言葉なんて必要なかったはずだ。カオの朝は遅い。6時なんて真夜中の部類に入る。11時ごろにようやくパン屋から香ばしい匂いが漂いだし、市場が賑わい始める。洗濯機の動き出す音や、子供のはしゃぐ声、ウミネコの飛び交いが増すころ、怠堕な太陽が目を覚ま
思い出すのは、白。白くて薄いその膜で全身を覆うような、感覚。何も掴めない色だ。見渡してみる。霞しかないその場所を。生まれた時から無条件にあるその環境を受け入れることは情けないほど容易い。眠るように、落ちるように、浮かぶように、沈んでまた、漂
00 プロローグ 01 終わるより速く02 意味のない週末本サイト「76」ネット小説ランキング>【登録したカテゴリ】部門>鳴る、街に投票
「ブログリーダー」を活用して、76さんをフォローしませんか?