万城目らしい奇想天外、荒唐無稽なお話だ。月刊誌に連載していた作品を纏めたものらしい。それで上下二巻もの大分になった。三歳の時隕石の落下で両親を失った三つ子の榎土三兄弟がある企みに巻き込まれ、結果としてそれぞれの望みを達成する。長兄梵天はティラノザウルスの化石の発掘、次兄梵地はメソポタミアでの遺跡調査、末弟梵人は本物の戦い。作者の奇想天外の発想には驚く。連載小説なので毎回引き付ける要素を盛り込まなければならないのは理解できる。そのためにこれだけのことを創作できる能力に脱帽する。最近の読書はファンタジーだとかのエンターテインメント系が多くなっている。読んでいる間楽しむ、まさに読書の楽しみだ。読了後に心に残るだとか、感動したというのとは少し異なる。大江健三郎についての本を読んで、まだ読んでいない作品への関心が出...4/18万城目学『ヒトコブラクダ層ぜっと』読了