2012年2月に鬼籍に入ったモーリス・アンドレのEMIへのセッションをまとめた13枚組のボックス・セット。彼の没後ユニヴァーサルからも6枚組の追悼盤が逸早くリリースされたが、そちらのほうは曲目の殆んどがバロック音楽に絞られている。それに対してこ
2012年2月に鬼籍に入ったモーリス・アンドレのEMIへのセッションをまとめた13枚組のボックス・セット。彼の没後ユニヴァーサルからも6枚組の追悼盤が逸早くリリースされたが、そちらのほうは曲目の殆んどがバロック音楽に絞られている。それに対してこ
ジャン・マルティノンは60代になってから精力的にフランス物の録音に取り組んだ。それらはベルリオーズ、ラヴェル、ドビュッシー、オネゲル、デュカスなど枚挙に暇がないくらいだが、このサン=サーンス交響曲全集も同時期、つまり1970年代のセッションでそれら総て
チェコ・スプラフォンが順次リリースしているドヴォルザーク作品集シリーズの第5巻目にあたり、今回は既刊の9曲の交響曲を除いたその他のオーケストラル・ワークと彼の協奏曲全4曲を収めた興味深いものだ。このシリーズの特徴は総ての曲目をチェコ勢で固めた、良
チェコ・スプラフォンが2012年にデジタル・リマスタリングのリニューアル盤として復活させたのが、この8枚組のオーケストラル・ワーク集だ。録音データの内訳を見ると『交響的変奏曲』が1968年、9曲の交響曲が71年から73年、4曲の交響詩が77年、3
日本でもおなじみの名匠ブロムシュテットと400年を越える伝統を誇るシュターツカペレ・ドレスデンという燻し銀コンビによる美しく香り高い名演。ブロムシュテットはかつての手兵シュターツカペレ・ドレスデンとモーツァルトの最後を飾る4曲の交響曲を録音した。
ワーナーでは2017年フルトヴェングラーのベートーヴェン交響曲全集のバジェット・ボックスをリリースして、それまで決してリーズナブルとは言えなかったEMI音源の個別売りやセット物がひとつに纏められた。これはその第2集に当たり、ブラームスの4曲の交響曲
R.シュトラウスの交響詩集は密接に文学やそのストーリーに結び付けた音楽と言うより、文学作品から受けたイメージを洗練されたオーケストレーションによって発展させ、結果的にはタイトルの如何に拘らず、独自の音楽的なインスピレーションとアイデアを披露する場にな
中世ドイツの研究では第一人者だった阿部謹也氏によるドイツ史の専門的な俯瞰で、ドイツの誕生から今日にいたる歴史に、「ドイツ的」とは何かを思索する、通史とは一味も二味も異なった魅力を持った一冊。この作品を読んでいると現在のドイツ的国民性や彼らの思考回路を
デイヴィッド・ジンマンとチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団がアルテ・ノヴァとRCAレーベルでこれまでに制作した全録音を収録したCD50枚組ボックス。デイヴィッド・ジンマンは1936年ニューヨークに生まれ、オバーリン音楽院他で学び、モントゥーのアシス
この2枚組のUHQCDにはジャン・マルティノン指揮、フランス国立放送管弦楽団によるドビュッシーのオーケストラル・ワーク集が収録されていて、それらは現在に至るまでSACD化を含む再販を繰り返している名盤の誉れの高いものだ。それは丁度クリュイタンスがラヴェル
このディスクにはヘルベルト・ブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデンによるリヒャルト・シュトラウスの交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』及び『ドン・ファン』の2曲が収録されている。どちらも1987年にドレスデン、ルカ教会でのPCMディジタル録
先ず廃盤になって久しかったこのCDの廉価盤化での復活を歓迎したい。ヨゼフ・スークが60歳を迎えた1990年のセッションで、ピアノ伴奏はヨゼフ・ハーラ。彼らはこのほかにも幾つかのアンコール・ピースを録音していて、そちらの復刻も望まれるが、何と言っ
