村上春樹『ねじまき鳥クロニクル 第3部 鳥刺し男編』

勝手に評価（☆☆☆☆★） 著者の「あの」長編を想起させる作品でした。 だからといって新鮮味がないわけでは決してありません。 この作品独自の思索に富んだ傑作でした。 『1Q84』が文芸界の話題を独占しているのに、 なぜ今『ねじまき鳥クロニクル』なのでしょうか。 それは某有名新古書店において、 1冊百五円で投売りされていたからです。 大した理由はありません。 ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)作者: 村上 春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1997/09メディア: 文庫

村上春樹『ねじまき鳥クロニクル 第2部 予言する鳥編』

勝手に評価（第3部読了後） 『泥棒かささぎ編』が文芸雑誌『新潮』において 1992年10月号から1993年8月号にかけて連載されたのに対して、 『予言する鳥編』は書き下ろしです。 最新長編『1Q84』が、昨日発売になりました。 ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)作者: 村上 春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1997/09メディア: 文庫

村上春樹『ねじまき鳥クロニクル 第1部 泥棒かささぎ編』

朝、FM放送にあわせて『泥棒かささぎ』の序曲を口笛で吹きながら スパゲティーをゆでていると、知らない女から電話がかかってきた。 勝手に評価（第3部読了後） ものすごく、梗概の書きづらい小説ですね。良い意味で。 ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)作者: 村上 春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1997/09メディア: 文庫

映画『天使と悪魔』

コンクラーベが行われるヴァチカンで、 400年前に弾圧されたイルミナティが復讐を始める。 彼らの凶行を阻止するため、ヴァチカンは ハーバード大学のラングドン教授に助けを求める。 勝手に評価（☆☆☆★★） ダン・ブラウンの同名小説の映画化です。 2006年公開の映画『ダ・ヴィンチ・コード』の続編となります。 原作の時系列とは逆転しているようですが。 ぎゅうぎゅうに詰め込まれています。 固有名詞が連発しますが、 そういうものだと思えば雰囲気が出て面白いです。 原作が読んでみたくなりましたね。 天使と悪魔 (上) (角川文庫)作者: ダン・ブラウン出版社/..

三雲岳斗『アスラクライン9 KLEIN Re-MIX』

機巧魔神の秘密を聞き出すため、 智春たちは操緒の姉・水無神環緒を捜す。 勝手に評価（☆☆☆★★） シリーズ史上（たぶん）最大のボリュームです。 連作短編形式のお話と、おまけの短編も収録されています。 本作では智春のある才能（？）が開花します。 アスラクライン〈9〉KLEIN Re‐MIX (電撃文庫)作者: 三雲 岳斗出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2007/12/10メディア: 文庫

三雲岳斗『アスラクライン8 真夏の夜のナイトメア』

智春たちはアルバイトのために海辺のペンションにやって来た。 自らの恋の成就のため樋口は智春と奏の仲を進展させようと企む。 そして加賀篝隆也を追っていたアニアたちは、 偶然にも彼らと同じ海辺の街へと訪れていた。 勝手に評価（☆☆☆★★） 高校生達が哀しみを抱えすぎてます。 そして、みんな強すぎます。 智春たちは、どこに向かっていくのでしょう。 アスラクライン〈8〉真夏の夜のナイトメア (電撃文庫)作者: 三雲 岳斗出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2007/08メディア: 文庫

三雲岳斗『アスラクライン7 凍えて眠れ』

新たな機巧魔神用プラグインを巡り、 智春たちは加賀篝隆也と再び対峙することになる。 勝手に評価（☆☆☆☆★） アニメも絶好調の『アスラクライン』シリーズ第7弾です。 デビュー作『コールド・ゲヘナ』もアニメ化の話はありましたが、 大人の事情で立ち消えになってしまいました。 ですので著者初のアニメ化になります。 『ランブルフィッシュ』シリーズもアニメ化してほしいですね。 アスラクライン〈7〉凍えて眠れ (電撃文庫)作者: 三雲 岳斗出版社/メーカー: メディアワークス発売日: 2007/05メディア: 文庫

森雅裕『会津斬鉄風』

会津に逗留していた刀装金工・河野春明は、 彼の作とされる二枚の鐔を続けて目の当たりにする。 真贋の鑑定を依頼されるが、それらは瓜二つで……。 勝手に評価（☆☆☆☆★） 幕末を描いた、表題作を含む五編からなる連作短編集です。 河野春明から和泉守兼定、佐川官兵衛、お吉、土方歳三へと、 バトンを繋ぐように物語が連鎖していきます。 激動の時代に取り残されていくのではなく、 自分の信念に基づいて生きていく人々の粋なお話です。 会津斬鉄風作者: 森 雅裕出版社/メーカー: 集英社発売日: 1996/12メディア: 単行本

