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タイ骨董日記 https://thaiart.blog.ss-blog.jp/

自称東南アジア仏像コレクターがバンコクの骨董情報、タイのお守りプラクルアン、仏教美術を発信します。

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タイ
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千葉県
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2008/12/18

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  • ブログ引っ越しのお知らせ

    いつもブログ「タイ骨董日記」を読んでいただきありがとうございます。2006年にスタートして、来年で18年目を迎えます。来年から「はてなブログ」から情報発信して行きます。既に2018年から2023年までの記事は移行済みです。新しいアドレスは以下の通りです。今後とも宜しくお願い致します。 https://thaikottou.hatenablog.com/

  • ドンダップ省博物館(オケオ文化 )

    先週、ドンダップ省博物館に行って来ました。昨年8月以来、2度目。今回は記事にしておきます。ドンダップ省はカンボジア南部に接しており、省の北側から南側にメコン川が流れています。博物館は省都カオラインにあります。ここに展示されている大型のヴィシュヌ神像(石像、写真3枚目)はドンダップ省東部で1998年に発掘されたものてベトナムの国宝に指定されています。写真4枚目のヴィシュヌ神像も国宝です。写真10枚目からはコレクションのヴィシュヌ神像(右側)と比較をして見たものです。顔の表情は異なりますがふっくらとした頬や顎の輪郭や、胸部から腰までの身体のライン(スタイル)がよく似ています。ドンダップ省博物館に展示されている3体のヴィシュヌ神像はカンボジアのアンコールボレイ様式(プレアンコール期)の影響を強く受けているように思えました。扶南(オケオ文化)というよりは真臘(チェンラ)に近い印象です。来年カンボジ..

  • 東南アジアの博物館、おすすめ(仏教美術関連)

    2018年ぐらいから2023年にかけて、コロナの時期を除いた3〜4年間で、東南アジアの多くの博物館を訪れました。以下がそのリストです。このリスト以外にも小さな街、寺院や遺跡、出土地に隣接する小規模な博物館(展示室)にも行きました。一番の目的は東南アジア初期のヒンドゥー、仏教美術を見る為です。1、2ヶ所を残してほぼ全てまわれたと思います。タイは多いのでエリア別に分けました。また国、エリア別のおすすめも書いておきます。何かの参考になれば幸いです。写真はアンザン省のクメール族の村です。 (タイ北部) チェンマイ国立博物館 ハリプンチャイ国立博物館(ランプーン) チェンセーン国立博物館(チェンラーイ) メーファールアン芸術文化公園(チェンラーイ) ナーン国立博物館 ニタット文化会館(パヤオ) ワット・リー、ウィアンパヤオ博物館(パヤオ) ・おすすめはハリプンチャイ国立博物館で..

  • 直し、修理について、このブログの趣旨

    古美術品、骨董品にはよく直し(修理)があります。まー仕方ないと思います。私は本物の美術であれば壊れたものでもたとえ破片であっても購入します。基本、直しの無いものです。でもちょっとだけの直しならOKです。例えば塼仏片などオリジナルのもの同士を単純に接着させて直したものです。それも接合部が分かる単純な直し方で、新たに何も加えない、何も盛らない修理です。それなら、美術もほぼ当時のオリジナルのままで、全体像も小さな破片だけでみるよりも当初のものに近いからです。完全なもの(完品)は確かにいいと思いますが、1000年前後、前のもので完品はほとんどないと思います。もしあっても高価だったり、修理を疑ってしまうものは買いたくありません。それなら出土したままの状態のものはもっともオリジナルに近く、石のように表面にこびりついた土もあまり無理に落とさずそのままの状態がベストだと思っています。一方で博物館の展示品は..

  • ドヴァーラヴァティー期 人物像残欠(テラコッタ製)

    久しぶりにタイ中部ナコンサワン県チャンセン出土のテラコッタ片を手に入れました。人物像の残欠です。写真3枚目は文献の写真です。見比べると上半身左側の残欠ということが分かると思います。マニアックですがドヴァーラヴァティー期の美術様式であるフラットな胸部や細い腰まわり等のスタイルなどがこの残欠からも確認出来ます。写真4枚目はこの人物像残欠と年代的に近いヴィシュヌ神像の胴体部を比較したものですが体形がちかく、胸部から腰部分にかけての体のラインが非常によく似ています。年代的には7〜9世紀頃のものです。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー

  • ナードゥン郡出土(マハーサーラカーム県)の塼仏片(仏頭部)

    ナードゥン出土、ドヴァーラヴァティー期の塼仏片を入手しました。小さなテラコッタの欠片ですが、仏陀頭部、菩提樹、太陽または月、そして仏塔部分の塼仏片で材質感もいい感じです。写真3枚目は文献に掲載されている同型の塼仏の完品(コーンケーン国立博物館蔵)です。写真4枚目は並べて比較してみたものです。これだけでもいろいろと勉強出来ます。サイズ的にお守りケースに入れて携帯出来そうです。年代は9世紀頃のもの。以前記事にしたナードゥン郡の仏塔のリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2020-08-02 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー

  • クメール族文化博物館(南部チャビン省)

    先月、ベトナム南部(メコンデルタ)の町、チャビン(チャーヴィン)市内にあるクメール族文化博物館に行ってきました。チャビン省はソクチャン省同様にクメール族が多く住む町で、ベトナムに2つあるクメール族の博物館がこの2つの省にあります。ソクチャン省には昨年行きました。チャビン省はメコンデルタの他の省に比べ少しマイナーな省で情報量が少なく「地球の歩き方」にもこの博物館は記載されていませんが、立派な博物館で内容も素晴らしいので記事にしておきます。また博物館に隣接するクメール様式の寺院(アン寺)やチャビン市内にも多くのクメール族の寺院があり、今回行ってとても気に入りました。写真1〜6枚目がアン寺の写真です。写真7枚目以降が隣接するクメール族文化博物館の写真です。写真8、9枚目はこの博物館に展示されてある今回どうしても確認しておきたかったチャビン省出土のヴィシュヌ神像(砂岩製、7〜8世紀、オケオ文化)で..

  • 希少なもの

    骨董品やアンティークはいくらでもあります。タイや東南アジアの骨董品もタイに行けばいろいろと見つかると思います。希少なものでも探してお金を出せば買えます。それって「希少」と言えるのですか? その通りです。最近は、、というか、かなり以前からですが、特に商品の売り文句などに「希少」という言葉がかなり多く使われているように思います。例えば、発行数が少なく2つしか買えなかったお守りをヤフオクやメルカリで希少と謳って出品しても、大して希少ではないと思います。又、発行数が少ない人気高僧のお守りも、べつに「希少」とは言えません。お金を出せば買えるからです。骨董品やお守りに限らず、以前作られた売れ残りの品物が保存状態良く残っていても、ぜんぜん希少ではありません。又、寺の高僧ではなくお守りを専門に作る現代の(祈祷師)のような方が10個限定で作った(希少と謳われる)お守りなど、最初から商売を目的として作っている..

  • ラオスからの贈り物 青銅仏(ラーンサーン王朝時代)

    久しぶりにラオス ラーンサーン王国時代の青銅仏を入手しました。すごくいいものです。サイズは見ての通り小型ですが、迫力があります。ズシっとくるラーンチャーン仏(ここからタイの呼び方にします)で、質感のあるブロンズは黒光りしています。頭部が大きく見えるかもしれませんがこれは台座から仏像頭部先端までのシルエットが尖った三角形になるようにバランスを考えて作られている為です。写真4、5枚目はタイ東北部ナコンパノム県の仏塔タートパノムから発掘されたラーンチャーン様式の青銅と銀製の仏像(共にタートパノム博物館蔵、16世紀末〜17世紀)と比較したものですが、見ての通り美術様式(顔、体型等)がそっくりです。ほぼ同時期に作られたものだと思いますがラーンチャーン末期(18世紀)までを含め、製作年代は17世紀〜18世紀としておきます。最後の比較は同時期の青銅仏頭部(右側、ヤフオク出品中!!)と比較したものです。頭..

  • ナードゥン郡出土(マハーサーラカーム県)の塼仏残欠

    タイ東北部ナードゥン郡出土の塼仏片を入手しました。ドヴァーラヴァティー様式の仏陀立像、上半分の塼仏片で、上部の左右の角には太陽と月、また仏陀両わきには仏塔が見えます。仏陀後方の木はおそらく菩提樹だと思います。またこの塼仏裏面には赤色の古代文字(おそらくモン族の文字)がかすかに残っており、かなり貴重な残欠片と言えます。最後の写真は文献に掲載されているナードゥン出土の塼仏(コーンケーン国立博物館蔵)裏面ですが、状態は異なりますが同様の文字が見えます。年代は8〜9世紀のものです。下のリンクの文献にも同型のものが掲載されていたと思います。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー

  • ドヴァーラヴァティー期の塼仏片 倚像(ナードゥン郡出土)

    タイ東北部、ナードゥン郡出土の倚像の塼仏片を手に入れました。倚像の塼仏は日本でも仏教美術が伝来した来た頃の飛鳥時代や奈良時代のものに見られます。もともとはインドから流れて来た美術で中国の唐時代(初唐)、東南アジアではタイ初期の美術であるドヴァーラヴァティー期やシュリーヴィジャヤ期、またミャンマーのピュー時代、カンボジアのプレアンコール期などの仏像に見られます。写真4枚目は東京国立博物館に展示されている倚像の塼仏(飛鳥時代、7世紀)と写真6枚目も同じく東京国立博物館に展示されている砂岩製の仏像(唐時代、8世紀)とそれらと並べて比較したものです。塼仏の比較では型は異なりますが、美術様式に多くの共通点が見られ、腰や下半身の衣のラインなどもよく似ています。年代的にも同時期ごろのものだと思いますが、ナードゥン郡出土の塼仏は8〜9世紀ごろのものと言われています。 The Roots of Thai..

  • アンコール・ボレイ様式 青銅仏(祝!シーテープ遺跡 世界遺産登録)

    昨日19日にタイに嬉しい一報が届きました。タイ北部(中北部)のペッチャブーン県にあるシーテープ遺跡が世界遺産に正式に登録されたからです。タイにある古代遺跡ではスコータイ遺跡、アユタヤ遺跡に次ぐ3つ目で、ドヴァーラヴァティー王国時代に作られた最初の世界遺産になりました。シーテープ遺跡はスコータイやアユタヤ遺跡と比べて、日本人にとってはまだかなりマイナーな遺跡ですが、これを機にドヴァーラヴァティーという言葉ももっと知れ渡るようになればと思います。写真4枚目以降がシーテープ遺跡の写真です。実はまだ行ったことがなく、いずれ行くつもりです。前置きが長くなりましたが、シーテープ遺跡が世界遺産に登録されたことにより、海外の有名博物館に展示されているシーテープ出土と思われる仏像やヒンドゥー神像のニュースもsnsを通し流れました。そのうちの1つが写真1〜3枚目(右側)の石像です。アメリカのクリーブランド美術..

