金の茶碗
ある事件を報じるテレビニュースに映し出されたその純金製の茶碗を見たとたん、ぼくの脳内に浮かんだのは三代目桂米朝の高座姿。演じているのは『はてなの茶碗』だった。******清水の茶店で安物の茶碗を見つめ「はてな」とつぶやいただけで帰ったのは、いかにも・・というような上品な身なり姿をした旦那。「あれは衣棚(ころものたな)の茶道具屋の主人である茶金さんや。ということはこの茶碗、値打ち物にちないない」と隣りで見ていた油売りが、有り金の二両を軍資金にして強引に茶碗を買って持ち帰り、茶金さんに買い取りを迫る。しかし、「あぁ、それなら傷もないのに漏るから、はてな、と首をかしげてながめていただけや」と聞いて意気消沈。それを目にした茶金さんは、地道に商売にはげめよと諭して三両で茶碗を買い取った。後日、こんな話がありましたと...金の茶碗
2024/04/18 07:53