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プロフェッショナル文学目指すCrew Asnaの、原稿お披露目ブログ。 文章・作品レベルが高いのが売り。

Crew Asna
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つくば市
出身
つくば市
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2007/09/01

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  • グローリアの誕生日の話

    陰府(よみ・冥界)の一隅に、突然、黄金の後光をまとった鳥が入って来、一通の封書を置いていった。クレメンスは誰も手を伸ばす前にそれをサッと取り上げ、封を破いた。 「なんだ、鳳凰(フェニックス)だろう、今のは」 ちょうど居たルシファーが驚いて

  • ハエの王の妻の話、エピローグ

    衝突というものは、たいてい全てを落ち着かせる。 感情の爆発も、理性からの策略も、一度溜まった澱を吐き出してしまえば、どうということはない、すっきりと落ちつくのだ。 今回のこと——乙女グローリアにおける天使と悪魔の大規模な戦いも、結果的に

  • ハエの王の妻の話、急

    グローリアの目は光にくらんだ。目の前が真っ白になって、それから何も見えなくなった。何か風をゆるやかに切って天に昇っていくようだった。 魔女グローリアの魂が身体を抜け出したことに、地上でも一人の人間が気づいた。 アルケミスト・アデルバードは

  • ハエの王の妻の話、破

    マナー屋敷の門前に、上等な一頭立て四輪馬車が止まった。迎え出た馬役の老人が馬の鼻面を押さえる。馬車が静止する。降りてきた初老の男がいる。黒いフロックコート、黒いハット、領主が迎え出てきたのでハットを取ると、彼が禿頭であることがわかった。

  • ハエの王の妻の話、序

    中世における異端審問(魔女狩り)について英国カトリックの準司祭ファーザー・アーサーの記述。 <主ヤハウェは使徒モーセに、律法の中でこうおっしゃった。 ——魔女を生かしておいてはならない。(出エジプト記22章18節) けだし、魔女という

  • ハエの王の妻の話 2006ver.、お披露目。

    これから載せる作品は、2006年、ちょうど今の時期、ダリアの庭(Dahlia様)で行われていた「ハロウィン・サロン(※閉鎖)」で、ぶっつけ本番勢いで書き、好評をいただいた作品です。 筆者日野の遅筆さを詫びると同時に、つなぎとして、このハロ

  • Why are you writing so long time?

    何故書くのだ。 何故書くのだ。 何故書きたいと思うのだ。 思えば今年は、短編の他はあまり実りのない年だったのやもしれぬ。 無理もないよなあ。 前半は受験勉強で潰れ、 後半は反動で寝込んだ(年末は体調を崩しやすい)。 受験生になって社会的

  • いろんなことが、つながってゆく。

    やりたいこと(勉強とか原稿とか受験勉強へのアプローチも今のうちからやっておきたい)が山積みになっていて、 が、しかし、頭も身体もうまく回らず、 規則的生活なんてどこへやら、 集中力はちょちょ切れて、 一旦手に付けたことさえも完結するにまま

  • Croquis: 死の淵に立ってごらんなさい。

    死への願望というのは、清潔な白い更紗におちた血のしずくに、非常に良く似ていると、私は思う。それが絹でも、麻でも、綿でも、材質はたいていどうだっていいのだが、白くまっさらであるということが一番重要だ。生きているだけで完璧?それを自分でひきさ

  • 夢のまた夢

    先日の疲れが残り、せつない夢を見た。 病院時代の友人たちと、再会する夢。 ぱっとめざめた。夢だったのだ。こちらが現実だ。目覚めるまで夢だなんて、気付かなかった。 …なんてかなしい幻想だろう!(08.10.06)JUGEMテーマ:つぶやき。

  • 徹夜三日目の懊悩。

    深夜3時は一番辛い。 徹夜3日目。睡眠薬を飲んでもさっぱり眠れやしない。 夜11時半、睡眠薬を飲む。12時には床に入る。やわらかな眠気がおりてくる。私をつつんでおくれ、睡魔よ。何も考えずに眠りたいのだ。 しかし、いっこうに深い眠りは訪れな

  • Croquis: 銀の栞

    ここに銀の栞がある。 アール・ヌーヴォ的な曲線をかたどるその金属の栞は、先にいぶし銅のチェーンがついていて、平板な鳥かごのモティーフに繋がっている。鳩のような鳥はおとなしく、あめ色の体をして、かごの中にちぢこまっている。 この鳥は永遠に外

  • Croquis: 懐中時計

    懐中時計をひどく気に入ったので、始終パチパチいわせている。日記に青いボールペンで時刻を細かく書き刻むのもそのせい。 銀色のめっきで、細かく心地よい粗が立っている。中央に、大輪の銀薔薇、花弁と茎はなめらかである。 ——9月4日の日記より。

  • アクティヴに執筆。

    小説書くってかなりアクティヴなことだと思うよ。というか作家は足で書かなきゃあかん。 図書館行って取材行って構想膨らませた上でテーゼ・ジンテーゼ・アンチテーゼと決めて、とにかくとにかく成文化していって、楽しく、エンジョイして、なおかつ、自分