  • ナードゥン郡出土(マハーサーラカーム県)の塼仏片

    久しぶりにナードゥンの塼仏を入手しました。出土前からの破損はありますが仏像部分がよく残った塼仏残欠です。有名な型で文献にも掲載(写真2枚目)されています。文献のものを見ての通り、菩提樹の下で瞑想する仏陀の型で仏陀の両脇には仏塔がデザインされています。型の中で仏像部分が占める割合が大きく、又、型に奥行き(立体感)があり、ドヴァーラヴァティー様式のとても迫力ある塼仏です。今回入手したものにもハスの花台座や仏塔の一部がよく残っています。写真3枚目は文献掲載(左下のもの)のものと比較した写真です。年代は8〜9世紀頃のものです。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー

  • ヴィンロン省博物館(オケオ文化 )

    先週、1年ぶりにホーチミン市からさらに南のメコンデルタに行って来ました。今回の目的の1つがこのヴィンロン省博物館でした。初日にカントーのホテルにチェックインし、翌日からカントーを拠点にヴィンロン省、ティエンジャン省、アンザン省に行ってきました。記事はまず最初に行ったヴィンロン省博物館です。ここには扶南国の3つの遺物が展示されています。写真4枚目はヴィシュヌ神像です。この石像は国宝です。次に中央の大型の像はサラスヴァティー神像(ビンズー教の女神)です。最後は右側のリンガです。共にヴィンロン省て出土したヒンズー美術の6〜7世紀のものです。いいものが見れ来た甲斐がありました。これでオケオ周辺の博物館はすべて見ることが出来ました。最後から2枚目の写真はコレクションのヴィシュヌ神像とこの博物館のヴィシュヌ神を横から見て比較したものです。見ての通り、上半身が斜めに反ったスタイルはこの時代に作られたヴィ..

  • 青銅手コレクションとお知らせ

    ブロンズ製の仏の手コレクションです。正確には写真1枚目の一番上の手は菩薩の手、下から2つ目はおそらくハヌマーンの手ですが、それ以外は仏の手です。写真2、3枚目は文献に掲載されているジャワ美術の青銅仏の手と比較してみたものです。形状やブロンズの質感など共通するものがあります。また掌(てのひら)の模様も興味深いです。ヤフオク【プラ屋】からのお知らせがあります。来週9月2週目より、以前から出品していたものを中心に1、2割ほど価格調整を致します。理由は円安タイバーツ高の為です。ご理解の程、宜しくお願い致します。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー

  • ヤショーダとクリシュナ(その2)

    チャンセン出土の人物像残欠です。これを紹介された時に、以前ロッブリーのナーラーイ国立博物館でみたことを思い出し、撮影した写真を見直すと見つかりました(写真2、3枚目)。同型だと思います。入手した写真1枚目は、博物館のテラコッタ像の子供部分の残欠ですが、状態がかなり良く、螺髪で長髪、耳飾り、首飾り、腕輪もつけていることが分かります。断定は出来ませんがもしかするとこの像はクリシュナ神の子供時代の像で、大人の女性は育て親のヤショーダではないかと思っています。以前入手したクリシュナと思われる像の記事を貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2021-07-11 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー

  • 弥勒菩薩に変身したヴィシュヌ神像 (扶南美術)

    歴史博物館(ホーチミン市)に展示されている扶南国の弥勒菩薩像(砂岩、7〜8世紀、ビンロン省出土)と写真4枚目、タイ東北部出土の弥勒菩薩像の上半身残欠(ブロンズ製)を比較(写真5枚目)してみました。(写真1〜3枚目)大型の弥勒菩薩像(砂岩製)はヴィシュヌ神の化身と博物館の記述にあり、他ではほとんど見ることはないとても珍しいものです。タイ東北部でも大型の弥勒菩薩像がブリラム県プラコーンチャイ郡やナコーンラーチャシーマー県から出土しています。特にプラコーンチャイ出土の青銅製の菩薩像は海外でも評価が高く、そのほとんどの優品がアメリカやヨーロッパの博物館やコレクターのコレクションになっています。このブログでも何度か記事にしていますので過去記事のリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2019-10-04前置き長くなりましたが頭部を比較した写真でも分..

  • 扶南美術とドヴァーラヴァティー美術 比較

    歴史博物館(ホーチミン市)に展示されている写真右側の扶南国の木製仏(国宝、6〜7世紀、ドンタップ省出土)とタイ東部出土のドヴァーラヴァティー期青銅仏(7世紀後半〜8世紀初)を比較(写真1、2枚目)してみました。このベトナム歴史博物館(ホーチミン市)には計4体の木製仏が展示されています。そのうち一番右側の2メートル以上ある木製仏だけが「腰をくねらせた」タイプのものです。タイ出土の同タイプの青銅仏(左側)と見比べるてみても、体形や姿勢がとてもよく似ています。タイとベトナムは隣接していませんが、互いにその間にあったカンボジアのプレ・アンコール美術(6〜8世紀)の影響を受けたとすれば理解しやすいです。また国によって少し見解は異なりますが、この時期は現代のタイ中部から南部、カンボジアとベトナム南部は扶南王国の支配下(写真6枚目)にあったとされていますので納得出来ます。最後の写真は機内から撮ったメコン..

  • ミャンマー ラカイン州 アラカン青銅仏 16〜17世紀

    珍しいアラカン王国の青銅仏を手に入れました。アラカン王国はミャンマー西部ラカイン州ミャウー(Myauk-U)で15世紀頃〜18世紀まで栄えた王国です。現在でも16世紀ごろの最盛期に建てられた遺跡群が大きなダメージなく残っています。写真が入手した青銅仏ですがかなり小型です。仏像部分だけならプラクルアン(お守り)サイズかもしれませんが、美術的には他のビルマの仏像とは異なる特徴的な美術様式をもっています。その1つがこの幾何学的なデザインの台座です。下から2枚目の写真は文献写真のものと並べて撮った写真ですが、台座の形状や美術様式がそっくりです。また少し前かがみの姿勢もこのアラカン美術の特徴だと思います。最後の写真が(文献に掲載されている)遺跡内部の仏像と比べてみたものですが、姿勢(頭部の傾き等)や頭頂部の形状がそっくりです。アラカン青銅仏は東京国立博物館にも文献同様のものが数点展示されていますので..

  • 銀製ハヌマーン 高僧クバー・ゲーウ(タイ北部プレー県 )

    タイ北部 プレー県の高僧クバー・ゲーウのお守り銀製のハヌマーンです。銀ケース入れが完了し、写真撮りもしたので再度掲載します。仏暦2519年(西暦1976年)に発行されたものです。昨年2022年12月にタイ北部 ランプーン県で開催されたお守りコンテストで部門1位に入賞しました(写真6、7枚目)。下から2番目の写真は銀ケースに入れる前の元箱に入っていた時の写真、一番下の写真はプレー県のお守り写真集に掲載されている同じお守りです。3つのうち、一番上のものが銀製、真ん中と下のものがナワ製です。銀製は299個発行され、ナワ製(金メッキなし、金メッキあり)は999個発行されました。

  • シュリーヴィジャヤ期の塼仏(ナコーンシータマラート出土)

    写真1、2枚目もコレクターから入手したタイ南部 ナコーンシータマラート出土のシュリーヴィジャヤ期の塼仏片です。かなり昔に銀枠に入れられておりとてもシブいです。写真3枚目はジャカルタのインドネシア国立博物館蔵の仏像(石像)で7世紀頃のものです。出土地は確か南スマトラだったと思います。タイ南部と同じシュリーヴィジャヤ文化圏のもので、同時期、カンボジア南部 アンコールボレイ出土の仏像(石像)に似たがっしりとした体型をしています。サイズはまったく異なりますが、写真4枚目が2点を並べて比較したものです。見てのとおり、体型や輪郭がそっくりです。このことからもこの塼仏片の年代はおそらく8世紀頃のものだと思います。この塼仏片も既ににステンレスケースに入れて(写真5、6枚目)保管しています。ケース裏面からも古い銀枠を見れるようにしました。 Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Scu..

  • シュリーヴィジャヤ期の塼仏(トラン出土)その9

    トラン出土のシュリーヴィジャヤ期(8〜9世紀頃)の塼仏です。トラン在住のコレクターに譲ってもらったもので、タイ プーケット県のタラン国立博物館にも同出土地の同型の塼仏が展示されています。写真2枚目は文献に掲載されているインドネシア出土の塼仏です。ジャワ島西部出土のものなのでタイ南部と同じシュリーヴィジャヤ文化圏のものです。並べて比べたのが写真3枚目ですが美術様式がそっくりで材質もよく似ています。出土地は異なりますがこの2点はほぼ同時期に作られたものだと思います。 Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Fashion Studies)作者: Guy, John出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art発売日: 2014/05/06メディア: ハードカバー

  • ドヴァーラヴァティー期 青銅製 押し出仏残欠(ナコーンラーチャシーマー出土)

    昨年入手した青銅製の押し出仏(写真1、2枚目)です。写真2枚目が全体像で中央が仏陀立像、両脇は従者のようです。写真1枚目は左側の従者部分ですがかなり大型のものだと分かると思います。仏陀の足の形状や台座部のハスの花や従者のスタイル等、繊細な作品でこのような大型のものをまだ博物館でも見たことがありません。これに近い構図のものがナコーンラーチャシーマー県のピマーイ国立博物館に展示(砂岩製、写真3枚目)されています。写真4枚目はその記述ですが、この押し出仏もほぼ同時期(8〜9世紀)に作られたのものだと思います。 Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Fashion Studies)作者: Guy, John出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art発売日: 2014/05/0..

