いつもブログ「タイ骨董日記」を読んでいただきありがとうございます。2006年にスタートして、来年で18年目を迎えます。来年から「はてなブログ」から情報発信して行きます。既に2018年から2023年までの記事は移行済みです。新しいアドレスは以下の通りです。今後とも宜しくお願い致します。 https://thaikottou.hatenablog.com/
いつもブログ「タイ骨董日記」を読んでいただきありがとうございます。2006年にスタートして、来年で18年目を迎えます。来年から「はてなブログ」から情報発信して行きます。既に2018年から2023年までの記事は移行済みです。新しいアドレスは以下の通りです。今後とも宜しくお願い致します。 https://thaikottou.hatenablog.com/
先週、ドンダップ省博物館に行って来ました。昨年8月以来、2度目。今回は記事にしておきます。ドンダップ省はカンボジア南部に接しており、省の北側から南側にメコン川が流れています。博物館は省都カオラインにあります。ここに展示されている大型のヴィシュヌ神像(石像、写真3枚目)はドンダップ省東部で1998年に発掘されたものてベトナムの国宝に指定されています。写真4枚目のヴィシュヌ神像も国宝です。写真10枚目からはコレクションのヴィシュヌ神像(右側)と比較をして見たものです。顔の表情は異なりますがふっくらとした頬や顎の輪郭や、胸部から腰までの身体のライン(スタイル)がよく似ています。ドンダップ省博物館に展示されている3体のヴィシュヌ神像はカンボジアのアンコールボレイ様式(プレアンコール期)の影響を強く受けているように思えました。扶南(オケオ文化)というよりは真臘(チェンラ)に近い印象です。来年カンボジ..
2018年ぐらいから2023年にかけて、コロナの時期を除いた3〜4年間で、東南アジアの多くの博物館を訪れました。以下がそのリストです。このリスト以外にも小さな街、寺院や遺跡、出土地に隣接する小規模な博物館(展示室)にも行きました。一番の目的は東南アジア初期のヒンドゥー、仏教美術を見る為です。1、2ヶ所を残してほぼ全てまわれたと思います。タイは多いのでエリア別に分けました。また国、エリア別のおすすめも書いておきます。何かの参考になれば幸いです。写真はアンザン省のクメール族の村です。 (タイ北部) チェンマイ国立博物館 ハリプンチャイ国立博物館(ランプーン) チェンセーン国立博物館(チェンラーイ) メーファールアン芸術文化公園(チェンラーイ) ナーン国立博物館 ニタット文化会館(パヤオ) ワット・リー、ウィアンパヤオ博物館(パヤオ) ・おすすめはハリプンチャイ国立博物館で..
古美術品、骨董品にはよく直し(修理)があります。まー仕方ないと思います。私は本物の美術であれば壊れたものでもたとえ破片であっても購入します。基本、直しの無いものです。でもちょっとだけの直しならOKです。例えば塼仏片などオリジナルのもの同士を単純に接着させて直したものです。それも接合部が分かる単純な直し方で、新たに何も加えない、何も盛らない修理です。それなら、美術もほぼ当時のオリジナルのままで、全体像も小さな破片だけでみるよりも当初のものに近いからです。完全なもの(完品)は確かにいいと思いますが、1000年前後、前のもので完品はほとんどないと思います。もしあっても高価だったり、修理を疑ってしまうものは買いたくありません。それなら出土したままの状態のものはもっともオリジナルに近く、石のように表面にこびりついた土もあまり無理に落とさずそのままの状態がベストだと思っています。一方で博物館の展示品は..
