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眠れない夜の映画 https://aitaiyoru.blog.ss-blog.jp/

映画・TV・DVD鑑賞日記

映画ブログ / 映画DVD・ビデオ鑑賞

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2009/08/24

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  • 悪魔が夜来る(フランス・1941年)

    監督はマルセル・カルネ。 脚本はジャック・プレヴェール、ピエール・ラロシュ。 主演はマリー・デア、アラン・キュニー。 15世紀のフランス。お城で男爵の娘と騎士の婚約披露パーティーの最中。悪魔に命令された若い男女が、吟遊詩人を装って会場に忍び込む。それぞれ男爵の娘と騎士を、その魅力で恋の虜にしてしまう。けれど本物の恋が生まれ、悪魔が怒り、愛し合う恋人同士を嫉んで、2人を石像にしてしまう。 素敵な邦題。ストーリーも詩的でロマンティック。ラストで、石像にされてしまった2人の心臓が1つになって鼓動を打つなんて、感動的。 マルセル・カルネ監督は、大好きな監督の1人。『天井桟敷の人々』や『枯葉 夜の門』、シモーヌ・シニョレ主演の『嘆きのテレーズ』、ジェラール・フィリップ主演の『愛人ジュリエット』も忘れ難い。 古いフランス映画の魅力を堪能できる映画の数々が、シーンごとに浮か..

  • ザ・コール 緊急通報指令室(アメリカ・2013年)

    監督はブラッド・アンダーソン。 脚本はリチャード・ドヴィディオ。 主演はハル・ベリー。 緊急通報指令室のオペレーター女性が、誘拐された少女からの電話に出て、何とか救い出そうと必死に呼びかける。誘拐犯は異常な性格のシリアル・キラー。ラストでオペレーター女性が犯人の家へ行って調べ出し、誘拐犯と少女の現在地を特定。少女を救い出した後の、犯人への復讐の仕打ちが爽快な結末。 ストーリーはありふれているし、犯人含め登場人物たちもワン・パターンのキャラクターだけれど、ハラハラドキドキさせられるサスペンスの面白さがあった。 観終えた後に、 (どうして私ってサスペンス映画が好きなのかしら) と、今まで何度も自問自答してきたが、今だに謎である。心理学の専門家や心療内科の医師なら、きっと答えてくれるはずだから、いつかそんな機会があればいいと思っている。その答えを聞いて、 (そう..

  • 旅立ちの時(アメリカ・1998年)

    監督はシドニー・ルメット。 脚本はナオミ・フォーナー。 主演はジャド・ハーシュ、クリスティン・ラーティ。 夫婦共に反戦運動家で、FBIから指名手配されているため、2人の子供と一緒に各地を転々とする一家の物語。 夫婦関係、親子関係が、一般的な家庭と違っている。互いに愛情はあるが、生き方に疑問や迷いを持つ様子が淡々としたストーリー展開で描かれていくところが面白かった。 シドニー・ルメット監督作品は、『Q&A』『ファミリービジネス』『狼たちの午後』『盗聴作戦』『十二人の怒れる男』『質屋』『ネットワーク』『デストラップ 死の罠』『セルピコ』『評決』『オリエント急行殺人事件』『NY検事局』などを観たが、再度観たくなるような面白い映画が多く、好きな監督の一人である。

  • 奇蹟は一度しか起こらない(フランス/イタリア・1950年)

    監督はイヴ・アレグレ。 原作はジャック・シギュール。 脚本はジャック・シギュール。 主演はアリダ・ヴァリ、ジャン・マレー。 恋に落ちた男子医学生と女子医学生が郊外のホテルで愛し合い、結婚の約束をするが、戦争が勃発。 やがて男子医学生は捕虜になり、収容所から脱走。パリに戻って闇商売、結婚、破局。忘れられない元恋人を探し出し、病院の看護師をしている彼女と再会。思い出の郊外のホテルへ行くが、2人の心は溶け合えない。 若く美しいアリダ・ヴァリと、ジャン・マレーが恋人同士。他の主演映画では観られない、若々しく純真な恋の物語。理不尽な戦争によって引き裂かれ、2人の愛も生活も変化が起きていく悲劇。歳月が流れても、心の奥に秘められたままの恋、忘れられない愛が、アリダ・ヴァリとジャン・マレーの独特の容姿と演技でせつなくも甘美に描かれていた。 フランスの監督イヴ・アレグレ作品は..

  • ビューティフル・マインド(アメリカ・2001年)

    監督はロン・ハワード。 原作はシルヴィア・ネイサー。 脚本はアキヴァ・ゴールズマン。 主演はラッセル・クロウ。 実在の天才数学者の半生が描かれる。 主人公の天才数学者は学生時代から、変人と見られていて、奇異な行動が多かった。大学院を卒業後、研究所に入り、講師として学生を教えながら、ソ連の暗号解読を依頼されることに。講師の仕事は退屈だったが、聴講生の若い女性と出会って愛し合うようになり、結婚。けれど、ソ連の暗号解読というスパイ活動の任務に耐えきれなくなり、幻覚症状が続くほどの精神を病んでしまう。 実在した天才数学者の人物像がよく浮き彫りにされていて興味深かった。 ラッセル・クロウはあまり好きではなかったが、この映画では個性派俳優としての魅力が発揮されていた。 精神を病んだ夫を救う妻の人物像の描き方が、少し、もの足りなかった。

  • 幻の女(アメリカ・1944年)

    監督はロバート・シオドマク。 脚本はバーナード・C・ショーエンフェルド。 原作はウィリアム・アイリッシュ。 主演はアラン・カーティス、フランチョット・トーン。 愛人のいる主人公が妻と離婚話。妻は離婚に応じず、怒って帰宅。主人公はバーで知り合った女性と、妻と観るはずだったミュージカルを見て、互いに名前も告げず、帰宅。主人公のネクタイで妻が絞殺されていた。主人公は逮捕され、アリバイの女性は見つからず、死刑宣告を受ける。主人公の愛人がアリバイの女性を探し出して無罪を証明しようとするが……。 幻の女。何て、そそられるタイトル。大好きなウィリアム・アイリッシュのミステリー。3回読んでも、また読み返したくなるような面白い小説。 死刑宣告を受けてしまう主人公の部下であり愛人の女性が必死で幻の女を探し出し、実在したことの証拠を集めていくところが特に面白い。協力するふりをする..

  • ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(アメリカ/イギリス・2017年)

    監督はスティーヴン・スピルバーグ。 脚本はリズ・ハンナ、ジョシュ・シンガー。 主演はトム・ハンクスとメリル・ストリープ。 背景はベトナム戦争。戦争が泥沼化して、反戦運動が起こっていた1971年。主人公のNYタイムズのジャーナリストや、アメリカ初の女性新聞発行人とワシントン・ポストのジャーナリストたちが、国防省によるベトナム戦争の機密文書の存在を暴き、真実を追究して行く。 スティーヴン・スピルバーグ監督で、メリル・ストリープとトム・ハンクスの共演なので興味を持った。 実在のジャーナリストたちをモデルにした社会派ドラマの映画は、脚本が良ければ、興味深く面白く楽しめる。 政府の圧力と闘う正義感に満ちたジャーナリストは格好良く、人間として魅力がある。トム・ハンクスとメリル・ストリープが、持ち味を生かした演技で迫力もあり、感情移入できて楽しめた。 ただ、映画を観た後..

  • 恋におちたシェイクスピア(アメリカ・1998年)

    監督はジョン・マッデン。 脚本はマーク・ノーマン、トム・ストッパード。 主演はジョセフ・ファインズ。 シェイクスピアのラヴ・ロマンスと、その劇中劇が描かれる。 シェイクスピアの人物像が、イメージと違う。もっと情熱的でもっと神経質で、もっと狂気のような異常性が出ていなければ、平凡でありふれた人物のような感じ。 監督の解釈のシェイクスピアなのだと思うが、全編のセリフも面白さに欠ける。 キャストの演技ももの足りないし、ラブ・ロマンスのシーンも印象に残らないし、シェイクスピアの創作への懊悩も描けているようで描けていない。 他の監督と他の脚本家だったら、シェイクスピアとその恋の素材を、もっと独創的で面白い映画になったのにと思った。

  • ボルサリーノ(フランス・1970年)

    監督はジャック・ドレー。 原作はユージェーヌ・サコマノ。 脚本はジャン・クロード・カリエール、クロード・ソーテ、ジャック・ドレー、ジャン・コー。 主演はアラン・ドロン、ジャン・ポール・ベルモンド。 舞台は1930年代のフランスの港町マルセイユ。1人の女性をめぐって殴り合いの喧嘩をした、街のギャングと、3か月の刑を終えて出所した男が意気投合し、友情が生まれる。2人は、魚市場を支配しているギャングと黒幕のボスを相手に闘い、勝利。野心が満たされた、豪邸での華やかなパーティーの日、1人は生命を奪われる。 ギャング映画はあまり好きではないが、フランス映画に限っては、もうもう最高に好き。 アラン・ドロン主演のギャング映画が多いこともあるが、それだけではない。 アメリカのギャング映画のような、眼をそむけたくなるシーンはほとんどなく、何と言ってもセリフが洒落ていて、ラブシ..

  • 歴史は夜作られる(アメリカ・1936年)

    監督はフランク・ボーゼージ。 脚本はジーン・タウン、グレアム・ベイカー。 主演はシャルル・ボワイエ。 主人公はホテルのレストランで働く、優秀で美男の給仕長。嫉妬深い夫からパリへ逃れたくてロンドンでの離婚訴訟に勝訴した人妻と、恋に落ちる。その夫はアメリカの海運王で、主人公を殺人犯に仕立て上げた揚げ句、2人の乗った船に、濃霧中、全速力での航海を命じて氷山と衝突により沈没させ、殺害しようとする。 イングリッド・バーグマンとの共演のサスペンス『ガス燈』が一番印象深いシャルル・ボワイエ。雰囲気もセリフの言い回しも好きだし美男俳優と思うけれど、他の主演&脇役の映画では持ち味や魅力が発揮された映画が少ないような気がする。 この映画も最初は、ホテルのレストランの給仕長役で、あまり期待しないで観始めたが、次第に、 (こういうキャラクターもいいじゃない) と、あらためて独特の演..

  • ペイン・アンド・グローリー(スペイン・2019年)

    監督はペドロ・アルモドバル。 脚本はペドロ・アルモドバル。 主演はアントニオ・バンデラス。 主人公は熟年の映画監督。脊椎損傷の痛苦から逃れられず、仕事の意欲も失せて、現実と過去の狭間(はざま)に揺れ動く生活。過去を回想して過ごす孤独な日々に、ある日、32年前の作品の上映を依頼され、生への意欲をかき立てられていく。 鬱々とした生活の中で、子供時代からの過去を回想していく主人公の内面が深く伝わってきた。 仕事への意欲も生きる気力も失った時、人間はやはり自分の子供時代や家族が思い出されるものかもしれない。子供時代から青年時代へ。恋が生まれ、破局となった悲しみ。そして、ある日、創作への意欲がふたたび湧き起こり、生きる気力が満ちてくるという結末はいい。 タイトルの『ペイン・アンド・グローリー』(Pain and Glory)は、痛みと栄光の意味。ペドロ・アルモドバル監督..

  • 武器よさらば(アメリカ・1957年)

    監督はチャールズ・ヴィダー。 原作はアーネスト・ヘミングウェイ。 脚本はベン・ヘクト。 主演はロック・ハドソン。 第一次世界大戦中。主人公はイタリア軍に志願入隊しているアメリカ人青年。紹介でイギリス赤十字の看護師女性と知り合い、恋に落ちる。出撃で2人は別れ、主人公が膝に怪我をして、護送された病院で再会。やがて、妊娠した恋人を残し、主人公は前線へ。イタリア軍が敗退、主人公は脱走し、落ち合った恋人と中立国スイスへ。恋人の出産時、新しい生命共に失ってしまう。 主役のロック・ハドソン。悪くはなかったが、あまり印象に残る魅力は感じられなかった。恋人役の女優は好きではないので、感情移入はあまりできなかった。 せっかくの名作なのに、脚本が良くなかった。 前年撮影の『ジャイアンツ』のロック・ハドソンは、適役で演技の魅力がよく出ていて、一番印象に残っている映画。 『武器よ..