  • ドヴァーラヴァティー期 ライオン残欠(ロッブリー出土)

    ドヴァーラヴァティー期 テラコッタ製の台座(写真1〜3枚目)です。元はライオン像の台座部分の残欠で天面には4つのライオンの足が残っています。ドヴァーラヴァティー期の出土品の中でもあまり見ない独特なデザインで、西洋的な美術様式を感じます。同時期のものがロッブリー市内のソムデット・プラナーラーイ国立博物館(写真4、5枚目)やウートン国立博物館(写真6枚目)に展示されています。これらのライオン像はインドの国章のモデルになっている「アショーカの獅子柱頭 」(写真7枚目、紀元前250年頃、サールナート美術館蔵)から長い年月をかけて引き継がれてきた美術だと思います。年代的にはインド(ヒンズー)美術の影響を受けたタイ初期の7〜8世紀ごろのものです。以前入手した同時期頃のライオン像も持っているので過去記事のリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2006..

  • ハリプンチャイ期 塼仏の母型

    タイ正月にランプーン県からすごいものを入手しました。ハリプンチャイ様式の大型の母型(写真1、2枚目)で材質はテラコッタ製です。母型なので塼仏の凸部分が逆の凹状になっていますが、目の錯覚で凹部分が浮き上がって見えるかもしれません。この母型を見た時に知っている塼仏の母型かもしれないと思いすぐに交渉をしました。写真3、4枚目はチェンマイ国立博物館に展示されているハリプンチャイ様式の大型の塼仏です。この塼仏と入手した母型を比較してみたのが写真5枚目です(比較し易いように母型は左右反転しました)。実物はまだ見ていませんがチェンマイ国立博物館の塼仏はこの母型から作られたものだろうと推測しています。(続く) The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー

  • シュリーヴィジャヤ期の四臂観音菩薩 塼仏(トラン出土)その8

    貴重なものを入手しました。シュリーヴィジャヤ期の四臂観音菩薩の塼仏片(写真1枚目)です。写真2〜4枚目はバンコク国立博物館に展示されている同出土地の同型のものと、その記述です。並べて比較したものが写真5枚目です。タイ中部や北部ではほとんど見ないタイ南部の美術で、典型的なシュリーヴィジャヤ様式と言っていいかもしれません。下の文献にも同型の塼仏が掲載されていたと思います。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー

  • プラチャオ・トンルアン 仏暦2512年 超レアもの

    レアものを入手しました。写真1枚目がそのお守りです。私の大好きなお守り リヤン・プラチャオ・トンルアン 仏暦2512年(パヤオ県シーコームカム寺院)です。どこがレアなのかと言うと、拡大した写真2、3枚目を見てもらえば分かります。仏像や背景に何やら模様のようなものが見えます。実はこの模様は裏面の文字が表面にもプリントされているのです。お守り(リヤン)の製造工程で通常とは異なるタンミング等で生まれたもので、硬貨の世界ではエラーコインと呼ばれているようです。私は5年前にも一度の同様のお守りに出会ったのですが高価で少し考えていたところ、すぐにコレクターのコレクションになってしまいました。今回は前回の経験を生かして即決しました。仏陀が唱えるがお経がお守りから聞こえてくるようです。おそらくもう手に入らないと思います。その下の写真2枚は昨年仏暦2565年に同寺院で発行されたお守りです。古い仏暦2512年..

  • ヴィシュヌ立像(扶南国、6〜7世紀 )歴史博物館(ホーチミン市)

    再度、ベトナム歴史博物館(ホーチミン市)を訪れオケオ出土のヴィシュヌ神像(石像)を見て来ました。写真1枚目はオケオおよびオケオ周辺で出土した発掘品です。この中にある青銅製のヴィシュヌ神像(写真1枚目の上段右側から2つ目、キエンザン出土)はベトナムの国宝に指定(2012年)されています。写真2枚目が砂岩製のヴィシュヌ神像で右側がオケオ(アンザン省出土、6〜7世紀)のもの、左側がロンアン省出土(6〜7世紀)のものです。ロンアン省はカンボジア南部とも接しています。この2体のヴィシュヌ神像と一昨年前に入手したヴィシュヌ神像(左側)を比べたものが写真5〜9枚目です。表情、顔の輪郭、頭部の形状、肩や胸部から腰までのラインや、横から見た上半身から下半身の体形や姿勢など、やはり同系列のもので、年代的にも同時期のものだと思います。結論は変わらず、一昨年入手したヴィシュヌ神像はオケオ及びオケオ周辺で作られた扶..

  • ドヴァーラヴァティー期の塼仏(シンブリー県出土)

    タイ中部シンブリー県インブリー郡出土のドヴァーラヴァティー期の塼仏片(写真1枚目)を入手しました。シンブリー県は日本人にとってはあまり知られていないマイナーな県ですがロッブリー県、ナコンサワン県、スパンブリー県、チャイナット県に囲まれた県でタイ中部のドヴァーラヴァティー期に栄えた古代都市に囲まれたエリアです。この塼仏はそのシンブリー県の古代都市インブリーから出土したものです。私はまだ行ったことがありませんがインブリー市内中心にあるインブリー国立博物館に同型の塼仏が展示(写真2〜4枚目)されています。博物館の記述にはドヴァーラヴァティー様式(7〜9世紀)、古代都市インブリー出土となっています。またチャンセンやロッブリー、ウートン等でも出土しているテラコッタ製人物像も同エリアから出土しています(写真5枚目)。最後の写真5枚はどこの博物館のものかまだ確認が取れていませんがタイ中部の国立博物館のも..

  • ドヴァーラヴァティー期の塼仏(ナードゥン郡出土)

    久しぶりにナードゥン(マハーサラカム県)出土の塼仏を手に入れました。残欠ですがドヴァーラヴァティー様式の仏陀坐像がいい感じで残っています。大型の塼仏ですが厚さが5〜10ミリほどなので出土時には既に割れていたものです。出土地近くの博物館に同型のものが展示されています(写真2〜4枚目)ので比較(写真5枚目)してみました。写真6枚目は文献に掲載されている同型のものです。年代は8〜9世紀頃のものです。マハーサラカム県ナードゥン郡の仏塔と塼仏については以前詳しく記事にしていますのでリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2020-08-02下の文献にも同型の塼仏が掲載されていたはずです。 Votive Tablets in Thailand: Origin, Styles, and Uses (Images of Asia)作者: Pattara..

  • お守り、仏像コンテスト(2023年 1月 15日・ウタラディット)

    忘れないうちに記事にしておきます、先々週の日曜日にタイ北部ウタラディットで開催されたお守りコンテストに参加して来ました。ウタラディットは一応北部に入りますが、スコータイ県やピサヌローク県に隣接しておりとスコータイ美術やタイ中部のアユタヤ美術の影響を受けています。タイ北部のランナー美術やチェンセン美術の影響も少しは受けていると思いますが、ウタラディット北側に隣接するプレー県までがランナー文化圏だと思います(はっきりとした線引きは出来ません)。またウタラディット県は若干ラオス(サイニャブリー県)に隣接しており当時ランサーン(ランチャーン)美術の影響を受けたと思います(ウタラディットのことはほとんど分からないので、感覚的な説明しか出来ません)。お守り大会はそのウタラディット市内中心部から少し離れた大学で敷地内で開催されました。大会前日ウタラディットに到着したのが夕方近かったので場所を確認しがてら..

  • ヴィシュヌ立像(扶南、シュリーヴィジャヤ様式)その6

    台座を作って来たので(完結)の予定でしたが、記事を追加します。台座は台座屋や台座職人に預けて作ることも出来ますが微妙な傾きなど可能な限り本物に近づけたいので、プラーチンブリー国立博物館に行って再度本物を見て勉強して来ました。写真4枚目はホーチミン市のベトナム歴史博物館蔵のヴィシュヌ神像(オケオ周辺出土)、写真5枚目はプラーチンブリー国立博物館のヴィシュヌ神像、写真6枚目はプノンペンのカンボジア国立博物館のヴィシュヌ神像です。見てのとおり、ヴィシュヌ神像は仏像とは異なり、姿勢が斜め上に反っており、頭部は少し上を見つめています。今回この部分にこだわりたかったので台座職人の家に泊まり掛けで行ってきました。完成したものが写真2、3枚目ですが、写真7枚目以降は側面で比較した写真です(左側:今回台座を作ったもの、右側:博物館のもの)。側面から見たヴィシュヌ神の体型や表情からもオケオ周辺出土のヴィシュヌ..

  • ドヴァーラヴァティー期の塼仏(カラシン県出土)

    写真1〜6枚目はタイ東北部カラシン県出土の塼仏片です。昨年初めて入手した頭部残欠です。頭部のみですが迫力満点で美術的にも素晴らしいものです。頭部のみですが迫力満点で美術的にも素晴らしいものです。頭部の周りは光背です。このような光背は日本の白鳳時代(7世紀後半〜8世紀初め)のせん仏にも見られます。この塼仏は仏暦2510年(西暦1967年)にカラシン県カマラサイ郡で出土したものでファーデートスーンヤーン仏と呼ばれる大型の塼仏です。写真7枚目が文献に載っている出土時の写真ですが土地の住民によって発見されたもののようです。完品は10個ほどでほとんどが割れた状態だったようです。写真8枚目が文献に掲載されている完品の1つです。写真9、10枚目は文献の完品と比較したものですが型はもちろん、材質的にも同じの塼仏と分かります。年代的には8〜9世紀ごろのものです。ケースが仕上がったのでひと安心しました。 ..

  • 2023年「タイ骨董日記」ブログ始め

    あけましておめでとうございます。今年はうさぎ年なのでカンボジアのココナッツカッター(うさぎの木彫り)を飾ってみました。うさぎの手前はイノシシの木彫り(タイ北部、ランナータイ)で私の干支です。ウサギと共に歩むという意味です。ちなみにベトナムではうさぎ年ではなく、ねこ年になります。今年も宜しくお願いします。

  • お守り、仏像コンテスト(2022年 12月 18日・ランプーン)

    先々週の日曜日にタイ北部ランプーン市内で開催されたお守りコンテストに行ってきました。前回参加したコロナ時の大会(2020年9月)以来で2年と3ヶ月ぶりです。内容はいつもの通り、前日の土曜日はプロのお守り業者が一斉に集まるお守りマーケット(写真2〜4枚目)、日曜日がメインの大会が行われます。また土日を通じて地域のお守り、出土仏の展示イベント(写真5〜7枚目)も行われます。今回は高僧のお守り(プラクルアン、クルアンラーン)をコンテストに出品し無事入賞しました。内容は高僧クバーソムジットのコイン型お守り(仏暦2514年)2等、高僧クバーゲーウのハヌマーン(仏暦2519年)1等、ガラーラーフー・高僧クバーナンター 2等、ルアンプー・トゥアット・ワット・プラシン(仏暦2506年)2等です(写真11〜13枚目)。1等の賞品は高僧クバー・シィウィチャイのお守りです。高僧クバー・シィウィチャイがかつて住職..