久しぶりにタイ中部ナコンサワン県チャンセン出土のテラコッタ片を手に入れました。人物像の残欠です。写真3枚目は文献の写真です。見比べると上半身左側の残欠ということが分かると思います。マニアックですがドヴァーラヴァティー期の美術様式であるフラットな胸部や細い腰まわり等のスタイルなどがこの残欠からも確認出来ます。写真4枚目はこの人物像残欠と年代的に近いヴィシュヌ神像の胴体部を比較したものですが体形がちかく、胸部から腰部分にかけての体のラインが非常によく似ています。年代的には7〜9世紀頃のものです。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー
ナードゥン出土、ドヴァーラヴァティー期の塼仏片を入手しました。小さなテラコッタの欠片ですが、仏陀頭部、菩提樹、太陽または月、そして仏塔部分の塼仏片で材質感もいい感じです。写真3枚目は文献に掲載されている同型の塼仏の完品(コーンケーン国立博物館蔵)です。写真4枚目は並べて比較してみたものです。これだけでもいろいろと勉強出来ます。サイズ的にお守りケースに入れて携帯出来そうです。年代は9世紀頃のもの。以前記事にしたナードゥン郡の仏塔のリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2020-08-02 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー
先月、ベトナム南部(メコンデルタ)の町、チャビン(チャーヴィン)市内にあるクメール族文化博物館に行ってきました。チャビン省はソクチャン省同様にクメール族が多く住む町で、ベトナムに2つあるクメール族の博物館がこの2つの省にあります。ソクチャン省には昨年行きました。チャビン省はメコンデルタの他の省に比べ少しマイナーな省で情報量が少なく「地球の歩き方」にもこの博物館は記載されていませんが、立派な博物館で内容も素晴らしいので記事にしておきます。また博物館に隣接するクメール様式の寺院(アン寺)やチャビン市内にも多くのクメール族の寺院があり、今回行ってとても気に入りました。写真1〜6枚目がアン寺の写真です。写真7枚目以降が隣接するクメール族文化博物館の写真です。写真8、9枚目はこの博物館に展示されてある今回どうしても確認しておきたかったチャビン省出土のヴィシュヌ神像(砂岩製、7〜8世紀、オケオ文化)で..
骨董品やアンティークはいくらでもあります。タイや東南アジアの骨董品もタイに行けばいろいろと見つかると思います。希少なものでも探してお金を出せば買えます。それって「希少」と言えるのですか? その通りです。最近は、、というか、かなり以前からですが、特に商品の売り文句などに「希少」という言葉がかなり多く使われているように思います。例えば、発行数が少なく2つしか買えなかったお守りをヤフオクやメルカリで希少と謳って出品しても、大して希少ではないと思います。又、発行数が少ない人気高僧のお守りも、べつに「希少」とは言えません。お金を出せば買えるからです。骨董品やお守りに限らず、以前作られた売れ残りの品物が保存状態良く残っていても、ぜんぜん希少ではありません。又、寺の高僧ではなくお守りを専門に作る現代の(祈祷師)のような方が10個限定で作った(希少と謳われる)お守りなど、最初から商売を目的として作っている..
久しぶりにラオス ラーンサーン王国時代の青銅仏を入手しました。すごくいいものです。サイズは見ての通り小型ですが、迫力があります。ズシっとくるラーンチャーン仏(ここからタイの呼び方にします)で、質感のあるブロンズは黒光りしています。頭部が大きく見えるかもしれませんがこれは台座から仏像頭部先端までのシルエットが尖った三角形になるようにバランスを考えて作られている為です。写真4、5枚目はタイ東北部ナコンパノム県の仏塔タートパノムから発掘されたラーンチャーン様式の青銅と銀製の仏像(共にタートパノム博物館蔵、16世紀末〜17世紀)と比較したものですが、見ての通り美術様式(顔、体型等)がそっくりです。ほぼ同時期に作られたものだと思いますがラーンチャーン末期(18世紀)までを含め、製作年代は17世紀〜18世紀としておきます。最後の比較は同時期の青銅仏頭部(右側、ヤフオク出品中!!)と比較したものです。頭..