  • ソフィーの選択(アメリカ・1982年)

    監督はアラン・J・パクラ。 原作はウィリアム・スタイロン。 脚本はアラン・J・パクラ。 主演はメリル・ストリープ。 主人公は作家志望の青年。田舎からニューヨークに出て来て、新居のアパートで他の部屋に住む男女のカップルと知り合う。自由で気ままな生活指向の男性と、ミステリアスで翳りのある美しい女性。恋人同士の二人は、喧嘩したり家出したり仲直りしたりの不思議な関係。ある夜、その女性が主人公の部屋へやってくる。父はポーランドの大学教授と語る女性の腕に、強制収容所の囚人番号の烙印。恋人の男性は生物学者でユダヤ人。ポーランド人の彼女が強制収容所から解放されて渡米し、貧血で倒れた時に助けてくれたと告白。彼女には息子と娘と共にナチに拉致された暗い過去のトラウマがあった。そんな彼女に主人公は次第に惹かれていく。ラスト近くの彼女の過酷な過去のシーンは、思わず涙があふれた。 2時間半..

  • 恋に落ちたら(アメリカ・1992年)

    監督はジョン・マクノートン。 脚本はリチャード・プライス。 主演はロバート・デ・ニーロ。 主人公は中年刑事。ギャングのボスの愛人である若い女性と恋に落ちるが、恋愛には臆病で、なかなか進展しない。その気持ちをギャングのボスにも知られ、同僚にも知られてしまう。正義感は強く、安易な妥協はしない。ギャングのボスと殴り合いの決闘で勝ち、ハッピーエンド。 コメディ・タッチでそこそこの面白さ。けれど、ロバート・デ・ニーロがあまり適役とは感じられなかった。 この映画を観た後、もう何度も観ている、『アンタッチャブル』を観た。アル・カポネ役のロバート・デ・ニーロは持ち味がよく出ていて最適役。 ロバート・デ・ニーロの登場シーンで一番好きなのが、オペラ『道化師』を観て泣くシーン。部下から残虐な殺しの報告を耳打ちされ、強欲で無法者で残虐な殺害も平気な男が、オペラを観て泣くというのが面..

  • マデリーン 愛の旅路(イギリス・1950年)

    監督はデイヴィッド・リーン。 脚本はニコラス・フィップス、スタンリー・ヘインズ。 主演はアン・トッド。 主人公はイギリス上流階級の娘。貧しいフランス人青年とひそかに愛し合っていた。親から反対されるとわかっていたので秘密にしていたのだ。父は、娘が異性に関心がなく恋人もいないと思い込んで、上流階級の青年を紹介する。青年は主人公に惹かれて、プロポーズ。主人公は秘密の恋人に、駆け落ちしたいと言うが、彼は親に認められて上流階級入りする野心を抱いていた。主人公の愛は醒め、ラブレターをすべて返して欲しいと迫る。彼は激怒し、父親に手紙を見せて、すべてを話すと脅(おど)す。やがて主人公は彼を自宅に招くと、ココアを飲ませ、彼は死亡。死体から砒素が検出されて、主人公は容疑者として逮捕され、裁判になる。 イギリスの名監督デイヴィッド・リーン作品の中で異色な感じのミステリー。主人公が秘密の恋人..

  • 突破口!(アメリカ・1973年)

    監督はドン・シーゲル。 原作はジョン・リース。 脚本はハワード・ロッドマン、ディーン・リーズナー。 主演はウォルター・マッソー。 主人公は小金を稼ぐ、街の銀行強盗の犯人。楽な仕事で今までうまくいっていたが、いつもと違って警官と銃撃戦になる。逃亡した主人公は隠れ家に戻り、奪ったお金が小さな銀行にふさわしくない大金だったことに驚く。事情を知り、警察とFBIから追われながら逃亡を続ける。 ウォルター・マッソーの強盗犯役が面白かった。悪辣で強欲な強盗犯ではなく、過去に曲乗り飛行のパイロットをしていた経験があり、現在は農薬の空中散布屋になっていることが、後半に生かされてくる知能犯。 意外な結末も面白かった。 ドン・シーゲル監督作品は他に、クリント・イーストウッド主演の『ダーティハリー』が、軽く観て楽しめた。

  • グッドバイ、リチャード(アメリカ・2018年)

    監督はウェイン・ロバーツ。 脚本はウェイン・ロバーツ。 主演はジョニー・デップ。 主人公は、妻と娘と共に幸せな生活を送っている大学教授。医師から、余命180日と宣告され、残された時間を自由に生きることにする。講義中にお酒やマリファナ、不倫している妻や、同性愛者と知った娘との関係など、以前の自分と違う新たな生き方に夢中になる。 ジョニー・デップは名前を知っていただけの俳優だが、この映画ではあまり演技の魅力は感じられなかった。 ストーリーに、特に斬新さもユニークさもなく、よくある話という平凡な展開。 主人公のキャラクターも平凡で、感情移入するほどの面白さはなかった。

  • 不滅の女(フランス/イタリア/トルコ・1963年)

    監督はアラン・ロブ=グリエ。 脚本はアラン・ロブ=グリエ。 主演はフランソワーズ・ブリオン、ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ。 教師の主人公が休暇でイスタンブールを訪れ、ミステリアスな女性と出会う。謎めいた行動の多い彼女に興味と関心を持ち、惹かれながら、妄想の世界に心が揺れていく。 ヌーヴォー・ロマンのアラン・ロブ=グリエの初監督作品。 舞台がイスタンブールであることが、この映画にとてもふさわしく、効果的な感じがした。 出会って惹かれた女性の行動が、どこまでもミステリアスで、そのようなタイプの女性に振り回されるようにして魅了されていく主人公の妄想シーンが印象的で、この映画の独特の味わいに感じられる。 いかにもヌーヴォー・ロマンの映画の世界。 アラン・ロブ=グリエ監督作品は、ジャン・ルイ・トランティニアン主演の『ヨーロッパ横断特急』(フランス/ベルギ..

  • アンネの日記(アメリカ・1959年)

    監督はジョージ・スティーヴンス。 原作はアンネ・フランク。 脚本はフランセス・グッドリッチ、アルバート・ハケット。 主演はミリー・パーキンス。 ドイツ生まれのアンネは、父がユダヤ人、母がオランダ人。ナチスによるユダヤ人排斥時代、一家は親友一家と共にオランダへ亡命し、隠れ家の屋根裏部屋で暮らすことになる。階下が工場で、気づかれないよう物音も立てず、しばらく無事だったが、やがて警察に発見されて収容所に送られることに。そこでの生活をアンネは毎日、日記に書き続けた。 『アンネの日記』は昔、読んだし、この映画もテレビで見たことがある。物音にも神経をとがらせ、隠れて屋根裏部屋で暮らすなんて、現実にそんな暮らしをしていた人たちがいたとは、何て可哀想と思ったものだった。 再度、観てみたら、辛い生活の中でアンネが必死で希望を見出し、明るくふるまい、幸福な自分として生きることを模..

  • 華麗なるギャツビー(アメリカ・2013年)

    監督はバズ・ラーマン。 原作はF・スコット・フィッツジェラルド。 脚本はバズ・ラーマン、クレイグ・ピアース。 主演はレオナルド・ディカプリオ。 1920年代、禁酒法の時代のアメリカ。作家志望の青年が、故郷からニューヨークへ来て、富豪のギャツビーと出会う。豪邸で毎晩、華麗なパーティーを開くギャツビーに興味を持ち、親しくなるが、彼の思いがけない正体を徐々に知って行くことになる。 1974年のアメリカ映画の『華麗なるギャツビー』とタイトルも原作も同じだが、監督と脚本と主演は違う。古いほうの映画では、ギャツビーの役をロバート・レッドフォードが演じ、新しいほうのこの映画ではレオナルド・ディカプリオが演じている。 観る前は、レオナルド・ディカプリオのほうが適役かもと思って興味を持ったが、期待はずれだった。どこか俗っぽさが漂い過ぎている。この程度なら、ロバート・レッドフォー..

  • アラベスク(アメリカ・1966年)

    監督はスタンリー・ドーネン。 原作はゴードン・コットラー。 脚本はジュリアン・ミッチェル、スタンリー・プライス、ピエール・マートン。 主演はグレゴリー・ペック、ソフィア・ローレン。 主人公は古代言語学者。古代アラビアの象形文字の解読を依頼されるが、中東の某国の首相の暗殺計画の秘密文書解読から、首相の暗殺事件へと巻き込まれて行く。 『日曜日には鼠を殺せ』の2年後の撮影のグレゴリー・ペック主演映画。古代言語学者の役は初めて観たし、共演がソフィア・ローレンも初めて。 主人公に近づいて来た、ソフィア・ローレンが演じる女の正体が謎めいていて、ミステリアス。主人公にとって、敵か味方かというところが面白かった。 最初はソフィア・ローレンとの共演はあまり期待しなかったが、観ているうちに不自然ではなくなって感情移入できた。 ソフィア・ローレンが演じる女の正体はラスト近く..

  • 落ちた偶像 (イギリス・1948年)

    監督はキャロル・リード。 原作はグレアム・グリーン。 脚本はグレアム・グリーン。 主演はラルフ・リチャードソン。 主人公はロンドンに駐在する某国大使館で暮らす大使の息子の幼い少年。父親が、長期療養中だった母を迎えに行き、留守になる。少年は、執事を崇拝し、特に親しい関係。その執事は、厳格で冷ややかな妻を裏切って、大使館で一緒に働く若いタイピストと不倫していた。2人と少年はカフェでお喋りしたり、動物園へ行ったりする。執事の妻は、少年が漏らした言葉から夫の不倫を知り、実家へ泊まりに行くと嘘をつくと、大使館内で過ごす夫と不倫相手の女をひそかに見張る。やがて妻は夫と言い争い、階段の下へ誤って転落し、死んでしまう。少年は、執事が突き落として妻を殺したと思い込み、過失か故意か調査に来た刑事に、執事をかばう嘘をつくが、その嘘が逆に執事の犯行と疑われ、警察へ執事は連行されそうになる。 ..

  • セント・マーティンの小径(イギリス・1938年)

    監督はティム・フェーラン。 脚本はバートレット・コーマック、クレメンス・デイン、チャールズ・ロートン、エリッヒ・ポマー、ティム・フェーラン。 主演はチャールズ・ロートン、ヴィヴィアン・リー。 中年の大道芸人が、若く美しいスリの女と出会ったことから、芸人の才能を引き出し、劇団員に加える。やがて彼女は輝かしい舞台女優となり、一方、中年の大道芸人は落ちぶれていく。 ヴィヴィアン・リーが、唯一出演したミュージカル映画。撮影時、25歳。 ミュージカル映画はあまり好きではないので期待しないで観たら、面白かった。ヴィヴィアン・リーが歌って踊るという貴重な映画である。全く失望させられなかったし、ヴィヴィッドで可愛らしいヴィヴィアン・リーの演技が楽しめた。 この映画は、ローレンス・オリヴィエと共演したイギリス映画『無敵艦隊』の翌年の撮影。 アメリカ映画『風と共に去りぬ』の前..

  • 作家マゾッホ 愛の日々(イタリア・1980年)

    監督はフランコ・ブロジ・タヴィアーニ。 脚本はフランコ・ブロジ・タヴィアーニ。 主演はパオロ・マルコ、フランチェスカ・デ・サピオ。 19世紀後半、オーストリア。主人公は作家マゾッホ。著作『毛皮のヴィーナス』のヒロイン名で手紙を送って来た女性に惹かれ、同棲後に結婚。子供も生まれ、平穏な家庭。主人公は創作意欲のため、妻に、自分をムチ打たせるように。買い与えた毛皮を裸身の妻に着せ、彼女の奴隷になるが、次第にその異常な行為がエスカレートしていく。 妻が他の男に抱かれる姿を覗き見したり、自分の肉体をムチ打たせたり、異常な行為のシーンが続くが、友人や馬車の駆者の青年や出版社の社長など登場する人物たちとの関係が描かれていくところに面白さがあった。 夫と妻の、裏切りや嫉妬や愛が、異常な行為に耽る説得性も感じられた。 フランコ・ブロジ・タヴィアーニ監督は兄と共に監督で..