  • シュリーヴィジャヤ期の塼仏 スラータニー県出土(その2)

    写真1〜5枚目はタイ南部スラータニー県プンピン郡出土、シュリーヴィジャヤ期(8~9世紀)の塼仏です。材質はテラコッタ(土製)、インドのグプタ朝末期からパーラ朝美術の影響を受けた東南アジア初期の貴重な塼仏です。塼仏の中央は瞑想する仏陀、左側の柱上部は法輪、右側は仏塔、上部は菩提樹を表しています。参考までに文献に掲載されている同型のものを掲載しておきます(写真6枚目)。写真7枚目はバンコク国立博物館に展示されている同型の塼仏です。写真8枚目は奈良県明日香村の奈良文化財研究所飛鳥資料館に展示されている白鳳時代の塼仏です。この白鳳時代の塼仏と並べて比較したのが写真9枚目です。年代的にも近く、美術様式もよく似ているのが分かると思います。スラータニー県プンピン郡出土の塼仏は経年変化によってテラコッタ表面が艶のある赤茶色になっているのも特徴のひとつです。 ステンレスケースに入れてヤフオクに出品しています..

  • ヴィシュヌ立像(扶南、シュリーヴィジャヤ様式)その5(完結)

    先月約3年ぶりにベトナムに行ってきました。1ヶ月弱滞在しましたがそのうちの10日間をメコンデルタで過ごしました。今回は前回行かなかったカントー省博物館とドンタップ省博物館、それからオケオ遺跡をホテルで借りたバイクで廻りました。またクメール族が多く住む街ソクチャン省にも行ってきました。写真1枚目がベトナム南部のメコンデルタと呼ばれる地域の簡単な地図です。見ての通り中心にメコン川とその支流が流れているエリアです。赤い点を付けたところがオケオです。見ての通りオケオはアンザン省にありますがキエンザン省とカントー省の県境に近いことが分かります。メコン川沿い北側(色がクリーム色になっている部分)はカンボジア南部のタケオ州です。プレアンコール期の中心都市があったとされるアンコール・ボレイやプノン・ダ寺院があるところです。今日は以前から何度も記事にしてきた(タイ南部で出土した)四臂のヴィシュヌ神の石像(写..

  • ドヴァーラヴァティー期の塼仏 ナコーンラーチャシーマー県出土

    ナコーンラーチャシーマー県(ノーンスーン郡出土)、ドヴァーラヴァティー期の塼仏を入手しました(写真1、2枚目)。貴重な型(ナーガ仏)で市場には出ないのですがコレクターに何とか譲ってもらいました。完品がコンケン国立博物館に展示されています(写真3枚目)。写真4枚目は参考写真ですがタイ東北部の目利きのコレクションです。写真5枚目は並べて比較したものですがテラコッタの質感も含めて同型と分かります。年代は博物館の記述通り仏暦13〜14世紀(西暦8〜9世紀頃)。保管用ケースも特注済み。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー

  • ロッブリー出土の塼仏残欠(ドヴァーラヴァティー期)

    ロッブリー出土、ドヴァーラヴァティー期の塼仏片(写真1〜4枚目)を入手しました。ロッブリー市内のソムデッ・プラナラーイ国立博物館にも同型の残欠下部が展示されています(写真5枚目)。文献に掲載されている状態の良いもの(写真6枚目)と並べて比較したのが写真7枚目です。状態は異なりますが、表情もかすかに残っており、また光背やフラットな胸部、耳の形状等、東南アジア初期のドヴァーラヴァティー美術様式の力強い存在感が感じられます。8〜9世紀頃のものです。 Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Fashion Studies)作者: Guy, John出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art発売日: 2014/05/06メディア: ハードカバー

  • リヤン・プラチャオ・トンルアン 仏暦2512年(パヤオ県シーコームカム寺院)

    パヤオ県シーコームカム寺院のお守りリヤン・プラチャオ・トンルアン 仏暦2512年(西暦1969年)を入手しました。摩耗はありますがクラシックな雰囲気に我慢出来ず、価格交渉をして購入しました。買わなかったらきっと後悔していたでしょう。このような50年以上経つコイン状のお守りは同一の型のものでも摩耗や保管の状態によっても表面の色、状態が変化し、結果まったく風合いが異なるお守り(コイン)になります。好みは人によって異なりますが、中に誰もが良いなぁと感じるものが稀に生まれます。今回手に入れたこのお守りもそのような特別な魅力があるのだと思います。以前このお守りについて記事していますので参考にリンクを貼りつけておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2018-05-02

  • ウートン青銅仏頭部 残欠

    珍しいウートン青銅仏の頭部残欠(写真1〜4枚目)を手に入れた。タイ美術史的にはアユタヤ初期のものでスコータイ美術の影響を受けています。実際、最初このに残欠を見た時にスコータイ?と思ったくらいで、スコータイ仏のように頬から顎にかけて膨よかな卵のような形状(ライン)をしています。写真5〜8枚目は先日撮影してきたバンコク国立博物館に展示されているアユタヤ初期(ウートン)の青銅仏(15世紀)です。その下の写真がこれら2点と並べて比較したものですが、美術的にほぼ一致しているのが分かります。よってこの残欠も博物館の記述通りアユタヤ時代初期15世紀、もしくは15世紀〜16世紀初めのものと言えると思います。残欠ですが、かなりの優品でこれだけでも気品が感じられます。流石は本物の美術です。 The Sacred Sculpture of Thailand: The Alexander B. Griswold..

  • シュリーヴィジャヤ期の塼仏 スラータニー県出土

    タイ南部スラータニー県出土の塼仏片を入手した(写真1〜3枚目)。残欠ですが顔の表情が残る状態のいいもので上部には菩提樹、右側には仏塔もはっきりと残っています。さっそくちょうどいい大きさのケースを見つけていれた。写真4枚目は文献に掲載されている同型の塼仏とその比較(写真5枚目)です。写真6枚目はバンコク国立博物館に展示されている同型のもの(写真下段両端、写真7、8枚目)です。バンコク国立博物館のものはパッタルン県出土のものでした。他にトラン県やソンクラー県でも同型の塼仏が出土しています。焼成されていない土製、9世紀頃のものです。 Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Fashion Studies)作者: Guy, John出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art発売..

  • スコータイ時代のお守り(土製)14〜15世紀

    薄い土製のスコータイ時代の出土仏(プラクルアン)を入手した(写真1〜3枚目)。写真1枚目から分かるように小さなお守りです。しかしサイズは小型でも美術レベルは流石は本物で、大型の青銅仏と比較するとよく分かるがシルエットや細かい造りまでそっくりです。写真4枚目はバンコク国立博物館に展示されているスコータイ全盛期15世紀の大型の青銅仏とその比較(写真5枚目)です。お守りの方が若干胸部付近の肉つきがいいのはスコータイ初期(ランカー様式)の影響を受けているからかもしれません。写真6枚目はスコータイ初期の青銅仏(14世紀、タクワン寺出土、ラームカムヘン国立博物館蔵)です。参考まで。 The Sacred Sculpture of Thailand: The Alexander B. Griswold Collection, the Walters Art Gallery出版社/メーカー: Univ ..

  • ルアンポー・トゥアット(ワット・ブラシン、チェンマイ)仏暦2506年

    現在、タイ南部のみならず、タイ全土で最も有名なお守りの1つとなったプラ・ルアンポー・トゥアットはアユタヤ時代(17世紀)に実在した高僧ルアンポー・トゥアットをモデルにしたお守りで、タイ南部パッタニー県ワット・チャーンハイ寺の住職、高僧アーチャーン・ティム(写真3枚目、仏暦2455~2512年)によって仏暦2497年(西暦1954年)に初めてお守りとして発行され、その後タイ全国で最も有名なお守りの一つになりました。その中でも仏暦2497年に発行された(土やポンをベースに霊草などが配合された)ワーン製のお守り初代ルアンポー・トゥアットの人気は別格で価格的には一般人にはなかなか手の届かない雲上級の夢のお守りです。今回記事にするお守りルアンポー・トゥアットは仏暦2506年(西暦1963年)にワット・チャーンハイ寺で発行され高僧アーチャーン・ティムらにより入念されタイ北部チェンマイの名刹ワット・プラ..

  • ドヴァーラヴァティー期 人物(女性)像頭部 チャンセン出土

    チャンセン出土の女性の人物像頭部(写真1枚目)を入手しさっそくケースを探しに行ったらぴったりのものが見つかった。ドヴァーラヴァティー様式の笑みを浮かべた目を開けた女性像頭部で大きなイヤリングを身につけており、髪は後ろにたくし上げられています。写真2、3枚目はチャンセン博物館に展示されている同型のものです。先日久しぶりにバンコク国立博物館に行ってきました。数年掛けたリノベーションもだいぶ完成してきており各時代の展示室は素晴らしく綺麗になっています。気合いを入れて朝から6時間かけて廻りました。ドヴァーラヴァティー期の展示室にはチャンセン出土のテラコッタ製人物像頭部や獅子像等が少しだけ展示されています(写真4枚目)。年代的には博物館の記述(写真5枚目)通り、7〜8世紀頃のものです。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/1..

  • ドヴァーラヴァティー期 猿を連れた人物像

    ドヴァーラヴァティー期のテラコッタ製人形の代表作「猿を連れた人物像」です。残欠ですが胴体と下半身部の全てが揃ったので撮影してみました(写真1枚目)。写真2枚目はランプーン県のハリプンチャイ国立博物館に掲示されているものですが、ここに説明されている通りドヴァーラヴァティー期(中部)の「猿を連れた人物像」には2種類の型あります。左側がチャンセン型、右側がウートン型です。写真3〜5枚目は残欠ごとに比較してみたものです。これらはタイ中部のドヴァーラヴァティー期のコミュニティがあったエリアから発掘されており、主な出土地はウートン、チャンセン、ロッブリー、チャイナット、ナコンパトム、ラーブリー等です。見ての通り体格の良い体型で横から見たスタイルはとても特徴的です。写真6枚目はチャンセン博物館に掲示されているほぼ完品のウートン型(通常頭部は首から折られている)です。写真7枚目は6枚目の下半身(猿)と残欠..

