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2009/07/05

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  • Index

    Prologue ~ 序章 ~ Bathrobe ~ バスローブ ~ Disturbed Ears ~ 揺れる耳 ~ A Chance In The Night ~ 夜の隙間 ~ A Secret ~ 秘密 ~ ...

  • Flower Garden ~ 花園 ~

    「いい表情してるぞ・・・。 さあ、自分でパンティを脱いで、脚を大きく開いて・・・」 駿介に言われるままに、私はパンティに指をかけた。 遠足を終えたばかりの息子のスニーカーを洗って 庭に干そうと玄関のドアを開けると、 絹糸のような雨が音もなく芝生を道を濡...

  • Mannequin ~ マネキン ~

    あの紳士ともう逢うことはない。 けれどあの紳士と自分は似ているのかも知れない。 斉藤の声が恐怖を鎮めてくれた心の宙を 一期一会の紳士への愛おしさが絹雲となって流れていく。 いつからだろう、眠り落ちてゆく時は仰向けなのに 目覚める時は枕の中に左顔を埋めてうつ伏せ...

  • A Town ~ 街 ~

    私は欲情しながらも昇り詰めることを許されない ヴァギナの代わりに大きく口を開けた。 精液が降ってくる、 飛び散って目に頬に胸元に髪にも・・・ そしてシーツにまで迸った一雫をも 身を捩って舌で掬いあげた。 教えてもらっ通り、 コンクリートの打ちっ放しの小洒落...

  • Punishment ~ 罰 ~

    ドクン、トクン、ドクン、トクン・・・ 鼓動と鼓動がお互いを呼び合っている闇の中、 逞しく私を突き上げていた駿介のペニスが 力尽きて襞から滑り抜けてゆく生温かい感触に ティッシュを取ろうとした手が滑ってパソコンに当たった。 真っ暗になっていたモニターの中に浮かび上がった...

  • Driver's Seat ~ 運転席 ~

    かすかに開いていた窓の外から虫達のハーモニーが響いてくる。 レースのカーテンの裾が揺れて、 仕舞い忘れていた風鈴が、間もなく窓辺に別れを告げる寂しさに 「チリン」と溜息を吐くけれど 携帯の着信音は、鳴らない。 ソファーに身を沈めながら、暮すという事は 見えないメールの...

  • Heart Beat ~ 鼓動 ~

    捲り忘れていた玄関のカレンダーをそっと破った。 9月になった昨日が日曜日だったから、 小学校も今日から2学期。 ランドセルの上に体操着の入った袋を乗せるように背負い 右手に自由研究の模造紙、 左手に上履きと座布団が入った手提げ袋を持って 少し気怠そうに歩いていく息...

  • Dreaming ~ 夢見 ~

    母のような女になれない・・・なりたくないと 小指を噛んでしまう。 ありがとう、の一言が喉に閊えたままよろりと立ち上がり、 また嘘が転がり落ちていた。 「ああ、気持ち良かった。 あんまり気持ちいいお風呂だったから つい長湯してしまったわ。 広夢、おばあちゃんと何話...

  • Sayoko ~ 小夜子 ~

    般若のように私を凝視する母の目を逸らさずに見つめ返した。 エンジン音を聞いたのだろうか、 父と息子が玄関から出てきた。 迎え火が始まる。 「おかえり」 と唇は柔和な微笑みの形を作りながら 私の目の中に嘘の欠片を探ろうとするような 母の灰色の眼差しが何かを見つけて、止ま...

  • A Meeting Fire ~ 迎え火 ~

    「もしもし?」 「小夜ちゃん?急にごめん。 新しい支店の準備でこっちに来てる。 夕方少し時間が空くんだ。 逢えないか?」 わかったわ・・・と答える事も出来ず これから家族で実家に帰るところだと 答える事も出来なかった・・・逢いたくてたまらないから。...

  • A Sunflower ~ 向日葵 ~

    耳と鼻と 口と膣と そして・・・ もうひとつ身体にある孔が、 通信教育のテキストには性交のための孔だなんて書かれてない、 消化管の末端にある便の出口だと書かれている孔が たかが生まれて初めてペニスに貫かれただけの事なのに、 「奴隷にしてやる」 と、何...

  • A Pyrotechnist ~ 花火師 ~

    目映い陽射しと蝉の鳴き声が 降り注ぐ朝食のテーブルに 夫と向かい合って座る。 「朝から蝉か、今日も 暑くなるな。広夢は?」 「呼んでくるわね」 階段の下から声を掛けても 返事がない。階段を上り 子供部屋のドアを開けると 息子はラジオ体操のカードを 首に掛けたまま...

  • A Bud ~ 蕾 ~

    その瞬間、駿介は上半身を起こし 弾き飛ばされた両腕で私はシーツをたぐり寄せる。 私の尻を持ち上げ、突き上げるような動きを繰り返す駿介。 おしっこが漏れてしまいそうな感覚に奥歯を噛み締める私。 駿介が産み続ける波に揺らされながら ソファの前で彼が呟いた言葉が脳裏を過ぎる...

