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活字中毒者地獄のりす蔵 https://risuji.hatenablog.jp/

本を読まずにはいられない。本を読む時間は、通勤電車の中だけ。もだえ苦しみながらの読書生活。

りすじぃ
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2008/08/23

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  • メタ思考トレーニング/細谷功

    『メタ思考トレーニング』を読んだよ。応用範囲広し。細谷功氏の著作は2冊め。前回の『「無理」の構造』は世の中の理不尽を考えるものだったけど、視点としては「バカの壁」。だから、バカの壁を超えるには、発想の転換や視点を変える必要がある。その視点の変え方で有用なのが、「メタ思考」。本書はそのメタ思考について、その獲得の仕方を解説する。とは言っても、「バカの壁」を超えるのは土台無理なんだと思うけど。まずは、そのメタ思考について。要は、様々な物事を「一つ上の視点から」考えてみることが重要だ、というのが本書で伝えたいメッセージです。とあっさり解説。俯瞰的に物事を見渡すとかと同じこと。これはよく言われることな…

  • わたし、定時で帰ります。/朱野帰子

    『わたし、定時で帰ります。』を読んだよ。タスクと品質の管理。これも、AmazonのPrime Readingから選書。気になっていた本が出ているのを見つけると得した気分になるよね。いや、それこそがAmazonの戦術なのかもしれないけど、今後も利用しない手はないよね。で、本書はいわゆる「お仕事小説」の部類。主人公は30代なかばの女子。会社はWeb制作会社っぽい。だから、ちょっとIT系が入っているので、基本的にはキツイ仕事のイメージ。 でも、この女子は定時退社を貫く。それは、定時で帰らないとハッピーアワーに間に合わなから。それはそれで正当な理由だよね。でも、周りがそれに付いていかない。休まないのが…

  • 神様のカルテ/夏川草介

    『神様のカルテ』を読んだよ。細君がいい。これも長らくの積ん読本。多分、シリーズの初巻だからセールをしていたのだと思う。映画も公開されていたので、それで知っていたということもあったし。物語の舞台は信州松本。そして、24時間365日体制を謳っている一般の病院。そこに勤務する医師、看護師の勤務は過酷だ。いや、そういうリアルな話ではなく、そのような環境下における人間ドラマがこの物語の本質。 主人公はその病院に勤務する医師。そして、その妻。当然ながら、その病院の同僚の多数を巻き込みながら、物語は進む。夫婦の住む下宿?の住人も事件を起こす。さらには、患者と医師のドラマ。なんとなく森見登美彦に近い感じもしな…

  • 女性の品格/坂東眞理子

    『女性の品格』を読んだよ。男子も同じ。以前から読みたい本リストに入っていた本書。この度めでたくAmazonのPrime Readingに登場したので、他の積ん読本を差し置いて、読んでみる。読みたい本リストに入れた当時、「品格」がテーマの本が流行っていたような気がする。『国家の品格』とか。筆者は、昭和女子大学前学長の坂東眞理子氏。現在は、理事長・総長になっているみたい。では、「女性の品格」とは何だろうか。冒頭では、この本は女性の品格について書いたつもりでしたが、結果として、人間の品格とは何か、品格ある生き方とは何かについて考えざるをえませんでした。ということ。女性である前に、人間としてどうなんだ…

  • Airbnb Story/リー・ギャラガー

    『Airbnb Story』を読んだよ。旅という概念を考え直す。いわゆるシェアビジネスという単語が巷で話題になっていた頃、その代表格として取り上げられていたのが、UberとこのAirbnb。読み方が難しいなと思っていたけど、2つのBはBreakfastとBedのことだと本書で知る。これで、この企業の意図することに納得。日本ではどちらかというとUberの方が先行していて、特にUber eatsでその存在が顕在化した感じ。特にこのコロナ禍での「おうちで」モードでは、有効だったかもね。おっと、Airbnbの話だった。そのAirbnbは、「世界中を居場所にする」それがエアビーアンドビーのミッションで、…

  • 若草物語/L・M・オルコット,吉田勝江

    『若草物語』を読んだよ。子供の頃に読んでいたら…。児童文学というカテゴリの作品ってほとんど読んでいないけど、この歳になって読むのもどうかとは思うけど、人生は短しで読まないで終わるのも勿体ないような気がするということで本書。いや、正直に言うと、本書を原作とした映画を見ようかと思っていたので、その雰囲気とか背景を知りたかったというのもある。19世紀後半のアメリカを舞台とした四人姉妹の物語。しかも、ある都市の1年間の出来事。クリスマスで始まって、クリスマスで終わるから。四人姉妹といっても、全員が十代。一般的に多感と言われている時期なので、その思いは複雑。それぞれに役割があり、細々とした仕事をしなくて…

  • 限界費用ゼロ社会/ジェレミー・リフキン

    『限界費用ゼロ社会』を読んだよ。コストをどこに掛けるか。モノのインターネットといえばIoTというわけで、IoTビジネスとか今後の展望を期待して手に取った本書だけど、それよりもさらにスケールの大きな話だった。期待外れというわけではなく、別の視点を得ることができたという感じ。副題は「<モノのインターネット>と共有型経済の台頭」。だから、主題は後者の「共有型経済の台頭」ということになる。「台頭」というより、「転換」と言ってしまったほうがよいような…。本書はその主題をひたすら語り続けるといった感じ。途中で飽きてくるけれども。では、IoT、限界費用ゼロ、共有型経済はどのように結びついているのか。本書の説…

  • 話を聞かない男、地図が読めない女/アラン・ピーズ,バーバラ・ピーズ

    『話を聞かない男、地図が読めない女』を読んだよ。男女は違うことが前提で。以前に日本でも話題になり、200万部も売れたという本書。うん、確かにそんな記憶が…。で、今回はprime readingでの読書。このprime reading、たまに本書のような読み損ねた昔のベストセラーが出ているので、定期的にチェックする必要があるよね。さて、本書。基本的にはタイトル通りなんだけど、これにはそれ以上の内容を包含する。ひとつは、「話を聞かない」、「地図が読めない」はネガティブ要因だけど、当然ながらポジティブな要因が存在し、それが説明されていないということ。だから、ネガティブには目をつぶり、ポジティブを意識…

  • 陰の季節/横山秀夫

    『陰の季節』を読んだよ。D県警って何県?『クライマーズ・ハイ』から気になっていた横山秀夫。その次は「D県警シリーズ」の長編の『64(ロクヨン)』で、今回はその「D県警シリーズ」の短編集。その代表作といってもいいのかも。 そして、『64(ロクヨン)』と同じく、刑事が主役ではなく、警察で働く人たちが主人公なのがこのシリーズの特徴だよね。本書の4編の主役の仕事は、人事担当、監察官、婦警、議会対策と様々。それぞれが警察内部の根深い課題に巻き込まれていく。そして、そのどれもが警察内部の不祥事と関わっている。だから、『事故』──。警察職員の不祥事はすべてそう呼ばれる。という表現が使われているよ。なんだか、…

  • 点と線/松本清張

    『点と線』を読んだよ。最後が駆け足?時刻表ミステリーと言えば、自分的には『準急ながら』なんだけど、一般的に知られているのはこの小説。確かに『点と線』から『準急ながら』を知ったということもあるので、やっぱりこちらが金字塔なんだよね。以前に本書を読んだのは30年以上の前のこと。おおよそのストーリーは分かっていたけど、最後の落ちが駆け足っぽい。前半がかなりゆったりペースだったこともあり、余計にそう感じるのかな…。そして、本書の特徴は時刻表。旅の道具として必要不可欠なものだけど、今でもあの分厚い時刻表を趣味としている人はたくさんいるんだろうね。数字を読んで、鉄道の運行を想像する。現地の風景をイメージす…

  • 間宮林蔵/吉村昭

    『間宮林蔵』を読んだよ。伊能忠敬の次世代。間宮林蔵といえば間宮海峡と日本史か地理で習ったはず。でも、それだけ。間宮海峡がどこにあるのか、それが地理的、歴史的、社会的にどういう意味を持つのかということは、まったく知らずに。あっ、地理的には分かっているつもりだったけど。で、本書はその間宮林蔵の生涯を描く歴史小説。小説ではあるけれども、吉村昭氏が史料に基づいて、さらに解釈と想像を加えて書かれているよ。形式的にはっきり分かれているわけではないけれども、構成的には二部構成という感じ。前半は樺太探査の話。後半はその後の隠密活動といったところか。林蔵の活動もガラリと変わるし、最後の方は考え方も変わってくる。…

  • 定本 バブリング創世記/筒井康隆

    『定本 バブリング創世記』を読んだよ。たまに読みたくなる。コロナ禍の読書は積ん読Kindle本をせっせと片付けているんだけど、たまには志向を変えたくなって、今回はAmazon Prime Readingからの選択。おっこれは!という本がたまに出ているわけで、今回はその中からこれ。筒井康隆の短編集。相変わらずというか、嬉しいほどにというか、まさに奇想天外。普段の感覚では味わえないような体験が読書でできるのが、また楽しいといったところか。では、その奇想天外ぶりはいかに。 まずは、表題作の「バブリング創世記」。ドンドンはドンドコの父なり。ドンドンの子ドンドコ、ドンドコドンを生み、ドンドコドン、ドコド…

