1029 主の役目
避難場までは、1キロくらいあり、風速70メートルの逆巻く突風は、前後左右から揺さぶって吹き、決して同一方向から、均一的に吹いて来ません。 会話は嵐の中へ千切れ飛び、痛い程叩き付ける雨に、目も開けられず、風圧で、息をする事すら苦しく、顔をあげておられません。 大人ですら、進むのが困難な状況である。 闇夜の畦道、吹き飛ばされ、足に纏わり付き、やっとの思いで、避難場へ到着。 不安な一夜を過ごしました。 抗し難い、大自然の力とは言え、コツコツと築き上げた我が家が吹き飛ぶ。 翌日からの生活を思い巡らし、家を後にする時、父親の気持ちはどのようなものだったのだろうか。 南国の真夏、殆んど着る事の無いオーバーコートを着、荒れ狂う嵐に悠然と立ち向い、家族を守る。 父の背中はあまりにも大きく、凛々しい姿として瞼に焼き付けられ、ひかるが生きていく中、人生の厳しさに背を向ける事なく、前向き..
2023/09/30 14:55