chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
ウィズアウ https://blog.goo.ne.jp/78591040

児童書『顔のない男』二次小説。顔に火傷を負う孤独な男と、少年の絆を邪に見た話を書いてます。教師×生徒

顔に大火傷を負い孤独に生きる男と、ひねくれた14歳の少年が出会い、教師と生徒として、また友人として一夏の不思議な関係を結ぶ原作。 の、二次小説を書いております。 切ない系統。

藤子
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2010/01/23

arrow_drop_down
  • 言葉にすれば、どうしようもなく拙いが

    ひそやかに、ただ貴方のことを思い出すことさえも罪になるというのなら罪人であることに何の躊躇もない。と、そう言葉にすれば貴方はどんな顔をするのだろうか困ったような、優しい顔で微笑むのか硬い表情を浮かべて遠くを見るのかそれとも、もしかしたら傷に覆われたその皮膚の上に涙を流し、そして一瞬でも、僕と過ごした時間を思い遣ってくれるのなら貴方と過ごした夏を、意味あるものだと感じてくれるのなら何度でも言葉にしよう幾度でも声に出そう貴方をいつも、想っていると。貴方をいつまでも、哀れな僕の形見だと、忘れずにいると。貴方がいつか、青空に還るその時まで。言葉にすれば、どうしようもなく拙いが

  • ふたりで

    蝉の鳴く声潮騒の歌風が部屋を通り、あなたがページをめくる音僕が貴方を見ていることに、気付いてはいないのか本をめくり、時折何か書き留めながら貴方はまるで一人きりでいるよう触れてみたいと思い始めたのは、いつからだろうか貴方の傷の下に隠された顔に触れた途端にこの不思議に温かな関係が終わりを迎えると訳もなく、分かってはいるけれど「ジャスティン」その想いを悟られないよう精一杯の演技をしながら僕は誘う「海へ行こうよ」逃げ場だったのか楽園だったのか、今となっては分からないけれどそこは確かに、貴方が、限りなく素顔に近づける場所だったそこは確かに、僕が、仮面を外せる場所だったふたりで

  • ひとすじ

    遠い飛行機雲の淡い直線に見惚れていると遠くからあなたの声が聞こえた何と言ったのかは聞こえなかったけれど低い声には、優しさが滲むきっとあなたはもう帰ろう、と言ったのだろうか僕は聞こえないふりをして飛行機雲を見つめるそうしていればあなたが傍へやって来て僕の肩に触れ、髪をくしゃりと撫でてくれるのを知っているからあなたが触れてくれるまで飛行機雲よ、まだ消えないでいて○○◎8月です。美しい季節ですね。ひとすじ

  • Summer, passed

    いつも、二人だった孤独だ、哀れだと自分を蔑み、遠くの水平線を眺めるときも互いの境界を侵すことを恐れなのに、どうしようもなく恋しく指先を触れては臆病に引き下がるときもいつも、二人だった漠然とした不安と色の濃い青空の重みとひそやかで、幼い恋慕「ずっと、一緒にいたい」ふと、口をついて出た言葉は少年と男の、両方を驚かせ男は、困ったような顔で少し笑い握った手に、力を込めた嘘のつけない男にできた精一杯のことただ黙って、横にいて男の見てきた、たくさんの美しいものを少年に手渡すいつも、二人だった海に跳ねる光の煌めきに、驚くときも澄んだ朝焼けが、窓辺に差し込むときもふと、寂しさを感じるときですらいつも、二人だったあの夏は、いつも、二人だった。Summer,passed

  • リハビリテーソン

    ひりひりと焼け付くのは痛みだろうか、それとも疼きやまぬ、甘やかな傷かあなたのつけた消えぬ傷は遠く、今も僕を縛り癒し、苦しめ、思い起こさせ、忘れさせ湧き上がる入道雲のように染まりゆく紅葉らのように当たり前に、そこに在るあと何度夏を迎えればあなたのもとへ、行けるだろうかあと何度、あなたの夢を見ればあなたのことを、忘れられるだろうか愛していたと、言うことすら思い出を汚すようで、できずにただ、ただひたすらにあの青い海と空に、願うあなたの心が、安らかであれと。○○○なんだかワンパターン。でも一番落ち着く形。思い出が美化されることを認識しつつ、思い出に縋って生きる自分を憐れみつつ、でも、生きるしかない。チャールズには、幸せになって欲しいと心から思います。リハビリテーソン

