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kitasendo
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2009/10/24

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  • 変はらない字句、変はる解釈

    善知識にあふこともおしふることもまたかたし。 よくきくこともかたければ、信ずることもなほかたし。 真の知識にあふことは、かたきが中になほかたし。 (『浄土和讃』親鸞聖人) 「知識」とは今とは違ひ、「教師」のことを言ひます。それで「善知識」とは「正しく教へる導師」といふ意味です。 仏教において「善知識」の元祖はお釈迦様でせう。その教へは数多くの経典に残されてゐる...

  • 記憶が霊人体を作る

    我々の人生は、記憶を集積していくことだと言つてもいゝでせう。さまざまな体験をし、その都度それにまつはる感情が生まれる。それらすべてが記憶として積み重なつていくわけです。 記憶の中でも最も主要な長期記憶は一体どこに貯蔵されていくのか。脳研究が進むにつれて、脳の旧皮質にある「海馬」といふ器官が関係してゐることが分かつた。ところがさらに研究を進めると、海馬自体が記憶の最終的貯蔵庫ではないことも分かつてき...

  • 自分自身になりたい

    銀行員になりたい人は銀行員になるし、法律家になりたい人は法律家になる。なりたいものがある人はそれになつて満足するが、自分自身になりたい人はどこに行つたらいゝのか分からない。 (『獄中記』オスカー・ワイルド) 引用元は『獄中記』と書いたが、正直に言へば私が直にそれを読んだのではない。茂木健一郎氏のyoutube動画からの拝借です。 ワイルドはアイルランド生まれの文筆...

  • 強張りを緩める

    もうかれこれ半年近く、首筋の強張りとつき合つてゐます。これまでにも首が凝ることはときどきあつたものの、今回の強張りは並大抵ではない。整体にだいぶ通つた今なほ、完治する気配は見えない。 首の強張りは首だけの責任でないこと、それは分かつてゐます。首の筋肉が他の筋肉とつながり合つてゐるのはもちろん、骨格とも複雑に連携してゐる。問題の元が腰のあたりにあることは見当がついてゐながら、整体師と言へども容易には...

  • 見えない人の名を呼ぶ

    食欲こそまだあまり衰へずにあるものゝ、ほぼ寝たきり状態のおばあちやんは、日に何度も私の名前を呼ぶことがある。 尿意を催して呼ぶこともあるが、それはむしろまれで、大抵は大した用事がない。一寝入りして目が覚めると、周りに誰の気配もない。目が見えないから、暗闇の中にゐる。それが不安になつて私の名前を呼ぶのです。 昼間私が家にゐて、別の部屋からでもその声を聞きつければ、駆けつける。 耳が遠いので顔を近づけ...

  • 「ありがたいこと」はどのやうにふえるのか

    50日ほど前から玄関の下駄箱の上に鉢植ゑのプリムラを置いてゐる。3日に一度くらゐの水やりで、黄色の花がきれいに咲き続けてくれてゐる。 変はらない光景なのに、先日出がけにふと見ると、 「きれいだなあ」 と思つた。 そしてその瞬間、「アッ」と一つのことに気がついたのです。 「ありがたいことが増えるのは、それまでなかつたことが起こるやうになるのではない。それまで気づかなかつたありがたいことに気づくやうになる...

  • 自分を許したいのなら

    「そこに行き着く」道は「そこにいる」ことだ。行きたい場所にいなさい。幸福になりたいか? では、幸福でいなさい。愛がほしいか? では愛になりなさい。 (『神との対話3』ニール・ドナルド・ウォルシュ) ニールとの長い対話のほぼ最終章で神がニールに与へる箴言です。どういふ意味でせうか。何だか分かりにくいですね。 そこに行きたければ、今ゐるところ出発し、そこに向かつて進まねばなら...

  • 「こよみ」で生きる

    江戸時代の古学者本居宣長によれば、中国から「暦」といふ漢字と緻密な時の読み方の体系が入つてくる前から、「こよみ」といふ我が国固有の観念があつた。 「こよみ」の元をたどれば、「来経数(きへよみ)」といふ古い言葉がある。1日1日が次々に来ては経ていくのを数へるといふ意味です。「きへよみ」が「けよみ」になり、「こよみ」になつた。 固有の「こよみ」は今の「暦」の観念からすれば、ずいぶんと大らかなものだつたや...

  • 「天寿」はあるか

    家の廊下の柱に取り付けている地元の有線通信網の端末から、ときおりお悔やみ放送が流れる。90過ぎの男性もゐれば、60代の女性もゐる。どんな人にもそれぞれの人生があるには違ひなく、寿命の長短だけでは判断できないその人なりの哀歓があるものでせう。 私の妻は2人の子どもを生んだあと、平均寿命の半分あたりでこの世を去つた。これについては私自身、長い間苦悶したのです。 いくらガンだとしても、治療して長生きする人も...