  • 彼のオートバイ、彼女の島/片岡義男

    『彼のオートバイ、彼女の島』を読んだよ。昭和の香り。自分が子供の頃、本屋に行くと文庫本のコーナーは片岡義男を本で溢れていたことがあったっけ。そう、角川映画の全盛時代。次から次へと話題作が作られて、本と映画が売れまくっていたんだと思う。そんな中の作品の一つが本書。小説が1977年、映画が1986年。古いといえば古いけど、逆に懐かしさもありといった感じか。タイトル通り、彼と彼女の物語。もうひとりの主役はオートバイ。カワサキ650とヤマハ250。そして、舞台は長野の別所温泉から始まって、東京に移り、瀬戸内海の島まで。別所温泉は高原の夏。東京は秋から冬。そして、島では夏に戻ってくる。では、どんなところ…

  • 零戦/堀越二郎

    『零戦』を読んだよ。日本人、そして技術者魂。『零式戦闘機』(柳田邦男著)を読んだ際に、本書の存在を知る。そう、零戦を開発したご本人の著書。だから、内容的にはほとんど同じと言ってもいいくらい。その差があるとすれば、開発者ご当人の心情という点。特に、あの戦争に対する思いと零戦の評価に対するリアクション。特に、前者は柳田の著作とは違うかな。ただ、どこまで正直に語っているか、あるいはオブラートに包んだ表現もあるような気がするけど。では、ご当人はどのように語っているか。 まずは、零戦とは何かについて。当時の世界の技術の潮流に乗ることだけに終始せず、世界の中の日本の国情をよく考えて、独特の考え方、哲学のも…

  • インド旅行記1 北インド編/中谷美紀

    『インド旅行記1 北インド編』を読んだよ。女優の中谷美紀のインドの旅エッセイ。シリーズものになっていて、本書はその1北インド編。自分はインドの地理が頭に中にないのでイメージでしか言えないけど、ニューデリーの周辺からチベットの麓までの辺りだろうか。それにしても、女一人旅でなぜインド?という気がするけど、そもそもは「本場でヨガ体験」ということ。映画の撮影が終わり、疲弊していたという背景もあったみたい。女優とは精魂共に尽き果てる職業なのか…。そして、実際のインドで強力な異文化体験。食べ物、風習、生活、文化といろいろあるけど、結局は人間が定めたカーストという制度によって、人間の価値まで定められてはたま…

  • 有頂天家族/森見登美彦

    『有頂天家族』を読んだよ。京都の街が想像しながら。タイトルからはそもそも主人公が狸だとは思えないけど、本当に狸。でも、登場するのは狸だけではなく、天狗だったり、蛙だったり、一応、人間も。 ホントは全員が狸なんじゃないかと思う。 京都の街にはこんな感じで狸が生活しているのかと想像するだけでも楽しめるかもしれないね。物語は下鴨家という狸の一家を中心に展開する。両親のもとに4人の男兄弟。それぞれに特徴があり、それに相応しい活躍をする。その下鴨家に哲学は「阿呆であること」。「そりゃ、おまえ、阿呆の血のしからしむるところさ」と次兄は笑った。とか、我らの父も、その父も、そのまた父も、下鴨家の狸たちは代々そ…

  • 戦地の図書館/モリー・グプティル・マニング

    『戦地の図書館』を読んだよ。読書の力。最近、kindle積読本を一気に読み進めているのもコロナのせい。いいんだか悪いんだが分からんが、読書が続けられるのは嬉しい。という訳でもないけど、今回は本の本。本書を購入したきっかけはすでに記憶の彼方だが、もしかしたら、『夢見る帝国図書館』の流れだったかもしれない。副題は「海を越えた一億四千万冊」。時は第二次世界大戦。戦争に出ていった兵士の為に、多くの本を供給し、それによってどのような成果があったのかというアメリカのドキュメンタリー。ドイツが行った焚書とは全く逆の施策なわけで、その対比として語られていることにも注目したいね。この「海を越えた一億四千万冊」と…

  • 東京の自然史/貝塚爽平

    『東京の自然史』を読んだよ。住む場所選びにも。自然史というタイトルだけれども、もっと狭義の意味ではほとんど地学。タモリもバイブルにしているとかいう噂の本なので、それなりに信頼性も高く、読まれている本なのだと思う。第一版が発行されたのが1964年で、本書は増補第二版。それでも1979年だから、相当に古いのは事実。でも、地学的な時間軸では一瞬以下のことだから、内容的に古くなることはないよね。では、その自然史とはどのような内容なのか。最初はその地形。タクシーの運転手から、東京の地理に通じるコツは、下町では橋を、山の手では坂を覚えることだと聞いたことがある。東京には川もありそこには谷がある。谷があると…

  • 火花/又吉直樹

    『火花』を読んだよ。これが純文学か…。ご存知、又吉直樹氏の芥川賞受賞作。なぜか映画を先に見てしまったので、ストーリーは頭に入っていたけど、小説としてもそれなりに面白く読めたかも。映画と原作とは違ってしまうことも多いけど、映画版は原作にほぼほぼ忠実ということも分かったし。いや、大作というわけではないので、忠実に作ることができたと言ったほうが正しいかな…。とことん漫才師であろうとする神谷とその生き方に共感しつつも自分の生き方を探ろうとする僕(徳永)の話。神谷の生き方は一言で言ってしまうと破天荒。でも、それは漫才師であろうとするゆえ。世間や周りがそれについていけないだけとも言えるんだけど。その神谷の…

  • アクロイド殺し/アガサ・クリスティー

    『アクロイド殺し』を読んだよ。殺人のトリックというより…。引き続き「クリスティー文庫」。一応、これで一気買いした3冊は終了。この3冊の中では一番面白かったのが本書。登場人物も多いし、人名と地名の区別が付きにくいのは相変わらずだけど、それを超越する結末。途中までの小難しい推理は最後には吹っ飛んでしまい、どうでもよくなってしまうというか。では、どのような吹っ飛びなのか。一つは真犯人。もう一つは小説としての作りの問題。前者はミステリーなので当然として、後者は小説そのものにも仕掛けを作ったという感じ。これは大胆な挑戦だよね。その仕掛けをここで書きたいけど書けないもどかしさ。あぁ。なので、ちょっとだけ、…

  • 「無理」の構造/細谷功

    『「無理」の構造』を読んだよ。無駄な抵抗はしないこと。初めてのPrime Readingでの読書。Kindle Unlimitedよりも読める本の冊数は少ないけれども、お試し的にはいいかも。たまに本書のように自分のヒットする本が出ていれば、儲けものという感じ。だから、本書をPrime Readingで見つけた時は、今までの積読本は取り敢えず置いておいて、すぐにダウンロードしてみたわけ。前置きが長くなった。本書の副題は「この世の理不尽さを可視化する」。副題の方が内容をよく表しているといういつものパターンは本書も同じ。冒頭で筆者曰く、本書が目指すのはこのような理不尽さのメカニズムを可視化することで…

  • スタイルズ荘の怪事件/アガサ・クリスティー

    『スタイルズ荘の怪事件』を読んだよ。ポアロは人生相談も請け負うらしい。kindle積読本のうち、ポアロものの2冊目。早川書房から出ているクリスティー文庫の1冊だけど、このシリーズを読破するにはどのくらいかかるだろうか…と意味のない心配をする暑い夏。 翻訳ものの難点は、人名がすぐに頭に入ってこないことと、カタカナが人名なのが地名なのかの区別がつきにくいこと。特に人名の場合は、登場人物の人間関係にも関係してくるから、よく把握しておかないと、途中でワケわらなくなり、投げ出したくなることも。 ということで、本書もその例外にもれず、義理の息子とか旧友の娘とかが出てくるので、巻頭の「登場人物」を何度も見直…

  • 64(ロクヨン)/横山秀夫

    『64(ロクヨン)』を読んだよ。警察官も人間だ。『クライマーズ・ハイ』が面白かったので、次の横山秀夫氏の小説として選択したのが本書。もしかしたら、Kindle本でセールしていたものを思わずポチったのかもしれないけど。 主人公は警察官。いや、警察署の広報官と言ったほうが正しい。いわゆる刑事とは違うということが重要。それに警察の仕事は刑事だけでは成り立たないということはよく分かる。ただ、これが警察の内部的な視点でみると、色々と微妙な問題が起きてくるわけで…。 そして、広報官の直接的な対象は各種メディアの人間たち。彼らも絡んでくると三つ巴というわけで、本書の面白さはそこにあるのか?とも。得に主人公は…

  • アメリカの壁/小松左京

    『アメリカの壁』を読んだよ。タイムリーな…。これもKindleの積読本。多分、相当に安かったんだろうと思う。しかも、トランプ氏の就任以前だったはずだし。どうして、ここでいきなりトランプ?ということになるけれども、表題作の『アメリカの壁』はまさにトランプがやろうとしていることが現実化した話だから。そう、アメリカに壁ができて、外界からの移動はもちろん、情報も寸断された世界を描いたもの。おっと、筆者の話が抜けていた。小松左京氏。自分的には『日本沈没』とか『復活の日』とかで懐かしの作家だけど、ここに来て、前述の通り、話題の人となっているわけ。そして、本書はその表題作『アメリカの壁』を含む短編集。197…

  • アンドロイドは電気羊の夢を見るか?/フィリップ・K・ディック

    『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読んだよ。人間=アンドロイド?ハヤカワ文庫の棚に行くと必ずと言っていいほど、表紙を表に向けて並んでいる本書。いわゆる有名どころのSFという位置づけということで、一度は読んでみようかとKindle本で積ん読だったもの。そういえば、このところ積ん読中だったKindle本を手にすることが多い。コロナ禍の影響だね。さて、本書はひと言で言ってしまうと人間とアンドロイドの対決のSF物語。主人公のリックは一応は人間のようなんだけど、途中から登場する人間もアンドロイドも区別が付かなくなってくる感じ。判定テストも今ひとつ信頼性が低い感じもするし。で、区別の基準となるものが…