本書は2001年に出版された単行本の文庫版で、ルネサンス、マニエリズム、ロココそしてバロックという美術史の流れを通して、バロック芸術の占める位置関係を明らかにしながら数多くの作品例を引用してその特徴や傾向、並びに意義が読み解かれていく。パリのポンピド
このセットはアルトゥス・レーベルから同時にリリースされたカレル・アンチェルのコンセルトヘボウ管弦楽団への一連の客演シリーズの第2集で、以前のターラ音源をリマスタリングした都合3枚のCDの完結編だが、最後のハイドンの交響曲第104番のみはオランダ放送フィ
これは、チェコの名手ヨゼフ・スークが、ピアノのヤン・パネンカ、チェロのヨゼフ・フッフロとともに1976年に来日した時に録音されたもので、スーク・トリオにとって2度目の録音になる。彼ら3人の充実ぶりが如実に示され、3つの楽器が伯仲した力量で、実に白熱し
クルト・ザンデルリンクは1960年にベルリン交響楽団の首席指揮者としてドイツ帰国を果たして以来、ヨーロッパの楽壇でもその実力が認められるようになった。ナチスの迫害を避けるための亡命だったが、25年に及ぶソヴィエト滞在はショスタコーヴィチとの交流やムラヴィン
1969年と翌70年にカレル・アンチェルがアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団に客演した時の音源の第1集になり、同時に残りの2枚分の第2集もリリースされた。これらは初出音源ではなく、既に全曲とも仏ターラ・レーベルから出ていたものだが、日本のアルトゥス
ショスタコーヴィチは若い頃からクラシック以外のジャンル、ポピュラー・ミュージックやジャズにも造詣が深く、習作とは言えないほどのかなりの数の本格的な作品を書いているし、また映画音楽にも取り組んでそのオールマイティーな才能を発揮した。それらは彼の後の
ルネサンスと言えば日本では文芸復興と訳されて、フィレンツェ、メディチ家が私財を投じて設立したアカデミアでの当時の最高の知識人達による古典を基礎とした学術の探求に象徴されているが、温故知新に則った忘れ去られた過去の優れた文化の模索は既に12世紀には芽生
シューベルトのピアノ五重奏曲『ます』にリヒテルのような巨匠が加わることは稀だが、若い頃からアンサンブルに積極的に参加していた彼だけに、ここでも超一級の協調性をみせた力強く隙のない合奏が特徴だ。ライヴならではの緊迫感がすこぶる快く、聴き手の関心の中心に
レージネヴァの声質はコロラトゥーラをこなすソプラノとしては珍しくやや暗めだが落ち着いた雰囲気があり、浮き足立たずに音楽そのものを聴かせる感性が窺われる。またどの作品に対しても常にニュートラルな姿勢で臨んでいることに彼女のテクニックの多様性が示されてい
アントニオ・パッパーノ指揮/サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団(ローマ)の2014年来日記念盤。前回の来日公演で観客に大熱狂を起こした「ウィリアム・テル」序曲他、このコンビならではのレパートリー。イタリアを代表する管弦楽団による、イタリアを代表
近年では、その活動も低調なチョン・キョンファであるが、本盤に収められたチャイコフスキー&シベリウスのヴァイオリン協奏曲の演奏は、22歳という若き日のもの。次代を担う気鋭の女流ヴァイオリニストとして、これから世界に羽ばたいて行こうとしていた時期のものだ
薫り高いドイツ音楽の王道をバックボーンにもつ名匠ブロムシュテットと名門シュターツカペレ・ドレスデンによる名盤の誉れ高いディスク。モーツァルト後期の傑作交響曲のカップリングであるが、いずれも素晴らしい名演だ。ブロムシュテットによる本演奏に、何か特別な
本盤には、フィンランドの歴史的な名指揮者ロベルト・カヤヌスのシベリウス録音が収められているが、カヤヌスこそは、シベリウス作品を全世界に広めたパイオニア的存在である。いま改めて聴いてみると、いまさらのようにカヤヌスの偉大な芸術に感嘆させられてしまう。
1970年代半ばのカラヤンは、耽美的表現が完成した時期であり、カラヤンの切れ味鋭い棒の魔術をたっぷりと堪能できる。演奏は文句のつけようがないほど素晴らしく、カラヤンはチャイコフスキーを十八番にして、得意中の得意としていたが、豪壮華麗な演奏で、チャイコ