  • 特別な日、10月13日。

    リトル・ヴァンパイア。 この絵はダリア様のサイト にて原画販売中です。 ロマンある物々交換も可。 すてきな耽美な絵を、どうぞごゆるりとごらんあそばせ。 …ダリア様、誕生日おめでとうございます! 08.10.13 日野成美 拝JUGEMテ

  • リトル・ヴァンパイア

    敬愛するダリア様へ。 あたし、きっと空を飛べるわ。「エリル!エリル!煙突なんかにのぼってどうするの!アリヌエ(註:赤い少女神)さまの真似でもするつもり?」 空はピンク色。きれいな夕焼け。マゼンタ色の雲。真珠色の月。ダリア様の好きな

  • この世でこの上もなく美しい死に方、レジュメ。

    今年はホラーを書く。(参照) と言っておきながら約束破りになりそうな多忙っぷりなのだが、ここでひとつ、そのホラーのレジュメをちろっとだけ、公開しておこうとおもいます。「この世でこの上もなく美しい死に方」問題編レジュメ...by 日野成美「

  • 学校ぎらい。

    少なくとも、私は幼かった頃、小学生の時分から義務教育を終えるまで、年に一度は「ずる休み」をしていた。 一番始めは小学校一年生だった時である。 理由は忘れた。でも6歳の私にも、学校は《異様な》雰囲気を与える場所だった。 あ、そう、思い出した

  • 2008年、夏の抱負。

    文学賞に限らず、何か賞への応募、というのが今年の抱負だったことを唐突に思い出す。 たいていの枠は原稿用紙300枚とかの量を書いて応募。長編の基本スパンだ。 この量が曲者。プロになるんだったら文字数くらい稼いで当然だが、私の長編基本は100

  • 夜更け、その明るい建物に向かって。

    メランコリック(うつ)の人間というのはたいてい夜起きるものだ。朝と昼間は昏々と眠り続け、夜にむっくり起き上がり、食料を求めて冷蔵庫を漁る。 求める物が何もなかった場合、もっとも手っ取り早いのがコンビニだ。 日本という国はよくできていて、た

  • しにたくない。

    死にたくなったときには傷から目を背けて空でも見上げるのが肝要である。今日は昼からゴロゴロ雷が唸っていた。JUGEMテーマ:つぶやき。

  • "A Book Of 'GARDEN'"、反省会実施中。

    新作「A Book Of 'GARDEN'」、エクリールにて公開いたしました。 これは新しく買ったモナ・リザのノートに原稿用紙20枚分、2日で書き上げたモノで、その反動で今日まで寝込んでいたのでした。 死ぬかと思った(精神的に)。 これを

  • なんだかつまらない記事の日。

    ブログをやっていると、「なんだかつまらない記事の日」というのがあります。 毎日書いているとこういうことが起きます。いつか、必ず起きる。 昨日の記事も、話題が散逸して身が入っていない感じだった。 ああ、これ、つまんないかも、という自覚は自分で

  • なぜ書くか?

    私の場合、書くと言うこと、それはもう自己実現のために書いているのだよな。書かないと欲求不満で…。 自己主張が激しい分が文章に回ってきているのかもしれない。 大半のブロガーが自己実現のためにブログを書いているのだと思う。パブリックに、公的情

  • あの頃を忘れてはいけない。

    筆者アスナ誕生以来、小学生のときまで一家そろって住んでいたアパートは、荒ぶる自然に埋もれるようにして建っていた。ツツジと椿の生け垣、背の高い木が3階の私たちの部屋までのびていて、そこからは見事な桜並木が拝める。私たちは桜が、どのように北風

  • 10

    「おい、本がないぞ」 からっぽの金庫をのぞき込んで、670番は480番を振り返った。「あれ、080番は?」「まだ戻ってきてない」「まさか」「馬鹿野郎、あいつ死ぬ気か!?」「探せ、食い止めろ」「無駄な気もしますけどね」 … 彼は目を開けた。「

  • 9

    080番は決心した。 まず、部屋から危険と思われるものを取り去った。ペンナイフ、ペン先、ペーパーナイフといった鋭利な物から、角の尖った机、椅子、シーツまで。あとには空洞の部屋が残った。念のためクッションを敷き詰め、自分で自分の頭を叩き割ら

  • 8

    「女が来るぅ?」 食堂で、同僚があげた素っ頓狂な声に、会見を盗み聞きしていた480番は頷いた。「なんでもエラいさんだったらしい、あの女」「それで、司書に女が来るのか?」「均衡を図るために共同体で生活を営むとかなんとか…」「ムリだろ」「だよな

  • 7

    「お茶のひとつも出ないの?」 という《筆者》の苦言によって、急ぎ紅茶とケーキが供された。彼女はそれをおいしそうに食べた。女と言うのはわけのわからん生き物だ——080番は考える——来客以外の女には、もう数十年と会っていなかった。恋のひとつもし

  • 6

    暗い部屋の中に、930番は横たわっていた。彼はまだ少年だった。黒い巻き毛に、幼さをのこしたうりざね顔は、青ざめ、憔悴していた。「やっと落ち着いたところなんです」 医師は080番と《筆者》の耳元でささやいた。「暴れさすようなことはしないで下

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