タイ東北部ナードゥン郡出土の塼仏片を入手しました。ドヴァーラヴァティー様式の仏陀立像、上半分の塼仏片で、上部の左右の角には太陽と月、また仏陀両わきには仏塔が見えます。仏陀後方の木はおそらく菩提樹だと思います。またこの塼仏裏面には赤色の古代文字(おそらくモン族の文字)がかすかに残っており、かなり貴重な残欠片と言えます。最後の写真は文献に掲載されているナードゥン出土の塼仏(コーンケーン国立博物館蔵)裏面ですが、状態は異なりますが同様の文字が見えます。年代は8〜9世紀のものです。下のリンクの文献にも同型のものが掲載されていたと思います。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー
タイ東北部、ナードゥン郡出土の倚像の塼仏片を手に入れました。倚像の塼仏は日本でも仏教美術が伝来した来た頃の飛鳥時代や奈良時代のものに見られます。もともとはインドから流れて来た美術で中国の唐時代(初唐)、東南アジアではタイ初期の美術であるドヴァーラヴァティー期やシュリーヴィジャヤ期、またミャンマーのピュー時代、カンボジアのプレアンコール期などの仏像に見られます。写真4枚目は東京国立博物館に展示されている倚像の塼仏(飛鳥時代、7世紀)と写真6枚目も同じく東京国立博物館に展示されている砂岩製の仏像(唐時代、8世紀)とそれらと並べて比較したものです。塼仏の比較では型は異なりますが、美術様式に多くの共通点が見られ、腰や下半身の衣のラインなどもよく似ています。年代的にも同時期ごろのものだと思いますが、ナードゥン郡出土の塼仏は8〜9世紀ごろのものと言われています。 The Roots of Thai..
昨日19日にタイに嬉しい一報が届きました。タイ北部(中北部)のペッチャブーン県にあるシーテープ遺跡が世界遺産に正式に登録されたからです。タイにある古代遺跡ではスコータイ遺跡、アユタヤ遺跡に次ぐ3つ目で、ドヴァーラヴァティー王国時代に作られた最初の世界遺産になりました。シーテープ遺跡はスコータイやアユタヤ遺跡と比べて、日本人にとってはまだかなりマイナーな遺跡ですが、これを機にドヴァーラヴァティーという言葉ももっと知れ渡るようになればと思います。写真4枚目以降がシーテープ遺跡の写真です。実はまだ行ったことがなく、いずれ行くつもりです。前置きが長くなりましたが、シーテープ遺跡が世界遺産に登録されたことにより、海外の有名博物館に展示されているシーテープ出土と思われる仏像やヒンドゥー神像のニュースもsnsを通し流れました。そのうちの1つが写真1〜3枚目(右側)の石像です。アメリカのクリーブランド美術..
久しぶりにナードゥンの塼仏を入手しました。出土前からの破損はありますが仏像部分がよく残った塼仏残欠です。有名な型で文献にも掲載(写真2枚目)されています。文献のものを見ての通り、菩提樹の下で瞑想する仏陀の型で仏陀の両脇には仏塔がデザインされています。型の中で仏像部分が占める割合が大きく、又、型に奥行き(立体感)があり、ドヴァーラヴァティー様式のとても迫力ある塼仏です。今回入手したものにもハスの花台座や仏塔の一部がよく残っています。写真3枚目は文献掲載(左下のもの)のものと比較した写真です。年代は8〜9世紀頃のものです。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー
先週、1年ぶりにホーチミン市からさらに南のメコンデルタに行って来ました。今回の目的の1つがこのヴィンロン省博物館でした。初日にカントーのホテルにチェックインし、翌日からカントーを拠点にヴィンロン省、ティエンジャン省、アンザン省に行ってきました。記事はまず最初に行ったヴィンロン省博物館です。ここには扶南国の3つの遺物が展示されています。写真4枚目はヴィシュヌ神像です。この石像は国宝です。次に中央の大型の像はサラスヴァティー神像(ビンズー教の女神)です。最後は右側のリンガです。共にヴィンロン省て出土したヒンズー美術の6〜7世紀のものです。いいものが見れ来た甲斐がありました。これでオケオ周辺の博物館はすべて見ることが出来ました。最後から2枚目の写真はコレクションのヴィシュヌ神像とこの博物館のヴィシュヌ神を横から見て比較したものです。見ての通り、上半身が斜めに反ったスタイルはこの時代に作られたヴィ..
