「ここは太陽がかなり上に昇る迄、恐ろしく冷えるところでな、夕べはよく眠れたのか?」 懐かしいロトの声だった。 「眠れたような、眠れなかったような・...
幾年かぶりに見るロトはずいぶん齢を取ったように思われた。 ただ、相変わらず鋭いその眼差しだけは健在で、幼い頃は彼の目を真っ直ぐ見つめることが出来ず、...
あの時、死の床に着いてた少年の事よりも、僕はとにかく家の方が怖かった。 あれは良くないと心のどこかで解っていたんだと思う。 あれは、人の生命力やら気...
「病気で衰弱死した 少年の母親逮捕」 思わず息を呑み、食い入るように見た。 画面に映るその家は、半月ほど前、佐伯が踵を返したあの場所ではないか! ...
数年前、佐伯にも心を痛める出来事があったのである。 塾を始めて間もない頃、一人の少年がやって来た。 成績は抜群で人当たりも良い、だがその顔色は常に青...
その後も佐伯とはアルカナで頻繁に会うようになった。 不思議なモノで、佐伯に話したいことある日など、特に連絡をするわけでもないのに彼はフラリと店に現れ...
それではー。 あの時のまゆという少女の激しい憎悪のエネルギーは、自分の想いを理解してくれぬ父親に対するものだったのか? それとも動植物と話せるとい...
若い世代の起業に役立てばと、始めてはみたものの大半は受験生相手の学習塾であるという。 最も授業以外にも世の中を渡るテクといっては今、私に話したよう...
「レラさんか・・・イヤ、ステキなというか変わったお名前と言っては失礼なんだが、まあなんです。まゆがお世話になってしまって」 まゆの父佐伯は、穏やかな笑み...
新しい予祗のための新しいオラクル。 作業に入る前の沐浴は身を清めると共に水が媒介となって、これから先の出来事を知ることになる。 時にまやかしの...
木片を丁寧に削り、磨き、装飾をほどこしてゆくのだが、この過程はアイラ達のような者にとっては一つの人生サイクルの死をも意味する。 オラクル・マスターは...
迷った揚げ句、木片を細工することに決め作業に取りかかった。 その予祗は きっとまだ若い。 背は高く 眼光は鋭い。 口元に時折、皮肉な...
最後の文字を刻み終えるとアイラは小さく息をついた。 ロトが言う前から、彼女の中にざわざわと騒ぐものがあったのだ。 予祗が来る。 ...
一心に見つめるその眼差しが、コウを捕らえた。 ラ・イ・ラ そうだ ライラという名前の少女だった。 俺は彼女の遊びに何故か心ひ...
コトリ、と足元の石が転がり別の石とぶつかって小さな音をたてた。 ふとコウはその石を拾い己の手で転がしてみた。すると石はまた別の石とぶつかり、かすかな音が...
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