  • His Eyes ~ 視線 ~

    メールソフトを立ち上げると私は 震える指先で駿介のメールアドレスを 一文字一文字確かめながらゆっくりと入力していた。 件名:桐小夜子です。 本文:西埜駿介様 こんにちは。 岸田様の結婚披露宴でご一緒させて頂いた桐です。 その節は大変お世話になりま...

  • An Afterimage ~ 残像 ~

    駅前駐車場の前の路肩に俊介がステーションワゴンを停めるのを 待っていたように最終の特急を降りた人達が 中央口の階段から気怠そうに掃き出されてきた。 「車を出しておいで。 この駐車場、そろそろ閉鎖する時間だろ?」 促されるままに自分の車を駐車場から出して ステーション...

  • A Temptation ~ 誘惑 ~

    高速道路は緩やかなカーブを描いている。 ビル街と丘陵の間に沈んでゆく夕陽に一瞬照らされた 駿介の左の横顔に疲労の影が澱んでいる。 東京という強い引力に逆らって駿介はステーションワゴンを走らせ 駿介という強い引力に逆らえずに私は助手席で ミニドレスの中から剥き出てしまう...

  • Chapter Two ~ 第二章 ~

    旅に出てから四日後の金曜日の夕方近く、 キッチンで珈琲カップを洗っていると 耳慣れたエンジン音が近づいてきて 出窓のレースのカーテンに赤いブレーキランプが揺らめいた。 「ただいまー!」 と息子の声が歓んでいる。 「おとうさんがね、 校門の前で待っていてくれたんだよ!...

  • A Fort ~ 砦 ~

    ゴールデンウィークの間、ずっと雨が降り続いた。 4年生になってクラス替えをして 新しい担任と慣れないクラスメイトに 少し緊張しながら通学していた疲れが出たのか 息子は熱を出した。 家族3人で湖にボートを漕ぎに行く約束を 雨音が息子に優しく諦めさせてくれた。 湖に続く道...

  • By The Window ~ 窓辺 ~

    朝、心の中で亜紀に対して使った<覚悟>という言葉を いきなり薫から突きつけられて、唾をごくりと呑み込んだ。 「覚悟・・・ですか?」 「ええ。もし施術の道に進むなら、 今伝えた言葉の意味は桐さんが・・・」 「どうぞ名前で呼んで下さい」 「小夜子さんがこれから歩んでいく...

  • Preparedness ~ 覚悟 ~

    ドアがコトリと閉まり、 夫が階段を下りていく足音に目が覚めた。 カーテンの隙間から忍び込んでくる夜明けの気配が 寝室を紫苑色に染めようとしている。 サイドテーブルに手を伸ばし 携帯の電源を入れると、4月24日 4:17。 私を求める時はいつも 「おいで・・・」 と自...

  • A Foreboding and A Hunch ~ 予感 ~

    砂浜で独り、木製のデッキチェアに身も心も委ねて 穏やかな波の彼方に沈んでいく夕陽を眺めていたら いつの間にか・・・ そんな密やかな死に方をしたいと思うことがある。 仕事場からも、誰からも知られず そっと姿を消したかったから 社員のほとんどが外出してしまう昼休みの時間に...

  • The Vernal Eguinox ~ 春彼岸 ~

    キッチンテーブルに座って息子の通知表を眺めていた。 「広夢、三年生、皆勤したのね! お母さんはずっと仕事お休みしてるのに、 広夢は偉いなぁ」 「ねえ、お母さんはいつからお仕事始めるの?」 「そうね・・・どうしようかな・・・ また声が出なくなったらって思うとね お母さん、怖...

  • A Primal Scene ~ 原風景 ~

    ある日突然、恋に堕ちて ある日突然、恋を失くした。 ある日突然、声も失くして 今日・・突然、声を取り戻したことに ガウンの中でレースのTバックを脱ぎながら 私は困惑していた。 チェンジングルームのドアを開けると 薫が白いティーカップを乗せたトレイを持って入ってきた。 「お疲れ様...

  • The First Cry ~ 産声 ~

    身づくろいをして階段を下りていくと、 私の声が聞えてきた。 リビングのドアを開けると、 ソファーに座っていた息子が慌てて テーブルの上のCDプレーヤーのスイッチを切った。 息子の右隣に座っていた夫が振り向いて私を見た時 一瞬眩しそうな表情をしたのが恥ずかしく、 そして...

  • Thorn ~ 棘 ~

    「薔薇に罪はないよ・・・」 夫の諭すような囁きが左耳から喉へ胸へと 滑っていった。 呪文にかけられたように全身の力が抜けて、 握り締めていた花束が床に落ちた。 カクリとひざまずいた私を夫が抱き上げ ベッドに横たえた時、 背中に針で刺されたような鋭い痛みを感じた。 その...

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