しい 嫉妬するクラスのあのコが泣いた時私は悲しい 切ないほんの少しの高揚感

匙加減はいかが？

「砂糖ばかりではだめ。繊細すぎてもだめなのよ」そんなものだろうか？と私は淑女の言葉に耳を傾けます。「さあ、一口お飲みなさい」そう言って淑女はコーヒーを私に差し出しました。「いい？肝心なのは匙加減よ。こればかりは自分の舌で感じるしかないから教

紫の上

愛するあなたわたくしはあなたに生きあなたに死にますわたくしにはあなたしか無いのですから

かたち

貴女を例えるなら空を仰ぐ向日葵かしら？貴女を例えるなら花から花へと心を移す蝶々かしら？貴女を例えるなら誰にだって平等な太陽かしら？貴女を例えるなら光のまばゆい夏かしら？貴女に当てはまるものを上げてみたけれどなんだかしっくりこないだけど一つだ

春

春をひさぐ快楽をひさぐ甘い毒に侵された男達が金を積む高く高く私の視界は金の山

まだあなたを

零れ落ちる涙はきっとあなたを探してるあなたを想って泣くのそう思いたい

禁忌

苦しみの裏側に芽吹く想い許されないの？青いざわめきに流されることは単調なリズムを狂わすことは日溜まりに熔ける手のひら愛しいヒトまでは 届かない。