ブロンズ製の仏の手コレクションです。正確には写真1枚目の一番上の手は菩薩の手、下から2つ目はおそらくハヌマーンの手ですが、それ以外は仏の手です。写真2、3枚目は文献に掲載されているジャワ美術の青銅仏の手と比較してみたものです。形状やブロンズの質感など共通するものがあります。また掌(てのひら)の模様も興味深いです。ヤフオク【プラ屋】からのお知らせがあります。来週9月2週目より、以前から出品していたものを中心に1、2割ほど価格調整を致します。理由は円安タイバーツ高の為です。ご理解の程、宜しくお願い致します。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー
チャンセン出土の人物像残欠です。これを紹介された時に、以前ロッブリーのナーラーイ国立博物館でみたことを思い出し、撮影した写真を見直すと見つかりました(写真2、3枚目)。同型だと思います。入手した写真1枚目は、博物館のテラコッタ像の子供部分の残欠ですが、状態がかなり良く、螺髪で長髪、耳飾り、首飾り、腕輪もつけていることが分かります。断定は出来ませんがもしかするとこの像はクリシュナ神の子供時代の像で、大人の女性は育て親のヤショーダではないかと思っています。以前入手したクリシュナと思われる像の記事を貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2021-07-11 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー
歴史博物館(ホーチミン市)に展示されている扶南国の弥勒菩薩像(砂岩、7〜8世紀、ビンロン省出土)と写真4枚目、タイ東北部出土の弥勒菩薩像の上半身残欠(ブロンズ製)を比較(写真5枚目)してみました。(写真1〜3枚目)大型の弥勒菩薩像(砂岩製)はヴィシュヌ神の化身と博物館の記述にあり、他ではほとんど見ることはないとても珍しいものです。タイ東北部でも大型の弥勒菩薩像がブリラム県プラコーンチャイ郡やナコーンラーチャシーマー県から出土しています。特にプラコーンチャイ出土の青銅製の菩薩像は海外でも評価が高く、そのほとんどの優品がアメリカやヨーロッパの博物館やコレクターのコレクションになっています。このブログでも何度か記事にしていますので過去記事のリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2019-10-04前置き長くなりましたが頭部を比較した写真でも分..
歴史博物館(ホーチミン市)に展示されている写真右側の扶南国の木製仏(国宝、6〜7世紀、ドンタップ省出土)とタイ東部出土のドヴァーラヴァティー期青銅仏(7世紀後半〜8世紀初)を比較(写真1、2枚目)してみました。このベトナム歴史博物館(ホーチミン市)には計4体の木製仏が展示されています。そのうち一番右側の2メートル以上ある木製仏だけが「腰をくねらせた」タイプのものです。タイ出土の同タイプの青銅仏(左側)と見比べるてみても、体形や姿勢がとてもよく似ています。タイとベトナムは隣接していませんが、互いにその間にあったカンボジアのプレ・アンコール美術(6〜8世紀)の影響を受けたとすれば理解しやすいです。また国によって少し見解は異なりますが、この時期は現代のタイ中部から南部、カンボジアとベトナム南部は扶南王国の支配下(写真6枚目)にあったとされていますので納得出来ます。最後の写真は機内から撮ったメコン..
