僕が僕であるために・17透明「さ~て、次が一番わかりにくいものになるから、しっかりと想像しながら聞いておいてね」伊沼「は、はい」透明「亮太郎くんは、映画のマトリックスって観たことある」伊沼「マトリックスって、キアヌリーブスの」透明「そうそう」伊沼「学生の時、修学旅行のバスで少し見ただけですが、ある程度は覚えています」透明「良かったそれなら少し話が入りやすいかな今から話す「無衆生相」は、少し仮想現実に近いニュアンスの話になるのだけど、私達に見えているこの世界は、客観的な世界ではなく、あくまでも自分の認知が反射した結果見える主観的な世界だということ全ては外の世界から直接届くものではなく私達の内側で組み立てられた認識の産物にすぎなくて、私達が世界と呼んでいるものは、本当は自分の心そのものということになるつまり、...僕が僕であるために・17