  • コリーニ事件(ドイツ・2019年)

    監督はマルコ・クロイツパイントナー。 原作はフェルディナント・フォン・シーラッハ。 脚本はクリスチアン・チューベルト、ロバート・ゴールド、イェンス・フレデリック・オットー。 主演はエリアス・ムバレク。 主人公は新人弁護士青年。殺人事件の国選弁護人に任命される。ドイツで30年余り善良な市民として暮らしてきた67歳のイタリア人コリーニが、大物実業家をホテルで殺害。主人公が担当する初めての大きな事件だったが、被害者は少年時代からの恩人だった。主人公が何を質問しても、黙して語らない被告人。事件の調査と裁判が進行していく中で、主人公は自分の過去や、ドイツ史上最大の司法スキャンダルを深く知り、被告人の殺害動機の真実に直面する。 ベストセラー小説の映画化ということだが、予想外のストーリー展開が面白い法廷サスペンスだった。主人公が話を聞こうとしても、被告人は一言も口にせず、沈黙し..

  • 大いなる罪びと(アメリカ・1949年)

    監督はロバート・シオドマク。 脚本はラディスラス・フォダー。 主演はグレゴリー・ペック。 主人公は独身の有名作家。列車内で会った女性に惹かれ、彼女が降りた駅で下車。再会し、彼女が夢中になっているカジノを取材するつもりが、いつの間にか、そのギャンブルに熱中して破滅してしまう。 ドストエフスキーの『賭博者』をヒントにした映画。主人公が出会った美しい女性と恋愛関係になりながら、彼女がカジノにのめり込んでいる理由を知り、救い出そうとする。けれど、ミイラ取りがミイラになる感じで、自分がギャンブル依存症になっていくという面白いストーリー。 グレゴリー・ペックが演じる主人公の、女性への恋愛感情と、彼女を救おうとする努力が描かれていき、次第に自分がカジノに熱狂していってしまうところが特に面白かった。 恋人を救い出すことに成功しながらも、ギャンブルに多額のお金を失ってしまい、堕落..

  • ミッシング(アメリカ・1982年)

    監督はコスタ=ガヴラス。 原作はトーマス・ハウザー。 脚本はコスタ=ガヴラス、ドナルド・スチュワート。 主演はジャック・レモン。 1973年、南米のチリでクーデターが起き、巻き込まれたライターの青年が失踪。妻と、友人と、ニューヨークで成功した実業家の父が、当局や大使館に強力を求めて必死で探し出すが、軍によってスパイの容疑で逮捕され、処刑されてしまう。 舞台となっている南米チリのクーデターの様子が凄まじいこと、この上ないという感じ。ライターの青年は妻と共に世界の実情を現実に見て記事にしたいという野望に燃えていたが、あれほど危険な地域でと驚かされた。話を聞きメモを取るというのはライターの習性だが、その行為のため、軍から容疑をかけられてしまうなんて。 資産家で実業家の父親の役をジャック・レモンが演じていて、コメディではなくシリアスな映画の中で一番、良かった。大切な..

  • 三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実(日本・2020年)

    監督は豊島圭介。 主演は三島由紀夫。 三島由紀夫の自決の前年、1969年に東京大学駒場キャンパスの教室で行われた、三島由紀夫と東大全共闘の討論会の記録映像ドキュメンタリー。 学生運動が盛んだった時代。教室には千人余りの学生たちが集まり、三島由紀夫と東大全共闘の学生が激論する様子が興味深かった。 固い表現の言葉も多いが、三島由紀夫のユーモラスな言葉に笑い声も起こる。全共闘の学生たちは若くエネルギッシュで、理論的哲学的に、三島由紀夫を論破しようとする。 一般的な討論会とは違う異様な雰囲気さえ感じられたりするが、討論会は自由奔放な議論のぶつかり合いで盛り上がっている。 三島由紀夫は煙草を吸い続けながら、自分に向かってくる全共闘の若者たちの議論と対峙し、対立し、受け止め、反論する。 やはり三島由紀夫にはかなわないのではと、私の主観では終始、感じられた。大人と学生。天..

  • トルーマン・カポーティ 真実のテープ(アメリカ/イギリス・2019年)

    監督はイーブス・バーノー。 脚本はイーブス・バーノー、ホリー・ホイストン。 主演はトルーマン・カポーティ。 アメリカの作家トルーマン・カポーティの生涯を描いたドキュメンタリー。 学生時代に翻訳小説をよく読んでいたころ、トルーマン・カポーティの『冷血』と『遠い声 遠い部屋』を読んだ。2冊だけだったから、あまり夢中になれる小説ではなかったようだ。タイトルは記憶しているのに、内容はほとんど印象に残っていない。 けれど、読んだということもあり、トルーマン・カポーティのドキュメンタリーに興味を持った。 複雑な生い立ちと家庭に育ったことや、作家として注目されるようになった若い日々、上流社会や著名人たちとの交流、ゲイとしての人間関係、お酒に溺れ、存在するかしないか不明と言われた作品のことなど、ずいぶん波乱に富んだ人生だったと知って驚きもあり興味深くもあった。 このドキ..

  • ザ・ロック(アメリカ・1996年)

    監督はマイケル・ベイ。 脚本はデイヴィッド・ワイスバーグ、ダグラス・S・クック、マーク・ロスナー。 主演はショーン・コネリー、ニコラス・ケイジ、エド・ハリス。 元海軍の英雄である准将が12人の部下たちと共に、海軍兵器庫から神経ガス・ロケット弾を奪い、80人の観光客を人質に取って島を占拠。そのテロリスト集団対、任命されて島に潜入したFBIの化学兵器スペシャリストと元特殊部隊のスパイの囚人の銃撃戦が繰り広げられる。 ショーン・コネリーの存在感が抜群で、時々口喧嘩するニコラス・ケイジが演じるFBIの化学兵器スペシャリストとのかけ合いが面白かった。 ショーン・コネリーが演じる元特殊部隊のスパイの囚人が勇猛果敢で男らしく、FBIの化学兵器スペシャリストのほうが、やや軟弱な一面があるという対照性が出ている面白さもあった。 ハラハラドキドキのサスペンスフルなシーンを延々と楽..

  • 火の接吻(フランス・1949年)

    監督はアンドレ・カイヤット。 原作はアンドレ・カイヤット。 脚本はジャック・プレヴェール。 主演はアヌーク・エーメ、セルジュ・レジアニ。 『ロメオとジュリエット』の映画撮影。ロメオの代役の青年と、ジュリエットの代役の少女が、バルコニーで愛を語るシーンで互いにひと目見て惹かれ、恋に落ちるが、物語と同じように悲劇の結末を迎える。 アンドレ・カイヤット監督が、脚本家から監督に進出したばかりの作品ということで、映像もセリフもストーリーもカメラワークも素晴らしかった。 ロメオの代役の青年は、純情なガラス細工職人。ジュリエットの代役の少女は清純な新人女優。 イタリア出身のセルジュ・レジアニと、フランス女優のアヌーク・エーメが、どちらも適役で似合いのカップル。2人の純真で情熱的な恋が感動的に伝わってくる。 この映画の撮影時、アヌーク・エーメは17歳。初々しく、みずみず..

  • アメリカが最も恐れた男”プーチン”(アメリカ・2018年)

    監督はRudy Bednar。 プーチンという人物像のドキュメンタリー。 プーチンが以前、KGBのスパイをしていたということぐらいしか知らなかった。このドキュメンタリーを観て、ずいぶん、いろいろなことを知って興味深かった。 現在のウクライナとの闘いで、プーチンの狂気とか残酷さとか独裁者と言われているが、もちろん若い日から、そのような言葉が当てはまるわけではない。 人間は日々、変わって行く。環境の変化や、成り行きによっても変わって行く。 アメリカが制作したドキュメンタリーだから、当然、アメリカ側の視点や主観が感じ取れる。 ともあれ、早くウクライナとの戦争は終結して欲しいと思う。

  • 忘れられた人々(メキシコ・1950年)

    監督はルイス・ブニュエル。 脚本はルイス・ブニュエル、ルイス・アルコリサ。 主演はアルフォンソ・メヒア。 メキシコの都会のある地域で、貧困な暮らしの子供たち。感化院を脱走した、不良グループのボスを中心に犯罪を実行する少年たち。貧しい上に母親に嫌われている主人公の少年は、純真な心を持っているのに不良仲間やボスの言いなりになる。母親とボスの少年との一夜の関係。ボスによる殺人事件。やがて主人公の少年は施設に入所。施設長から試しにお金を与えられ買い物を頼まれるが、偶然、ボス少年と出会い、施設に帰れなくなって悲惨な生涯を終えてしまう。 ルイス・ブニュエル監督なので興味を持ったものの、不良少年グループの物語と知って失望。けれど、犯罪を繰り返す少年たちの様子が描かれているだけではなかった。その犯罪行為は凄まじいが、主人公の少年の内面が伝わってくると、次第に感情移入していった。母親は..

  • 暴力行為(アメリカ・1948)

    監督はフレッド・ジンネマン。 原作はコリアー・ヤング。 脚本はロバート・L・リチャーズ。 出演はヴァン・ヘフリン、ロバート・ライアン、ジャネット・リー。 片脚を引きずって歩く男が拳銃を隠し持ち、妻子がいて地域で名士となっている男の生命を狙う。名士の男は留守中に、妻から家に訪ねて来た男のことを聞いた時から、恐怖と不安の日々を過ごす。軍隊時代の裏切りによって部下たちを死なせ、男の脚も不自由にさせたという過去の、戦時中の恨みが原因だった。恐怖と不安を胸に酔った勢いで殺し屋と接触してしまい、片脚を引きずって歩く男の殺害を依頼。酔いが醒めてから慌てて殺し屋への依頼を取り消そうとするが、大金欲しさの殺し屋は実行の現場へ向かってしまう。 フレッド・ジンネマン監督作品なので興味を持った。 拳銃を隠し持って名士の男を付け回し、生命を狙う理由は何なのかという謎の面白さ。 地..

  • グレート・グローリー 大いなる勝利のために(メキシコ・2012)

    監督はディーン・ライト。 脚本はマイケル・ラヴ。 主演はアンディ・ガルシア。 20世紀初頭、メキシコ革命末期に活躍した英雄エンリケ・ゴロスティエータの実話に基づいたドラマ。 メキシコはあまり興味のない国で、歴史もほとんど知らなかった。 この映画を観て、メキシコ革命末期に、大統領と政府の制定した新憲法によってカトリック系の国民が迫害され、教会の財産を奪われたため、エンリケ・ゴロスティエータをリーダーとした反政府勢力が団結して闘ったという歴史を初めて知った。 そのリーダーである英雄を、アンディ・ガルシアが演じている。 50代半ばのアンディ・ガルシア。いかにもメキシコの英雄という人物象が浮き彫りになっていた。 (メキシコって、こんなにひどいことする国だったの) そう思い、メキシコの国民性も感じられるような気がしたのは、拷問や踏み絵や死体の逆さづりなどのシーンを..

  • 壮烈第七騎兵隊(アメリカ・1942年)

    監督はラウール・ウォルシュ。 脚本はウォーリー・クライン、イーニアス・マッケンジー。 主演はエロール・フリン。 19世紀半ば、陸軍士官学校に入学した主人公は南北戦争勃発で卒業と共に北軍に入隊し、出征。第2騎兵隊に所属後、功績によって副少将に昇進。恋人と結婚し、退役したが、現役に復帰して第7騎兵隊の司令官に任命される。インディアンと平和条約を結ぶが、金儲けの悪巧みを企む者たちによって条約は破られ、インディアンとの闘いで第7騎兵隊は全滅。主人公は生命を落とすが、悪巧みが暴かれ、条約は守られることになる。 最近、エロール・フリンの〈追っかけ〉ファンになってしまった。40インチ・テレビ画面の中でだけれど。 (こ~んなに素敵な俳優がいたのね) 驚きと発見と感動の連続。オーストラリア出身の俳優は美男・美青年が多いが、こんなに古い時代にもと感動。 長身の格好いいプロポーシ..

  • サウンド・オブ・サイレンス(アメリカ・2001年)

    監督はゲイリー・フレダー。 原作はアンドリュー・クラバン。 脚本はアンソニー・ペッカム、パトリック・スミス・ケリー。 主演はマイケル・ダグラス。 主人公は精神科医で、妻と幼い娘と暮らしている。娘が誘拐され、犯人は身代金ではなく、主人公の患者から6桁の数字を聞き出すことを要求してきた。主人公は、自分が担当している、精神分裂症で入院中の若い女性患者の心の鍵を開けるようにして、彼女から6桁の数字を聞き出そうと必死になる。 犯人から翌日の午後5時までというタイム・リミット。父親の死を目撃した過去をかかえ込む女性患者の頑なな心と意志をどう変えて行くか。主人公は愛娘を救い出すために必死の行動を取るという面白いサスペンスだった。 ラストはホッとさせられた。 マイケル・ダグラスは昔観ていたころは、父親のカーク・ダグラスのほうが好きだと思っていたが、その後、主演映画を観る..