珍しいアラカン王国の青銅仏を手に入れました。アラカン王国はミャンマー西部ラカイン州ミャウー(Myauk-U)で15世紀頃〜18世紀まで栄えた王国です。現在でも16世紀ごろの最盛期に建てられた遺跡群が大きなダメージなく残っています。写真が入手した青銅仏ですがかなり小型です。仏像部分だけならプラクルアン(お守り)サイズかもしれませんが、美術的には他のビルマの仏像とは異なる特徴的な美術様式をもっています。その1つがこの幾何学的なデザインの台座です。下から2枚目の写真は文献写真のものと並べて撮った写真ですが、台座の形状や美術様式がそっくりです。また少し前かがみの姿勢もこのアラカン美術の特徴だと思います。最後の写真が(文献に掲載されている)遺跡内部の仏像と比べてみたものですが、姿勢(頭部の傾き等)や頭頂部の形状がそっくりです。アラカン青銅仏は東京国立博物館にも文献同様のものが数点展示されていますので..
タイ北部 プレー県の高僧クバー・ゲーウのお守り銀製のハヌマーンです。銀ケース入れが完了し、写真撮りもしたので再度掲載します。仏暦2519年(西暦1976年)に発行されたものです。昨年2022年12月にタイ北部 ランプーン県で開催されたお守りコンテストで部門1位に入賞しました(写真6、7枚目)。下から2番目の写真は銀ケースに入れる前の元箱に入っていた時の写真、一番下の写真はプレー県のお守り写真集に掲載されている同じお守りです。3つのうち、一番上のものが銀製、真ん中と下のものがナワ製です。銀製は299個発行され、ナワ製(金メッキなし、金メッキあり)は999個発行されました。
タイ正月にランプーン県からすごいものを入手しました。ハリプンチャイ様式の大型の母型(写真1、2枚目)で材質はテラコッタ製です。母型なので塼仏の凸部分が逆の凹状になっていますが、目の錯覚で凹部分が浮き上がって見えるかもしれません。この母型を見た時に知っている塼仏の母型かもしれないと思いすぐに交渉をしました。写真3、4枚目はチェンマイ国立博物館に展示されているハリプンチャイ様式の大型の塼仏です。この塼仏と入手した母型を比較してみたのが写真5枚目です(比較し易いように母型は左右反転しました)。実物はまだ見ていませんがチェンマイ国立博物館の塼仏はこの母型から作られたものだろうと推測しています。(続く) The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー
貴重なものを入手しました。シュリーヴィジャヤ期の四臂観音菩薩の塼仏片(写真1枚目)です。写真2〜4枚目はバンコク国立博物館に展示されている同出土地の同型のものと、その記述です。並べて比較したものが写真5枚目です。タイ中部や北部ではほとんど見ないタイ南部の美術で、典型的なシュリーヴィジャヤ様式と言っていいかもしれません。下の文献にも同型の塼仏が掲載されていたと思います。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー
レアものを入手しました。写真1枚目がそのお守りです。私の大好きなお守り リヤン・プラチャオ・トンルアン 仏暦2512年(パヤオ県シーコームカム寺院)です。どこがレアなのかと言うと、拡大した写真2、3枚目を見てもらえば分かります。仏像や背景に何やら模様のようなものが見えます。実はこの模様は裏面の文字が表面にもプリントされているのです。お守り(リヤン)の製造工程で通常とは異なるタンミング等で生まれたもので、硬貨の世界ではエラーコインと呼ばれているようです。私は5年前にも一度の同様のお守りに出会ったのですが高価で少し考えていたところ、すぐにコレクターのコレクションになってしまいました。今回は前回の経験を生かして即決しました。仏陀が唱えるがお経がお守りから聞こえてくるようです。おそらくもう手に入らないと思います。その下の写真2枚は昨年仏暦2565年に同寺院で発行されたお守りです。古い仏暦2512年..
