知人の画家、Hさんから電話があった。12時19分、昼食を摂っていた時だった。「これから桜を見に行きたいと思いますが、都合はいかがですか」と。「何時頃ですか?」「2時半を予定にしています」「いいですよ。人数は?」「私一人です」「わかりました」食事を済ませ、外のテントの下にお茶と少しのお菓子を用意して待つ。彼岸桜の花びらが地に広がる庭に青い車が入って来る。「これ、どうぞ」とレジ袋を渡される。中を見ると、桜...
染井吉野は二本ある。一つは中庭で李と並ぶようにして。もう一つはアートガーデンの中で川近くに立つ。満開一つ手前まで進んで、それぞれ見頃となりつつある。中庭のは私の部屋から座して見える。まさにマイ花見。よくヒヨドリが来て花を食べている。下の方には二輪の胴吹きもあって、愛らしい。その遠く向こうには伊那山脈や南アルプスの山々が見える。こうして四月も半ばに入る。 雨降るなよまだ散らすなよと思いつつ一人で...
山吹が並ぶ。家を挟んで、花水木の下と桜の下に。あふれて気持ちいい。風に応じて枝がふわっと揺れる。一つは一つでゆかしく。手を添えたくなり。今日は画家の知人宅を訪問する日。石楠花の広がる庭、アトリエ見学、そしてこだわりのコーヒーを淹れてくれるというお誘い。昨夏の約束を忘れずにいてくれて。 やさしく揺れてそっと触れてさまざまな思いを振り返らせるごとに山吹のある (上武旋転子)...
ラジオでパーソナリティーがリスナーに問いかけていました。「あなたが春を感じるのはどんな時、どんなことでしょう」と。草花、人事、伝統行事などの答えが届けられていました。 私の頭に出てきたのは食器洗いです。水の温みを感じ、手袋を外すようになったことです。片栗とか福寿草とか蕗の薹なども思い浮かんだのですが。洗い物をするとき、少し前までは水が冷たくて、手袋をしていました。それが今は素...
庭桜は白い八重の桜。蕾の時は少しの赤みをまとっている。他の桜が散った今、時を置いて咲く。埋め尽くすように白シロしろ。私にもそんな白い時があった。 白いままでいたいと詩の中の青い頃いろんな色に染まり混濁しまった今戻れない (奈美あや)...
昼食を終わって一休みしていた時、穂波さんがやってきた。そして「今朝、清人さんがタケノコを掘ってきたの」と言って大きな袋を差し出す。受け取るとずっしりと重い。「ありがとう。お茶でも飲んでいかない?」「まだ友達のところにも届けるので、これで。じゃあ」中に4本入っていた。新聞に広げる。まだ湿った土がついたままだ。1本はかなり太くて大きく、1面の横幅ほど。それ一つで2.6㎏あった。全部で5㎏を優に超える。家人...
花蘇枋は葉のない枝に鮮やかな躑躅色の花を付けます。マメ科の植物なので同様に蝶形花です。細くて低い木です。太くて大きな山茱萸の木の下にあります。あ~あ。青大将がでーんと。いやいいや。つねよりかなり早いご登場です。このところ5月頃の陽気が続いていたのからでしょうか。1分ほどしてのそのそと離れていきました。毎年何度か勝手にやってきて庭を散策します。おとなしいのですが、苦手な相手です。ん~ん。 枝に吹...
ウコギも食べ頃です。手を伸ばして枝を切りとります。さらに作業しやすいように短く揃えます。枝から一つ一つ摘み取ります。葉の付け根には棘がありますので気をつけてします。けっこう時間がかかります。ゆっくりとのんびりと。洗って。茹でて。けずりぶしを乗せて。醤油をかけて。ああ、いい食感。またまた旬をいただきました。 空を切って軽やかに飛び翔る燕今日は一羽二羽三羽 (居山聞涛)...
さーっと、軽やかに。アートガーデンの上を横切って。見ました。初燕です。まだ一羽だけでしたが。また、一つ春の姿が加わります。 初燕来てうれしうれしと作業の手を休めて茶を口に眺めている (居山聞涛)a href=
ハナニラの英名は“Spring starflower”とあります。春の星花とでも訳すのでしょうか。たしかにその6弁の花はきれいな星の形です。昨日はクレマチスの誘引をしました。モッコウバラの整枝もしました。梅と杏には肥料の施しです。お供は携帯ラジオにルイボスティーの入ったボトルです。園芸作業にあれこれ手が求められる楽しい毎日です。遠くの山はかすんでいます。黄砂でしょうか。...