  • 真紅の盗賊(アメリカ・1952年)

    監督はロバート・シオドマク。 脚本はローランド・キビー。 主演はバート・ランカスター。 主人公は海賊のボス。スペインの監視艦を襲ったが、宝物はなく、銃や弾薬の武器だけで、反乱軍に売りつけに行く。軍のリーダーの娘と恋に落ち、利益より、捕らえられているリーダーの救出に発憤興起。凄まじい大暴れの挙げ句、ラストはハッピーエンド。 海賊映画や海洋活劇のジャンルはあまり楽しめないが、バート・ランカスターが主演なので興味を持った。 タイトルの『真紅の海賊』は海賊のボスの主人公のニックネーム。 海賊のボスとして大活躍するのだが、そのリーダーシップ、人間味、野性的な荒々しさに加え、恋に落ちた男の心理などが描かれて感情移入でき、ユーモラスなシーンに笑わされて楽しめた。 (バート・ランカスターって、こんなに魅力的な俳優だったの!) (今まで観た海賊映画で一番面白い!) (脚本、..

  • バトルフィールド クルーティの戦い(ウクライナ・2019年)

    監督はアレクセイ・シャパレフ。 脚本はアレクセイ・シャパレフ、コスチャンティン・コノバロフ。 主演はエヴヘニー・ラマフ。 1918年、ソ連がウクライナに侵攻した戦争『クルーティの戦い』。兵士の数はソ連軍が4千人、ウクライナが400人。その400人の大半が、祖国のために志願した大学生たち。半数の学生が、戦闘や処刑によって生命を落とした。 戦争映画はあまり好きではないが、と言いながら結構観ているけれど、現在、ロシアとウクライナの戦争中であり、興味を持った。 ウクライナ映画は、合作の『故郷よ』(フランス/ウクライナ/ポーランド/ドイツ・2011年)は観たが、ウクライナ映画は初めて観た。 ウクライナ映画は映画としては後進国のような先入観があったが、登場人物たちやストーリー構成など、よく練られた脚本のような印象だった。時間をかけて丁寧に制作された映画のような気がした。..

  • 持たざるものが全てを奪う HACKER(アメリカ・2015年)

    監督はアカン・サタイェフ。 脚本はサンザール・スルタノフ、ティムール・ザクシリコフ。 主演はカラン・マッコーリフ。 主人公の青年はパソコンの技術を独学で身につけたが、貧しい家庭のため父と母が喧嘩ばかり。仕送りするからと家を出て都会へ移住。大学進学の費用もできたが、インターネットの闇ビジネスに夢中になっていく。社会への復讐を公言し、闇ビジネスで世間を騒がせている謎のグループのボスである男に憧れて、ついに対面。ハッキングによって大金を得る派手な仕事を提案。闇グループで銀行をターゲットにし、株価の操作を行う。 ハッキングであれほど簡単にお金が稼げるなんて不思議な気もするが、銀行や株式市場を操ったり偽造カードが使用できてしまうプロセスは面白かった。 熟練したハッカーでも現実にはあれほど簡単に大金を奪えない気もするし、現実に案外、簡単に大金を奪われてしまっているのかもしれ..

  • ブロンクス物語 愛につつまれた街(アメリカ・1994年)

    監督はロバート・デ・ニーロ。 脚本はチャズ・パルミンテリ。 主演はロバート・デ・ニーロ。 1960年代のブロンクス。主人公の9歳の少年は、地域で顔をきかせているマフィアのボスに憧れていた。父はイタリア移民で真面目なバスの運転手。息子がマフィアに憧れ、近づくことを心配しながら、たびたび引き離そうとする。思春期の主人公はマフィアのボスから可愛がられているのを周知されるようになる。黒人少女と恋に落ちるが、イタリア系アメリカ人と黒人の対立があるブロンクスでは、2人の周囲から猛反発。襲撃へと発展する。 ロバート・デ・ニーロが監督・主演なので、少し興味を持った。 登場人物はマフィアを格好いいと憧れる少年の他、マフィアたちやボスや善良なバスの運転手ややさしい母親。どの人物も類型的なキャラクターとストーリーと描かれた世界。ユニークさも新鮮味もなかったが、最後まで観る程度の面白さが..

  • 間諜最後の日(イギリス・1935年)

    監督はアルフレッド・ヒッチコック。 脚本はアルマ・レヴィル、チャールズ・ベネット。 原作はW・サマセット・モーム。 主演はジョン・ギールグッド、ロバート・ヤング。 主人公は作家で陸軍大尉。諜報機関から偽名と任務を与えられ、スイスへ派遣される。スイスにいるスパイの正体を突き止めて暗殺するという任務だった。スイスに着くと、主人公の妻役の偽名を持つ美人スパイと、助手の男スパイが待機していた。美人スパイはアメリカ青年と知り合い、彼に求愛される。主人公が教会へ、現地の手先のオルガン奏者に会いに行くと、ドイツのスパイによって殺害されていた。死体のオルガン奏者が握っていたボタンを手がかりに、主人公は謎のドイツのスパイを追求していく。 主人公の妻を偽装する美人スパイに言い寄ってくる男が、スパイかもと予想しながら観ていたら、的中した。そのスパイを演じているロバート・ヤングは美青..

  • アンディ・ガルシア 沈黙の行方(アメリカ・2001年)

    監督はトム・マクローリン。 脚本はミゲル・テハダ=フロレス、スコット・ウィリアムズ。 主演はアンディ・ガルシア。 主人公は心理学者。精神の病気があった息子を自殺で亡くしてしまい、悲嘆の日々。自閉症の少年の治療に関わっていて、その少年と亡き息子の姿が時々、重なり、カウンセリングの最中に息子の名前を口にしてしまうことも。少年は反発の態度を示しながらも、次第に打ち解けていく。主人公の娘は反抗的で、そのことにも苦悩。やがて、息子の自殺の原因と、少年のトラウマの原因、娘の反抗心の原因が解き明かされていく。 精神の病気を扱った映画や小説は興味深くて好き。主人公の息子は何故、自殺したのか。ウツとか自閉症だから自殺願望に走ったというのではなく、その原因は何かという謎。主人公が施設にカウンセリングに行っている反抗的な自閉症少年は、父親が刑務所に収容されていて、主人公は話を聞きに行く。父親..

  • 愛欲の十字路(アメリカ・1951年)

    監督はヘンリー・キング。 脚本はフィリップ・ダン。 主演はグレゴリー・ペック。 聖書に基づいた古代史ドラマ。3千年前のイスラエルが舞台。宮殿で暮らす王は皇后との関係が冷えきっていた。ある日、湯浴みしている人妻に惹かれ、宮殿に招く。人妻も不幸な暮らし。やがて2人は不倫の愛を交わすように。神の怒りで、大飢饉が起こる。王は愛人の夫を過激な戦争に向かわせ、夫は戦死。愛人女性と結婚したが、その後、死産。飢饉が激しさを増し、王は自分の罪を神に告白し、許される。 宮殿で暮らす王の役を演じているグレゴリー・ペック。珍しい古代史ドラマの映画で、グレゴリー・ペックの主演は新鮮な感じがした。 神の怒りや、罪の告白、神の恵と加護。聖書に基づく世界で、人間の愛や憎しみや罪の意識や、苦悩と歓喜が描かれ、見応えのある映画だった。

  • ホワイトナイツ 白夜(アメリカ・1985年)

    監督はテイラー・ハックフォード。 脚本はジェームズ・ゴールドマン、エリック・ヒューズ。 主演はミハイル・バリシニコフ、グレゴリー・ハインズ、イザベラ・ロッセリーニ。 アメリカに亡命した世界的なダンサーであるソ連の青年と、ソ連に亡命したタップダンサーであるアメリカの黒人青年の友情と脱出が描かれる。 アメリカに亡命したソ連の青年が祖国では犯罪者として扱われるとか、怖いKGBの大佐の存在とか、アメリカ青年がソ連に亡命した理由など、知らなかった事実が興味深かった。 KGBの存在は全編で怖い感じがした。 2人の青年の共通した、ダンスを踊るシーンが良かった。 アメリカ青年を愛する妻の役がイタリアの女優イザベラ・ロッセリーニ。イタリアのロベルト・ロッセリーニ監督とスェーデン出身のイングリッド・バーグマンの娘。主演映画や脇役出演映画やドキュメンタリーなどを観たが、この映..

  • まなざしの長さをはかって(イタリア・2007年)

    監督はカルロ・マッツァクラーティ。 脚本はカルロ・マッツァクラーティ、ドリアーナ・レオンデフ。 主演はヴァレンティーナ・ロドヴィーニ。 小さな町の小学校に赴任して来た若い美人教師。男たちの興味と欲望の視線が注がれる。特に移民の自動車修理工や、結婚直前のバスの運転手や、パソコン設置を手伝った時にパスワードを知り、彼女のパソコン内をひそかに盗み見るジャーナリスト志望の青年など。美人教師は自動車修理工と交際し、親密な関係に。やがて何者かに美人教師は殺害され、自動車修理工が容疑者として逮捕される。 ヘンな邦題だが、イタリア映画で、サスペンスなので興味を持った。調べたら、原題は『La giusta distanza』(右の距離)。ヘンなタイトル。 美人教師があまり教師らしくなく、どの男にも気のある素振りを見せるような発展家の女性に見える。誰に殺害されたのかという謎のために..

  • ブレイクアウト(アメリカ・1975年)

    監督はトム・グリース。 原作はエリオット・アシノフ、ウォーレン・ヒンクル、ウィリアム・ターナー。 脚本はハワード・クライツェック。 主演はチャールズ・ブロンソン。 主人公は、無実の囚人を刑務所から脱走させる計画の実行に雇われた男。セスナ機での空中脱出に失敗。2度目は、刑務所の中庭にいさせた囚人をヘリコプターに乗せ、セスナ機に乗り換えさせて成功する。 主人公のチャールズ・ブロンソンが、自分を雇った囚人の妻を演じるジル・アイアランドと惹かれ合うところが、一番の見どころだった。 チャールズ・ブロンソンの持ち味がよく出ていて、ありふれた脱獄をヘリコプターや飛行機にしているところが面白かった。 撮影当時、チャールズ・ブロンソンとジル・アイアランドは結婚していたからか、表情やまなざしで互いに惹かれる演技のシーンが自然な感じだった。 ラストで脱走成功後の夫を捨てて..

  • 暗殺者の家(イギリス・1934年)

    監督はアルフレッド・ヒッチコック。 原作はチャールズ・ベネット、D・B・ウィンダム・リウィス。 脚本はエドウィン・グリーンウッド、A・R・ローリンソン。 主演はレスリー・バンクス。 ロンドンに住む主人公が妻と娘と共にスイスへ旅行。宿泊ホテルの舞踏会場で、親しくなった友人が何者かに殺される。息を引き取る前の友人の一言を聞いた主人公は、彼の客室から小さな紙片を見つけて隠す。その紙片には、国際的な暗殺団による陰謀がメモされている。やがて、主人公は娘を誘拐され、人質にされてしまう。 ヒッチコック監督の『知りすぎていた男』に似ているストーリーと思いながら観ていた。 観終えてから、1956年の『知りすぎていた男』がリメイク版で、フランソワ・トリュフォー監督がリメイク版の方が優れて見えるとヒッチコック監督に言ったという記事を読んだ。 『知りすぎていた男』はジェームズ・ス..

  • ドリアン・グレイ 美しき肖像(イギリス/イタリア/西ドイツ・1970年)

    監督はマッシモ・ダラマーノ。 原作はオスカー・ワイルド。 脚本はマッシモ・ダラマーノ、マルチェロ・コシア。 主演はヘルムート・バーガー。 美青年の主人公は画家の友人のモデルになって肖像画を描かれる。絶賛した画商が買い取り、その肖像画を主人公に贈る。肖像画は若さと美貌が永遠で、現実の自分は年齢を重ねて老いていくが、その逆だったらと切望。舞台女優と恋に落ちたが、彼女は事故死。ショックのあまり主人公は麻薬とセックスに溺れ、享楽的な生活。10年以上経ても、主人公は若さと美貌を失わずに美青年のまま。ところが肖像画の自分は次第に老醜が漂い、ついにナイフで肖像画を破り捨てようとした瞬間、自らの胸を突き刺してしまう。すると肖像画の主人公は若い美青年の姿に戻り、死体の主人公は老人の顔に変貌していた。 オスカー・ワイルドの小説を現代に置き換えた映画。オーストリア出身のヘルムート・バー..