再度、ベトナム歴史博物館(ホーチミン市)を訪れオケオ出土のヴィシュヌ神像(石像)を見て来ました。写真1枚目はオケオおよびオケオ周辺で出土した発掘品です。この中にある青銅製のヴィシュヌ神像(写真1枚目の上段右側から2つ目、キエンザン出土)はベトナムの国宝に指定(2012年)されています。写真2枚目が砂岩製のヴィシュヌ神像で右側がオケオ(アンザン省出土、6〜7世紀)のもの、左側がロンアン省出土(6〜7世紀)のものです。ロンアン省はカンボジア南部とも接しています。この2体のヴィシュヌ神像と一昨年前に入手したヴィシュヌ神像(左側)を比べたものが写真5〜9枚目です。表情、顔の輪郭、頭部の形状、肩や胸部から腰までのラインや、横から見た上半身から下半身の体形や姿勢など、やはり同系列のもので、年代的にも同時期のものだと思います。結論は変わらず、一昨年入手したヴィシュヌ神像はオケオ及びオケオ周辺で作られた扶..
タイ中部シンブリー県インブリー郡出土のドヴァーラヴァティー期の塼仏片(写真1枚目)を入手しました。シンブリー県は日本人にとってはあまり知られていないマイナーな県ですがロッブリー県、ナコンサワン県、スパンブリー県、チャイナット県に囲まれた県でタイ中部のドヴァーラヴァティー期に栄えた古代都市に囲まれたエリアです。この塼仏はそのシンブリー県の古代都市インブリーから出土したものです。私はまだ行ったことがありませんがインブリー市内中心にあるインブリー国立博物館に同型の塼仏が展示(写真2〜4枚目)されています。博物館の記述にはドヴァーラヴァティー様式(7〜9世紀)、古代都市インブリー出土となっています。またチャンセンやロッブリー、ウートン等でも出土しているテラコッタ製人物像も同エリアから出土しています(写真5枚目)。最後の写真5枚はどこの博物館のものかまだ確認が取れていませんがタイ中部の国立博物館のも..
久しぶりにナードゥン(マハーサラカム県)出土の塼仏を手に入れました。残欠ですがドヴァーラヴァティー様式の仏陀坐像がいい感じで残っています。大型の塼仏ですが厚さが5〜10ミリほどなので出土時には既に割れていたものです。出土地近くの博物館に同型のものが展示されています(写真2〜4枚目)ので比較(写真5枚目)してみました。写真6枚目は文献に掲載されている同型のものです。年代は8〜9世紀頃のものです。マハーサラカム県ナードゥン郡の仏塔と塼仏については以前詳しく記事にしていますのでリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2020-08-02下の文献にも同型の塼仏が掲載されていたはずです。 Votive Tablets in Thailand: Origin, Styles, and Uses (Images of Asia)作者: Pattara..
忘れないうちに記事にしておきます、先々週の日曜日にタイ北部ウタラディットで開催されたお守りコンテストに参加して来ました。ウタラディットは一応北部に入りますが、スコータイ県やピサヌローク県に隣接しておりとスコータイ美術やタイ中部のアユタヤ美術の影響を受けています。タイ北部のランナー美術やチェンセン美術の影響も少しは受けていると思いますが、ウタラディット北側に隣接するプレー県までがランナー文化圏だと思います(はっきりとした線引きは出来ません)。またウタラディット県は若干ラオス(サイニャブリー県)に隣接しており当時ランサーン(ランチャーン)美術の影響を受けたと思います(ウタラディットのことはほとんど分からないので、感覚的な説明しか出来ません)。お守り大会はそのウタラディット市内中心部から少し離れた大学で敷地内で開催されました。大会前日ウタラディットに到着したのが夕方近かったので場所を確認しがてら..
台座を作って来たので(完結)の予定でしたが、記事を追加します。台座は台座屋や台座職人に預けて作ることも出来ますが微妙な傾きなど可能な限り本物に近づけたいので、プラーチンブリー国立博物館に行って再度本物を見て勉強して来ました。写真4枚目はホーチミン市のベトナム歴史博物館蔵のヴィシュヌ神像(オケオ周辺出土)、写真5枚目はプラーチンブリー国立博物館のヴィシュヌ神像、写真6枚目はプノンペンのカンボジア国立博物館のヴィシュヌ神像です。見てのとおり、ヴィシュヌ神像は仏像とは異なり、姿勢が斜め上に反っており、頭部は少し上を見つめています。今回この部分にこだわりたかったので台座職人の家に泊まり掛けで行ってきました。完成したものが写真2、3枚目ですが、写真7枚目以降は側面で比較した写真です(左側:今回台座を作ったもの、右側:博物館のもの)。側面から見たヴィシュヌ神の体型や表情からもオケオ周辺出土のヴィシュヌ..