  • 考えるヒント2/小林秀雄

    『考えるヒント2』を読んだよ。頭の悪さを痛感させられる読書。精神の集中を持って取り組んでいかないと、途中で挫折しそうになる読書は、何度も体験してきているが、今回はまさにその極地。どうやって読み切ったかという記憶が、読了直後に忘却の彼方に飛んでいってしまうほど。 確かに難解なんだけれども、その難解さが微妙。ある一文でも、途中までは分かる分かるとスイスイ読んでいると、読点の先に真っ暗闇が現れるという感じ。 例えば、近代科学は、よく検討された仮説の累積により、客体の合理的制限による分化によって進歩した。とか…。でも、分かった箇所もまったく無かったわけでもなく、以下にいくつかを紹介。世の中は、時をかけ…

  • ファウンデーション/アイザック・アシモフ

    『ファウンデーション』を読んだよ。理解不能。アイザック・アシモフ著のSF小説。雑誌への連載が始まったのが1942年というから日本的には戦時中に書かれたもの。エネルギーとして原子力という言葉が出てくるが、当時の原子力はそれほど一般的ではなかったのだろうと思う。だからこそ、SF的には有効だったんだろうね。しかも、小説の中での原子力は古い技術的な扱いをされているし。さて、冒頭の「理解不能」とは、高度な科学技術などが駆使されたSF的な意味合いではなく、とにかく日本語が分かりにくい。つまりは、訳の問題。訳者あとがきはスッキリ頭の中に入ってくるのだから、やっぱり本文の訳が自分には合わないのだろうね。訳本は…

  • 陰陽師 付喪神ノ巻/夢枕獏

    『陰陽師 付喪神ノ巻』を読んだよ。鬼にもヒトの心アリ。陰陽師シリーズの3巻目。率直に言ってしまうと、面白いんだか、面白くないんだか分からない…。でも、3巻まで読んでしまうと、まぁ次も読んでみようかという気になるのが、摩訶不思議。ということで、4巻目もKindle本で入手済み。で、今回は2つのキーワードに着目してみる。 1つ目は「鬼」。この物語では鬼の存在が欠かせないから。では、その鬼とは何なのか。「鬼が人の心に棲むからこそ、人は歌を詠み、琵琶も弾き、笛も吹く。鬼がいなくなったら、およそ人の世は味けないものになってしまうだろうな。それにだ──」と晴明。鬼との共存…。いや、現代でも鬼のような恐れの…

  • こんな日本でよかったね/内田樹

    『こんな日本でよかったね』を読んだよ。なるべくしてなった。いつものウチダ先生のブログを編集してまとめたもの。副題は「構造主義的日本論」だけど、構造主義はに拘った感じはせず、どちからというと「日本論」に主題があるのかな…。とはいえ、その日本を語る手法が構造主義。だから、冒頭では、つまり、 人間が語るときにその中で語っているのは他者であり、 人間が何かをしているときその行動を律しているのは主体性ではなく構造である、というのが本書の主な主張であります。と構造主義における本書の主張を語る。うむ、人間は構造に律せられているということか…。でも、やっぱりその「構造」とは何か?を聞きたいんだけど、ここではひ…

  • 雁の寺/水上勉

    『雁の寺』を読んだよ。慈念の行方は?本書は水上勉氏の1961年第45回直木賞受賞作品。水上氏の作品は映画にはまっていた10代の頃にいくつか読んだ記憶があるんだけど、本書はなぜか対象外。他の作品に比べて地味な印象だったからかな。さて、この物語の主人公は慈念という少年僧。いや、第一部では単に寺の小僧だった。そして、その慈念の出征の秘密。母親は誰なのか、父親は誰なのか。そんな思いが常につきまといながらも、寺の雑事を淡々とこなしていく。 それでも、まだ少年と言える年齢の慈念は、わしは、そのお母はんに会いたい思います、お父はんが誰であるか知りたい思います。これ迷いどすやろか。わしはやっぱりええ 坊さんに…

  • この社会で戦う君に「知の世界地図」をあげよう/池上彰

    『この社会で戦う君に「知の世界地図」をあげよう』を読んだよ。社会に出るために必要なこと。池上さんの東工大講義シリーズの第3弾。これで最終回ということで、テーマは「世界篇」。とはいえ、世界の中の日本なわけだから、世界から見た日本とか、日本から見た世界とかいう観点もあり、憲法とか、メディアとか、宗教の話も有り。ということで、今回は自分的に気になったトピックを紹介。まずは、自衛隊違憲問題。 事例として、1976年の札幌地裁の判決について、自衛隊の設置は「高度の専門技術的判断とともに、高度の政治判的断を要する最も基本的な政策決定」であり、こうしたことは「統治事項に関する行為であって」「司法審査の対象で…

  • はじめての経済学/伊藤元重

    『はじめての経済学 (日経文庫)』を読んだよ。改めて経済学。『吉野家で経済入門』で筆者の伊藤先生を知り、その後もJMOOCの講座などで伊藤先生の語り口とわかり易さに、池上さんに通じるものがあるのを感じていた自分。その伊藤先生の教える経済学の超入門という感じなのが本書。超入門と言いながらも、日経文庫で上下巻2冊なので、経済学について広く学べるし、読み応えも十分にあり。上巻は経済学の基礎。アダム・スミスの『国富論』から始まる。スミスが『国富論』を書いてから二百年、世界の通商政策や経済政策においては、自由貿易主義と保護主義の闘いの連続であるといってもよく、その中でさまざまな経済理論が生まれてきました…

  • 新釈 走れメロス/森見登美彦

    『新釈 走れメロス 他四篇 (角川文庫)』を読んだよ。メロスの本当の気持ちはわからない。森見登美彦氏のKindle本を一気に3冊も買って積ん読にしていたけど、最近になって徐々に読み始めて、ついに3冊目。3冊も読むと、森見氏の論調というか、傾向と対策が読めてくる。それが癖になるかならないかが、4冊目に手を出すかどうかの分かれ目になるんだけど…。本書は表題作の他4篇の短編集。とは言え、5篇が微妙に絡み合っていて、登場人物が主人公になったり、脇役になったり。特に、最初の「山月記」に登場する斎藤秀太郎という人物は本書全体として象徴的な人物として位置づけられているような…。その斎藤という人物。人間の文明…

  • 大学はもう死んでいる?/苅谷剛彦,吉見俊哉

    『大学はもう死んでいる? トップユニバーシティーからの問題提起 (集英社新書)』を読んだよ。もう一度、大学とは何か。副題は「トップユニバーシティーからの問題提起」。ここでのトップユニバーシティーとは、苅谷先生のオックスフォード大学と吉見先生の東京大学のことなんだと思う。ということで、本書はこの二人の先生の対談をまとめたもの。大学を取り巻くあれこれを話しているけれども、テーマは結局は「大学とは何か」に尽きると思う。では、どのような対談になっているのか。まずは、ビジョンの話。いずれにしても、さっき言ったように、大学は何を目指すのかという軸をちゃんと設定して、大学人が意識を変えるということが求められ…

  • 深海生物学への招待/長沼毅

    『深海生物学への招待 (幻冬舎文庫)』を読んだよ。光合成だけではなく。辺境生物学者とかいうタイトルでNHKのTV番組「爆問学問」に登場したことのある筆者・長沼毅氏。番組では科学界のインディ・ジョーンズとか言われて、世界各地の辺境地を旅する姿が紹介されていたような…。 そんな長沼先生が辺境の地の一つである深海に生息する生物とその特徴を紹介するのが本書。特にチューブワームという深海底に生息する奇妙な生物がどのような生態なのかを明らかにするよ。では、深海の生物を発見する意義はどんなところにあるのだろうか。いや、熱水生態系の発見が有する本当の意義は、単に深海観を変えたことではなく、むしろ、われわれの生…

  • キャッシュレス覇権戦争/岩田昭男

    『キャッシュレス覇権戦争 (NHK出版新書 574)』を読んだよ。電子マネーだけではなく。いわゆるスマホ決済が普及し始めたのは去年。消費税増税に伴うキャッシュレス還元もその契機になったんだと思うけど、PayPayの還元大キャンペーンも普及に大きく貢献したのだと思う。自分自身も電子マネーは使っていたけど、QRコードは使っていなかったから。そんなわけで、本書のテーマはキャッシュレス。2019年2月の発刊だから、今となってはちょっと古いという感じもするけれども、最新情報よりもそもそものキャッシュレスの狙いとか、キャッシュレス先進国である中国の事情とかが十分に参考になるよ。 では、その事情とは何か。中…

  • 新聞記者/望月衣塑子

    『新聞記者 (角川新書)』を読んだよ。権力との戦い。映画『i-新聞記者ドキュメント』を観て初めて知った筆者。映画の冒頭では取材ターゲットに対して執拗に食い下がり、コメントを求めようとする筆者が映し出され、その迫力に圧倒される。本書はその筆者、望月衣塑子が自身の生い立ちから取材に対する考え方、そして、実際の取材をドキュメントとしてまとめたもの。本書の冒頭は筆者の新聞記者になるまでのストーリー。官房長官の記者会見での質問で出る大きな声と度胸は、演劇で鍛えられたものだったのか…。 その記者会見について、権力者に対して記者が質問をぶつけることは当たり前のことで、本来であればもてはやされるようなことでは…