  • 王様のためのホログラム(アメリカ・2016年)

    監督はトム・ティクヴァ。 原作はデイヴ・エガーズ。 脚本はトム・ティクヴァ。 主演はトム・ハンクス。 大手自転車メーカーの取締役の主人公は業績悪化で解雇。家を手離し、妻と離婚。転職したIT企業の会社から、サウジアラビア政府に最新映像装置を売り込む指示をされる。商談が成立して人生の再出発に希望を抱くが、異国での文化や慣習に困惑しながら四苦八苦することに。 サウジアラビアが舞台という新鮮さがあった。 最新映像装置を説明するサウジアラビアの国王が、国王らしくないおかしなキャラだった。他にタクシー運転手や女医が登場。 どこか中途半端なコメディで、トム・ハンクスのコメディの演技力が発揮されていないような気がした。

  • ヨーロッパ一九五一年(イタリア・1952年)

    監督はロベルト・ロッセリーニ。 原作はロベルト・ロッセリーニ。 脚本はロベルト・ロッセリーニ、サンドロ・デ・フェオ、マリオ・パンヌンツィオ、イーヴォ・ペリッリ、ブルネロ・ロンディ。 主演はイングリッド・バーグマン。 主人公は夫と幼い息子と共にローマで生活。夫はアメリカ商社の重要ポストでイタリア駐在。夫妻は連日、名士の集まるパーティーに招かれたり、自宅で開催したり。息子は母の愛に飢えていて寂しさに耐えきれず、自殺。衝撃のあまり、主人公は生活を一変させる。貧困の人たちや苦悩する人たちに寄り添って救うため、連日、家を空ける。殺人を犯した青年も逃がしてやる。夫や親族の意図で、主人公は精神病院に入れられてしまう。 華やかに着飾って連日パーティーに出席、注目を浴びていた美貌の夫人が、息子の死で、目覚めたように、苦しむ人々を救う行為に走る。愛息の孤独感に気づいてやれなかった激し..

  • 午後10時の殺意/私は殺される! (アメリカ・1974年)

    監督はE・W・スワックハマー。 脚本はジョン・ニューフィールド。 主演はクロリス・リーチマン。 主人公の夫が、結婚を迫ってくる不倫相手を殺害。逮捕されたのは被害者の夫。主人公は裁判の陪審員で、その事件の詳細を知るにつれ、夫が真犯人ではないかと疑惑を抱き始める。 1時間10分のテレビ映画。やはりテレビ用に作成されたと感じるようなもの足りなさがあったが、サスペンスの面白さが少しはあった。 テレビ用ではない、もっと長時間の映画だったら、真犯人が夫と観客に思わせておき、実は別の人物だったというようなラストのひねりがあったら面白かったかもと想像した。

  • ガラスの城(フランス・1950年)

    監督はルネ・クレマン。 原作はピエール・ボスト、ヴィッキ・バウム。 脚本はルネ・クレマン、ピエール・ボスト。 主演はジャン・マレー、ミシェル・モルガン。 判事の夫の休暇で、北イタリアのコモ湖畔に来た主人公は、出会った青年とひそかに親密な関係に。スイスの家に帰宅後も、彼のことが忘れられない。パリに住む青年には恋人がいた。主人公も青年も、旅先での軽い遊びのつもりが、本物の恋に変わって行く。主人公は夫に嘘をつき、青年に会いにパリへ。青年は恋人と別れる。ふたりは短いが濃密なひとときを過ごし、やがて別離がおとずれる。 大好きなルネ・クレマン監督。判事の夫から愛され、満たされた生活をしていた人妻が、仕事に嫌気がさしている平凡な美青年と出会って、アヴァンチュールのつもりが本物の恋に変わり、一夜を共にした翌日、別れ難く、パリのあちこちをめぐりながら時間を共にし、やはり夫のもとへ..

  • 月光の女(アメリカ・1939年)

    監督はウィリアム・ワイラー。 原作はサマセット・モーム。 脚本はハワード・コッホ。 主演はベティ・デイヴィス。 シンガポールのゴム園オーナー夫妻の邸宅。主人公の人妻が、夫の留守中に訪ねて来た知人男性を銃殺。主人公は殺害の理由を、彼がキスを迫り、身の危険を感じたからと、駆けつけた夫や弁護士や地方治安官に冷静な口調で語る。裁判が開かれ、主人公は無罪の判決になりそうだったが、殺された知人男性の妻が持っている主人公からの手紙を、買い取ることになる。その手紙は主人公の嘘が暴かれ、決定的に不利な証拠となる手紙だった。弁護士と主人公が被害者の妻の家へ、手紙を買い取りに行くと、意外な結末が待ち受けていた。 イギリスの作家、サマセット・モームの戯曲が原作で、見応えのある面白いサスペンスだった。 この時代に活躍したアメリカ女優のベティ・デイヴィス。プロポーションは良いが美人女優と..

  • シッコ(アメリカ・2007年)

    監督はマイケル・ムーア。 脚本はマイケル・ムーア。 主演はマイケル・ムーア。 アメリカの医療制度と医療保険の問題点を明らかにしたドキュメンタリー。 アメリカは医療費が高く、国民健康保険制度がないことは知っていたが、保険に加入していても充分な補助がない現実を知って驚いた。 加入者が医療費が払えなかったり足りなかったりしても、保険会社はいろいろな理由をつけて補助金を出さない。加入者の医療費を支払えば保険会社は利益が減ってしまうからだ。 日本も生命保険などで、なかなか払ってもらえないという話を聞いたことがある。 でも、それでは、まるで詐欺みたいだと思った。保険料だけを払わせておいて、いざという時に加入者の医療費を払ってあげないなんて。 保険会社にとっては利益優先。それを支えているのが、制度を決める政治家への多額の献金があるからということだった。 どこの国..

  • にがい米(イタリア・1949年)

    監督はジュゼッペ・デ・サンティス。 脚本はコルラード・アルヴァロ、ジャンニ・プッチーニ、イーヴォ・ペリッリ、カルロ・リッツァーニ、ジュゼッペ・デ・サンティス、カルロ・ミュッソ。 主演はシルヴァーナ・マンガーノ。 田植えの季節になり、出稼ぎに来た多くの女性たち。その中に紛れ込んだ、宝石泥棒をしてきた男女がいた。主人公は、出稼ぎ女性たちの中で最も若く美しく魅力的な娘。自由奔放で、気まぐれで、好奇心と冒険心に満ち、恐い物知らず。2人で暖かい家庭を持ち、地味に暮らそうとプロポーズしてくる青年にもの足りず、遊び人ふうの宝石泥棒の男と恋に落ちるが、騙されたことを知って彼を銃殺し、自らも死を選ぶ。 昔、テレビの日曜洋画劇場で観て面白かったと記憶のある映画。吹き替えではなく字幕映画の魅力に夢中になり、住んでいたマンションの2軒隣のビルの1階にレンタルビデオ店があって、締切をこなした解放..

  • フッテージ(アメリカ・2012年)

    監督はスコット・デリクソン。 脚本はスコット・デリクソン、C・ロバート・カーギル。 主演はイーサン・ホーク。 ノンフィクション作家の主人公は、妻子と共に郊外の家に引っ越す。その家は、以前住んでいた一家が惨殺され、幼い娘が失踪したという家だったことを知る。主人公はその未解決事件を本に書くため、自分のファンだという副保安官や、カルト犯罪の専門家の話を聞いたり、資料を調べたりする。屋根裏にその一家の8ミリフィルムが残されていて、楽しそうな一家の様子から、惨殺される姿までが映っていた。 タイトルのフッテージとは、未編集の撮影映像の意味。 サスペンス・ホラーというジャンルに少し興味を持ったが、登場人物もストーリーも結末も、平凡陳腐というか、ありふれている。 最後まで観る程度の面白さはあった。

  • 美しき小さな浜辺(フランス・1948年)

    監督はイヴ・アレグレ。 脚本はジャック・シギュール。 主演はジェラール・フィリップ。 海辺にある、うら寂しい町を訪れ、小さなホテルに宿泊した青年。神経の病気で保養のために来た学生と偽っていたが、実際は当てのない暮らし。毎日のように浜辺を散策する謎めいた青年と、ホテルの経営者や宿泊人や近所で働く人たちの交流。ホテルの若い女性従業員と親密な関係に。ある日、青年の正体を知る男が現れ、青年が殺した女から奪った宝石をよこせと脅して、口論。宝石など奪っていないと青年が憤り、諦めた男は警察に通報。ホテルの従業員や近所で働く人から逃亡計画を手助けされるが、逃亡実行の朝、青年は自ら生命を絶つ。 ジェラール・フィリップが演じる主人公の青年が、いくつもの謎に包まれているところに惹きつけられた。どんな過去があるのか。レコードから流れる女性歌手の歌に、ナーバスで異常な反応を示すのは何故か。..

  • 華氏119 (アメリカ・2018年)

    監督はマイケル・ムーア。 脚本はマイケル・ムーア。 主演はマイケル・ムーア、ドナルド・トランプ。 ドナルド・トランプの大統領選挙をテーマにしたドキュメンタリー。 マイケル・ムーアがどのようにトランプに鋭く迫るのかと期待して観たら、選挙制度についてや、トランプ演説の聴衆の姿などのシーンが延々と。 また、テレビ番組にマイケル・ムーアとドナルド・トランプが出演する時、スタッフから、トランプを非難しないようにと指示を受けていた。トランプ側の出演の条件ということだったのかもしれない。 その後、マイケル・ムーアは良い男だというようなトランプのコメント。 モチーフが感じられないというか、テーマが絞りきれていないというか、マイケル・ムーアの視点も感じられないというか、あまり面白いドキュメンタリーではなかった。

  • マスク・オブ・ゾロ(アメリカ・1998年)

    監督はマーティン・キャンベル。 脚本はジョン・エスコウ、テッド・エリオット、テリー・ロッシオ。 主演はアントニオ・バンデラス、アンソニー・ホプキンス。 スペインの植民地だったメキシコが独立宣言。カリフォルニアの知事が民衆のヒーローのゾロを倒すため画策。ゾロの正体を知り、彼を投獄。やがてゾロは後継者を育てる。 盗賊だが大衆のヒーローであるゾロが活躍するアクション映画で、特に新鮮さは感じられないが、最後まで観る面白さはあった。 アラン・ドロン主演の『アラン・ドロンのゾロ』(イタリア/フランス・1975年)は、ユーモラスで楽しく、テーマ音楽も印象的で、3回観るほど面白かった。

  • 白昼の決闘(アメリカ・1946年)

    監督はキング・ビダー。 原作はニーベン・ブッシュ。 脚本はデビッド・O・セルズニック、オリバー・H・P・ギャレット。 主演はグレゴリー・ペック、ジェニファー・ジョーンズ、ジョセフ・コットン。 主人公はインディアンの血を引く美貌の若い娘。両親が亡くなり、父の遺言で知人女性を訪ね、一家と生活することに。知人女性は心やさしい人、その夫からは人種差別で嫌われ、2人の息子からは特別な想いを寄せられる。家族は互いに微妙な関係。主人公は2人の息子の長男からはプラトニックに愛され、次男からは半ば強引に肉体を奪われるが、その後、愛するようになって結婚を迫る。次男は結婚する気はない。絶望した主人公はかなり年上の男のプロポーズを受け入れて婚約。次男が、バーで会った彼女の婚約者に、彼女はおれのものだと言い放ち、彼を銃殺。殺人犯として指名手配された次男は、すでに婚約者のいる兄と口論し、重傷を負わせ..