  • 悪善変換装置

    「天上天下唯我独尊」 といふ宣言は、お釈迦様の悟りの境地についての一つの表現だらうと推察します。 どういふ境地だらうとあれこれ想像はしてみるものの、実感も、それ以上の説明もできない。もちろんお釈迦様自身、そんなことは期待しておられないでせう。 悟りは悟った者のみの絶対の所有である。厳格にいえば、他の何びとの証認をも必要としない。 さういふ意味の...

  • 動的平衡とメロディー生命論

    分子生物学者の福岡伸一博士は生命を 「動的平衡」 と表現する。 数学者の故岡潔博士は生命を 「メロディー」 と表現する。 福岡さんは、生物学を土台とした哲学者。岡先生は、数学を土台とした宗教者。私にはさういふイメージが浮かびます。 福岡さんの言ふ「動的平衡」とはどういふことか。 2つの変化の過程が互ひに逆向きに、しかも同じ速度で進行するとき、系全体としては時間変化せず平衡状態を保つてゐる。動いてゐるの...

  • 駿河路や花橘も茶の匂ひ

    数学者岡潔博士の随筆集『春風夏雨』に明治時代の物理学者寺田寅彦博士の逸話が出てきます。 芥川龍之介を夏目漱石の末の弟子といふなら、寺田博士は初めの弟子ともいふべき人で、そこからも分かる通り、単なる物理学者ではない。俳人、随筆家としても才のあつた人です。 寺田さんが初めて夏目先生に会つたのは、彼が旧制高校の学生だつたときのこと。夏目先生は英語の担任だが、俳道にも長けてゐた。 そこで寺田青年は夏目先...

  • 「観の目」で人生を観る

    日本の代表的剣豪である宮本武蔵。彼は何かを「みる」において二通りあると体得してゐたやうです。 一つは「見る」。もう一つが「観る」です。 例へば、剣を持つて立ち会ふとき、 「観(かん)の目は強く、見(けん)の目は弱くみるべし」 と言つてゐます。 「見の目」とは通常の目の働きです。立ち合ひおいては、相手の動きがあゝだかうだと分析的、知的に把握する。さういふ見方です。 一方の「観の目」は相手を全体的に直覚...

  • 心情蹂躙されない

    「心情蹂躙をしない」 といふのは天法三大原則の一つだといふ。 「心情蹂躙」といふ言葉の意味するところはどんなものでせうか。「人権蹂躙」あるいは「人権侵害」といふ言葉はある。あるいは、SNS上で炎上を引き起こす「誹謗中傷」といふものもあり、だんだんうるさく言はれるやうになつた「ハラスメント」といふものもある。 何が「蹂躙」か。何が「侵害」で何が「誹謗」か。これはなかなか厄介な問題です。明確な定義がないだ...

  • 神は神以外のものになれない

    人は様々な可能性を抱いてこの世に生まれて来る。彼は科学者にもなれたらう。軍人にもなれたらう。小説家にもなれたらう。しかし彼は彼以外のものにはなれなかつた。これは驚くべき事実である。 (『初期文芸論集』小林秀雄) この一節は、小林の数ある言説の中でも、私がしばしば立ち返るフレーズの一つです。 我々は確かに、自分の能力や意志、あるいは人生の成り行きによつて、科学...

  • 未確定で生きる

    1987年にノーベル生理学・医学賞を受賞した利根川進博士がこんな話をしてゐます。 有能な科学者とさうでない科学者の差は、最初に立てる仮説の違ひである。 ノーベル賞を取るくらゐの学者でないとなかなか大上段に言へない言葉です。しかし、なるほどさうかとも思ふ。 最先端の科学はつねに「既知の世界」と「未知の世界」との境界線に立つてゐるわけでせ...

  • 自分の記事に祝杯

    わたしには何人か小説家の知人がいるが、彼らに話を聞くと、一様に「小説家は頭の中で見えるものを書く」と言う。随筆の「見知ったこと(事象)を考えて(心象)書く」というのとは根本的に違う脳の働きだ。彼らの頭の中では映画のようなものが上映され、それを文字に起こしているのだ。 (『読みたいことを、書けばいい。』田中泰延) 漫画家を志望し、今では小説を2冊出版した息子にも...

  • 鯛になつて泳いでみる

    料理作りの参考にいろいろな料理チャンネルを見るせいか、2ヶ月ほど前、Youtubeのお勧めにアニメ「美味しんぼ」が出現した。原作は1983年。アニメ化が1988年。もうずいぶん昔の昭和のアニメです。 ところが覗いてみるとこれがなかなか面白くて、見れるものはぜんぶ見尽くした。中には、2回3回と見返すものもある。 脚本がしつかりしてゐる。料理や食材についての蘊蓄が半端ない。主人公の山岡士郎をはじめ、登場人物のほとんどが...

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