「はやくイきますわよ。」その声は自動改札機のさらに向こう側から僕の鼓膜を震えさせた。「ナニをのんびりなさってるの。デンシャがキてしまいますわよ。」あわてて自動…
「それじゃあノキというのがミチルのもともとの名前なんだね。」「ハナシをキくカギりではそういうコトになりますわね。」「でもこれからもミチルと呼んでいいかい?どう…
こぴんと出会えたことで僕はひとまず落ち着きを取り戻していた。そこで僕はあることを思いついて駅のほうにきびすを返し歩き始めた。「ミチルのところに墓参りに行こう…
そこにあったの紛れもなくこぴんの姿だった。こぴんは赤い車のボンネットの上に座って僕のほうを眠たそうに見つめていた。それは昼下がりにおやつか何かが出てくるのを…
それは出来そこないの粘土細工みないに見えた。全身が茶色に染まって、先週の雨のせいか身体は湿っていた。目には目ヤニがあふれてそれが固まって目がほとんど開けられ…
あれ以来彼女はなんとなく元気がなかった。もちろん猫の話はしないし、それ以上に笑う回数が少なくなった気がした。雨が続いていたのもあって、散歩に出ることもなかっ…
僕は駅に向かった。昔の部屋があり、“あの”ゴミ捨て場がある中野に行ってみようと思ったのだ。もちろんたった一晩でこぴんが荒川区から中野区までたどりつけるとは思…
部屋には毛一本も残ってはいなかった。僕の服に付いた毛さえも見つからない。もしフローリングに爪の傷が付いていなかったら、誰もこの部屋に猫いたなんて信じてくれな…
僕はとりあえず会社に電話して、遅れるとただそれだけを伝えた。「飼い猫がいなくなったので遅れます。」なんて言ったところで「そうですか。それは心配ですね。少しで…
正月が過ぎても僕とこぴんはうまくやっていたはずだった。もともとお互いそんなに話すほうではなかったが、こぴんが話すことといえば僕に(あるいは人間に)対する嫌み…
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