  • スターリンの葬送狂騒曲(イギリス/カナダ/フランス/ベルギー・2017年)

    監督はアーマンド・イアヌッチ。 脚本はアーマンド・イアヌッチ。 主演はスティーヴ・ブシェミ。 ソ連の独裁者スターリンが危篤状態。側近たちの後継者争いが描かれる。 シニカルで、コメディ・タッチ。 最高権力の座を狙う、それぞれの側近たちの画策や、競争相手に戦々恐々としたり、権謀術数をめぐらしたり。 権力を必死で手に入れようとする人間たちの様子や、その心理などがシニカルに描かれていて面白かった。

  • 80日間世界一周(アメリカ・1956年)

    監督はマイケル・アンダーソン。 原作はジュール・ヴェルヌ。 脚本はジェームズ・ポー、ジョン・ファーロウ、S・J・ペレルマン。 主演はデイヴィッド・ニーヴン。 19世紀後半のロンドン。紳士が集まる倶楽部で、会員の主人公は80日間で世界一周する賭けをした。他の会員たちは、無謀な冒険だと呆れながらも賭けに応じた。主人公は雇った助手と共にロンドンを出発。飛行機のない時代。パリからマルセイユで汽車が停止。購入した気球に乗ってスペイン、イタリア、インド、香港、日本、ニューヨークを回って、無事にロンドンへ戻り、途中、トラブルから救ったインドの姫と婚約、賭けに勝った。 80日間、さまざまなトラブルを乗りきって世界一周を遂げる話が、コメディ・タッチで描かれている。 高額の製作費をかけた作品ということで、それなりの派手な映像シーンの連続だが、主人公のキャラクターの面白さがあま..

  • イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(イギリス/アメリカ・2014年)

    監督はモルテン・ティルダム。 原作はアンドリュー・ホッジス。 脚本はグラハム・ムーア。 主演はベネディクト・カンバーバッチ。 1939年、ドイツに宣戦布告したイギリス。主人公は天才数学者青年。政府の依頼で、ドイツ軍の暗号〈エニグマ〉の解読の仕事をする。若い6人のチームで、それぞれが自分の能力を競うようなゲーム感覚。主人公は特殊なマシンの開発。チームはドイツの奇襲作戦やUボートの暗号文の分析。リーダーとなった主人公は次第に孤立していく。 第2次世界大戦時に、あのような青年が実在して特殊なマシンを開発し、ドイツ軍の暗号文を解析して情報を得ていたとは驚きだった。 戦争中に敵国の情報を互いに知る競争が行われたことは知っていたが、イギリスで特殊なマシンの開発がされていたことは初めて知った。 天才数学者青年のキャラクターもかなり描かれ、同性愛者になった過去のシーン..

  • 艦長ホレーショ(アメリカ・1951年)

    監督はラウール・ウォルシュ。 原作はC・S・フォレスター。 脚本はC・S・フォレスター。 主演はグレゴリー・ペック。 19世紀初頭、イギリスと、フランス・スペイン連合軍との戦争中。イギリス軍の艦船が司令のもと航行。艦長の指揮のもと、敵の艦船と闘う。スペインに捕らえられていた公爵の妹を乗船させることになり、艦長と彼女が恋に落ちる。婚約者がいる公爵の妹は情熱的だったが、妻のいる艦長は、裏切れないと理性的に。別れの日が来る。帰宅した艦長は妻が出産で衰弱して亡くなったことを知り、やがて公爵の妹は夫に死なれ、再会した2人は結ばれる。 海洋活劇シーンが多かったが、艦長のラブ・ロマンスのシーンが私には見どころだった。「妻がいる」というセリフが2度も出てきて、抱擁してもキスだけというのは、もどかしく、もの足りなかった。グレゴリー・ペックが、誠実な男というキャラクターを演じるのも悪..

  • エイリアン2(アメリカ・1986年))

    監督はジェームズ・キャメロン。 脚本はジェームズ・キャメロン。 主演はシガーニー・ウィーバー。 前作でエイリアンと闘い、ただ1人生き残った宇宙船の女性航海士が催眠カプセルから救出されて、調査のため、他の航海士たちと共にふたたびエイリアンの住む惑星へ。エイリアンと闘って、7歳の少女を救出して帰還する。 前作と監督が違うので少し興味を持ったが、観た後で、『タイタニック』の監督だったと知り、道理でと思った。 前作の『エイリアン』より、少しだけ面白さが増していると言えないこともないような気がするストーリーだった。 前作で生き残ったのが主人公と猫だけという結末に、〈失笑噴飯〉と言いたくなるほど私はコケたが、今回は幼い少女と生き残ったところが少しはマシだった。 映画なら何でもいいという気分で観た映画だった。

  • 夜も昼も(アメリカ・1946年)

    監督はマイケル・カーティズ。 原作はジャック・モフィット。 脚本はチャールズ・ホフマン、レオ・タウンゼンド、ウィリアム・バワーズ。 主演はケイリー・グラント。 主人公は法学部の大学生。祖父は、法律家にしたいが、本人は作曲家を目指していた。休暇で帰省した時、従妹に紹介された女性と出会い、恋に落ちる。やがて主人公は作曲家の道を歩み始めるが、軍の慰問旅行で負傷、陸軍病院に入院中、恋人と再会。別れた後、イギリスで再会し、結婚するが、また訣別。故郷で祖父の遺産を相続し、仕事も順調だったが、乗馬の怪我で手術。治癒して、大学の同窓会の日、ヨーロッパから戻った妻と和解。 作曲家の役を主演のケイリー・グラント。そこそこ適役というか、あまり適役とも言えないというか、という感じ。作曲家を目指す青年時代から歳月を重ね、成功し、私生活のほうは、ままならないという半生が描かれるが、そこ..

  • ドント・ブリーズ(アメリカ・2016年)

    監督はフェデ・アルバレス。 脚本はフェデ・アルバレス、ロド・サヤゲス。 主演はジェーン・レヴィ。 主人公は20歳前の女性。自堕落な生活の両親と訣別し、遠くへ移住して新たな人生をスタートさせる資金を得るため、知人の強盗計画を恋人と共に実行。知人の下調べでは、大金を持っている盲目の老人。犯行は容易に可能と思い込んで家に忍び込むが、盲目の老人は聴覚が鋭く、かすかな物音も立てられない。軍人経験のある老人は屈強な体格で、力も強かった。さらに老人は、ある復讐のため、資産家の娘を、地下に監禁していた。3人は必死で大金を手に入れて逃走しようとするが、銃を持った老人に、恋人も知人も銃殺されてしまい、主人公は追い詰められていく。 タイトルの『ドント・ブリーズ』は、息をするなという意味。盲目だが聴覚の鋭い老人に、生命を狙われ、逃走しようとする3人の若者たち。ハラハラドキドキのサスペンス・シーン..

  • 駅馬車(アメリカ・1939年)

    監督はジョン・フォード。 原作はアーネスト・ヘイコックス。 主人公はジョン・ウェイン。 19世紀末のアメリカ西部。ニュー・メキシコへ向かう駅馬車。乗客は、アルコール中毒の医師、元娼婦、酒商人、騎兵隊大尉の妻、囚人など。悪逆非道の無法者たちや先住民の襲撃。無敵のガンマンである主人公は肉親を殺され、復讐に燃える囚人で、保安官から手錠をかけられたり、はずされたり。娼婦の商売をやめて再出発する元娼婦と、無敵のガンマン囚人が結ばれてハッピー・エンド。 タイトルも監督名も知っていたが、西部劇なので観る気になれなかった映画。 ストーリーも登場人物たちも、やはり類型的な感じの西部劇だった。 ジョン・フォード監督の最高傑作で、古典的名作らしいが、私の感性では、そう感じられなかった。軽い娯楽映画という感じだった。 ジョン・ウェインがこの映画で人気を確立ということだが、それもよくわ..

  • インビジブル 暗殺の旋律を弾く女(イギリス/アメリカ・2018年)

    監督はアンソニー・バーン。 脚本はアンソニー・バーン。 主演はナタリー・ドーマー。 主人公は盲目の美しいピアニスト女性。同じアパートに住む知人女性が自宅の窓から転落死。謎の死の秘密を探るうち、主人公の秘めた目的や過去と結びつき、真相を知る行動を起こす。主人公の過去と結びつく暗黒組織から生命を狙われ、危ういところで親しい知人男性から救われる。 面白いサスペンス・スリラーだが、脚本が雑な感じで、上手くまとまっていない。そのため、中盤のストーリーは、わかりにくい。ラスト近くになって、急に謎が解けていくという感じでは全編を楽しめない。予想外の結末も、やや不自然。 主役のナタリー・ドーマーはみごとな演技で適役に感じられたし、脚本がもっと良ければ、面白い映画だったのにと思った。

  • 楽聖ショパン(アメリカ・1945年)

    監督はチャールズ・ヴィダー。 原作はエルンスト・マリシュカ。 脚本はシドニー・バックマン。 主演はポール・ムニ、マール・オベロン。 ポーランド出身の作曲家でピアニストのフレデリック・ショパンの伝記映画。 革命の動乱の最中、恩師の教授と共にパリへ。フランツ・リストとの出会い。演奏を絶賛したジョルジュ・サンドとの出会い。パリ社交界の花形となり、恩師の言葉に逆らい、ジョルジュ・サンドと親密な関係に。師弟関係が戻り、ジョルジュ・サンドとの別れ。ポーランド解放運動の資金集めのため、恩師と共に演奏旅行。病に蝕まれ、39歳で永眠。 何て若い年齢で死を迎えたことかと思う。繊細で、身体が弱く、祖国愛を秘めていた美青年のイメージ。〈ピアノの詩人〉と呼ばれたと言うことだが、その言葉もピッタリ。 ジョルジュ・サンドの人物象は、少しイメージが違った。もっと強烈な個性を秘めた女..

  • 007 ゴールドフィンガー(イギリス・1964年)

    監督はガイ・ハミルトン。 原作はイアン・フレミング。 脚本はリチャード・メイボーム、ポール・デーン。 主演はショーン・コネリー。 スパイ・アクション映画。007シリーズ第3作目。主人公はスパイ活動を行う秘密情報員。 国外への金の密輸組織の調査を命じられた主人公が、億万長者のゴールドフィンガーと対決し、活躍する。 昔、初めて007シリーズを観た時は、アクション映画やスパイ映画があまり好きではなかったので、そう面白いとは思わなかった。 最近は、作品によってはアクション映画もスパイ映画も面白く楽しめるようになった。 ショーン・コネリーを好きになったせいもあり、この映画もわりと面白かった。 何度も観たいと思うほどでもないけれど。 主人公のジェームズ・ボンドは他の俳優も演じているが、やはりショーン・コネリーが最も適役のように感じる。 この映画の撮影時、シ..

  • ウィッチ・アンド・ドラゴン 秘密が見える少女(デンマーク・2015年)

    監督はケネス・カインツ。 脚本はアナス・トマス・イェンセン。 原作はレナ・コバブール。 主演はアラン・ハイド、レベッカ・エミリー・サトラップ。 主人公は、人間の眼を見つめることで、秘密を見抜く不思議な力を持つ10歳の少女。城の領主たちが殺害される事件が起こり、城へ呼び出されるが、領主の後継者を陥れようとする恐るべき陰謀に巻き込まれる。 デンマークの映画なので興味を持った。 原作が女流ファンタジー作家。ストーリーはSFファンタジー。少女が人の眼を見つめて、秘密を見抜くというパワーを利用した後継者争いの話がユニークだった。 人の眼をじっと見つめて、その嘘を見抜くとか、感情を推測するというのではなく、秘密を見抜いてしまうという人間が現実にいるような気もさせられた。 脚本が、『真夜中のゆりかご』(デンマーク・2014年)、『未来を生きる君たちへ』(デンマーク/スウ..

  • 許されざる者(アメリカ・1992年)

    監督はクリント・イーストウッド。 脚本はデイヴィッド・ピープルズ。 主演はクリント・イーストウッド、ジーン・ハックマン、モーガン・フリー。 妻に死なれた主人公は農場で2人の子供と暮らしていたが、ある日、若いガンマンが訪れ、賞金稼ぎの計画に誘われる。彼は主人公が過去に悪名高いガンマンと知って仲間に誘ったのだ。主人公は生活苦のため、子供たちを預けて、彼と共に町へ。途中、1人の腕の良いガンマンも加わって3人で町に着き、目的を果たす。主人公は生命を落とした仲間のガンマンの家族と若いガンマンで賞金を分けるように言い、農場へ帰って行く。 あまり興味の湧かない西部劇だが、クリント・イーストウッドが主演なので観てみた。 主人公の格好良さが、それなりに出ていたが、ストーリーはやや退屈だった。

  • カサノバ(イタリア/アメリカ・1976年)

    監督はフェデリコ・フェリーニ。 脚本はフェデリコ・フェリーニ、ベルナルディーノ・ザッポーニ。 音楽はニーノ・ロータ。 主演はドナルド・サザーランド。 18世紀のヨーロッパ。退廃的な貴族社会。女性遍歴で有名なカサノバの『回想録』の映画化。さまざまな女性と出会っては肉体関係を持ち、その精力絶倫を競ったりする。 あまり興味のない人物だが、フェデリコ・フェリーニがどんな描き方をしているかと思って観てみたら、退屈なシーンもあったが、全体的にユーモラスな感じで、わりと楽しめた。 運命の恋もするし、娼婦に騙されたりもして、ラストで美しい人形と踊るシーンが象徴的な感じがした。 主役のドナルド・サザーランドは撮影時、41歳。その熱演ぶりが伝わってきた。 ドナルド・サザーランドは、脇役で個性的な人物像を演じた映画を今まで何本か観たが、このような映画に主役で出演している..