  • 高大接続改革/山内太地

    『高大接続改革: 変わる入試と教育システム (ちくま新書1212)』を読んだよ。どちらかというと教育システムの話。少し前に2021年度からの大学入学共通テストのやり方が急遽変更になったりとかでメディアに取り上げられていたけれども、その構想が発表されたのが2016年。これは、本書のタイトルにあるように「高大接続改革」の一貫であると言われているけど、そもそも「高大接続改革」って何?という感じで分かり難い。受験生やその親に取っては、「入試の方法が変わる!!」ということが最も関心があるところなんだろうけど、そもそもの背景とか意図があるはず。それを解説したのが本書。2016年秋の発刊なので、大学入学共通…

  • ロング・グッドバイ/レイモンド・チャンドラー

    『ロング・グッドバイ(ハヤカワ・ミステリ文庫)』を読んだよ。これがハードボイルドか…。Kindle本として購入して、しばらく積読状態で放置されていた本書。なにしろ文庫版で645頁もの大著だから、読み始めるまでに勇気がいる。ある意味、意を決してダウンロードしたのは確か。それでも、紙の本だったらそもそも読んでいなかったかも。主人公はフィリップ・マーロウという名の私立探偵。 テリー・レノックスという人物とひょんなことから友人になり、レノックスが関連する事件に、マーロウが巻き込まれていく。但し、巻き込まれていくという表現は正確には正しくなく、マーロウ自身が気になるから、事件を追っていったんだろうね。だ…

  • そして誰もいなくなった/アガサ・クリスティー

    『そして誰もいなくなった (クリスティー文庫)』を読んだよ。ポアロは登場せず。アガサ・クリスティの著作の中では、『オリエント急行の殺人』か本書かと思われるほどに有名な本書。とは言え、自分的にはストーリーも犯人も知らないという純粋な状態でこの物語を読むことができたのは運がいいのかも。『オリエント急行の殺人』では、犯人があまりにも有名だからね。ストーリーはタイトルそのまんま。10人の人々が次々と死亡していき、最後の一人も死んでしまう。二人目までくらいまでは、単なる事故だろうと納得できる状況だけど、残り5人を切っていくと、生き残った人間同士が疑心暗鬼になってくる。この中に犯人がいると思うと、それはそ…

  • 夢見る帝国図書館/中島京子

    『夢見る帝国図書館』を読んだよ。小説で学ぶ日本近代文学史。どこかで紹介されていた本だと思う。気がついたら読みたい本リストに入っていたから。単行本で400頁ほどだから、場合によっては文庫本になってからと思っていたけど、図書館で予約したら思いの外、早めに順番が回ってきて、この年末年始に読了。構成的には二重奏という感じ。一つは、主人公の「わたし」と喜和子さんの物語。もう一つは、帝国図書館の歴史から日本の近代文学を綴っていく物語。それが、交互に語られていく。2つの小説を同時に読むといった感じだけど、図書館という共通キーワードがあるので、特段に混乱することもなく、読んでいくことができるよ。では、喜和子さ…

  • 「松本清張」で読む昭和史/原武史

    『「松本清張」で読む昭和史 (NHK出版新書)』を読んだよ。昭和が終わってもう30年か…。自分も10代から20代にかけて、松本清張はいくつか読んだ記憶がある。『砂の器』は映画かな。『点と線』はあまりにも有名だけど、当時の自分は鉄道ミステリーとして手に取ったのだと思う。『準急ながら』もその類だったし。それでも、松本清張はそこから先は読む機会がなくなってしまう。読みたいと思いつつなんだけどね。本書はその松本清張の作品を通して、昭和という時代を顧みるというもの。いや、松本清張が捉えていた昭和の有り様を筆者なりに分析したものといった方が正確かな。 そして、取り上げられるのは3つの小説と2つのノンフィク…

  • 大学大崩壊/木村誠

    『大学大崩壊 リストラされる国立大、見捨てられる私立大 (朝日新書)』を読んだよ。大学の読み方。『大学大倒産時代』の続編的な位置付けで、今回もデータを駆使して、現代大学事情を詳しく説明する本書。筆者の木村誠氏の著作本のうち、自分的には5冊目ということに驚く。データと筆者の過去の取材を元にした解説的な内容だから、印象に残っていないんだろうね。 そして、タイトルが「大学大崩壊」。倒産の次は崩壊ということで、だんだん悪くなってくるんだけど、その中でももがき苦しむ大学も多く紹介されているので、このタイトルには多少の違和感あり。副題の「リストラされる国立大、見捨てられる私立大」も、いや、目立つタイトルに…

  • 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?/山口周

    『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)』を読んだよ。結局は哲学の問題か…。多分、どこかで紹介されていた本をメモったのだと思う。自分的には普段は手に取るような種類のものではないから。それでも、図書館で予約が多いということは、やっぱり本書がどこかでは注目されているのだと思う。とは言え、結果的に読んで正解だったと言える。副題は「経営における「アート」と「サイエンス」」。で、結論的なことを不等号で表すと「アート」>「サイエンス」という構図なのが本書。幾つかのキーワードを並べてみると、本書の構造が見えてくる。「正解のコモディティ化」「差別化…

  • マイクロソフト伝説マネジャーの世界№1プレゼン術/澤円

    『マイクロソフト伝説マネジャーの 世界№1プレゼン術』を読んだよ。伝説の人だったのか…。今年の夏、某所で本書の筆者である澤円氏の講演を拝聴。まさにプレゼンだったわけだけど、確かに印象的だったような。っていうか、まずはその風貌。プレゼンの第一歩は形から入るのがいいのかも。それだけ印象的で、この風貌からどんな話が聞けるんだろという期待感もあったり。 そんな筆者がプレゼンの極意を語ったのが本書。完結に分かりやすくて、まさにプレゼンの極意を本書に集めれば、こんな感じになるんだろうという教科書のような本。でも、教科書のような堅い話は一切なしなのもよい。では、その極意とは。 結論のようなものを書いてしまう…

  • 夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦

    『夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)』を読んだよ。京都の街を思い出しながら。『四畳半神話大系』と同様に京都の街を舞台とした大学生の恋愛活劇。活劇と書いてしまったけど、単なる恋愛物語ではないということを言いたいだけで、本来の活劇の意味とは違うかも。いや、アドベンチャー的であるのは確かで、京都鴨川周辺を舞台にして、男女二人の大学生が縦横無尽に活躍するのは確か。登場人物も数多く、それぞれがそれぞれの役割に則って、活躍していくのはアドベンチャー的。あぁ、RPGをイメージしてしまったけど、それは言い過ぎか。とは言え、やっぱりこの物語で重要な視点は、彼と彼女の関係。彼の方は、彼女が後輩として入部してきて以来…

  • ウォールデン 森の生活/ヘンリー・D. ソロー

    『ウォールデン 森の生活』を読んだよ。単なるアウトドアライフではなく。かれこれ2年以上も前にKindle本として購入していた本書。上下巻で600頁を超える大書でもあるので、読み始めるのに二の足を踏んでいたけど、いよいよ読み始める。読書の秋だし。 タイトル的には当然にして、森でのアウトドアライフをどう楽しむかといったものを想像していたんだけど、そうはならず。自然観察は当然として、そこから地学や生物学の新たな知見を発見したり、政治、社会、経済といったソローの思いを書き留めた文章となっているよ。たった2年間であったけれども、いろいろな思いが沸き起こり、彼なりの哲学論も展開していく。では、そのソローの…

  • 「名探偵」に名前はいらない/関川夏央

    『「名探偵」に名前はいらない (講談社文庫)』を読んだよ。名探偵なのにデブ?関川夏央の書き物は小説なのかエッセイなのか、微妙な感じのものが多いような気がするんだけど、本書は冒頭からはっきり小説だと分かるもの。そして、探偵が主人公なのは分かっていたけど、いきなりハードボイルド風。関川夏央の印象だと、どちらかと言うとコロンボとか金田一耕助をイメージしていたんだけど、そうではなく。あっ、中途半端にハードボイルド風かも。その探偵さんが扱う事件が4件。ハードボイルドだから、酒、女、暴力という三点セットは一応揃っているんだけど、やっぱり主役がそれっぽくない。なんせ、「ええ探偵です。おまけに運の悪いことに名…

  • 放送禁止歌/森達也

    『放送禁止歌 (知恵の森文庫)』を読んだよ。皆が思考を放棄。森達也のドキュメンタリーは面白い。普段に耳にしている言葉をあまり理解していなかったりすることがよくあるけれども、今回のテーマの「放送禁止歌」もその一つかもしれない。そもそも、「放送禁止歌」って何なんだろう。誰がどういう基準・根拠で決めたんだろう…と考えるとわけわからん。 筆者も同様な疑問を感じたのだろうけど、それをドキュメンタリー番組にするという危険?な企画を起し、各方面と折衝していく中で、「放送禁止歌」とは何かに迫っていく。最終的にはその番組は放送されることになるんだけど。前半は「放送禁止歌」になった楽曲やその歌手を追っていく。どう…

  • 生きるための図書館/竹内悊

    『生きるための図書館: 一人ひとりのために (岩波新書)』を読んだよ。図書館界の重鎮らしい。図書館関係の本を少しずつだけと読み続けているけど、「生きるための」っていうちょっと重そうな形容詞がつく本書。新刊だったから、それほど深く考えずに読み始めたけど、そもそもの図書館の有り様を幾つかの事例を中心にまとめているよ。前半は戦後直後からの図書館の有り様を考えて、実践していった図書館関係者の話。主に、子供の読書環境についての活動。それは戦前の教育からの脱却でもあり、一人ひとりが生きていくために知識を取得し、考えていくための読書を目指す。題名の「生きるための」とは、そういうこと。そして、副題の「一人ひと…