  • ヴィシュヌ立像(シュリーヴィジャヤ様式)その4

    折れた腕はまだ接着剤で付けていませんが写真屋で撮影して来ました。真正面と真後ろからの写真(写真1、2枚目)では分からないですが、3枚目以降の写真のように上半身が斜め上に反っています。背中側からもしなっているのが分かると思います。プノンペンのカンボジア国立博物館に展示されているヴィシュヌ神像(参考写真6枚目)と同じく背筋を伸ばして少し上を見つめています。首が太く、がっしりとした体格で迫力ある造形です。タイ中部のドヴァーラヴァティー期のものは砂岩製の法輪や石仏の他に漆喰やテラコッタ、青銅製等、いろいろな材質から像が作られていますが、タイ南部シュリーヴィジャヤ期のものはテラコッタや漆喰製のものはあまりありません。タイ中南部のラーブリーやペッブリー県にはドヴァーラヴァティー期の漆喰やテラコッタ製のものが多く作られていますが、南部のチャイヤー(スラータニー県)より南は石像(石造彫刻)がメインになるよ..

  • ヴィシュヌ立像(シュリーヴィジャヤ様式)その3

    以前(その2)まで書き、追記を繰り返して来た記事「ヴィシュヌ立像(シュリーヴィジャヤ様式)」の続き(その3)を書きます。写真2枚目〜4枚目はホーチミン市の歴史博物館に展示されているヴシュヌ神像(7世紀、アンザン省出土)ですが、この青銅製の像と石像を比較してみました。比較写真(写真5枚目)を見ての通りスタイル、体のライン等、美術様式がとても近いことが分かると思います。石像はタイ南部から出土したものですが、ブログ記事(その1、その2)でも書いた通り、やはりベトナム南部オケオ付近で作られたものではないかと思います。文献の記述を参考にすると年代は7世紀後半のものだと思います。ブログ記事(その1、その2)のリンクを貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2021-10-10https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2021-10-23..

  • ナコンパトムの仏塔とドヴァーラヴァティー期倚像

    写真はバンコク西部の都市ナコンパトムにある世界最大の仏塔プラ・パトム・チェディです。写真1〜3枚目はナコンパトム鉄道駅前から仏塔入口正面(北側)に向かって撮影したものです。仏塔北側の立像参拝後、仏塔を中心軸として中庭を周回するのですが写真4枚目がちょうど反対側(南側)にあるドヴァーラヴァティー仏(倚像)です。ナコンパトムの象徴と言っていいくらいとても有名な像で多くの方が参拝にきます。ただしこの像はレプリカでオリジナルの像(石像)は敷地内の建物に祀られています(写真5〜9枚目)。文の続きは下です。ここからが本題ですが下から3枚目はドヴァーラヴァティー期の三尊像塼仏(上部は欠損)です。この塼仏中央の仏陀像(倚像)とプラ・パトム・チェディの倚像を並べてみたのがその下の写真(下から2枚目)です。凄いことに塼仏の僅か1センチほどの小さな顔が大型の石像と同じ特徴的な顔つきを見事に表現しています。最後は..

  • ハリプンチャイ期 仏像頭部

    ランプーン県出土ハリプンチャイ期の仏像頭部です。何度もブログで記事にしていますが新しい写真を掲載します。参考に以前の記事も貼りつけておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2018-06-02 The Sacred Sculpture of Thailand: The Alexander B. Griswold Collection, the Walters Art Gallery出版社/メーカー: Univ of Washington Pr発売日: 1997/12/01メディア: ハードカバー

  • 青銅仏トルソー ピュー時代 or ドヴァーラヴァティー期

    今年度、第1回目の記事は昨日入手したばかりの青銅仏のトルソー(写真1、2枚目)です。ドヴァーラヴァティー期のものとして入手しましたが、もしかしたら同時期のミャンマー ピュー時代のものかもしれません。写真3枚目は参考写真ですがメトロポリタン美術館蔵のピュー時代の青銅仏(8〜9世紀初め)です。写真4枚目は写真3枚目と比較したものですが胴体部の体のラインや美術様式が非常によく似ています。今年度はブログ「タイ骨董日記」ご期待下さい(祝!東南アジア開国) Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Fashion Studies)作者: Guy, John出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art発売日: 2014/05/06メディア: ハードカバー

  • ランチャーン青銅仏頭部

    ランチャーン期 17世紀頃の青銅仏の頭部です。表情が良く気に入っています。久しぶりにラオスカテゴリーの記事を更新。近いうちに開国することを願っています。

  • チェンセン青銅仏 造形

    仏像は美しい。写真はチェンセン青銅仏・チャイプラーカーン様式(上から頭部、胴体部、台座部)です。このように拡大すると造形や古い青銅の質感の素晴らしさがよく分かります。本物の美術は頑張っても真似することは出来ません。たとえ頭部や手足だけの残欠でも手に入れたくなるのはこの為です。(宣伝)チェンセン青銅仏はヤフオク【プラ屋】で好評出品中です。

  • ドヴァーラヴァティー期 テラコッタ人物像頭部(チャイナート出土)

    先週またドヴァーラヴァティー期の人物像頭部(テラコッタ製)を入手しました(写真1〜3枚目)。タイ中部チャイナート県出土のものです。写真4枚目は文献に掲載されている同型のもの、写真5枚目はスパンブリー県ウートン国立博物館に展示されている同型のものです。写真6枚目は2020年に入手した胴体部の写真と合わせて合成した写真です。この人物像は「猿を連れた人物像」と呼ばれていますが「身代わり人形」的な役割をもっていたと研究されており頭部が折られ、頭部のみもしくは胴体部の残欠という状態で出土しています。今までもこの型の像に関しては頭部が胴体に付いたままのものを(古い文献で見たものを除いて)博物館でも見たことがありません。1点修理はされていますが頭部が付いた状態が分かる人物像が(古代都市チャンセンのある)ナコンサワン県の文化会館で保管・展示?されているようです(写真7枚目、左側)。右側に写真6枚目を並べて..

  • ラタナコーシン朝 経典画

    ラタナコーシン期の経典の絵画部分2対です。バンコクのジム トンプソンの家(JIM THOMPSON HOUSE MUSEUM)に飾られてるコレクションに似た塗金の画枠に入れています。年代的にはラタナコーシン朝初期 19世紀前半頃のものだと思います。おそらくこのレベルのものはもうなかなか見つからないと思います。やはりいいものは良い。高かったが買っておいてよかった。

  • 子象がやって来た。ミャンマー青銅美術

    今年最初の買い物です。ミャンマーから来たブロンズ製の子象です。ミャンマー・カレン州のミャワディーからタイ国境のメーソートを経由して入ってきた物です。目が可愛く、尻尾もあります。裏側からは黒変した土が詰まっているのが分かりますがこれはビルマを代表する青銅芸術である仏陀ストーリーシリーズと同じ特徴をもっています。(最後の写真の)頭を少し下げたしゃがんだ姿から分かるように仏陀の説法を聞いているシーンの象だと思います。このような単体の象はなかなか見つからず人気アイテムの1つです。可愛らしいサイズなので勝手に子象と呼びましたが以前手に入れた大型の象の一対(つがい)の家族になりそうです。年代は18〜19世紀。以前記事にした大型の象のリンクを貼りつけておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2019-12-27 Burmese Buddhist Sculpture: ..

  • 東南アジア初期の美術 西側の影響(その2)

    写真1枚目はカンボジアと国境のあるタイ東部サケーオ県で出土したプレアンコール期 プレイ・クメン様式(7世紀後半〜8世紀初め)の青銅仏です。タイ側で出土したプレアンコール期(クメール様式)の仏像なので同時期のドヴァーラヴァティー様式と言われることもあります。この青銅仏は少し西洋的な顔だち(写真2枚目)をしており、以前よりタイやカンボジアの博物館で似た顔つきのものを探していましたが長い間見つけることが出来ませんでした。しかし、やっと比較出来るものを見つけました。写真3枚目がその像でネット上から拝借した写真ですがタジキスタンのアジナ・テパ遺跡(アジナ・テペ)から出土した仏陀像頭部(土製、エルミタージュ美術館蔵)です。タジキスタンというと中央アジアですがタジキスタン南部のアジナ・テペはアフガニスタン国境近くにあります。アフガニスタンにはバーミヤーンがあり、またその東側にはパキスタンのガンダーラ地方..

  • シャン美術 お弟子像(ガルーダ顔)

    2022年あけましておめでとうございます。今年も頑張っていきます。写真はミャンマー・シャン州の青銅製お弟子像ですがお顔がヒンズー神のガルーダになったとても珍しいものです。年代的には18〜19世紀。今年もいいものとの出会いがありますように! Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection作者: Karow, Otto出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd発売日: 1995/02/01メディア: ペーパーバック

  • シュリーヴィジャヤ期の塼仏(トラン出土)その7

    先日もう一点入手したので年内に更新しておきます。タイ南部トラン県の洞窟で発掘された塼仏(写真1、2枚目)です。これは仏暦2555年に発見(発掘)された塼仏片でタイの考古学局の発掘時の参考写真(写真3、4枚目)と比べてみましたが同型のものと分かります(写真5枚目)。おそらくこの時に一緒に発掘されたものの一部が地元の方を通してコレクターへ、そして他の方を介して私のところに来たのだと思います。残欠でも仏陀と両脇の観音菩薩と弥勒菩薩が残るシュリーヴィジャヤ期8〜9世紀の貴重なものです。 Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Fashion Studies)作者: Guy, John出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art発売日: 2014/05/06メディア: ハードカバー..

  • クベーラの印章 ドヴァーラヴァティー期(祝!ブログ1200記事)

    今月12月、ずっと譲ってほしいと頼んでいたものをやっと譲り受けました。ドヴァーラヴァティー期 テラコッタ製の印章(タラープラタップ)です。約3年粘った甲斐がありました。印章は塼仏と異なり数多く生産されるものでありません。しかもこの印章はクベーラ神が模られたものでとても希少なものです。実際、この印章と博物館の展示品を除いてはまだ見たことがありません。写真2〜4枚目はロッブリー県 ソムデット・プラナラーイ国立博物館に展示されているクベーラ神が模られた型の異なる同時期のものです。またスパンブリー県 ウートン国立博物館でも同時期の印章を見ることが出来ますがクベーラ神の型はありませんでした。この印章は元オーナーが入手後に銀枠ケースを作って携帯していたものでほぼ出土時の状態が保たれています(現在は銀枠は酸化し黒くなっている。写真5枚目)。また印章の側面には2ヶ所スタンプが押されています(写真7枚目)。..