今年も茱萸にはたくさんの花が咲く。生成りの筒状花が下向きに枝に垂れて。これらがすべて実になれば申し分ないのだが。ここ数年はそれほど多くの収穫は得られていない。木はしっかりしているし、必要な肥料は施している。はたして今年はどうだろう。中で天道虫が仲良くしている。 枝に垂れてブラブラ茱萸の花睦まじく天道虫のいる (奈美あや)...
梨の花は白い五弁。これもやはり常より二週間ほど早いのではないか。ちょんちょんと赤い蕊。仄かに桃色の蕾。艶やかな赤味の新葉。清少納言は、楊貴妃の泣き顔を引き合いに出しながら、梨の花はきわめて素晴らしくこの上ないと綴っている。 (『枕草子』「木の...
白い花びらにスパッタリングしたように青い斑点を乗せる小さな花。これはアメリカスミレのビオラ・ソロリア・フレックルス。フレックル(freckle)とはそばかすのこと。思春期の少女の顔のイメージからの名付けか。なるほど、なるほど愛らしい。元気で丈夫で、何カ所かに増えて出る。ぺちゃくちゃとおしゃべりも聞こえてきそうだ。昨日は知人からうれしいお誘い。「庭の石楠花が見頃を迎えています。美味しいコーヒーを淹れますか...
源平花桃は紅白がいっしょに咲く。単独の白い花と紅い花もあるが、多くは一つの花の中に紅白が混じる。中には蕊までもが紅白になっていたりする。見て楽しい。昨日6回目のワクチン接種の案内が届いた。今日は特定健診の日。大きなケガや病気、事故もなくこれまで健やかに過ごすことできている。周りに感謝。自分の心と身体に感謝。 春たけなわに花競い花踊る落ち着け心落ち着け私 (上武旋転子)...
チューリップを植えるのを忘れていたことに気がついたのは三月の早い日のこと。いつもたくさん植える。場所それぞれで一列に並べたり、円形にまとめたりと。そして夏に球根を掘りあげる。秋になるとまた球根を植える。いいのだけを選り残し新しいのを加えながら。その繰り返し。だからてっきりそうしたものと思い込んでいた。しかし今年その芽が土の上に顔を出していたのはほんの少し。農具小屋に行って確かめると、たくさんの球根...
赤い椿があります。斑入りのもあります。それは1本の木にあります。赤は上の方、斑入りは下の方と。それぞれ領分を決めて。よくわかりませんが最初からそんな咲き方です。その境では二つの色が仲良く寄り添っています。気温が上がりました。月下美人と孔雀仙人掌を外に出しました。...
桜が散り、中庭の小径に広がる。そんな中にいろいろな花の姿。そして黄花片栗も二輪。やはり花びらを後ろにくるりとして。と、近くで高い口笛のような澄んだ声がした。姿は見えないが、あれはたぶんイカル。...
向かいの中山さんの庭で大きなのぼり旗がパタパタはためいています。二階の屋根を越える高さです。端午の節句の準備が始まったようです。鯉はまだ付いていませんが、来週末にはきっと揃っても泳いでいることでしょう。いい風です。こちらでは桃色雪柳もたっぷりの姿です。いい景色です。 桜吹き散らす春の風マスクして草を取る私の頭に二片(ひら)三片(ひら) (上武旋転子) ...
コゴミも採りました。頭をクルクル巻いたのがいくつも立っています。やわらかいので手で摘み取ります。野の匂いが手に残ります。まずは一籠分。けずりぶしを乗せていただきました。間を空けてまだ何度かは採れそうです。 指先で折るクルクルのコゴミは野の匂い茹でて口にうれし旬の味 (居山聞涛)...
春のいい香りが広がっています。それを放っているのは白い沈丁花です。一枝折って、鼻に付けます。花びらに小さな花蜘蛛が遊んでいます。彼もその香りを感じるのでしょうか。 写実の静物画観て外に出れば柳の青葉枝垂れる四月のさわやか (上武旋転子)...
山菜も今年はずいぶん早い。まだ四月初旬なのに、もう食べ頃になっているのが多く。タラノメは鬱金桜と白木蓮の下に何本か生えている。そして少し離れてナンジャモンジャノキの下にも。昨日それを半分ほど採った。そして食べた。毎年のことながら、オイシイ~。 タラノメ採って天麩羅にこの時期ならではの舌鼓うつ (居山聞涛)...
三椏です。それは枝先を三つ三つに分けて伸びます。だからミツマタ。わかりやすいですね。家のには黄色と濃朱色の二色が一緒に咲きます。理由はよくわかりません。栽培段階で接ぎ木されていたのかもしれません。一度に二つ分楽しめてありがたいことです。すこし香りがあります。 小さな一輪挿しに差して三椏がトイレにあるいい四月 (上武旋転子)...