  • 血と砂(アメリカ・1941年)

    監督はルーベン・マムーリアン。 原作はヴィセンテ・ブラスコ・イバネス。 脚本はジョー・スワーリング。 主演はタイロン・パワー。 主人公の少年は、掃除の仕事をする母と暮らしていたが、亡き父と同じ闘牛士になることが目標。仲間たちとマドリッドへ修行に出て、青年になると、闘牛士として活躍。幼馴染みの女性と結婚した最盛期、闘牛場で出会った美しい有閑マダムに誘惑され魅了されて、連日連夜、彼女と過ごす。それが原因で妻は実家に帰る。闘牛士としての能力が衰え、帰郷すると、母はふたたび掃除の仕事をしていた。衝撃を受けた主人公は引退を決意。闘牛士として最後の日、最高のパフォーマンスの後、牛に突かれて倒れ、妻の腕の中で息を引き取る。 闘牛士を目指し、訓練して、成功。華やかな生活の後、能力の衰え、牛の一突きによって生命を落とす闘牛士の半生が伝わってきた。 当時、人気俳優のタイロン・パ..

  • プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード(イギリス/チェコ・2017年)

    監督はジョン・スティーヴンソン。 脚本はジョン・スティーヴンソン、ブライアン・アシュビー、ヘレン・クレア・クロマティ。 主演はアナイリン・バーナード。 天才作曲家モーツァルトを、プラハの上流階級の名士たちが招いて新曲の作曲を依頼。プラハに来たモーツァルトは、友人の邸宅で、新作オペラ『フィガロの結婚』の作曲。リハーサルで知り合った若いソプラノ歌手と親密な関係に。彼女に惹かれているプレイボーイの男爵と三角関係になる。 モーツァルトは大好きなので興味を持ったが、期待はずれだった。 主役のアナイリン・バーナードは、ルックスはいいが、作曲家としての人間味の深さが表現できていない感じがした。 全編のセリフ、ストーリー展開、モーツァルト以外の登場人物たち。それらすべてに、もの足りなさを感じさせられた。 11年前、生で観たオペラ『フィガロの結婚』の公演が素晴らしかったと..

  • 毒薬と老嬢(アメリカ・1944年)

    監督はフランク・キャプラ。 原作はジョセフ・ケッセルリング。 脚本はジュリアス・J・エプスタイン、フィル・G・エプステイン。 主演はケイリー・グラント。 豪邸に暮らす2人の老姉妹。精神に異常をきたしているが心やさしい老姉妹は、独身男性の老人に部屋を貸し、ヒ素入りワインを飲ませては天国に送っている。3人の甥の一人は、自分を、故人の第26代大統領と思い込んでいる精神異常者。姉妹の邸宅の地下の穴倉に、運河を開削中と信じているが、そこに伯母たちが殺害した老人男性たちの遺体がある。さらに精神の正常な劇評家の甥と、異常な犯罪者の甥がいる。精神の正常な劇評家の甥が、結婚報告のため伯母たちを訪れた時、偶然、部屋で死体を発見したことから騒動になる。 原作は戯曲ということだが、昔のアメリカ映画にこのようなユニークな作品があることに驚いた。 精神は異常だがやさしい性格の登場人物..

  • ミケランジェロ・プロジェクト(アメリカ/ドイツ・2013年)

    監督はジョージ・クルーニー。 脚本はジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロヴ。 主演はジョージ・クルーニー。 第2次世界大戦末期、ナチスに略奪された多くの美術品を取り戻す目的で、芸術家や歴史学者たちで結成した特殊部隊の活躍ぶりが描かれる。 実話をもとにした話で興味深かった。 監督・脚本・主演がジョージ・クルーニーだが、サスペンスにしては、もの足りない迫力不足の映画だった。 他の監督だったら、もっと面白い作品になった素材のような気がした。

  • 盗聴者(フランス/ベルギー・2016年)

    監督はトマス・クライトフ。 脚本はトマス・クライトフ、ヤン・ゴズラン。 主演はフランソワ・クリュゼ。 主人公は勤務していた会社を、心身の不調で退社。その後、転職の話があり、仕事の詳細は聞かされず、音声テープの文字起こしと言われて職場へ。真面目な性格の主人公はいくつかの指示と制約を厳守しながら、誰もいない部屋で、テープ音声の文字起こしの仕事を始めた。やがて、その音声が重大な内容を含む盗聴音声と気づくが、やがて危険が主人公の身に迫る。 ストーリーがあまり練れていない感じで、どこから面白くなるのかともどかしくなるような、やや退屈なクライム・サスペンスだった。

  • マラソンマン(アメリカ・1976年)

    監督はジョン・シュレシンジャー。 脚本はウィリアム・ゴールドマン。 原作はウィリアム・ゴールドマン。 主演はダスティン・ホフマン、ロレンス・オリヴィエ。 主人公はマラソンが好きな大学院生。図書室で知り合った恋人を兄に紹介すると、その恋人の身許の虚偽を見抜かれる。その後、兄は何者かに殺害されかかり、主人公の部屋まで瀕死の状態で辿り着くと、死んでしまう。警察の聴取。主人公は兄が、聞かされていた仕事の他に秘密の仕事があったことを感じ取る。その後、主人公は瀕死の兄から秘密を聞かされたと思い込んだ元ナチ党員の部下たちに拉致されてしまう。兄から秘密の言葉を聞かされていない主人公は答えられず、歯科医の元ナチ党員から、身体を拘束されたまま歯を痛めつけられての激痛の拷問を受ける。逃げ出した主人公が恋人に連絡を取り、車で迎えに来てもらうと、彼女は元ナチ党員から指示された場所へ主人公を連れて行..

  • 黄昏(アメリカ・1951年)

    監督はウィリアム・ワイラー。 原作はセオドア・ドライザー。 脚本はルース・ゲーツ、オーガスタス・ゲーツ。 主演はロレンス・オリヴィエ、ジェニファー・ジョーンズ。 田舎の生活を捨てて都会に出て来た若い娘が、汽車の中で知り合ったセールスマンと、生活して行くために同棲。彼の紹介で、高級レストランの支配人の中年男性と知り合い、恋に落ちる。愛のない妻に離婚を要求したが応じてくれず、支配人は店にある現金を手にして逃亡。若い娘との幸福な生活は続かず、どこの料理店でも雇ってもらえない支配人。娘は家を出て、人気女優に転身。支配人はみすぼらしい乞食に。ある夜、偶然、華やかな女優となった彼女の楽屋で、2人は再会する。 充実した仕事をしていた高級レストランの支配人が、落ちぶれていき、恋の相手の娘は華麗な女優に変身するという、対照的な人生が描かれた話で、あまりスリリングな面白さはなかった。..

  • クロコダイル・ダンディー2(オーストラリア・1988年)

    監督はジョン・コーネル。 脚本はポール・ホーガン、ブレット・ホーガン。 主演はポール・ホーガン。 オーストラリアからニューヨークに来た主人公は、女性記者と同棲。仕事探しをするが、女性記者の前夫の関係で麻薬組織と関わることに。組織から脅迫されたり襲われたり。女性記者と共にオーストラリアへ逃げる。追って来た男たちと対決して、事件は解決する。 1作目よりストーリーにメリハリがあって、それなりに面白かった。 主人公のキャラクターの魅力をもっと出せばいいのにと、脚本とキャストにもの足りなさを感じたが、最後まで観る程度の面白さがあった。

  • 緑園の天使(アメリカ・1945年)

    監督はクラレンス・ブラウン。 脚本はセオドア・リーヴス、ヘレン・ドイッチェ。 原作はエニッド・バグノルド。 主演はエリザベス・テイラー。 主人公は精肉店経営の家の少女。自分で馬を持ち、飼い慣らして、レースに出場することを夢見ていた。ある日、店に、仕事が欲しいという少年が訪れる。騎手の経験があり、馬には詳しかった。両親は、身許の知れない少年を信用して雇うことにした。同時に、レースに出場したい主人公が暴れ馬を所有することになると、少女の乗馬コーチになった。少年はひそかに悪巧みを胸に秘めていたが、2人は毎日、練習に励み、ついにレースの日を迎える。 エリザベス・テイラー、12歳の時の撮影。馬が好きでレースに出たい少女の夢と憧れと純情が伝わってきた。大人になってからの作品とは、ひと味違い、新鮮な感じがした。 悪巧みを秘めている少年が、実行するのかしないのかハラハラさせ..

  • クロコダイル・ダンディー(オーストラリア・1986年)

    監督はピーター・フェイマン。 脚本はポール・ホーガン、ケン・シャディー、ジョン・コーネル。 主演はポール・ホーガン。 主人公はオーストラリアの奥地で暮らしている探検家青年。ジャングルのワニと格闘して勝利し、評判になる。その青年を取材に来た新聞社の女性記者と知り合い、2人は親密な関係に。女性記者の誘いで、主人公は初めてニューヨークへ行くことになり、さまざまな場所で珍騒動が起こる。 軽く観られて楽しめる、ラブ・コメディ。 主人公のキャラクターがユニークで新鮮な面白さがあった。

  • 我等の生涯の最良の年(アメリカ・1946年)

    監督はウィリアム・ワイラー。 原作はマッキンレー・カンター。 脚本はロバート・E・シャーウッド。 主演はマーナ・ローイ。 第2次世界大戦後、軍用輸送機に乗り合わせて同じ故郷に帰って来た3人の帰還兵のドラマ。 軍曹だった中年の銀行員は昇格して迎えられる。飛行大尉の青年は百貨店勤務だったが、意に添わない不本意な仕事しか見つからない。一番若い水兵は両手を失って義手となり、恋人との関係が気まずくなる。 義手の若い青年はコンプレックスを抱きながら、自分を愛し続けてくれる恋人と、ようやく結婚。 派手好みの妻のいる百貨店勤務の青年は、中年の銀行員の家に宿泊し、若い娘と不倫。愛のない妻と別れ、いったんは別れた娘と最後に心を触れ合わせ、結ばれる。 中年銀行員は仕事や生活は問題ないが、娘の不倫のことで悩ませられ、その相手と対立。 アメリカの古い時代を背景に、3人の帰還兵..

  • エイリアン(アメリカ・1979年)

    監督はリドリー・スコット。 脚本はダン・オバノン。 主トム・スケリット。 7人の宇宙飛行士が宇宙船に乗って仕事を終え、地球に帰る途中、他の宇宙船のSOSを傍受。救出に向かい、惑星に着陸したが、その宇宙船は壊滅。原因を探ると、異様な小生物によって1人の宇宙飛行士が負傷。その小生物を撃退するため闘う。 当時、話題作のような映画だったが、SFには興味が湧かず、ホラーか猟奇映画と想像したら、そうではなかった。 不気味な小生物の登場も、そう怖くなかったし、あまりインパクトもなく、観終えてみたら、 (この程度の映画だったの) という感想だった。

  • 愛を綴る女(フランス/ベルギー/カナダ・2016年)

    監督はニコール・ガルシア。 原作はミレーナ・アグス。 脚本はニコール・ガルシア、ジャック・フィエスキ。 主演ははマリオン・コティヤール、ルイ・ガレル。 1950年代、南フランス。主人公の若い女性は、親が決めた男性と結婚。夫は真面目で誠実なスペイン人労働者。主人公は最初から、あなたを愛さないと告げる。病気の治療のため、療養所で暮らすが、そこで出会った帰還兵と恋に落ちる。重傷を負った彼と逢いながら、主人公は情熱的な空想や妄想に浸るようになる。夫が時々、妻に会いに訪れるが、主人公は素っ気ない。やがて、帰還兵の彼は療養所を去り、主人公も治療を終えて帰宅。夫と暮らしながら、毎日、恋人に愛の手紙を書く。ある日、その手紙の束が返送され、衝撃を受ける。その様子を見た夫が、主人公の知らなかった真実を打ち明ける。 原作の小説を読んでみたくなるような面白いストーリーだった。主役も脇役も..