2013年にヴェルディとワーグナーという、どちらも劇音楽の大家でありながら一方は人間の喜怒哀楽を、そして他方は神々の世界を執拗に描いた音楽史上対照的な2人の作曲家の生誕200周年記念を迎えたことで、既に複数のレーベルからオペラ全集を始めとするセット物が
アバドお気に入りのルツェルン祝祭管弦楽団やモーツァルト管弦楽団のメンバーも兼任するソリストたちとの愉悦に満ちた、現代最高と評されるモーツァルト演奏である。本盤に収められたアバド&モーツァルト管弦楽団のメンバーによるクラリネット協奏曲、ファゴット協奏曲
このCDの音源はリヒテル・アメリカ・デビュー盤のひとつとしてLP時代から評価の高いものだった。過去にはラインスドルフ&シカゴ響とリヒテルの爆演のように言われたこともあるが、良く聴いてみるとシカゴ響はラインスドルフによって非常に良くコントロールされてい
ダヴィッド・フレーはこれまで既に2枚のアルバムでシューベルトの作品集をリリースしている。彼が最初に手がけたのがカナダのアトマ・レーベルから出た『さすらい人幻想曲』で、リストのロ短調ソナタとのカップリングだったが、それはどちらかというと彼のヴィルトゥオ
古今東西の名指揮者の中で、誰が最もモーツァルティアンかときかれた時、筆者はためらわずに最初にカラヤンに指を屈するであろう。特に1960年代以降の円熟したカラヤンに。1つにはカラヤンの天性が、モーツァルトの“歌”を歌うことができることである。指揮者
本盤に収められたドヴォルザークの交響曲第8番及び第9番「新世界より」は、クーベリック&ベルリン・フィルのコンビによる交響曲全集からの抜粋である。クーベリックは、ドヴォルザークの交響曲、とりわけ「第8」及び「第9」については何度も録音しているが、その中
当時のFM東京の音源は2002年に初出の際、レギュラー・フォーマットのCD2枚組でリリースされた。これは本当に凄いバッハで、初めて聴いた時、筆者はシェリングの傑出した表現力とそれを支える万全なテクニック、そしてその鮮烈な音質に驚いたものだが、その後リ
洗練を極めたジュリー二の『ドン・ジョヴァンニ』である。バス歌手によって歌われたタイトル・ロールとしては1954年のフルトヴェングラー、シエピによるザルツブルク・ライヴが個人的には圧倒的な名演として思い出される。一方バリトンが歌ったものではこの195
ブロムシュテット初のブルックナー録音で、シュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者を務めていた時期(1975~85年)に残された最良の演奏のひとつ。同じコンビによる「第4」も極上の名演であったが、本盤もそれに優るとも劣らない出来を誇っている。「第7」
本盤には、ビゼーが作曲した南フランスの牧歌的な風景の中で繰り広げられる劇音楽から編纂した馴染み深いメロディが次々に登場する「アルルの女」組曲と情熱的なスペイン情緒を背景にした歌劇の名旋律を独立したオーケストラに再編した「カルメン」組曲などが収められてい
オトマール・スウィトナーは長くNHK交響楽団を指揮をしていたので日本になじみが深かった指揮者である。この5枚組CDでは、スウィトナーが最も得意としてきたモーツァルトのオペラ演奏の最良の録音を聴くことができる。スウィトナーは当然ながら自国の作曲家モー
2013年2月17&21日、ロンドン、バービカンセンターに於けるライヴ録音。2011年にリリースされた交響曲第4番「ロマンティック」が、近年の充実ぶりを示す演奏内容との高評価を得ていたハイティンク&ロンドン交響楽団が、今度はブルックナーの交響曲第9番
2013年亡くなったコーラスの権威、エリック・エリクソンへの追悼としてワーナーからリリースされた6枚組のバジェット・ボックスで、まさに合唱の最高峰、エリクソン畢生の名演がここに蘇った。CD1-3が『5世紀に亘るヨーロッパの合唱音楽』そしてCD4-6が
R.シュトラウスの楽曲というと、筆者としてはどうしてもカラヤンの呪縛から逃れられないが、カラヤンの演奏だけが正解ではないはずで、別のアプローチの仕方もあってしかるべきである。カラヤンとは正反対のオーソドックスなアプローチで、R.シュトラウスの名演を成し