俺は大学の講義が嫌いだ。法学部なんかにしたのは間違いだったかもしれないと、今更ながら思う。法律っていうものは、既に作られたものを、誰か偉い学者が解釈して、それ…
黙りこくっていた俺達のテーブルに、平さんがやってきた。「お客さん、終電の時間ですよ。」にっこりと笑いかけながら、平さんは伝票を置いてカウンターに戻った。時計を…
「それで?なんでそれがお前が殺したことになってんだ?」俺は妙に落ち着いていた。大学の刑法の講義ではしょっちゅう耳にするような話だが、身近で誰かが死ぬという話は…
シーガルには俺と薫の他には、テーブル席に2組のカップルが座っていただけだ。店は新宿のわりにそこそこ広かったが店員は平さんだけ。たまにヘルプにバイトと思われるス…
電話を切ってから、俺は改めて歌舞伎町の方へと向かって歩いた。シーガルは、俺と薫がよくいくショットバーである。大学生の身分でこんなところに出入りするのはどうかと…
ちょっとした行き違いが増えてきたのはわかっていた。講義、バイト、サークル。大学生は忙しいのだ。お互いに距離は離れていたわけでもないのに、心はどんどん離れていっ…
「あはは! 颯太くんって面白いねぇ!」「な?こいつマジでうけるんだよ。」俺は新宿歌舞伎町のとある雑居ビルで、いわゆるコンパというものに出ていた。もう20歳を過…
俺の東京行きが決まったとき、両親も一緒に喜んでくれた。だが、その表情には何かよくわからないものが浮かんでいる。当時の俺は、思ったことは何だってすぐ口にしてしま…
第一章 薫自分が特別な人間だと感じたことはあるだろうか。自分は他人よりも幸せな家庭に育った。不幸な環境にある。そんな風に感じたことはあるだろうか。普通の人より…
「ブログリーダー」を活用して、りんさんをフォローしませんか?