レイモンド・チャンドラー『湖中の女』

私立探偵フィリップ・マーロウは、 化粧品会社社長キングズリーから依頼を受け、 1ヶ月前に別荘から失踪した彼の妻の行方を追う。 マーロウはサンバーナディオの湖の別荘に赴くが、 そこで彼と湖の管理人が目にしたのは……。 勝手に評価（☆☆☆☆★） チャンドラーの長編第4作です。 清水俊二訳で読みました。 『The Lady in the Lake』には、 すでにポケミス版で田中小実昌訳がありましたが、 文庫化に際して清水俊二が訳しました。 といっても二十年以上前になりますが。 本作は短編「The Lady in the Lake」と 「Bay City Blues」..

中谷巌『資本主義はなぜ自壊したのか―「日本」再生への提言』

広がる所得格差、止めどない環境破壊の原因は、 アメリカ主導の「グローバル資本主義」にあった。 「新自由主義」の旗手であった著者による懺悔の書。 勝手に評価（☆☆☆☆★） 本書を読んで思い出したのが、 先日読んだ『村上朝日堂 はいほー！』の、 「スコット・フィッツジェラルドと財テク」です。 言葉は違えどポランニーに関する言及と共通する部分がある気がします。 by Seesaa資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生..￥

村上春樹『村上朝日堂 はいほー！』

続けざまに村上春樹のエッセィです。 勝手に評価（☆☆☆☆☆） その中の「日本長期信用銀行のカルチャー・ショック」で、 「ノン・フィクションというのは原理的に 現実をフィクショナイズすること（P47）」 と村上春樹は言及しています。 エッセィはノン・フィクションであり、 「『うさぎ亭』主人」や「ささやかな時計の死」は、 その良い例だと思います。 特に「ささやかな時計の死」が好きです。 上質な短編小説にも負けてません。 フィクションとか、ノン・フィクションとか、 そんな小さなことに拘っちゃいけませんね。 by Seesaa村上朝日堂はいほー! (新潮文庫)￥

村上春樹／文 大橋歩／画『村上ラヂオ』

村上春樹による少し不思議な50のエッセィ。 勝手に評価（☆☆☆☆★） 「本の雪崩で埋もれたい」（←このブログのことです）で、 エッセィを取り上げるのは初めてになります。 そもそも、あんまりエッセィは読みません。 読書傾向は圧倒的に小説に偏っていますし、 好きな小説家のエッセィにもあまり手をつけません。 小説家による小説至上主義なんです。 でも良い加減、村上春樹の小説も尽きてきて、 遂に読んでみました。 これが凄く面白い。 食わず嫌いはいけませんね。 by Seesaa村上ラヂオ (新潮文庫)￥

2009年本屋大賞（結果発表）

今年度の本屋大賞受賞作は……、 『告白』 著／湊かなえ（双葉社） ガーン……。 予想は大ハズレでした。 個人的に一押しの『新世界より』は、 ……なんと6位！ あれー。 なんか『テンペスト』よりも下位だし。 『テンペスト』は上巻で止まってます。 未だ入り込めずにいます。 もう少し進めば乗ってくるのかもしれません。 2008年大賞受賞者の伊坂幸太郎から、 本年度受賞者の湊かなえへ花束贈呈がありました。 これは恒例になっていますね。 しかし、伊坂自身がノミネートされていましたから、 それどころじゃなかったんじゃないでしょうか。 2年連続受..

レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』

私立探偵フィリップ・マーロウは、 〈ダンサーズ〉のテラスで、 酔いつぶれたテリー･レノックスと出会う。 テリーは富豪の娘シルヴィアと再婚した。 マーロウとテリーは幾度か杯を重ねる。 しかし、テリーは妻殺しの容疑をかけられ、 逃亡先で自殺をしてしまう。 アメリカ探偵作家クラブ (MWA)賞最優秀長篇賞受賞作。 勝手に評価（☆☆☆☆☆） 清水俊二訳『長いお別れ』として親しまれてきた名作の、 村上春樹による新訳です。 新訳による本文もボリューム満点ですが、 訳者による解説でお腹いっぱい間違いなしです。 『長いお別れ』で既読でも、新鮮です。 新書サイズの軽装版にもな..

2009年本屋大賞（予想編）

『新世界より（上下）』 著／貴志祐介（講談社） 受賞作はコレに決まりっ！ ……予想というより、ただの好みです。 ホントの発表は4月6日です。