chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • 俺たちのバラード 1 その1

    プログ小説「俺たちのバラード 1」を開始します。 眼が、覚めた。 枕元の時計を、見る。 針は、ちょうど午前二時を示すところだった。 「さあ、いくぞ」 立ち上がり様、 俺はそう呟いていた。

  • 俺たちのバラード 2 その6

    注ぎ終わると、いったんもち上げたグラスをまた下ろしている。 「乾杯、といきたいが、一人ここに参加できない者がいる。だから、今日だけは、そいつの為に乾杯はなしにするぜ」 「それって、この前見舞いにいっ

  • 俺たちのバラード 2 その5

    俺が椅子を引き腰を下ろすと、二人も同じようにして次々と腰を下ろした。 曇りガラスを通し、陽の光が鈍く入り込んでくる。まだ朝だというのに、部屋の中はたいそう熱くなっている。喉の渇きを覚えて、俺は立ち

  • 俺たちのバラード 1 その6

    やらなければならないこととは、ほかでもない。隠し持ったピストルで、政財界の陰に隠れあこぎな真似をし続けるドンたちの一人を恫喝してやることだった。 ある時、俺がそのことを提案すると、幸次はあっけらか

  • 俺たちのバラード 1 その4

    また、歩き出す。 後ろを振り向くが、猫の子一匹いはしなかった。もちろん、人間というやっかいな代物だとて同じに違いなかった。俺は、そこに人間がいなくて安心しきっていたのだった。 と、その時、影が大き

  • 俺たちのバラード 1 その5

    さらなる体力の充実を感じていると、遙か前方の道に人が現れたのを知った。それは、見間違いようもない一人の男だった。 男は両手を拡げて大の字になり、小道を塞いでいる。影だけがやけに長く、俺の進む方へと

  • 俺たちのバラード 2 その7

    和坊の手が、動く。 テーブルの上に掌を立て、事としだいによっては手刀を下ろさんぞといわんばかりの様相になっている。とっさに、拙い! と俺は思った。 ほかの者たちとは異なり、小さい頃から和坊はそう

  • 俺たちのバラード 2 その4

    「でもよ。銃撃戦をやったにしちゃ、俺たちだけがどうして無傷で生還できたんだ? ずいぶんと可笑しな話じゃねえか。だから、まだ俺にはしっくりとしねえんだよ。あのことがよ」 三人が共有している記憶が怪しい

  • 俺たちのバラード 2 その3

    立ち上がりながら、鏑木か食らいついてくる。 「いいんだなって、そりゃどういうことなんだ? いったいぜんたい、お前はなにをいいてえんだよ。もしかして、それって俺に喧嘩でも売りてえってことなのか」 俺

  • 俺たちのバラード 2 その2

    「おはよう、征ちゃん。ずいぶん、早いんだな」 突如、背中越しに爽やかな声が鼓膜を震わせた。 振り返る俺の目には、隣の部屋から顔を出し微笑んでいる和坊の姿が映っている。とっさに向きをかえ、俺はいった

  • 俺たちのバラード 2 その1

    今日から、新しく、「俺たちのバラード 2」をスタートします。 俺たちのバラード 2 1 東の空が、白み始めて

  • 俺たちのバラード 1 その3

    靴音だけが、まるで秒針のように正確に夜更けの街を刻み込んでゆく…。 吐き出される息が、雪のように白い。 一度だけ、夜空に向かってふうーっと吐いてみた。頭上で、息は星屑と重なり合うようにして消えて

  • 俺たちのバラード 1 その2

    「馬鹿野郎!」 響いた声はたちまち何処へかと消えていき、部屋の中には穏やかな月の光がやたらに注ぎ込んでくる。 「畜生。この期に及んで・・・」 奥歯を噛み締めながら、素早く黒の革ジャンを着込んだ。

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、しんちゃんさんをフォローしませんか?

ハンドル名
しんちゃんさん
ブログタイトル
俺たちのバラード
フォロー
俺たちのバラード

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用