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  • 最終回

    ヒロムはおじいさんが去って行った方向を見た。 ぼた餅がひとつ転がっている。 近づいて見ると、ぼた餅は半分に砕け中から小石がのぞいていた。 ヒロムはアッと声を上げた。 二…

  • その18

    おじいさんのお墓の前まで来た。 おじいさんの墓石は磨かれているように綺麗だ。 トシヤンは、ヒロムから紙箱を取り上げると蓋を取ってお墓にお供えした。 トシヤンが両手を合わせ…

  • その17

    山道が急に狭くなった。 地図を見るとまたナオボウが道を間違えていた。引き返して進むとまた間違えたりして、ヒロムらは山の中腹をグルグル回っているような感じだった。 さすがに…

  • その16

    だが、ヒロムの足取りは重たい。 後ろのナオボウを見ると口を歪めて今にも泣きそうな顔だ。 「なあ幽霊ってほんまにおるんかなあ」 ヒロムは前を歩くトシヤンに恐る恐る訊いてみた…

  • その15

    「だからなぼくらあ止めとき」 背の高い女の子が、笑いすぎて涙を指で拭いながら言った。 「でもな、ぼくらあおばあちやんに言われてどうしてもお墓に行かなあかんのや」 ヒロムは泣き…

  • その14

    「あれ、おじいちゃんどこいったんかな」 と言うと、女の子はまたヒロムらの方を向いた。 「あんたらどこ行ってるんよ?」 別の女の子が訊いた。 「この上のお墓」 ヒロムが答えた。…

  • その13

    竹林に差し掛かった所で人の声がした。 道から身を乗り出してみると、数人の人影が見える 向こうも気がついてこちらを見上げていた。六年の女子だ。 三人ともクワを持っている。 …

  • その12

    「あいつらいつかこてんぱんにやっつけてやるわ」 回復したトシヤンが拳を振りながら立ち上がった。さっきの弱さが嘘のようだ。 トシヤンはまたもとの頼もしい顔のトシヤンに戻ってい…

  • その11

    見ると、一人の肩には親ザルが、もう一人の肩には小ザルが飛び乗っている。 二人は、歯をむき出したサルに顔を引っ掻かれていた。 さっきの親子ザルだ。 ぎゃーっ! 悲鳴を上げな…

  • その10

    「その箱なんだよ」 二人組はヒロムが大事そうに持つ紙箱に目を付けた。 「なんでも〜ないです〜」 トシヤンがか細く言う。 二人組はお構いなしにヒロムに近寄って紙箱を取ろうとし…

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