  • タイルー木製仏(その2)

    もう1点、タイルー木製仏を掲載しましす。大きめの頭部と奥行のあるどっしりとした独特なスタイルですが不思議と良いバランスを持った像です。この像はおそらくミャンマー・シャン州のチェイントンから中国国境のあるモンラー付近のエリアから来たものだと思いますが、タイルー族の一部は雲南省シーサンパンナ(西双版納)からミャンマー・シャン州のムアンヨーンやラオス北部ムアンシン等を経由してタイ北部(チェンラーイ 、パヤオ、ナーン、プレー、ランプーン県など)にも古くから移住して来ています。写真1〜3枚目が写真屋でプロに撮影してもらったもの、写真4枚目は写真屋1階のコーヒーショップで携帯で撮ったものです。やはりちゃんとしたカメラで大きなフラッシュを使用した写真は出来が良いです。写真だけでなく仏像の展示方法も照明等を工夫してみると見栄えが全然変わってきますので皆さんも是非いろいろ試してみて下さい。年代的には19世紀..

  • シャン青銅 奉納者像

    シャン様式のブロンズ像です。写真4枚目から分かるように小型の像ですがシャン美術の模範になるような顔つきで表面はブラウン・パティーナで覆われており状態最高の優品です。もともとミャンマー国境のあるタイ北部在住の方がコレクションしていたものでした。かなり前のことですが他のものを買いながら何度も通い続けて譲って貰ったものです。18〜19世紀頃のもの。 Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection作者: Karow, Otto出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd発売日: 1995/02/01メディア: ペーパーバック

  • タイルー木製仏

    久しぶりにタイルー族の木製仏の写真を掲載します。出どころはタイ北部ランプーン県です。ランプーン県には昔からタイルー族が多く住んでいます。もともとミャンマーのシャン州や西双版納(シーサンバンナ)から移住して来た方々です。ですのでタイルー族のお寺も多くあります。この木製仏はランナー時代(19世紀頃)のものですのでタイではランナー木製仏 タイルー様式と呼ばれています。台座にはタイルー文字が刻まれており、美術様式からミャンマーシャン州で作られたものだと思います。最後の写真は7年ほど前にこの木製仏が骨董店で展示されていた時のものです。店主の勧めもありこの日購入しました。お顔が良く気に入っています。懐かしい写真が見つかったので記事にしました。 Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection作者: Karow, Otto出版社/メーカー: Whit..

  • ドヴァーラヴァティー期 テラコッタ製人物像(チャンセン出土)その9

    ついにこの像を手に入れました。ドヴァーラヴァティー期のテラコッタ製女性像です。写真1枚目はタイの考古学誌ムアンボラーンの表紙写真を飾った2012年のOct-Dec号です。写真2枚目は出土地チャンセンの博物館に展示されている同型のものです。写真3枚目はロッブリー市内、ソムデット・プラナラーイ国立博物館に展示されているものです。そして最後の写真4、5枚目が今回手に入れた同型のものです。状態は博物館品にはかないませんが胴体部も残っており、縦に高く結われた髪や二重まぶたの大きな目、分厚い唇などドヴァーラヴァティー期の仏像に共通する美術様式など見られ興味深く貴重な像です。年代的には7〜8世紀頃のものです。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー

  • ナーガ仏 ランナー期(ブロンズ製)

    凄くいいものを手に入れました。タイ北部ランナー期のナーガ仏(ナーガ神に守られた仏陀像)です。ナーガの塒(とぐろ)部分が台座になっておりナーガの頭部分は瞑想する釈迦に覆いかぶさるように雨風から守っています。年代的には同じくランナー期のブロンズ像ナーンクアック(招き女人像)と同時期(19世紀〜20世紀初め)のもので繊細な造りですが一点ものの手作り感のある作品です。黒光りしたブロンズもいい感じです。なかなかない見つからないもので久しぶりに入手出来て嬉しい。

  • ドヴァーラヴァティー期 猿を連れた人物像 チャイナート出土(その2)

    また博物館級のテラコッタ像を入手しました(写真1枚目)。タイ中部チャイナート県で出土したドヴァーラヴァティー期「猿を連れた人物像」です。左横のビーズと一緒に出土したもので猿の部分は欠損しています。写真2、3枚目は出土地東側に接するナコンサワン県の古代都市チャンセンの博物館に展示されている同型のものです(写真2枚目は写真3枚目右上を拡大)。その下はこの像を横から撮影した写真ですが、この姿を知ることでかなり目利きレベルが上がります。、、というのも博物館の展示や文献の写真からでは分かりませんが、写真のように背筋を伸ばし、お腹回りには肉(脂肪?)が付いた特徴的なスタイルをしているからです。これは「完全」を表したものでタイではよくウドムソンブーン(意味:豊富な,豊穣な)という言葉が使われます。鎖状の装飾品やブレスレットなども豊かさの表現の一部だと思います。写真5枚目は前々回に記事にしたシュリーヴィジ..

  • シャン美術 仏陀ストーリー 初期頃(その3)

    仏陀ストーリー初期、年代的には17〜18世紀のものだと思います。分厚いブロンズ製です。写真4枚目はMyauk-U ミャウーにあるアラカン王国時代(15〜18世紀)の遺跡の仏像ですが、どっしりとした体型や大きな耳の造り等、おそらくこれらの美術の影響を受けたのではないかと思います。参考まで。 Burma's Lost Kingdoms: Splendors Of Arakan作者: Gutman, Pamela出版社/メーカー: Weatherhill発売日: 2001/01/01メディア: ハードカバー Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection作者: Karow, Otto出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd発売日: 1995/02/01メディア: ペーパーバック

  • ヴィシュヌ立像(シュリーヴィジャヤ様式)続き

    写真1枚目は先日入手したタイ南部出土のヴィシュヌ立像(砂岩製)です。写真2、3枚目は文献に掲載されているベトナム南部アンザン省に隣接するドンタップ省で1998年に出土したヴィシュヌ立像(砂岩製)の発掘時の写真です。約1.6メートルとかなり大型のものです。今回は扶南国の港市があったと言われているオケオ(アンザン省)の近郊で出土したこのヴィシュヌ立像と比較してみました。写真4、5枚目はこれら(サイズはまったく異なりますが)2点を比較してみたものです。手持ちの限られた写真を使った比較になりますが、写真4枚目では鼻筋の通った彫りの深い顔、インド(西洋?)的な顔付き、また正面を見据えた姿勢もよく似ています。写真5枚目は胴体部分の比較ですががっしりとした体つきや胸部から腰までの体の曲線等、そっくりなのが分かります。また砂岩表面の比較においても約1300〜1400年の間、地中にあったという同条件の為かと..

  • ヴィシュヌ立像(シュリーヴィジャヤ様式)

    凄いものを入手しました(写真1、2枚目)。シュリーヴィジャヤ期 四臂のヴィシュヌ神像です。テラコッタやブロンズ品以外の砂岩製の像を写真だけで購入を決めることは今までありませんでしたが何枚かの写真を見てこれはどうして手に入れないといけないものだと分かり最終決断を急ぎました。購入意思を伝えるまでの短い時間でまず行ったのが昨年行ったナコーンシータマラート国立博物館に展示されているヴィシュヌ神像(7〜8世紀、写真3枚目)と写真を比較することでした。今回のブログ記事は決断に至るまでに確認したポイントをまとめてみました。写真4〜7枚目が正面、背面、斜め、腰部の順で計4枚の比較写真です。見ての通り肩や胸部から腰までの体型、写真6枚目の斜め写真からも分かるように顎を引き前方少し上に反った姿勢や写真7枚目の腰部のサンポットのライン等、美術様式が共通しています。また写真4枚目からも分かるように風化した砂岩の材..

  • シュリーヴィジャヤ期の塼仏(ヤラー出土)

    先日入手したシュリーヴィジャヤ期の塼仏(土製)です。資料(写真2枚目)に同型のものが掲載されていました。タイ南部ヤラー県出土のものでとても美しい姿の四臂の菩薩像です。昨年行ったタイ南部の主要な国立博物館の写真を確認しましたが同型のものは展示されておらずレアな型かもしれません。9世紀ごろのものです。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー

  • クマントーン(ルアンポー・チェム)ワット・ターコン寺

    いつも身につけているお守り、高僧ルアンポー・チェム(ナコンパトム県ワット・ターコン寺)のクマントーンです。第二次世界大戦中(仏暦2480年代前半)に作られたものです。古式鋳造という手作業で鋳造されたお守りで鋳型は同じでも鋳造後の仕上げも手作業なので全く同じ形状のものはありません(金属の材質も個々の配合比が微妙に異なっています)。お守り業界の重鎮が出版したクルアンラーンの図鑑にも掲載された名誉あるお守りで、その後出版されたクマントーンを特集したお守り雑誌にも掲載されています(写真2枚目中央)。以前ワット・ターコンに行った時の記事を貼りつけておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2015-01-07「古く美しきものを求めて 」、先日読みましたが勉強になりました。お勧めです。 古く美しきものを求めて―あるオリエント古美術商の生涯出版社/メーカー: 里文出版発..

  • ドヴァーラヴァティー期 猿を連れた人物像 チャンセン出土(その3)

    久しぶりに貴重なテラコッタ片を入手しました。チャンセン出土「猿を連れた人物像」の下半身残欠(写真1、2枚目)です。欠けらですがキッキーと歯を出した顔や人物の足にしがみついた後ろの手も可愛いです。写真3枚目はチャンセン博物館に掲示されている状態の良い発掘品と、写真4、5枚目は前面後面を比較(左側は博物館品)したものです。撮影の角度や光の当たり具合は異なりますが同型のものだと分かります。最後の写真2枚はウートン国立博物館の展示品です。猿を連れた人物像はナコンサワン県のチャンセン、スパンブリー県のウートン、ロッブリー、ナコンパトム、チャイナートで発見(出土)されています。年代的には7〜9世紀(約1200年〜1400年前)のもの。欠けらでちょうどいいサイズになったこのお猿さんはいつか特注ケースに入れてお守りにしようと思っています。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: R..

  • シャン美術 仏陀ストーリー 初期頃(その2)

    もう一点持っている仏陀ストーリー初期頃(17〜18世紀)の作品「釈迦誕生のシーン」です。写真屋で撮影しました。繊細な造りで表情がとてもリアルです。手で持った写真を掲載した過去の記事を貼りつけておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2015-05-10 Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection作者: Karow, Otto出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd発売日: 1995/02/01メディア: ペーパーバック

  • 財宝神クベーラ

    15年ほど前に入手したクベーラ神の塼仏です。タイ語で「ターウクェーン」と言います。元々ロッブリー県のコレクターのもので、既に銀ケースに入れられていました。入手後に分かったのですが同型の塼仏がロッブリー市内遺跡エリア内のソムデット・プラナーラーイ国立博物館に展示(写真2、3枚目)されています。これは市内中心のワット・ナコーンコーサー付近で出土のもので、表面部の状態を比較(写真4枚目)して見ましたが、これら2点は同時に出土した(発見された)ものではないかと思っています。タイ人コレクターからも羨ましがられています。年代的にはドヴァーラヴァティー期 8世紀ごろのものです。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculptu..