写真1〜6枚目はタイ東北部カラシン県出土の塼仏片です。昨年初めて入手した頭部残欠です。頭部のみですが迫力満点で美術的にも素晴らしいものです。頭部のみですが迫力満点で美術的にも素晴らしいものです。頭部の周りは光背です。このような光背は日本の白鳳時代(7世紀後半〜8世紀初め)のせん仏にも見られます。この塼仏は仏暦2510年(西暦1967年)にカラシン県カマラサイ郡で出土したものでファーデートスーンヤーン仏と呼ばれる大型の塼仏です。写真7枚目が文献に載っている出土時の写真ですが土地の住民によって発見されたもののようです。完品は10個ほどでほとんどが割れた状態だったようです。写真8枚目が文献に掲載されている完品の1つです。写真9、10枚目は文献の完品と比較したものですが型はもちろん、材質的にも同じの塼仏と分かります。年代的には8〜9世紀ごろのものです。ケースが仕上がったのでひと安心しました。 ..
あけましておめでとうございます。今年はうさぎ年なのでカンボジアのココナッツカッター(うさぎの木彫り)を飾ってみました。うさぎの手前はイノシシの木彫り(タイ北部、ランナータイ)で私の干支です。ウサギと共に歩むという意味です。ちなみにベトナムではうさぎ年ではなく、ねこ年になります。今年も宜しくお願いします。
先々週の日曜日にタイ北部ランプーン市内で開催されたお守りコンテストに行ってきました。前回参加したコロナ時の大会(2020年9月)以来で2年と3ヶ月ぶりです。内容はいつもの通り、前日の土曜日はプロのお守り業者が一斉に集まるお守りマーケット(写真2〜4枚目)、日曜日がメインの大会が行われます。また土日を通じて地域のお守り、出土仏の展示イベント(写真5〜7枚目)も行われます。今回は高僧のお守り(プラクルアン、クルアンラーン)をコンテストに出品し無事入賞しました。内容は高僧クバーソムジットのコイン型お守り(仏暦2514年)2等、高僧クバーゲーウのハヌマーン(仏暦2519年)1等、ガラーラーフー・高僧クバーナンター 2等、ルアンプー・トゥアット・ワット・プラシン(仏暦2506年)2等です(写真11〜13枚目)。1等の賞品は高僧クバー・シィウィチャイのお守りです。高僧クバー・シィウィチャイがかつて住職..
写真1〜5枚目はタイ南部スラータニー県プンピン郡出土、シュリーヴィジャヤ期(8~9世紀)の塼仏です。材質はテラコッタ(土製)、インドのグプタ朝末期からパーラ朝美術の影響を受けた東南アジア初期の貴重な塼仏です。塼仏の中央は瞑想する仏陀、左側の柱上部は法輪、右側は仏塔、上部は菩提樹を表しています。参考までに文献に掲載されている同型のものを掲載しておきます(写真6枚目)。写真7枚目はバンコク国立博物館に展示されている同型の塼仏です。写真8枚目は奈良県明日香村の奈良文化財研究所飛鳥資料館に展示されている白鳳時代の塼仏です。この白鳳時代の塼仏と並べて比較したのが写真9枚目です。年代的にも近く、美術様式もよく似ているのが分かると思います。スラータニー県プンピン郡出土の塼仏は経年変化によってテラコッタ表面が艶のある赤茶色になっているのも特徴のひとつです。 ステンレスケースに入れてヤフオクに出品しています..