  • リーダーシップ入門/金井壽宏

    『リーダーシップ入門 (日経文庫)』を読んだよ。エクササイズが必要。前回の同様に夏休みの宿題の中で参考文献として紹介されていたものが本書。新書版だけど、それなりの内容で分かりやすいとのこと。そして、前回の組織開発の続きという位置づけ。その組織開発のうちのソフト的な側面が人の問題。その中でもリーダーシップって、職位の問題にも絡んできて、重要なキーワードになるのだと思う。まずは、先入観の解消から。リーダーシップというと偉人?という連想になるけどれも、そうではなく、誰でもがリーダーシップを経験することができるし、発揮することもできるということ。ポイントは、偉人も生まれつきそうだったのでなく、いろいろ…

  • 入門 組織開発/中村和彦

    『入門 組織開発 活き活きと働ける職場をつくる (光文社新書)』を読んだよ。やっぱりY理論。夏休みの宿題をやる中で、参考文献として紹介されていた本書。新書だけど、内容も質もよいということだったので、手にとってみる。もちろん、テーマにも興味があったわけで、組織というものを、ハード的にもソフト的にも考えてみたかったから。そして、本書に書かれていることは、ハードとソフトの両面だけれども、やっぱり重要なのはソフト。組織開発といっても、組織の構造とかについては、ほとんど言及していないということもあるから。いや、ハードといえば、組織構造の他に制度などもハードと言える。それでも、やっぱりソフトが重要。特に、…

  • 小説 天気の子/新海誠

    『小説 天気の子 (角川文庫)』を読んだよ。天気ってなんだろう。話題の映画「天気の子」のノベライズ版。映画の公開と同時に本書も発売で、この人気ではすぐに読むことはないだろうな…と思っていたら、意外に早く図書館からゲット。本屋でもビニールに包まれている文庫は珍しい。300頁もの小説を立ち読みで済ませる人は少ないだろうけど、それだけ人気ということなんだろうね。新海誠の作品は映像作品が原作で、同時にノベライズする形がほとんど。映像と小説の違いについては、あとがきで筆者が書いているけれども、小説はディテールを言葉で表現しているけど、映像は絵とか音楽でそれを補完しているということ。だから、映像は人の感性…

  • オリエント急行の殺人/アガサ・クリスティー

    『オリエント急行の殺人 (クリスティー文庫)』を読んだよ。誰もが犯人を知っている。本書も既読。やっぱり、高校生くらいかな…。ミステリーにハマった時期があったから、当然にして、手に取ったのだと思う。そして、当時も読む前から犯人を知っていた。自分が知っていたということは、当時の世間の人たちの多くが知っていたということで、こういうミステリーも珍しいよね。そして、犯人を知っているのにどうしてこのミステリーを読むのか?自分的には、ポアロの論理的な思考を追うことの楽しみとか、その鮮やかな解決というか…。そういう魅力があるんだろうね。 そのポアロの魅力とはなんだろう。一つは観察力。いや、よく見ているわ。もう…

  • 四畳半神話大系/森見登美彦

    『四畳半神話大系 (角川文庫)』を読んだよ。京都の街に詳しくなる。kindle本の角川文庫セールで購入し、積読していた本書。筆者の森見登美彦を知っていたわけではなく、特段に興味があったわけでもなく。でも、ちょっとした時に読めるオモシロ小説を準備しておきたいな…という感覚で、同著者本を3冊ほどのゲット。残りの2冊はいずれ読んで、ここの紹介することになるだろうから、今回は書かないでおく。さて、本書。全四話からなる小説なんだけど、ユニークな構成。第一話を読み終わった段階では、単なる青春小説風だと思っていると…。第二話からそのカラクリが見えてくる。何じゃこりゃ~と言いたくなるような展開。そして、第四話…

  • 爆笑問題の日本史原論 偉人編/爆笑問題

    『爆笑問題の日本史原論 偉人編 (幻冬舎文庫)』を読んだよ。そもそも偉人って何だろう。前作『爆笑問題の日本史原論』が面白かったので、このシリーズ2冊目。テーマは人物「偉人編」。古くはヤマトタケルから始まって、直近は吉田茂までの総勢12名が様々な分野から選ばれているよ。自分的に面白い選択だと思ったのは、天草四郎と空海かな。で、相変わらず、太田のボケぶりが楽しめるよ。例えば、太田が芸能人の本名を暴露するシーンが頻発。聖徳太子の本名(最近の教科書ではその本名が正式名として教えられているらしい。)から始まるんだけど、松田聖子の本名はともかく、千利休の本名とか、伊集院光の本名も。人の本名で楽しめるって芸…

  • 準急ながら/鮎川哲也

    『準急ながら~鬼貫警部事件簿~ (光文社文庫)』を読んだよ。準急っていう響きがいい。JRで急行という列車種別が無くなりつつある現在、準急という種別はすでに死語。多分、自分が時刻表を読み始めた時期にはほぼほぼ無くなっていたのではないかと思う。それでも、この小説には新幹線が登場するので、JR的には新幹線の登場以後に無くなり始めたのかと推測できる。 そして、「準急ながら」はその後にどうなったのか?これも自分の推測でしかないけれども、夜行の快速大垣行になり、「ムーンライトながら」になり、その「ムーンライトながら」も季節運行になってしまったのではないかと…。あぁ、小説の話でした。自分的には再読。やっぱり…

  • 神々の山嶺/夢枕獏

    『神々の山嶺(集英社文庫)』を読んだよ。物語の長さも神々しい。山岳小説と言えば新田次郎が自分的には定番なんだけど、それは他の作家の作品で山岳小説がそれほど出ていないということもあるような…。そんなわけで、本書が話題になったり、映画化された時から注目していたけれども、実際に読むとなると…。そう、上下巻で1088頁もの大作だから。そういう時はやっぱり夏休みを使うに限るよね。暑いけど、時間はあるから。 とは言え、この大部の小説も、面白さに惹かれて、グイグイ読み進み、気がついたら読み終わっていたという感じ。物語の舞台はエヴェレスト。もちろん、エヴェレストだけではなく、ネパールの首都カトマンドゥでの出来…

  • 最後の秘境 東京藝大/二宮敦人

    『最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 (新潮文庫)』を読んだよ。これぞ、大学生の生き方。単行本が出た当時から、この派手目の装丁が気になっていたけど、読書の対象とはならず、そのまま放置。でも、今回の文庫版が同じ装丁で出たこともあり、さっそく読みたい本リストにエントリされ、あっという間に入手、読了。副題は「天才たちのカオスな日常」ということだけど、いや確かに普通の人がやらないことをしているんだけど、それだけで天才と言えるわけではなく、よくよく話を聞いてみると、普通の大学生だったりする。そう、まさに大学生活を謳歌している大学生なんじゃないかと思えてきた。おっと、いきなり結論じみたことを書…

  • 自由と規律/池田潔

    『自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書)』を読んだよ。メリハリ、効かせ過ぎ。「イギリスの学校生活」という副題で、イギリスのパブリック・スクールであるリース校の話を中心にまとめたもの。もちろん、筆者はそのリース校の出身で、その後ケンブリッジ大学に進学しているということで、当地の教育事情はある程度掴んでいた上でのこのお話。まずは、パブリック・スクールの紹介。パブリックというからには公立か?と思うけど、実は私立学校。どうして“パブリック”なのかも謎だし、だったら呼称を変えればと思うけど、それも変えないのがイギリスという国の頑なさ。様々な場面でその頑なさが表現されているんだけれども、楽しいことを…

  • おとなの教養2/池上彰

    『おとなの教養 2―私たちはいま、どこにいるのか? (2) (NHK出版新書)』を読んだよ。ポピュリズムはヤバい。前著『おとなの教養』は「私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」というテーマで、リベラルアーツについて、池上さんなりに語った本だったけど、第2弾ではさらに一歩進んで、「私たちはいま、どこにいるのか?」というテーマで、それをたえず意識する力を身に付けることを目指す。とは言え、使う材料は現代社会のニュース。これらをネタに、ではどんな話が聞けるか…。まずは、場所が変われば見方も変わるということ。知識を深めていくと、こうした一面的な見方を相対化する力を身につけることができる。それがひいては…

  • 羅生門・鼻・芋粥/芥川龍之介

    『羅生門・鼻・芋粥 (角川文庫)』を読んだよ。たまには読んでみるのもいい。いつかは読もうと思い、Kindleセールで買っておいたもの。日本人なら誰もが知っている芥川龍之介。そして、その代表作が収録されている本書。「羅生門」も「鼻」も「芋粥」も、過去には読んだことがあるんだと思う。単にストーリーを知っているだけかもしれないけど。でも、それだけ日本人には浸透している作品なのだと思う。いつかはきちんと読んでみようと思っていたのもそれ故か。本書は芥川龍之介の初期作品短編集。芥川作品の特徴らしいけど、色々なタイプの作品有り。旅行記風、歴史読み物風とか。但し、難儀したのは候文。一作品だけだけど。その中でも…

