「張世平 伝」 奇貨 45 ～ 武を振るう先、又しても ～

涿県城市・悲鳴の元へ どよめき上げながら道を遮り立ちはだかる人の波。縫って潜っても中々見えぬ騒動の先。木霊すは喚声のみのけたたましさを無心に走る商人（ｱｷﾝﾄ…

「張世平 伝」 奇貨 44 ～ みせかけの賑わい ～

涿県城市、露店往来 桃園遊侠団頭領・劉備（ﾘｭｳﾋﾞ）が会見前、黄巾党対策に方々、手を廻していた頃。関羽（ｶﾝｳ）隊に守られていた張商団は涿県城市に至ってい…

「張世平伝」13～43まで（第二幕）の出演者達

ども作者です。ようやく第二幕をとりあえず終えられました。実は第三幕も出来上がっておるのですが、第二幕より更に長いものとなり、果たして収拾を図れるのか甚だ懸念さ…

「張世平 伝」 奇貨 43 ～ 次から次へと ～

七倍の兵数で敵した黄巾軍であったが、張飛（ﾁｮｳﾋ）の奮迅なる活躍により士気は大きく挫かれ、先攻桃園軍200の勢いに対し支えるのが精一杯。後発、残存劉備（ﾘｭ…

「張世平 伝」 奇貨 42 ～ 立ち昇る、黄色の狼煙 ～

「思い知れ、この野郎…」心の中で何度も呻（ｳﾒ）いていた事がはっきりと脳内に木魂する。心技体の均衡が崩れてゆく中で張飛の動きに隙が生じ出した。とうとう背後へ刀…

「張世平 伝」 奇貨 41 ～ 天降る、炎の巨人 ～

櫓（ﾔｸﾞﾗ）に居た小者は早くに逃げ、地面の火は土を掛けられて鎮火したが、作業を嘲笑うかの様に火は高く高く燃え移って行く。放水など焼け石に水。櫓の崩壊は時間の…

「張世平 伝」 奇貨 40 ～ 走れ、張飛よ ～

どれ程の距離を全力疾走しただろうか。 走り嫌いの張飛（ﾁｮｳﾋ）だが、今ばかりはそれどころに非ず。行方の分らぬ劉妙麗（ﾘｭｳﾐｮｳﾚｲ）、最早、簡雍（ｶﾝﾖｳ…

「張世平 伝」 奇貨 39 ～ 担がれて、田豫隊長 ～

涿県（ﾀｸｹﾝ）政庁内練兵場 門前からして惰気に溢れていた涿県政庁。当然、政庁内は輪をかけて怠惰な空間だろうと大凡（ｵｵﾖｿ）見当が付く。既にどれ程の間、練兵…

「張世平 伝」 奇貨 38 ～ 覇気無き政庁 ～

朱色の邸宅にて黄巾と桃園が丁々発止を繰り広げ、終局、黄巾の二人が決死の脱出を試みた頃。同じく邸宅を出、単身涿県城市の政庁へ向かう男の姿があった。男の仕事は隠…

「張世平 伝」 奇貨 37 ～ 二人のハナタレ ～

まだ気が動転している張飛（ﾁｮｳﾋ）は襲い掛からん形相で「分からん！」と言うや、瞬時に泣きっ面になった。気圧され簡雍（ｶﾝﾖｳ）、尻餅を付き「何が！？」素っ頓…