  • ジェーン・エア(アメリカ・1940年)

    監督はロバート・スティーヴンソン。 原作はシャーロット・ブロンテ。 脚本はオルダス・ハクスレー、ロバート・スティーヴンソン、ジョン・ハウスマン。 主演はオーソン・ウェルズ、ジョーン・フォンテイン。 主人公は幼い日に両親を亡くし、叔母に引き取られたが、孤児院に入れられて辛い日々を過ごす。やがて慈善学校に入学し、友達もできたが、彼女は病死。学校の教師にはならず、館に住む少女の家庭教師になる。傲慢で独断的な館の主人の行動に振り回されながら、次第に惹かれていく。館には開かずの部屋があり、謎の女性の悲鳴から亡霊のような存在の気配を感じ取る。やがて、館の主人は婚約者に愛を感じず、主人公を愛するようになり、プロポーズ。挙式の日、亡くなったとされる館の主人の妻の存在の真実を知り、主人公は館を出る。ふたたび戻って来た主人公は、火事によって失明した館の主人と共に生きて行くことを決意する。..

  • 捕われた女(アメリカ・2015年)

    監督はジェリー・ジェームソン。 原作はアシュレ・スミス。 脚本はアシュレ・スミス、ブライアン・バード。 主演はデヴィッド・オイェロウォ、ケイト・マーラ。 主人公は薬物依存の更正の日々を過ごしていたシングル・マザー。幼い娘を叔母に預けていたが、明日から娘と暮らすことになった日、事件が起こる。レイプ容疑で有罪判決を受けた男が警官から銃を奪って裁判所から逃亡。その男が主人公の家に出現し、銃で脅されながら人質になってしまう。脱走犯に監禁された男と2人きりの家で、主人公は必死で助かる方法を探る。 実際に起きた事件を元にした映画。薬物依存からの更正を果たし、明日から愛娘と暮らせるという希望と、突然、訪れた不運な事件に、決して諦めない主人公の必死な気持ちが伝わってきた。 逃亡犯、銃、監禁という恐怖の中で、犯人に1冊の本を示すシーンが意味深く効果的な感じがした。その本は聖書..

  • サリヴァンの旅(アメリカ・1941年)

    監督はプレストン・スタージェス。 脚本はプレストン・スタージェス。 主演はジョエル・マクリー。 主人公は娯楽映画の監督。現実の社会の様子を知るため、浮浪者を装って旅に出る。ヒッチハイクしたりするが、ハリウッドに戻ってしまい、思うように計画が進まない。カフェで知り合った美女は女優志願だったが、夢破れて帰郷するところだった。主人公は彼女と連れ立って、旅を再開。浮浪者たちがいる街で、殺人の容疑者となり、刑務所に収監されてしまう。囚人たちと一緒にコメディ映画を観た主人公は、コメディこそ観客を楽しませると気づき、触発される。 特に惹かれるストーリーではなかったし、ユニークなキャラクターの登場人物が現れるわけでもないが、最後まで観る面白さはあった。

  • 悪童日記(ドイツ/ハンガリー・2013年)

    監督はヤーノシュ・サース。 原作はアゴタ・クリストフ。 脚本はアンドラーシュ・セーケル、ヤーノシュ・サース。 主演はアンドラーシュ・ジェーマント、ラースロー・ジェーマント。 第二次世界大戦末期、双子の兄弟は母に連れられ、田舎の祖母の家へ疎開。母と祖母は不仲で、母は去り、兄弟は薪割りや動物の世話などの仕事で働かされる。近所から祖母は魔女と呼ばれるほど冷酷で悪意に満ちた人間だった。兄弟は、迎えに来ない母を忘れるため、母の写真と手紙を焼く。訓練のつもりで互いに殴り合う暴力行為に耐える一方、他の人間に感情のまま残虐行為を犯してしまう。美しい少年の双子の兄弟に、欲望を抱きながら2人を守る将校。終戦の噂。母が、父ではない男と共に、赤児を抱く姿で迎えに来るが、2人は拒絶。空爆で母と赤児は死亡。やがて兵役を終えた父が姿を現す。祖母が死去。父を国境の鉄条網へ案内した2人は、生き延びるた..

  • ゾラの生涯(アメリカ・1937年)

    監督はウィリアム・ディターレ。 脚本はノーマン・ライリー・レイン、ハインツ・ヘラルド、ゲザ・ヘルツェグ。 主演はポール・ムニ。 フランスの作家エミール・ゾラの生涯が描かれる。 若く貧しい日に、画家のポール・セザンヌと同居のシーンから始まる。 警官に追われていたナナを救って、彼女の身の上話を書いた小説『ナナ』が大好評。文壇の地位と富と名声を得るあたりで、ゾラの中のスノビズムのような一面が表現されていたのが印象的だった。。 フランスの将校が、ユダヤ人という理由でスパイの容疑者となった冤罪の、『ドレフェス事件』について詳しく知ることができ、興味深かった。事件に対するゾラの想いや主張も、よく伝わってきた。 軍部の弾圧によってゾラは有罪判決を受けるが、フランスへ亡命。 ゾラの執筆中のガス中毒死は謎めいている感じがする。 また、ポール・セザンヌの存在感が、こ..

  • 戦火の愚かなる英雄(ルーマニア/ドイツ/ベルギー・2013年)

    監督はボグダン・ドレイヤー。 脚本はアヌサヴァン・サラマニアン。 主演はジェラール・ドパルデュー。 ナチス占領下のルーマニアの村。ドイツ兵が殺害された事件が起こり、ドイツ軍の将校が村人たちに、犯人を見つけることを命令。見つけられない時は村人全員を射殺すると。村人たちは、一人の精神異常者で孤立している男を犯人としての生け贄にするため、彼に頼み込む。そのことで生命を救われる村人たちは、全員が彼に感謝し、英雄視し、盛大な葬式を執り行うと約束する。男は承諾するが、条件として、その盛大な葬式を見たいと言い出す。 第2次世界大戦が背景にあるが、戦争映画ではない。冷酷なドイツ軍によって、村人全員が射殺されるかもしれないという危機。助かるために、一人の男に犠牲になってもらうことを、神父始め、要職の人たちが全員一致で計画。犠牲となって犯人としてドイツ兵に射殺されることを引き受ける男は説..

  • キラー・インサイド・ミー(アメリカ/スウェーデン/イギリス/カナダ・2010年)

    監督はマイケル・ウィンターボトム。 原作はジム・トンプソン。 脚本はジョン・カラン。 主演はケイシー・アフレック。 1950年代、テキサスの田舎町。主人公は保安官助手の青年。真面目で人柄も良く、職場や町の人々から信頼されているが、裏の顔は連続殺人鬼だった。次第に犯行がエスカレートしていく保安官助手は、やがて捜査の包囲網に追い詰められていく。 一見、誠実で真面目な勤務の保安官助手が、実は連続殺人の犯人だったという設定は面白かったが、トラウマを秘めたサイコパス人間というキャラクターは、やや、ありふれている。 そのため、ストーリーの先が読めてしまうようなもの足りなさが、感じられた。クライム・サスペンスとしては、それなりの面白さがあった。

  • 地上より永遠に(アメリカ・1953年)

    監督はフレッド・ジンネマン。 原作はジェームズ・ジョーンズ。 脚本はダニエル・タラダッシュ。 主演はモンゴメリー・クリフト、バート・ランカスター、デボラ・カー。 1941年、第2次世界大戦直前のハワイ、ホノルル。主人公は過去の過失事件が原因で、その駐屯部隊に転属させられた青年兵。実質的なトップの地位にある軍曹は公平な支配をしていたが、荒くれ大尉や喧嘩好き兵士を戒めたり、ボクサーの経験はあるが拳闘競技を拒否する主人公を見守っていた。上官の虐待行為やリンチ殺害などが行われる日々。軍曹は大尉の妻と不倫関係になり、苦悩する。主人公は戦友の仇を討ち、逃亡し、酒場の女の家に匿われるが、日本軍が真珠湾を攻撃したニュースを聞いた朝、兵舎に帰隊する途中、警備兵に見つかって射殺されてしまう。 初めてこの映画を観た時、タイトルの『地上より永遠に』を、ここよりとわに、と読むのが、何て素..

  • オオカミは嘘をつく(イスラエル・2013年)

    監督はアハロン・ケシャレス、ナヴォット・パプシャド。 脚本はアハロン・ケシャレス、ナヴォット・パプシャド。 主演はリオール・アシュケアズィ。 少女誘拐殺人事件の容疑者を、刑事たちが荒っぽいやり方で尋問。一見、真面目で気の弱そうな教師は、暴力じみた尋問をされながらも無実を主張し続け、釈放される。その後、また同じような事件が起こり、少女の遺体が発見される。再度、容疑者は捕らえられ、被害者の父親と共に拷問じみた尋問を受ける。 イスラエルの映画は珍しいので興味を持った。 ファーストシーンから、かなり暴力的な刑事たちが登場し、容疑者を痛めつけるかのような姿を見て、アメリカ映画によく出てくる暴力好きの荒くれ刑事みたいと思った。 刑事対容疑者のシーンは、見るに耐えないような暴力シーンが多く、中断しようかと思ったが、容疑者が本当に犯人なのかという謎を感じながら最後まで観た。 ..

  • 小公女(アメリカ・1939年)

    監督はウォルター・ラング。 原作はフランシス・ホジソン・バーネット。 脚本はエセル・ヒル、ウォルター・フェリス。 主演はシャーリー・テンプル。 主人公の少女は父子家庭。大尉の父が出征後、上流家庭の子女の寄宿学校に娘を入学させようとする。祖父の財産の話で校長は承諾。父の戦死の情報で、校長は、少女を屋根裏部屋に移した上、小間使いのように働かせる。父の戦死の情報が誤報とわかり、重傷者が収容される陸軍病院にいると知る。少女は盗みの濡れ衣を着せられ、寄宿学校から脱走。父のいる陸軍病院へ駆け込む。 不運な時代に不運な状況に置かれた少女が、夢見る心と清純で健気な心を持ちながら生きていく姿が描かれていた。 寄宿学校から逃走した少女が、陸軍病院の中を探し回って、ようやく会えた父は記憶を失っていたシーンは衝撃的だった。 けれど少女のひたむきな言葉と態度に、父の記憶が戻った時..

  • アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男(ドイツ・2015年)

    監督はラース・クラウメ。 脚本はラース・クラウメ、オリヴィエ・ゲーズ。 主演はブルクハルト・クラウスナー。 1950年代のドイツ。主人公の検事長は、ナチス戦犯の告発を行っていた。戦後、海外へ逃亡した大物戦犯アドルフ・アイヒマンの潜伏先の情報を入手。数百万人のユダヤ人を強制収容所に送り、ホロコーストを指揮したアイヒマンを、主人公はドイツの法廷で裁くため、国家反逆罪に問われる危険を犯してイスラエルの諜報機関に接触、情報提供するが、ナチス残党の妨害や圧力が立ちはだかる。 実話をもとにしたサスペンス。 戦後、ナチスの残党が潜伏して力を持っていたことや、ドイツの歴史など知って興味深かった。 主人公の闘いぶりや苦悩が伝わってきたし、サスペンスフルなストーリーもハラハラさせられるような面白さがあった。

  • 間違えられた男(アメリカ・1956年)

    監督はアルフレッド・ヒッチコック。 原作はマックスウェル・アンダーソン。 脚本はマックスウェル・アンダーソン、アンガス・マクフェイル。 主演はヘンリー・フォンダ。 主人公はクラブで演奏するプロのミュージシャン。真面目な人間で、貧しいが幸せな家庭がある。妻の歯の治療費を、保険会社へ借金に行くと、強盗に入った男と似ていたため、警察に通報されてしまう。連行された警察で取り調べや、犯人が書いた脅しの字と照合するため、その字を書かされる。目撃者たちの確認と、字の筆跡で、犯人と断定されて逮捕される。その真犯人が別の事件で捕まり、主人公の冤罪は晴らされる。 実際に起こった事件のノン・フィクションが原作だが、あれだけで犯人にされてしまうなんてと少し不思議な気がしたり、妻が自分を責めて精神の不調をきたして入院というのが、あまり自然な感じがしなかったり、主人公の憤りや口惜しさにインパク..

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