  • 小説 ほしのこえ/大場惑

    『小説 ほしのこえ (角川文庫)』を読んだよ。SF風ノスタルジー。映画『天気の子』が公開されて、本屋に行くとその文庫本が山積み。『君の名は。』で一世を風靡した新海誠の最新作ということだけど、新海氏の原点が本書の原作となったアニメ作品『ほしのこえ』。たった25分だという。 自分的には『君の名は。』を読んだ後は、原点に戻るつもりで、本書を読みたい本リストに登録していていたんだけれども、そのまま放置が続いてしまった。今回の映画『天気の子』を契機にやっと手に取ったというわけ。物語は2046年から始まる。だから、SF的な背景。主人公はノボルとミカコの中学三年生。だから、ホロ苦な恋愛小説。この時期、基本的…

  • 富士山はどうしてそこにあるのか/山崎晴雄

    『富士山はどうしてそこにあるのか: 地形から見る日本列島史;チケイカラミルニホンレットウシ (NHK出版新書)』を読んだよ。あるべくしてある。思わず興味を惹かれるこのタイトル。地学好きの自分だからかもしれないけど。少し前だっただけど、ブラタモリでも甲府盆地の成り立ちをプレートの衝突という考え方で説明していたよね。本書も基本的な考え方は同じ。プレートの衝突とマグマの生成が連動して火山ができるわけだから。おっと、いきなり本題に入ってしまったけど、本書の全体構成としては、富士山の話はごく一部。どちらかというと、副題の「地形から見る日本列島史」が本書の内容をよく表しているかな。そうそう、ちょっと前に読…

  • 知らないと恥をかく世界の大問題10/池上彰

    『知らないと恥をかく世界の大問題10 転機を迎える世界と日本 (角川新書)』を読んだよ。翻弄され続ける日本。このシリーズの10作目。最初はベタなタイトルに違和感があったけど、さすがに10作目となると全く違和感無し。むしろ、このタイトルでないとダメだな…と積極的に支持する気持ちも沸いてくる。人間なんてそんなもの…。さて、今回はどんな話題か。 やはり、米中が中心かな。そこに北朝鮮が絡んできて、ちょっとだけEUと日本の話題。そして、今回もトランプには辛口の池上氏。 例えば、トランプは、中国からの輸入品に関税をかけると税金は「中国負担」と誤解していました。そうではありません。と、関税は誰が払うものなの…

  • 「読まなくてもいい本」の読書案内/橘玲

    『「読まなくてもいい本」の読書案内 (ちくま文庫)』を読んだよ。それでも読まずにはいられない。この本はなんだろうか…。巻末の解説には、本書が名著であるのは、読書案内の体裁を借りながら、従来の通説を塗り替える秀逸な現代思想史になっているからだ。と説明有り。思わず納得しそうだけど、読書案内の体裁なのは本の題名だけ。そして、現代思想史を語るのは本の力を借りる以外にないのだろうと思うけど。そして、著者が素直なことに、本書刊行後、「現代の進化論」の興味深いトピックを集めて、『言ってはいけない―残酷すぎる真実』(新潮新書)という「スピンオフ」を書いた。と文庫版あとがきで白状しているよ。本書がオリジナルであ…

  • マインドフルネス/ハーバード・ビジネス・レビュー編集部

    『マインドフルネス (ハーバード・ビジネス・レビュー[EIシリーズ])』を読んだよ。集中力の問題?言葉としては知っていて、その中身は何だろうかとは思っていたけど、積極的に知ろうとはしていなかった「マインドフルネス」。どういうわけか、今回は意識が向いてしまい、お手軽そうな1冊を選んで、借りたのが本書。もともとは、ハーバード・ビジネススクールの機関誌に掲載された論文や記事をまとめたもの。だから、編者が同誌の編集部になっていて、書いた人は様々。では、「マインドフルネス」とは何か?冒頭の記事では、人間が毎日仕事に集中する姿勢を、本来満たされるべき力を取り戻すためには、心身と環境との関係を新しく立て直す…

  • 空飛ぶタイヤ/池井戸潤

    『空飛ぶタイヤ 上下合本版 』を読んだよ。ビジネス・エンターテイメント。上下合冊のKindle版。716頁もの大作だけど、グングンと引き込まれて、その勢いを継続したまま読了という感じ。久しぶりに読了後の達成感も高し。ある運送会社のトラックからタイヤが外れ、歩行者に直撃し死亡。その原因がリコール対象なのか、整備不良なのかという点について、運送会社の社長と自動車メーカーが戦っていくという物語。…と簡単に書いてしまうと、それまでだけど、運送会社にも自動車会社にも社内の物語があり、そこに登場する人間にも家族の物語がある。それが複雑に展開していき、それでも、物語としての構造が維持されていく。運送会社の物…

  • 素数はなぜ人を惹きつけるのか/竹内薫

    『素数はなぜ人を惹きつけるのか (朝日新書)』を読んだよ。素数に萌え?数学の中でも数論はその王様的存在と言われているけども、その数論の中のテーマでも王様的な存在が素数。普通の人が素数の存在を知るのは、中学かな?それでも、その素数の定義にふ~んというリアクションだと思うけど、ギョーカイ的には注目されているテーマであることは事実。特に、暗号化技術では素数の性質を応用しているわけだし、これだけ現代に活用されている数学的技術(って言っていいのか?)はないとも言えるかな…。さて、その素数について、フツーの人たちにその面白さを伝えようと試みたのが本書。いつものサイエンス・ライターの竹内薫氏だけど。とは言え…

  • 本物の教養/出口治明

    『人生を面白くする 本物の教養 (幻冬舎新書)』を読んだよ。教養について考える強化月間。「教養とは何か?」シリーズ(自分で勝手に名付けたけど)の第2弾。同系統の本を連続で読むことは少ないけど、今回はたまたまタイミングがそうなっただけかな。著者はAPU学長の出口治明氏。出口氏の講演を聞く機会があり、この人は面白いと思ったのが本書を手に取るきっかけ。もっとも、本書の執筆時はライフネット生命保険株式会社代表取締役会長兼CEOだったけど。早速として、出口氏の教養の定義は、もし、そう質問されたら、私の答えは「教養とは、人生におけるワクワクすること、面白いことや、楽しいことを増やすためのツールです」という…

  • おとなの教養/池上彰

    『おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書)』を読んだよ。リベラルアーツブーム。いつもの池上彰氏の教養本だけど、単に知識を得る為ではなく、そもそも「教養とは何か?」をそれぞれの教科の観点から事例を取り出して解説し、本書のテーマに沿ってまとめたもの。以前から読みたい本リストには入っていたんだけど、今回、この続編が出たみたいなので、慌てて手に取ったというわけ。早速だけど、池上氏の教養の定義。それは「自分がどういう存在なのか」を見つめていくことなのではないでしょうか。「自分自身を知る」ことこそが現代の教養だろうと私は思います。自分はどこから来て、そこに行こうとしているの…

  • 夢をかなえるゾウ3/水野敬也

    『夢をかなえるゾウ3 文庫版』を読んだよ。神様、いろいろ。ガネーシャシリーズもいつの間にか第3弾。文庫版が出るのを待っていて、ようやく出たので図書館に素早く予約。やっぱり、人気だよね。あっという間に予約多数になったから。さて、今回はブラックガネーシャ。どうしてブラックかというと、「夢をかなえるためになさなければいけない課題」がよりブラックだから…。いや、あのガネーシャならば、このレベルの課題は出してもおかしくないな…という感じではあったけど。まぁ、ガネーシャ本人がブラックだと言うのだから。で、ガネーシャは相変わらず、自信満々。カーネル・サンダースやエジソンとの逸話を披露し、その流れで、「ムンク…

  • 大学大倒産時代/木村誠

    『大学大倒産時代 都会で消える大学、地方で伸びる大学 (朝日新書)』を読んだよ。もがき続けるだけ。大学冬の時代と言われてから、もう何年経つだろうか。その要因は18歳人口の減少にあったわけだけど、そのピークが既に過ぎ、マーケットが縮小しつつあるんだけど、そこからさらに課題が出てくる。それはその縮小率が都会と地方で差異があること。それが地方創生と相まって、話がややこしくなってくる。と、そんな社会情勢の中で、大学がどうもがき続けているかについて、事例をひたすら並べたのが本書。国立大学、公立大学、私立大学はそれぞれ事情は異なるし、前述の都会か地方かでもまた違ってくる。各大学が気にするのは大学ランキング…

  • データを紡いで社会につなぐ デジタルアーカイブのつくり方/渡邉英徳

    『データを紡いで社会につなぐ デジタルアーカイブのつくり方 (講談社現代新書)』を読んだよ。「情報アーキテクト」という仕事。地図が好き。GoogleマップやGoogleアースが出た時に、これは楽しいことに使えそうだなと思っていたけど、具体的には思いつかず。せいぜい、昔の写真を日付と場所で整理し、旅行日記的に使えるかなと考えていたくらい。でも、まさに本書に書かれていることがまさにそれ。もちろん、個人的な記録ではなく、もっと組織的、社会的な「作品」になっているんだけど。まずは、データの視点から。数年前から「オープンデータ」という潮流が流れ始めているけれども、社会はすぐにビジネスチャンスとして目を向…

  • 挑戦する公共図書館/長塚隆

    『挑戦する公共図書館: デジタル化が加速する世界の図書館とこれからの日本 (図書館サポートフォーラムシリーズ)』を読んだよ。公共図書館あれこれ。図書館サポートフォーラムシリーズの一冊。副題が「デジタル化が加速する世界の図書館とこれからの日本」ということで、アジアを中心に世界各地で様々な新しい取り組みを行っている図書館をテーマ別に紹介する本。一応、テーマ別にはなっているけど、図書館の取り組みは多岐に渡り、同じ図書館が何度も登場することもあったり、どの図書館も同じようなことをやっていたり。では、どんな取り組みがトレンドなのだろうか。 ひとつは、メーカースペース。日本ではファブラボとかいう表現をする…