  • 東南アジア初期の美術 西側の影響

    タイのドヴァーラヴァティー期、カンボジアのプレアンコール期等、東南アジア最初期の仏像やヒンズー神像の彫刻には源流に近いインドのグプタ美術やアマラヴァティ美術などの影響が見られ、それが初期の像の魅力の一つと言っていいと思います。写真はチャンパ初期(ベトナム南部)のものとしてかなり以前に入手したテラコッタ製の頭部で2年ほど前に訪れたベトナム南部オケオ周辺の博物館の展示物からおおよその出土地や年代を知ることが出来ました。しかし周辺の出土品と比較してもこの個性的な顔立ちの由来は説明出来ません。先日、オリエント美術の文献を眺めていたところ(他人のコレクションなので掲載出来ませんが)インド・グプタ朝とほぼ同時期のササン朝ペルシア(現代のイラン周辺)の出土品に似た顔付きのものがありました。ベトナム南部等、インドシナ半島沿岸部は6世紀以前からインドやさらに西側と東西の交易があり沿岸部に近いポイントでローマ..

  • ヤショーダとクリシュナ

    ドヴァーラヴァティー期(チャンセン出土)のテラコッタ像です。先日コレクターにやっと譲ってもらえたものです。(実物はまだ見ていませんが)赤ちゃんを抱いた女性像で、頭部は欠損していますが赤ちゃんの顔が典型的なドヴァーラヴァティー様式の丸顔で、可愛らしく以前から譲って欲しいとお願いをしていたものです。ただ赤ちゃんにしてはイヤリングや首飾り等の装飾品を身につけており何かただの赤ん坊ではないのでは?と気になっていました。先日、偶然文献からその手がかりがとなるものを見つけたので今回記事にしました。写真4枚目の銅像はメトロポリタン美術館のコレクションで5枚目はその記述です。構図的にテラコッタ像と同じ、つまりこの赤子はヒンズー神クリシュナ、赤子を抱くのは母ヤショーダということになります。おそらくそうだと思います。タイではヒンズー教の神クリシュナ像を見ることはほとんどありませんが、インド美術の影響を受けた初..

  • メコンを望む(チェンコーン 丘の上から)

    久しぶりにチェンセン青銅仏(シンサーム様式)の写真をアップします。写真1枚目は夜の照明下で、写真2枚目は日中外で撮影した同じものです。ブロンズ表面の色が異なって見えます。また日中は瞳がよく見えます(3枚目右側)。最後の写真はタイ北部チェンセンからチェンコーンに向かう途中の丘の上から撮影したものです。この付近ではメコンの向こう側でもチェンセン時代の仏像が発見(出土)されています。現在は向こう側がラオス、こちら側はタイです。この後メコンはラオス内部に入りルアンパバーンを経由して南下します。素晴らしい所で下でコーヒーを買って何度も眺めに行きました。 Buddhist Sculpture of Northern Thailand作者: Stratton, Carol出版社/メーカー: Serindia Pubns発売日: 2003/06/01メディア: ハードカバー 月刊目の眼2021..

  • プレアンコール期 青銅菩薩像(バンコク国立博物館)

    写真1枚目はバンコク国立博物館に展示されているナコーンラーチャシーマー県ノーンスーン郡出土の大型の青銅菩薩像頭部です。1987年、東京国立博物館で開催された日タイ修好100周年記念「タイ美術展」に日本にも来ており、当時図録の表紙を飾った有名な出展品です。この頭部と一緒に出土した手足や腕の一部のオリジナルを使用して完全な状態に復元した青銅菩薩像(写真3〜5枚目)が現在バンコク国立博物館の特別展(写真2枚目、6月末まで)で会場のメインに展示されています。高さはなんと3メートルを超えるようです。写真6〜8枚目はそのオリジナルの足部分です。私も同県で出土した同年代(8〜9世紀頃)のものと思われる青銅製の足(写真9枚目)を持っているのですが、台座部に直立させる為の突起が各足の足裏にあるのも共通しています。復元時に用いられた手足の残欠はおそらく今回初めて一般公開されたものだと思います。バンコクに行く際..

  • シャン美術 仏陀ストーリー 初期頃

    シャンの仏陀ストーリーシリーズの中でもとても珍しい形状のものです。3段のピラミッド型で仏陀(釈迦)が頂上に座り、2段目以下に弟子が座り、象や鹿なども捉まって説法を聞いているシーン(初転法輪?)です。最近気づいたのですが全体の形状を見るとおそらくシャン族の寺院をイメージして作った作品だと思っています。ちなみに写真3枚目は1枚目を拡大したものですが顔つきが洗練されていく中後期に比べて(よりプリミティブな)以前の様式に見えます。年代的にはシャン(タイヤイ)美術初期頃 17〜18世紀のものかもしれません。具対的な資料があればまた追記したいと思います。 Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection作者: Karow, Otto出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd発売日: 1995/02/01メディア: ペーパーバック ..

  • シャン青銅仏 小型

    今日から6月。写真1、2枚目は塗金や台座部には朱色の塗料(チャート)が残った小型のシャン青銅仏です。実物はまだ見ていませんが最近入手したものです。後頭部には菩提樹もしくは光背があった跡があります。年代的には18世紀後半から19世紀初め頃のものですが、以前手に入れた高さ30センチ程のシャンの木製仏(写真3枚目)と比較して見ると美術様式やバランスがほぼ同じなのでこの2点は製作年代も近いと思います。 Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection作者: Karow, Otto出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd発売日: 1995/02/01メディア: ペーパーバック

  • シュリーヴィジャヤ期の塼仏(トラン出土)その6

    写真1、2枚目はトラン出土の塼仏で通称「大型」と呼ばれる型です。上段中央に法輪、下の縁部分には仏塔がデザインされており、裏面には古代文字 Ye Dharmaが刻まれています。これらは「小型」や「中型」にはありません。欠損はありますが貴重な型でケースに入れて保管しています。写真3枚目は前記事同様に発掘地近くの展示室で保管されているものすが、左側が「大型」で右側は前記事で紹介した「中型」です。写真4枚目は毎度おなじみになった比較写真です。展示保管室の大型(写真3枚目左側)と比べたものですが同型と分かります。ちなみにこの大型は下の文献にも掲載されています。シュリーヴィジャヤ期の塼仏(トラン県出土)記事の連載はここでいったん完結です。話しは変わりますが奈良国立博物館で開催されている特別展「聖徳太子と法隆寺」に行って来ました。出展物は流石に素晴らしく、また展示品も多くたっぷりと楽しめました。奈良は6..

  • シュリーヴィジャヤ期の塼仏(トラン出土)その5

    写真1枚目の塼仏もトラン在住のコレクターに譲ってもらったものです。写真2枚目は発掘地近くの展示室の保管されているものすが、右側は前記事と同型のもの(小型)、左側は同じ構図ですが右側よりも少しサイズの大きい型(中型)です。写真3、4枚目は(写真2枚目の)左側と写真1枚目の塼仏を比較したものですが、見ての通り同型と分かります。また黒カビが付着した表面の状態も似ている。「大型」という型についても後ほど記事にしたいと思います。 Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Metropolitan Museum of Art Series)作者: Guy, John出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art発売日: 2014/05/06メディア: ハードカバー

  • シュリヴィジャヤ期の塼仏(トラン出土)その4

    写真一枚目はトラン在住のコレクターに譲ってもらったもので、前回記事にした(トラン県フワイヨート郡の洞窟発掘の)塼仏片と同型のものです。写真2、3枚目は前回同様、タラン国立博物館の展示品(左側)と比較したものですが同型と分かります。最後の写真は斜めから撮影したものですが、まるで洞窟内に残る風化した彫刻のようです。年代は8〜9世紀頃のもの。昨年記事にした同型の塼仏もう1点はこちらか見れます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2020-08-22 Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Metropolitan Museum of Art Series)作者: Guy, John出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art発売日: 2014/05/..

  • シュリーヴィジャヤ期の塼仏片(タイ南部)

    久しぶりにシュリーヴィジャヤ期の塼仏(写真1、2枚目)を入手しました。タイ南部出土のものという事で出土地についてははっきりと分かっていないようでしたが材質と型からトラン県出土の塼仏だと思います。写真3枚目と4枚目はタラン国立博物館(プーケット県)に展示されているトラン県の洞窟出土の塼仏と、これら2点を比較してみたものです。型は同じように見えます。また材質感も似ており焼成されていない土製のようです。現物はまだ見ていないので断言は出来ませんがほぼ間違いないと思っています。見ての通り中央の仏陀と右側の菩薩(弥勒菩薩もしくは観音菩薩)部分の残欠で製作年代は8〜9世紀。残欠の為ちょうどお守りのように身につけることが出来るいいサイズです。昨年行ってきたタラン国立博物館の記事のリンクを貼りつけておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2020-08-16 Lost K..