  • よーし

    ただいま、といっていいのかなんなのかしばらく離れていたけどその間も、チャールズとマクラウド先生の絆に救われていました。これからぼちぼちまた何か書いていけたらいいなと思ってます。自分の癒しは自分で作らな!笑がんばるぞーよーし

  • つながり

    夏が幾つも、幾つも、幾つも始まっては終わってゆくあと何度僕は見送ることができるだろうかかつての古傷が、僅かに疼くのを黄昏が、少しずつ冷えていくのを貴方の声が、遠ざかっていくのを貴方の生きた年月のその重みを、感じられるようになった今とうに少年ではなくなった僕の古びた記憶に、光が差し込むそれはときに、絵空事のように、美しく思い出すらも、時の向こうに遠ざかり今の僕には、痛みすら残らないこの胸にあるのはただ、貴方がきっと、安らかに眠っているはずのあの海の、優しい呼び声呼び声は、いつしか囁きにかわりそれは僕に、語りかける貴方の最後が、安らかであったと貴方の最後が、幸せなものであったとようやく、そう思えるようになった今すべての青が、蘇り瞳の灰色が、微笑みあの夏の風が、肩を抱く伝えたかったことも伝えられなかったことも、今とな...つながり

  • 貴方の目を通して

    夏が、音も無く移ろうのを貴方は気付いていたのだろう僕らの時間が終わるのも貴方は分っていたのだろうそんな貴方のくれた幾つかの、あかし頬をなぞる硬い指先微かに、柔らかく笑む唇貴方の教えてくれる、群青の景色貴方の隠した、素顔の半分。貴方が、僕を愛してくれたという幾つかの、あかし盛りを終えた花々や少し高くなった、初秋の空どこか薫るのは潮の飛沫ではなく、オレンジ色の夕陽その一つ一つに呼び起こされる貴方と過ごした、たった一つの季節が僕にとって、どんな奇跡だったのかをきっと貴方も見ていただろう、秋の夕陽や、星の光を町の明りや、海のさざめきを傷を通してこそ、見つけることのできる美しいものを貴方のいないこの場所で後悔と、恥と、懺悔に溺れながらそれでも僕は、進んでいくよ貴方との夏を、思い出にするために貴方の起こした奇跡を、大切にす...貴方の目を通して

  • Green Light

    目を覚ますと夢うつつに感じていたはずの体温は既に残骸と化しシーツの皺と、歪んだ西陽がピントのずれた視界に入りこむ無口な男の寝室にいつしか馴染んだこの体は無意識のうちに、探していたのだろうか寝室の主の、その温もりを誰もいない、右隣の空間に伸びた己の白い腕を、ぼんやり眺める机の上の置き時計を見れば鈍色の針は、思ったよりも進んでいて家路につかなければいけない時刻をやがて指すころのよう部屋を出なければ、と思ったその刹那階段の軋む音がしたどこか、遠慮がちな寝た子を起こすのを、躊躇うようなそんな不思議な、温かな音が少年は急いでシーツを被り再び枕に頬を押し付ける寝室の主が、ドアを開けて優しく肩を揺するのを、待つためにドアが開くのを気配だけで感じ少年は、瞼をぎゅっと閉じる低い、潮騒に似たあの声が己の名を呼ぶのを待つために閉じた...GreenLight

  • 遠雨

    おひるね。◎◎◎まどろみを行き交い風の気配や、潮の匂いに流されるように、目覚めるまず視界に入るのはこちらを見おろす、灰色の瞳誰かの顔に似てるようだ、とふと思った後そんなはずがない、と小さく笑って火傷に不似合いな、酷く優しい瞳に吸い込まれていく陽光の温もりの向こうに微かに、雨の匂いがした「帰ろうか、チャールズ」優しい瞳と火傷の持ち主の投げかけた言葉が雨粒のように、淡く耳に落ちるもっとその声を聴きたくてまだここにいたくて僕は、また目を閉じる彼の両眼が視界から消えることを少し、惜しく思いながら「こら、寝たふりをするな」低い、そして笑みを含んだ声が聞こえる同時に、髪の毛をくしゃくしゃと撫でられる思わず吹き出してしまうけれどそれでも、まだ目は開かない「……まったく」子供を諌めるようなどこか、甘やかすようなそんな声や表情が...遠雨

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、藤子さんをフォローしませんか?

ハンドル名
藤子さん
ブログタイトル
ウィズアウ
フォロー
ウィズアウ

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用