  • ブレイクスルーの科学者たち/竹内薫

    『ブレイクスルーの科学者たち (PHP新書)』を読んだよ。異分野をつなぐ力。たまには理系本を読まないと…と思ったのかどうかは不明だけど、ずっと読みたい本リストに積まれていた本書。著者の竹内薫氏は多作なので、読んでも読んでも追いつく気配なし。それでも、手軽に読める理系本だから、ついつい手に取ってしまうんだよね。そんな1冊の本書は、2010年の発刊ですでに9年も経っており、内容がかなり古くなっている点は否めず。いや、それだけ科学の世界の進歩が早いということなんだよね。ブレイクスルーの原動力とは何だろうかという観点で、それぞれの科学者の成果を見ていくわけだけど、そこに通底する概念は「異分野をつなぐ力…

  • ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則/ジム・コリンズ

    『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』を読んだよ。カンパニー以外にも使える。ビジネス書の王道と思われる本書。本書の中でもドラッカーの著作との違いの記述があったけど、どちらも基本中の基本なのだろうと思う。ただ、ドラッカーとの違いは本書は調査をベースとして分析結果の報告であること。 それを筆者は、わたしたちは六年間の調査プロジェクトで、ビジョナリー・カンパニーを選び出し、その軌跡を体系的に調べ、慎重に選び出した比較対象企業と、どう違うのかをくわしく検討し、こうした企業が長年にわたって卓越した地位にある理由を明らかにしようと試みた。この本は、この調査プロジェクトの結果と、それが持つ実践…

  • 学校の「当たり前」をやめた。/工藤勇一

    『学校の「当たり前」をやめた。 ― 生徒も教師も変わる! 公立名門中学校長の改革 ―』を読んだよ。やめてみたいこと、たくさん。著者は千代田区立麹町中学校校長の工藤勇一氏。さまざまな学校改革に取り組んで、今ギョーカイでは注目の人物。本屋に行くと、本書が目立つ棚に置いてあることが多いし。その工藤氏が麹町中学校で取り組んだ事例を中心に学校改革の内容をまとめたもの。麹町中学校に移る以前の話もあり、ここに至る経緯もよく理解できるよ。では、どんな取り組みが行われてきたのか。それが、「服装頭髪指導を行わない」「宿題を出さない」「中間・期末テストの全廃」「固定担任制度の廃止」など。特に宿題とテスト期間について…

  • the four GAFA 四騎士が創り変えた世界/スコット・ギャロウェイ

    『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』を読んだよ。創り変えたその行き先は?GAFAとは、Google、Apple、Facebook、Amazonのこと。これらの企業は世の中に幸福をもたらすのか、それとも、ヨハネの黙示録の四騎士のような存在なのか?GAFAの現状とこれからの動き、そして、四騎士を追うものはあるのか?世の中の行き着く先は?という観点でまとめた本。筆者は、連続起業家などを経たスコット・ギャロウェイ氏。GAFA、それぞれの企業の特徴と現状は各所で書かれたりしているので省略するとして、四騎士の共通する特徴は何か? まずは、四騎士はすべて他社より先に行くことを旨とし、大胆な…

  • HIGH OUTPUT MANAGEMENT/アンドリュー・S・グローブ

    『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』を読んだよ。MANAGEMENTのバイブル?筆者はインテルの元CEOであるアンドリュー・S・グローブ氏。フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグも本書を読んで、大きな影響を与えたというから、マネジメントを知りたいなら必読の書なのかな…。そんなわけで、自分も随分前にkindle版を買っていたんだと思うな。さて、マネジメントって何だろ。筆者の言うことを自分になりにまとめてみると、アウトプットの最大化に組織を誘導すること…なのかな…と。それを説明する事例を以下に紹介。まずは、マネジャーの能力や知識は、部下や関係者の能力を結集できる場合にのみ価値があ…

  • amazon 世界最先端の戦略がわかる/成毛眞

    『amazon 世界最先端の戦略がわかる』を読んだよ。Googleを超えるかも…。筆者はマイクロソフト日本法人の元社長である成毛眞氏。同社を退職してからの活動は詳しくは知らないけど、執筆活動は続いているよね。たまに本屋で名前を見かけるような気がするし。その執筆活動の一端が本書。テーマはずばりamazon。知らなかったけど、amazonっていう会社は、情報公開としては消極的だとか。だからこそ、注目されるってこともあるだろうし、たまに数字が出るとその規模に驚くことになるんだよね。では、amazonはどんな企業なのだろうか。まずは、その社長に注目する必要があるかと思うので、ジェフ・ベゾスについて。そ…

  • 東京に暮す/キャサリン・サンソム

    『東京に暮す―1928~1936 (岩波文庫)』を読んだよ。日本人は変わっていないなぁ~。イギリス人のキャサリン・サンソム夫人が1928年から1936年まで日本に住み、日本人の様子を観察した記録。「東京に暮す」となっているけれども、特に東京に拘るわけではなく、日本と日本人全般について語っているよ。後半は温泉場とか上高地とかまで出てくるし。1928年から1936年といえば、ちょうど昭和一桁。西洋化が進み、自信を付けてきた日本人に戦争の足音が聞こえてきつつある時代。世相はそんな感じだけど、素の日本人はまさに愛すべき日本人。それをサンソム夫人は素直に表現しているよ。では、サンソム夫人は日本人をどう見…

  • 未来に先回りする思考法/佐藤航陽

    『未来に先回りする思考法』を読んだよ。そうだったのか、イノベーション。『お金2.0』で金銭主義に代わる価値主義を提示した佐藤航陽氏。価値についての考え方がどんどん変わっていく現代社会において、未来に先回りなんてできるのだろうか…という難題を丁寧に解説した本書。解説っていうより、筆者の経験と考えをまとめたものかな。あくまでも「思考法」なので、単に未来はこうなるという予測を述べるわけではなく、どう考えるたらいいのかという点がポイント。だから、しかし、もしも社会が進化するパターンを見抜いていれば、状況が変わっても未来を見通すことが可能になります。そのための汎用的な思考体系をお伝えするのが本書のテーマ…

  • 国家と教養/藤原正彦

    『国家と教養 (新潮新書)』を読んだよ。教養は怖い。藤原先生の新刊を読むのは久しぶり。既刊のもので読みたい本リストに上がっている本が幾つかあるけど、最近のものの方がより過激になりつつあるような…。まぁ、その辺りが藤原先生の本の楽しみでもあるんだけど。で、今回はどのくらい過激になっているか、楽しみ。内容的にはタイトル通りだけど、「国家」と「教養」はちょっと分断されているという感じ。ざっくり言うと前半が国家の話、後半が教養の話と言ってもいいかも。冒頭は冷戦終了後の日米関係について。アメリカに狙い撃ちされた日本を嘆き、そのアメリカを糾弾するところから始まる。そして、日米の差は情報格差。情報量もあるけ…

  • NEVER LOST AGAIN/ビル・キルデイ

    『NEVER LOST AGAIN グーグルマップ誕生 (世界を変えた地図)』を読んだよ。そうきたか…というオチ。原題の『NEVER LOST AGAIN』では何の話だか意味不明だけど、邦題の『グーグルマップ誕生』はそのまんま過ぎ。邦題は本題と副題を入れ替えるとスッキリするかな…と、珍しく編集者気分でコメントしてみる。筆者は、シリコンバレーのスタートアップ企業キーホールのマーケティング・ディレクターであったビル・ギルデイ氏。のちに、買収によってグーグルに移るんだけど。そして、この物語の中心人物は、キーホールで、のちにグーグルで地図サービスを立ち上げるジョン・ハンケ氏。内容を簡潔に言ってしまうと…

  • 史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち/飲茶

    『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち (河出文庫)』を読んだよ。徹底的に考えると…。飲茶氏の著書が好きでいくつも読んでいるけれども、今回はkindle版積読本の1冊。特に東洋哲学が好きだとか、知ってみたかったというわけではないけれども、いや、読んで正解だったというのが率直な感想。人間の思索って凄いな。ここまで徹底的に考えることができるんだ…という感じ。では、東洋の哲学者たちは何をどう考えていたのか。 まずは、西洋の哲学者との違い。西洋の哲学者たちが二五〇〇年以上もの間、「真理」を目指して苦闘を続け、それでもまだなお「真理」に到達できていないというのに、東洋の哲学者たちはそれをあっさりと「真理に…

  • 組織設計のマネジメント/ジェイ・R.ガルブレイス

    『組織設計のマネジメント―競争優位の組織づくり』を読んだよ。組織設計でこれだけ語れるか…。組織設計関連本の3冊目。以前に興味があって、読みたい本リストに入っていたものだけど、どこで紹介されていたのかな…。しかも翻訳本だから、日本の組織に合うのかな?と思いながらも手に取る。では、組織設計は何のために行うのか。それがまさに副題にある「競争優位の組織づくり」。多様性、チェンジ、スピード、統合を実現する組織設計は、競争優位性を生む要因となる。このような組織設計は、さまざまな設計の考え方を巧妙にブレンドしたものであり、他社が真似して展開することは難しい。ということは、ユニークな組織設計は、競争優位性を長…