  • 青銅菩薩像 頭部(シュリーヴィジャヤ期 or ドヴァーラヴァティー期)

    コレクションの青銅菩薩像頭部です。今のところ弥勒菩薩(シュリーヴィジャヤ期)だと思います。写真2枚目は米ウォルターズ美術館のコレクションです。記述ではインドラ神かブラフマー神で、7世紀(タイ、ドヴァーラヴァティー期 or シュリーヴィジャヤ期)、石製となっている。写真3枚目はこれら2点を並べて比較してみたものですが顔の輪郭やバランスなどがよく似ており、おそらく近い年代に作られたものだと思っています。 The Sacred Sculpture of Thailand: The Alexander B. Griswold Collection, the Walters Art Gallery出版社/メーカー: Univ of Washington Pr発売日: 1997/12/01メディア: ハードカバー

  • ハリプンチャイ期の塼仏 プラ・バーン(テーサバーン出土)

    ランプーン県出土のプラクルアンといえばおそらくプラ・コンが最も有名ですが、こちらのプラ名はプラ・バーン(テーサバーン出土)、同じくランプーン県で発見されたものです出土地は異なります。大きさはプラ・コンとほぼ同じ(指の第一関節より少し長い)ですが厚さは薄め、年代はほぼ同時期(12〜13世紀)ごろのものです。20年ほど前に入手したものでこの様にお顔が残っているものは(現在では価格が上がり)なかなか入手出来なくなりました。このような小さなお守りでも流石は本物、ハリプンチャイ美術の迫力がありますね。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー

  • ドヴァーラヴァティー期の塼仏片 ラクシュミー

    久しぶりに博物館級の塼仏を入手しました。まだ実物は拝めていませんがヒンズー神ラクシュミーの上半身部分だと思います。頭部の形状や縁の装飾等もとても興味深く、これはかなり貴重な塼仏片です。年代的にはインド美術の影響を受けた東南アジア美術初期 7〜8世紀頃のもの。今回も逃さず入手出来て本当に良かった。 Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Metropolitan Museum of Art Series)作者: Guy, John出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art発売日: 2014/05/06メディア: ハードカバー

  • クメール王朝 青銅女神像頭部(ブリラム県出土)

    タイ ブリラム県で出土したクメール王朝時代の青銅製頭部です。緑青が美しく造りも繊細です。年代的には顔の様式からスーリヤヴァルマン2世の時代(12世紀)のものだと思います。文献で調べてみるとこの像は女性の像でYogini(ヨギーニ)(写真5枚目)ではないかと思います。写真のように後頭部を比較した写真(写真7枚目)もそっくりです。発掘した方がケースを作って大事にしていましたが何とか譲って貰うことが出来ました。顔も可愛く宝物として大切にして行きます。 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー

  • ナードゥン出土 大型の塼仏(マハーサラカム県)

    写真1、5枚目はマハーサラカム県ナードゥン出土の土製の塼仏(ドヴァーラヴァティー期 9世紀頃)です。仏暦2522年に初めて発見されたもので仏暦2555年にも大規模な発掘が行われています。こちらは2522年に出土したものです。20年近く前に手に入れたもので貴重で状態が良く現在では当時の10倍ぐらいの価値があると思います。入手した後に発刊された出土仏(タイ東北部)の文献にも掲載(写真2〜4枚)されています。参考に昨年行って来たナードゥンの記事を貼りつけておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2020-08-02 The Roots of Thai Art出版社/メーカー: River Books発売日: 2012/08/16メディア: ハードカバー

  • 銀製ランチャーン仏(お守りサイズ)タートパノム出土

    写真1、2枚目は最近手に入れたプラクルアンサイズのランチャーン仏(銀製)です。タイ東北部ナコンパノム県の仏塔タートパノムで発見されたものの1つです。写真3〜5枚目はタートパノム敷地内にある博物館の写真ですが付近で発見された数多くの青銅仏が展示されています。写真6枚目はその1点と並べて比較したものです。銀製仏(右側)はわずか2センチほどのものですがサイズのある左側の青銅仏同様、ランチャーン様式を色濃く残した表情なっているのが分かりますでしょうか。年代はランチャーン末期17〜18世紀初めのものです。タート・パノムとラオス側の仏塔タート・インハンの以前の記事を貼りつけておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2015-04-14 Lao Buddha: The Image and Its History作者: Lopetcharat, Somkiart出版社..

  • 漆喰製の仏像頭部 ドヴァーラヴァティー期 or スコータイ時代?

    写真1〜3枚目は15年程前にドヴァーラヴァティー期のものとして手に入れた漆喰製(スタッコ製)の仏像頭部です。かなり磨耗しており残っている顔の美術様式や材質で年代を特定することになるが、写真4、5枚目のマハーウィラウォン国立博物館に展示されている大型の石像(ドヴァーラヴァティー期 9世紀)の頭部と比較してみた写真(写真6枚目)からもかなり様式が近いように見えます。しかし写真7枚目の文献写真(スコータイ時代の漆喰製の仏像頭部、13世紀後期〜14世紀)と比較してもかなり似ており、またレリーフではなく後頭部がある点からもスコータイ初期もしくはロッブリー末期〜アユタヤ初期頃のものの可能性もあり、今後も要追究な頭部ですが材質も雰囲気も良く気に入っている。 The Sacred Sculpture of Thailand: The Alexander B. Griswold Collection, t..

  • 虎のお守り(ブロンズ製)

    こちらは数年前に日本で手に入れたブロンズ製の虎のお守りです。調べてみるとペッブリー県ワット・カオクリン寺の高僧ルアンポー・コン(仏暦2466-2562年、6枚目)のお守りでした。写真5枚目は参考写真ですが発行後はこのような袋に入っていたようです。仏暦2551年にナワ製499個、ブロンズ製999個と少量発行されたもので初代コイン型のお守りと共に人気の高いお守りになっています。可愛さとカッコよさからもうなずけます。タイに持ち帰って写真撮影後にプラスチックケースに入れて一昨年にカンボジア、ベトナム、ラオスを回った時に身に付けて行きました。少し早いですが来年2022年の干支(寅年)のお守りでもあります。

  • ランナーのお守り布 牛(丑)

    最近入手した北部タイ(ランナー)のお守り布(パーヤン)です。今年の干支の牛(丑)が墨で手書きされています。現物はまだ見れていませんが年代はおそらく仏暦2500年頃かそれ以前のものだと思います。とても雰囲気のあるパーヤンで御利益は悪霊(幽霊)除けです。 Tai Magic: Arts of the Supernatural in the Shan States and Lan Na作者: Conway, Susan出版社/メーカー: River Books発売日: 2014/12/30メディア: ハードカバー

  • ラオス木製仏

    久しぶりにラオス木製仏の記事です。ラオスの仏像はラオス国内では当然寺院で見られますが、ビエンチャン市内では外国人観光客が主に行く(博物館の位置付けの)ホーパケオ寺院、シーサケット寺院、ルアンパバーンでは王宮博物館は内部の写真撮影は出来ませんので撮りたい派の私としては我慢が必要です。その点、現在のタイはほとんどの博物館で写真撮影OK(フラッシュ禁止)なのは非常にありがたい事です。タイ国内でもタイ東北部に行けばラオス(ランチャーン)美術を見ることが出来ます。コンケン国立博物館、ウボンラチャタニ国立博物館はもちろんですが、やはりラオスの首都ビエンチャンからメコン川対岸のタイ、ノンカーイ県の寺院ではランチャーン様式の素晴らしい青銅仏が拝めます。タイ東北部の聖地、仏塔タートパノム(ナコンパノム県)敷地内にある博物館でもランチャーン様式の青銅仏がかなり展示されています。青銅仏が話のメインになりましたが..

  • プレアンコール vs 飛鳥(祝!ブログ開設15周年)

    左はプレ・アンコール期 アンコール・ボレイ様式(6世紀後半〜7世紀初め)の青銅仏、右は国宝の百済観音(飛鳥時代、7世紀前半〜中期)です。地域もサイズ(高さ:約11センチと約209センチ)も異なりますがほぼ同時期の作品でスタイル(姿勢)や笑みを浮かべた口元(アルカイックスマイル)等、類似する様式があり非常に興味深い。関連する以前の記事を添付しておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2018-04-09<お知らせ>ブログ開設15周年を記念して本日から1週間(2月3日〜9日)ヤフオク【プラ屋】で出品している仏像等を15%引き(本は10%引き)に致します。ただし直取になりますのでメール k9271@yahoo.co.jpまで直接ご連絡下さい。 Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast ..

  • プレアンコール期 菩薩像残欠 足

    プレアンコール期の菩薩像の足と思われる貴重な残欠を入手した。サイズは結構大き目でプレアンコール期の特徴の1つ台座のないソリッド(青銅)の足です。ナコンラチャシマ県出土で隣県ブリラム県プラコンチャイ様式の青銅菩薩像に近いものだと思います。年代は8世紀ごろ、後日文献に掲載されている資料を追加したいと思います。以前の関連記事を貼り付けておきます。https://thaiart.blog.ss-blog.jp/2019-07-21 Lost Kingdoms: Hindu-Buddhist Sculpture of Early Southeast Asia (Metropolitan Museum of Art Series)作者: Guy, John出版社/メーカー: Metropolitan Museum of Art発売日: 2014/05/06メディア: ハードカバー

  • シャン青銅 プラ・ウパクット

    シャン(タイヤイ)様式のウパクット仏です。青銅表面の緑青は磨かれておりピカピカのブロンズで分厚くてとてもいい材質です。年代は18〜19世紀、シャン美術からマンダレー美術にかけてのものです。希少なお守りサイズなのでいつか銀ケースに入れたいと思っています。実物はまだ拝めていませんが、、。

  • プラチャオ・トンルアン仏(パヤオ県シーコームカム寺院)

    写真1、4枚目は現在のプラチャオ・トンルアン仏です。昨年(仏暦2563年)12月5日(ラーマ9世生誕日)から写真の衣装を身につけました。写真2枚目は衣装作製時の様子です。その下写真3枚目の白黒写真は仏暦2501年3月13日にラーマ9世夫妻がシーコームカム寺院に来られた時のものです。衣装の模様が少し似ていますね。このような衣装を身につけることは稀でおそらく数十年ぶりではないかと思います。このタイミングで寺院を参拝出来る方は本当にラッキーですね。

  • ほとけと神々大集合(龍谷ミュージアム)

    先日、龍谷ミュージアムで開催されている企画展「ほとけと神々大集合 ―岡山・宗教美術の名宝―」を見に行ってきました。内容も素晴らしくとても勉強になりました。内部の写真撮影は不可ですので図録の写真を2点(写真2、3枚目)掲載させていただきます。2点とも岡山県指定重要文化財で今回の企画展メインの展示品です。上が木造 宝冠阿弥陀如来坐像(鎌倉時代、西暦1329年)、下が木造 男神坐像(平安時代後期、10〜11世紀)です。その下の写真4、5枚目は上記2点と同時期ごろの東南アジア仏を並べて比較してみたものです。まず1つ目は阿弥陀如来像の頭部との比較ですが以前入手したテラコッタ製頭部(ランカー初期?、13〜15世紀?)を並べてみました。企画展の記述には「髻(もとどり)を高く結い上げ宝冠を着け、、、結跏趺坐する。はっきりと弧を刻む眉など凛々しい表情である」と書かれていますが、美術様式が共通しているように思..

  • シャン美術 仏陀ストーリー 涅槃

    仏陀ストーリーシリーズの涅槃仏を入手しました。ナーガ上に釈迦が横たわる珍しいタイプで迫力ある造形です。以前記事にした生老病死と同時に出土した同セットのもので緑青も塗金もいい感じです。 Burmese Buddhist Sculpture: Johan Moyer Collection作者: Karow, Otto出版社/メーカー: White Lotus Co Ltd発売日: 1995/02/01メディア: ペーパーバック

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