  • 形態の生命誌/長沼毅

    『形態の生命誌―なぜ生物にカタチがあるのか (新潮選書)』を読んだよ。カタチには意味がある。『宇宙がよろこぶ生命論』を読んで以来、気になっていた筆者。読みたい本リストの奥の方に並んでいたものを今回引っ張り出してきた。その長沼毅氏は、以前にちょっとした事件でニュースに出ていたような気がするけど、最近の活躍ぶりはどうなんだろ。辺境生物学者的な位置付けの筆者だけど、今回はちょっと外れて、生物の「カタチ」の話。では、どんなカタチがあるのだろう。まずは骨の話。内骨格生物と外骨格生物の違い。それは死生観にも現れる。すなわち、内骨格生物は死ぬと骨が剥き出しになり、生死のコントラストがハッキリするということ。…

  • 言ってはいけない/橘玲

    『言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)』を読んだよ。でも、堂々と言っている。本書の続編が本屋に山積みされていたのに刺激されて、まずは最初の一冊。「新書大賞2017」とやらを取ったみたい。当時はまったく気にしていなかったのはなぜだろ。 副題は「残酷すぎる真実」ということで、世界中の研究成果から、何が見えてくるのか…ということを3つの観点からまとめたもの。3つと言っても、結局は「氏なのか、育ちなのか」という議論に行き着くんだけどね。では、実際にその「残酷すぎる真実」とはどのような内容なのか?具体的なことをここでは書かないけれども、それを書くということはどういうことなのか?という点で言うと…

  • 就活のコノヤロー/石渡嶺司

    『就活のコノヤロー ネット就活の限界。その先は? (光文社新書)』を読んだよ。バカヤローとの違いは何だ?『就活のバカヤロー』の続編という位置付けだけど、バカヤローの時代とそんなに変わっていないのが就活。変わっていないというか、コロコロ変わって、何が正しいのか分からないという状態が続いているというのが正しい解釈かも。そう言ってしまうと、本書の意味もなくなり、身も蓋もない。だから、本書の内容を一応説明しておくと、時代が変わり、就活をめぐる四者がそれぞれに創意工夫しながら悪戦苦闘している様子を今回もルポしたものといえるよね。ここでは、ルポであるということが重要で、本書に就活ノウハウを求めてもいけない…

  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか/伊藤亜紗

    『目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書)』を読んだよ。ものの「見かた」はいろいろ。どうしてこの本が読みたい本リストに入っていたのか、記憶になし。でも、何かの本に参考文献として書かれていたのだろうと思う。自分にしてはいつも読んでいる本とは傾向が違うもの。それでも、誤解を恐れずに言うと、本書は非常に面白かった!あぁ、本書を読んだ後では「誤解を恐れず」なんて言うことが、ナンセンスと思うんだけど…。本書は、視覚障害者の人たちが、目が見えない中で世界をどのように把握しているのか、そして、見える人たちとどのように違うのかを解説したもの。そういう意味で純粋な身体論ということ。筆者は生物学かも…

  • クリエイティブ・マインドセット/デイヴィッド・ケリー,トム・ケリー

    『クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法』を読んだよ。とにかく一歩を踏み出そう。クリエイティブという単語でイメージするのは、芸術系ってことになりがちだけど、果たしてそうかな?と考えてみる。芸術家ではない、我々が創造性を発揮した時に何ができるかというと、それがイノベーション。だから、創造性を発揮してみようということになるんだけど、でもどうしたら?という問題。それを指南してくれるのが本書。副題に「想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法」とあるけれども、創造性に必要なのが、この3つのキーワードという感じかな…。 そして、何度も登場するのが「創造力に対する自信」…

  • 大いなる決断/柳田邦男

    『大いなる決断 (講談社文庫 や 2-1)』を読んだよ。高度成長期の原点。柳田邦男のノンフィクションが好き。しばらくは交通事故関係が続いていたけど、今回は経済。戦後の混乱期を乗り越え、日本の経済人はそこからさらにホップするために、どんなことをしてきたか、そして、どんな結果になったのか。様々な人物を取り上げて、詳細にルポしているよ。そして、時代は昭和三十年代。では、どんな人物、企業、業界が登場するか。まずは、松下電器の松下幸之助。東洋レーヨンを代表する合成繊維産業。国民車として開発されたスバル360。日本企業として石油の採掘事業を興したアラビア石油。はたまた、石油化学コンビナートの構築とか、経団…

  • 地図と愉しむ東京歴史散歩/竹内正浩

    『カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩 (中公新書)』を読んだよ。東京ワンダーランド。今回もある意味で紀行文と言えると思うけど、グルメや温泉は無し。東京の地形や歴史的遺跡、建物などを訪ねて歩く旅。散歩じゃすまないレベルのものもあるけど。ちょっと、ブラタモリ風かな。タモリとの差異は、地図を読み解きながら…という点か。では、どんな歴史散歩になるのか。 まずは公園編。上野公園の変遷が大きな話題になっていたけど、自分が気になったのは芝公園。増上寺を中心として、明治初頭から公園に指定されていたけど、日本国憲法第89条により、社寺所有地を公園として管理することが不可能となったことで、公園の指定区域が大幅に減…

  • フーテンのマハ/原田マハ

    『フーテンのマハ (集英社文庫 は 44-3)』を読んだよ。美術史小説というカテゴリがあるのか…。紀行文は嫌いじゃないので、あれこれ目に入ったものを読んでいるけど、今回は以前に読んだ本に紹介されていたもの。何の本だったか忘れたけど。 もうひとつ気になったのは、「原田マハ」という著者。本屋に行くとこの名前をよく見かけるようになったから。まずは冒頭で、旅が好きだ。「移動」が好きなのだ。移動している私は、なんだかとてもなごんでいる。頭も心もからっぽで、心地よい風が吹き抜けていく。と筆者。そう、コレコレ。自分も乗り物好きと称しているけど、本質的なところでは「移動」が好きなのかもしれない。いいなぁ~、あ…

  • ロビンソン・クルーソー/ダニエル・デフォー

    『完訳 ロビンソン・クルーソー (中公文庫)』を読んだよ。単なる冒険譚ではなく。少年少女向けの正しい読み物として児童書が出ている本書。自分はどうだったかというと読んだ記憶は無し。孤島に漂流されて、後にフライデーという黒人を仲間にして、なんとか島を脱出する…めでたしめでたしというイメージ。そして、漂流モノが好きだから、いよいよ、この有名な物語を読んでみようかという感じになったわけ。では、どんな物語だったのか。 前半はある島に漂着し、生活を定着させるという物語。難破船から荷物を引き上げるのも一人ではままならず。とは言っても、貴重は物資は無駄にしてはならずということで、創意工夫が始まる。そして、寝床…

  • 組織デザイン/沼上幹

    『組織デザイン (日経文庫)』を読んだよ。組織を理論的に考える。前回の『組織戦略の考え方』と同じ筆者。しかも、テーマも同じく「組織」。『組織戦略の考え方』は雑誌の連載記事ということもあり、内容的には柔らかめ、かつ事例も多く、実践的だったのに比較し、本書は理論的に組織を分析するという感じ。だから、ビジネス上のヒントを得ようと思ったら、両方を読んでおいた方がいいかも。理論の開始は定義から。本書では組織デザインを、「組織を設計する」という作業は、分業を設計し、人々の活動が時間的・空間的に調整されたものになるような工夫を施すことであり、そのようにして出来上がった分業と調整手段のパターンが組織デザインで…

  • 組織戦略の考え方/沼上幹

    『組織戦略の考え方 ――企業経営の健全性のために (ちくま新書)』を読んだよ。システマチックに考えてみよ。読みたい本リストの1冊『組織デザイン』をこの年末年始の休みに読むことを急に思い立って、図書館を探してみたけど、取り寄せる時間がなく、断念。その代りにと同著者の本書がkindle版で出ていたので、買ってみる。便利な世の中になったもんだ。初出は雑誌「プレジデント」。だから、ビジネスパーソンが気になる話題を上手くまとめて、提供したなというイメージの本。自分的にも、「はぁ、そうだな。」、「これ、あるな。」とか、かなりの部分で納得できる話題が多かったから。まずは、官僚制組織について。「官僚的」ってい…

  • 0→1の発想を生み出す「問いかけ」の力/野々村健一

    『0→1の発想を生み出す「問いかけ」の力』を読んだよ。『ゼロ・トゥ・ワン』?クリエイティビティやイノベーションなどの「創造性」に関する本はたくさん出ているよね。そう、それだけ皆が注目し、どうしたらイノベーションが起こせるだろうかと、日々考えている人が多いわけ。自分もその方面にはかなり興味があるわけだけど。 そして、筆者が考える思考法が「問いかけ力」であるということ。筆者は、<>「どうすれば日本で働く人に、“問いかけ”を通じて自由に発想してもらうことの楽しさや価値を伝え、行動を起こすきっかけをつくることができるだろうか?」<> という“問いかけ”を自分に与えて本書を書いたのだとか。この問いの立て…

  • 日本の地形/貝塚爽平

    『日本の地形――特質と由来 (岩波新書)』を読んだよ。複雑怪奇。岩波新書の青版だから、昔も昔、1977年の発刊。それでも定番として、本屋の棚に並んでいることもあるから、名著なんだろうね。自分的には、ふと思い立って、本書を手に取る。もともと、地形とか地質とかには興味があって、地形図を眺めるのも好きな方。造山運動とか、プレート・テクトニクスとかも、ある程度の知識はあるつもり。でも、それらを体系的に頭のなかで整理できているかというとそうでもなく。ということで、本書で一気にそれらをまとめてみようという魂胆。日本の地形を考えるに当たって、確認しておかなかればならないことは、やはりプレートの動き。日本の東…

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